意見書(SNS等インターネット上の誹謗中傷等の抑止と被害者救済に向けた対応の強化を求める意見書)令和7年9月定例会
発議第8号
意見書
SNS等インターネット上の誹謗中傷等の抑止と被害者救済に向けた対応の強化を求める意見書
SNS等のインターネット上では、多くのユーザーによる自由な情報の発信・受信が行われている一方で、近年では匿名の発信者による激しい誹謗中傷や個人情報の流布を含む悪質な書き込み等による人権侵害が後を絶たず、国民生活や社会経済活動に重大な影響を及ぼし得る深刻な問題となっている。
こうしたインターネット上の違法・有害情報に対処するため、SNS事業者等に対し、削除申出への対応の迅速化と運用状況の透明化を義務付ける情報流通プラットフォーム対処法が本年4月に施行されたが、対象は一定規模以上の事業者に限られているほか、人権侵害情報の削除は依然として事業者の自主的な判断や司法判断に委ねられており、早期削除を願う被害者にとっては必ずしも十分な状況ではない。
また、権利侵害の明白性が認められる場合に開示請求を受けた事業者が任意で発信者情報を開示できる制度が十分に活用されておらず、発信者情報の開示までに要する裁判手続の長期化や費用負担等から被害者が開示請求を断念せざるを得ない場合もあり、人権侵害情報がインターネット上で短期間で広範に流通・拡散するおそれがある中、早期の被害者救済に向けた実効性のある仕組みの速やかな整備が求められる。さらに、こうした仕組みが整備されることで、インターネット上の悪質な書き込み等を抑止する効果も期待できる。
よって、国におかれては、次の事項について措置を講じられるよう強く要望する。
1 SNS事業者等による削除等の自主的取組の促進を図るとともに、ネットモニタリング体制の構築など、インターネット上の誹謗中傷等の防止に向けた取組を推進すること。
また、情報流通プラットフォーム対処法による運用状況の透明化等の義務付けの対象となっていない事業者に対しても、対象事業者に準じた対応がなされるよう周知・啓発を行うこと。
2 インターネット上の誹謗中傷等から被害者を迅速に救済するため、発信者情報の開示までに要する期間の大幅な短縮など、被害者の負担解消につながる制度改正を速やかに行うこと。
3 SNS等インターネットを正しく利用するための学校教育や啓発活動、被害者への相談体制の一層の充実強化を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年9月30日