意見書(海洋プラスチックごみ対策の強化を求める意見書)令和3年12月定例会
発議第10号
意見書
海洋プラスチックごみ対策の強化を求める意見書
近年、海洋に流出する廃プラスチック類やマイクロプラスチックが海洋生態系に与える影響等について、国際的な関心が高まっており、これらの海洋プラスチックごみ問題は、世界全体で取り組まなければならない地球規模の課題となっている。
日本における海洋プラスチックごみの中で最も多いのは全体の4割を占める漁具であり、海洋流出の防止等を図るため、漁具の適正な使用や処分などが求められるが、漁網やロープ、ブイ等の漁具の大半は、塩分や生物が付着していることや素材ごとに分別することが難しいことから、リユースやリサイクルが実態上困難なものが多く、産業廃棄物として処理する必要がある。また、本県では主要漁業であるカキ養殖に使用される養殖用パイプや発泡フロート等の経年劣化による喪失や漂流による環境への影響が長年問題となっている。
こうした中、環境負荷の少ない漁具の開発が進んでおり、カキ養殖用パイプについては、使用済みポリエチレンからの再生品としての製造や、生分解性素材への転換等も検討されているが、耐久性等の機能的な問題やコスト増による経営への影響等から、生産現場への導入は難しい状況にある。また、発泡フロートについても、減容処理後にペレット燃料化する取組が試験的に行われているが、機器導入コストやペレット燃料の利用方法等に課題があるため、リサイクルの取組が進んでいないなど、生産コストの増加で経営環境の厳しい漁業者個々の努力には限界があり、また、海洋プラスチックごみは、国内外を問わず多様な地域由来のものが混在していることから、一部の自治体で対策を行ったとしても解決しない問題である。
よって、国におかれては、次の事項について措置を講じられるよう強く要望する。
1 使用済み漁具のリサイクルの取組に対する支援やリサイクル技術・システムの開発促進を図ること。
2 海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、省庁横断的な支援策や予算措置を検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和3年12月21日