牛と山岡さん

ひろしまブランド
「おいしい」魅力

「元気・美味しい・暮らしやすい」

そんな広島をみんなで創る取り組み「ひろしまブランド」。今号のテーマは「おいしい」。広島のおいしい魅力とは…?庄原和牛改良組合長 山岡 芳晴さんにお話を伺いました。

「おいしい」ひろしま INTERVIEW

笑顔の山岡さん

山岡 芳晴 さん (庄原和牛改良組合長)

庄原市口和町で代々続く繁殖農家として、比婆牛の素牛を生産。庄原和牛改良組合の組合長、あづま蔓振興会の副会長も務め、肉の品質などをより高める計画改良や比婆牛ブランドの振興に尽力している。

G7広島サミットで提供された、歴史と実績ある比婆牛

比婆牛のブロック肉

約180年前から庄原市で生産している黒毛和牛「比婆牛」は、融点が低く口どけなめらかな脂が特徴。和牛のオリンピックと呼ばれる「全国和牛能力共進会」では2大会連続で全国制覇するなど、歴史と実績のあるブランド和牛です。

また中四国地方で初めて、農林水産省の地理的表示(GI)保護制度に登録された和牛肉でもあります。今年、G7広島サミットで首脳たちへ比婆牛が提供されたことを機に、より多くの方に比婆牛のおいしさを知っていただきたいですね。

“和牛のオリンピック”で2度の全国制覇

岩倉蔓を起源とする比婆牛

比婆牛の歴史は、江戸時代後期にまで遡ります。まだ遺伝学の概念もなかった約180年前、比和町の畜産家・岩倉六右衛門は近親交配などによって「岩倉蔓(いわくらつる)」という蔓牛(※つるうし)を生み出しました。
※蔓牛…優良な和牛の系統郡のこと。

岩倉蔓は日本最古の蔓牛の一つに認定されており、比婆牛も岩倉蔓を起源としています。計画改良を重ねて生まれた比婆牛は、和牛のオリンピックと呼ばれる「全国和牛能力共進会」の第4回(昭和57年)、第5回(昭和62年)の2大会連続で日本一に輝きました。

また昭和63年の「農林水産祭」では、畜産業界最高の栄誉である天皇杯を受賞。そして令和元年には、農林水産省から地理的表示(GI)保護制度に登録されました。これは地域の農林水産物や食品の地域ブランドを守るための制度です。

特産松阪牛」や「但馬牛」などと並んで地理的表示(GI)保護制度に登録されたことは、比婆牛を高品質かつ安全な地域ブランドとして全国にアピールできる好機。ブランド力の向上に力を入れていきたいですね。

人間の子どもと同じくらい大切に子牛を育てる

大切に育てられている子牛

私の家は代々、比婆牛の素牛(もとうし)を生産する繁殖農家です。比婆牛の定義に、庄原市長が発行した「比婆牛素牛認定書」を有していることが挙げられます。私たちは母牛に子牛を産ませ、9~10ヶ月飼育したのち市場に出荷します。

私たち庄原市内の繁殖農家が育てた素牛を、広島県内の肥育農家が市場で仕入れ、さらに14~15ヶ月肥育します。食事や環境に気を付けて肥育された比婆牛は、庄原市が指定した県内のと畜場でと畜され、精肉として流通するのです。

庄原の自然風景

飼育で心がけているのは、牛たちにストレスをかけないこと。毎日牛舎の外で日光浴をさせてあげ、子牛の場合は3日に1度は敷地内を駆け回らせています。牛たちも、庄原の大自然と冷涼な気候が心地良いようです。

また子牛と親牛では、食べられるものも食事の回数も異なります。胃腸の負担や病気を防ぐため飼料の配合を工夫し、毎日、牛の様子を見ながら餌の量を調整しています。人間の子どもを育てるのと同じくらい大切に育てているんです。

和牛農家と米農家を兼業しているので、稲刈り後に生じる藁や、田んぼの一角で自家栽培している牧草も飼料に使用しています。また、地元の木材工場などからいただいた端材を牛舎の敷料に活用するなど、地域循環農業を目指しています。

融点の低い脂は甘く口溶けなめらか

比婆牛の冷製料理

比婆牛は赤身と脂のバランスがよく、なめらかな口溶けが特徴です。比婆牛の脂には、融点の低い不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。そのため舌にのせた途端、上品な甘みの脂が溶け出すというわけです。

ステーキやしゃぶしゃぶ、すき焼きといった定番の調理法ももちろんおいしいですが、県内の飲食店では、なめらかな舌触りを存分に堪能できる「冷製料理」で提供されることも。同じ広島県内で醸された地酒とも好相性です。

比婆牛は飼育頭数が少なく、めったに市場に出回らない高級和牛であるため、比婆牛料理が楽しめるのは庄原市内や広島市内の飲食店が中心です。精肉は庄原市内の精肉店や、オンラインショップで購入することもできますよ。

G7広島サミットで「比婆牛」の名が世界に!

口和にある比婆牛の置き物

今年、比婆牛が新たな快挙を成し遂げました。5月に開催されたG7広島サミットにおいて、各国の首脳たちが参加する夕食会で比婆牛が提供されたのです。報せを聞いたときは、驚きと喜びで胸がいっぱいになりました。

これまで確かな実績を築き上げてきた比婆牛ですが、高齢化や後継者不足に伴って生産者が減っていることも事実です。そんな中、G7広島サミットで日本のみならず世界へ「比婆牛」の名が発信されたことは大きな励みとなりました。

比婆牛のしゃぶしゃぶ

今後も、多くの消費者の方に口溶けよく風味豊かな比婆牛を堪能していただくため、生産者と関係者が一丸となって庄原市の畜産を盛り上げていきます。

広島県公式Instagram「ええじゃろ広島」

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