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電気柵の適切な設置と維持管理

印刷用ページを表示する掲載日2020年3月10日

電気柵は“心理柵”

イノシシやシカとの“心理戦”

 イノシシやシカに対して電気ショックを与えて、ほ場への侵入を阻止するのが電気柵です。
 この電気柵、物理的に侵入を阻止するものだと思われるかもしれませんが、実は違うんです。イノシシやシカは、探査行動として鼻先で触る習性があります。この習性を利用して触って感電させることによって、「ここから先はこの危険なものがあるから入れない!」って学習することによって、侵入を抑制するものなのです。鼻先以外で触っても、十分に感電しないため、次からは探査行動をせずに鼻先で電気柵を触ることなく、ほ場の中に入ってしまうのです。
 このため、電気柵を適切に設置し、ちゃんとメンテナンスすることが大切なのです。
 「電気柵が効かない!」という声は時々聞きますが、それはそんな心理戦に失敗してしまったのかもしれません。

電気柵の仕組み

 電気柵は、柵線に1秒間隔で電気が流れています。イノシシやシカがこの柵線に触れると、電気が体を通って地面に抜け、アース線を通じて戻ってくることで回路ができることにより、感電します。

電気柵の設置のポイント

基本的な設置方法

 支柱を2~3mおきに立て、支柱に碍子をつけ、柵線を張ります。
 柵線の段数とその間隔は、侵入を防ぎたい鳥獣によって異なります。例えばイノシシであれば20cm間隔で三段、シカであれば30cm間隔で五段、などが一例になります。イノシシとシカの両方が出る場所では、まず20cm間隔で三段、その上からは30cmおきに三段、という合わせ技も可能です。
 各鳥獣ごとの設置方法について詳しくは、参考書などをご覧ください。

設置の際のポイント

・コンクリートやアスファルトの上だと、体に入った電気が地面に抜けにくくなるため、しっかりと感電しません。少なくとも前足が土の上の乗るように、舗装面などから50cm以上は離すようにしてください。
コンクリート上の電気柵
誤った設置例。道路沿いのアスファルト路面上に設置された電気柵。残念ながらかなり電圧が下がり、効かないと思われます。
電圧比較
全く同じ場所で、アスファルト上と土の上とで電圧を比較したものです。土の上(右)だとちゃんと4900V出ていますが、アスファルト上(左)だと2300Vに落ちてしまいます。
・碍子は必ず外向き(鳥獣側)に。イノシシが支柱を押し倒してしまう可能性もある(支柱は通電しません)ためで、碍子が外向きであれば押し倒そうとしても碍子に触れる可能性がぐっと上がります。

・50~100mおきに、上下の柵線をつないでください。万一、どこかの柵線が切れたとしても、つないでおけば電気が流れ続けます。

・設置場所はできるだけ平らな場所へ行い、斜面や傾斜の境目は避けましょう。

・窪みのある場所など、高低差がある場所に設置すると、20cm以上の隙間ができてしまうことがあります。その場合には、途中に支柱を追加するなどしましょう。

設置した後の維持管理

24時間働かせましょう

 電気柵は24時間通電が鉄則です!
 イノシシやシカは決して夜行性ではなく、日中でも活動しています。昼間にやってきて電気柵に触れて感電しなかったら、「この線は問題なし」と学習していくら夜間に来ても電気柵に触れずに入ってしまいます。

まめな電圧チェックとメンテナンス

・雑草や木が触れると電圧が落ちる原因になります。こまめに見回って草刈りなどをしましょう。通電性の防草シートも販売されているので、活用するとよいかもしれません。

・電圧は4000V以上はあった方がよいでしょう。それを確認するためには電圧を調べるテスターは必需品です。

注意! 決してやってはいけないこと

 市販されている電気柵は、生命に影響のないように設計されているので、正しく設置すれば、もし人が触っても命にかかわるようなことはありません(ただし、ペースメーカーを装着されている方は、念のため触れない方がよいでしょう)。
 しかし、電牧器や漏電遮断器などを設置せずに直接、家庭用電源(コンセントなど)につなげると、重大な事故が発生します。過去には実際に不幸な事故も発生しています。電気柵は、使用説明書をよく読み、正しく設置しましょう。
 詳しくは、電気柵メーカーの業界団体である「日本電気さく協議会」のホームページをご覧ください。

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