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侵入防止技術について

印刷用ページを表示する掲載日2020年3月10日

侵入防止対策の基本

 イノシシやシカなどの農地への侵入を阻止するには,柵や網などの侵入防止柵を設置し,物理的に侵入できなくすることが有効な対策です。
 また,年間を通じて田畑に侵入されないことが肝心です。冬場に水稲のひこばえ(二番穂)や落穂を食べた動物は,春夏に再びやってくることになります。
 光,音,においなどの対策もありますが,効果が限定的であったり,ほとんど効果がなかったりします。これは,鳥獣が普段とは異なる環境(=光,音,においなど)に対して一時的に警戒したために来なくなっただけです。
 継続的に侵入を阻止するためには,侵入防止柵の設置が不可欠なのです。
センサーライトを気にしないシカ
センサーライトを全く気にせずに採餌するシカ

※写真のセンサーライトは,玄関照明用等として販売しているものを使用しました。
ピンクテープを気にせずに頭を突っ込むシカ
ピンクテープも警戒しなくなれば侵入される

「飛び越え」よりも「くぐり抜け」に注意!

 柵を設置した時に,高さばかりを気にしていませんか?
 確かに,シカやイノシシは潜在的には高い跳躍力を持っています。しかし,高く跳ぶと言うことは,着地の際にそれだけ怪我を負うリスクを抱えることになります。鳥獣にとって足を怪我することは,餌を食べられなくなったり敵に襲われるなどのリスクが高まり,“死”に直結します。したがって,「飛び越える」というのは,自らの身に危険が迫った時など,彼らにとってはあくまで最終手段なのです。
 柵を侵入しようとする鳥獣の基本は,すきあらば「地際をくぐり抜ける」ことです。そして,一度設置した柵は「定期的にメンテナンスを行うこと」が,効果を持続させていく秘訣です。鳥獣は農地へ侵入しようとして毎日巡回をしているかもしれません。彼らはちょっとした隙間を決して見逃してくれないのです。
WM柵を押し上げて侵入した跡
イノシシがワイヤーメッシュの下を押し上げて侵入した跡
WM下から入ろうとするシカ
隙間が20cmしかないワイヤーメッシュの下から無理矢理入ろうとするシカ

※高さは110cmであり,能力的には簡単に飛び越えることができる高さですが,くぐり抜けを試みます。

切れ目なく囲む

 道路や河川に接している農地では,その面だけ柵を張ってないといういことはありませんか?
 イノシシやシカは「舗装した路面は歩けない」「河川からは入ってこない」「擁壁は登らない」と思っていませんか?
 残念ながら,イノシシやシカは,舗装した路面は歩くことができますし,河川からも入ってきます。擁壁も少しでも蹄が掛かるへこみなどがあれば簡単に登ることができます。「ここからは入ってこないだろう」と思わずに,全面を囲うようにしましょう。
 囲もうとしている範囲に道路や河川が横断しているためにどうしても全面を囲うことができない場合は,囲う範囲を分けてブロック単位で囲うようにするとよいでしょう。

柵と作物の間をあける

 柵と作物が近いと,作物が柵の外に飛び出して食べられたり,また柵の外から頭や手足を入れて作物を食べられたりすることがあります。そうすると,柵の中においしい作物があることを学習し,何とかして柵の中に入ろうという気持ちを助長してしまうかもしれません。
 柵は,作物からしっかりと離して設置しましょう。離すことができない場合は,柵近くに作物を植えないようにしましょう。
WMからはみ出しているかんきつ
ワイヤーメッシュの上からはみ出しているかんきつ類

柵の外側と内側に歩けるスペースを

 せっかくきれいに設置した柵。そのすぐ外側は草ぼうぼうだったりしませんか?
 柵の内側だけではなく,外側にも人が歩けるくらいのスペースを確保することが重要です。メンテナンスのためのスペースであると同時に,オープンスペースがあることで鳥獣が警戒し,柵に接近しにくくなるというメリットもあります。

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