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第8回広島県高校教育改革推進協議会概要

第8回 広島県高校教育改革推進協議会概要について

日時

平成13年10月24日(水曜日)14時30分~16時00分

場所

県庁北館 第1会議室

出席者

安藤,石橋,東風上,椎木,鈴木,富永,二宮,藤田,松木,森,山極,渡邉
(欠席者 佐々木,名越,吉田)

次第

  • 開会
    協議答申について
     会長挨拶
     教育長謝辞
  • 閉会

議事録

 ○ 現在の高等学校はその内容が複雑であり,わかりにくいものとなっている。このような状況において,「生徒・保護者は自らの選択の結果について責任を負わなければならない」と答申するのは,生徒・保護者が学校と責任を共有しながら,学校づくりを推進するというニュアンスにはならないのではないか。

 ○ 多様な教育ニーズに応えるために,従来にはないより質的に充実した学校情報へのアクセスを担保すべきだとも答申(案)では提言されている。

 ○ 多様な選択の機会が与えられることによって,選ぶ側も自己決定,自己選択,自己責任ができる。これまでのように規制に縛られた中では,自己責任も自己選択もありえなかった。保護者は,自分達で選んだ以上は,やはり学校に協力して責任を共有し,積極的に学校づくりに参加すべきであると理解して欲しい。

 ○ 主体的に選択したことの責任を求めることは子どもの教育にとってこれからは大切であるという意見があり,これを大前提として入試の在り方も議論してきた。ただ,「結果」とか「責任」という言葉だけを取り出すと,「自分で選んで勝手に入ってきたんだから自分の責任だろう」となる。しかし,この言葉にそういう解釈は適用されないと私達は願う。

 ○ 全体を読んで理解して欲しい。「各学校は保護者,地域,生徒の期待に応えるような教育をしなければいけない。各学校はスクールポリシー“school policy”,ミッションステートメント“mission statement”を明確に打ち出して,情報を公開し透明性を拡大しなければならない。保護者や地域住民に学校の選択肢を提供する。その上にたって,「選ばれる学校と選んだ人がお互いに責任をもちながら,いい学校にしていきましょう」ということである。

 ○ 「個性と選択と責任にもとづく学校づくり」とは,今回の答申のキーワードになる言葉である。学校の現場にいる者として,これは,一義的には学校の責務であるが,生徒・保護者の皆さんにも,義務教育ではない世界で,それなりの決意と覚悟をもって学校で頑張って欲しいという願いがこめられていると思う。

 ○ この答申は,諮問の中身にしっかり応えていると思う。「結果」,「責任」の問題については,義務教育改革には絶対になかった言葉である。これは,「もう小学校,中学校とは違うんだよと,高等学校なんだよ」ということである。

 ○ 「普通科におけるコースの通学区域を全県一円」について,コースの設置主体あるいはコースの性格及び今後の方向性等について,もっと議論を深める必要があるのではないか。

 ○ 最初に「通学区域の見直し」や「特色ある学校づくりの推進」を議論したときに,コースの内容については協議会で資料に基づいて議論したと思う。

 ○ 学校の自助努力でコースが導入できるのであれば,教育委員会は,特色づくりを推進しようとする校長の意を最大限に汲み上げるようなシステムにして欲しい。このことは,校長の資質向上,学校の活性化という面でも是非,お願いしたい。

 ○ 高校のコース制というのはわかりづらい。教育委員会は,全県にこれを周知徹底し,これからもそのアカウンタビリティを発揮すべきである。

 ○ 学力検査実施教科数を弾力的に運用できるようになれば,結果として教科数が減る可能性があり,中学校としては困る。学力検査実施教科数が学校の特色に対応したものであればよいが,一般的には,教科数が少なければ入試対策して偏った教科の学習を当然やってくると思うので,何らかの歯止めが文言として欲しい。

 ○ すべての学校が,教科数を減じるということではない。特色ある学校という枠の中で,いくらかの学校はそうされることがあるかもしれないが,一律的ということではない。学校・学科の特色を反映させるということが前提である。

 ○ 各学校で努力して特色を出すことは大いに賛成であるが,高校入試で「なぜこういう教科数になるのか」ということが現実に起こりうる。答申の趣旨がきちっと運用されるならば賛成だが,運用する高校側が,少ない教科数を選んでしまうと,選ぶ方は教科数が少ない方に魅力を感じてしまう。安易な方向に流れることを危惧するので,これは非常に慎重にならなければならない言葉だと思う。

 ○ アドミッションポリシーが公開され,それに基づいた理論的な説明がないにもかかわらず,「3教科でいいです」という議論は成り立たない。学校は責任をもって,「教科数をなぜこのようにするのか」「これでなければいけないのはなぜか」ということを明確かつ詳細に出さなければいけない。これが入口に反映されなければ,学校の特色づくりにならないし,生徒の期待にも応えられない。協議会においては,学校・学科によっては,教科数さえも弾力的に運用するということを認めて,特色づくりを推進しようという考え方で議論してきたと思う。

 ○ 学力検査実施教科数は弾力的に運用してもいいのではないか。これからの小学校からの評価は絶対評価になり,今までの履修主義という考え方は,修得主義に転換していく。学力検査実施教科数の多い少ないことが,問題ではなく,日頃の授業の修得,その積み重ねこそがむしろ大事になる。場合によっては高等学校入学試験もなくてもいいのではないか。現に,中高一貫教育校はしてない。そういうことを念頭に議論しないと,いつまでたっても入試のための勉強になってしまう。

 ○ 無批判的に学力検査実施教科数を減らしてもいいということではないと思う。そうならないように,「学力検査実施教科については,その弾力的な運用及び学校独自での問題作成を可能とする」と修正してはどうか。

 ○ これまでの議論における修正も前提として,この答申(案)を,諮問に対して答申としてもよいか。

 【異議なし】

 ○ これで答申がまとまったが,ついては今後の改革の実施に向けてのご意見を伺いたい。

 ○ 学区制の問題ですが,現行の調整率の5%を大幅に見直して欲しい。これまで15%とか20%とか具体的な数字も出ていたが,もっと増やして欲しい。これは全県一円の趣旨ができるだけ早く徹底するような方向でもあると考える。

 ○ 非常にいい答申ができて大変ありがたいと思う。これから,広島県の高校の生徒はどういう方向に向いているのか,どういう生徒をつくっていくのかを県民にしっかりみせないといけない。その中で,答申の中には「個性」という言葉は頻出するが,子ども達が社会の一員としてどういう役割を果たさなければならないか,という社会を構成する一員としての位置付けが,具体的な言葉として見えてこなかったと思う。

 ○ 普通科のコースについて,その設置過程に非常に曖昧な部分を残している。コースの設置に際しては,県民の教育にとって何が必要なのか等の審議過程を表に出して欲しい。

 ○ 改革は,過疎地域のことも是非,視野に入れて実施して欲しい。また,改革をダイナミックにやって欲しい。少々のことでは揺るがず,また,実施したからには,当分の間,変えない,こういう意気込みで改革に取り組んで欲しい。中学校の進路指導にとっても大きな課題であるが,生徒・保護者が混乱しないよう配慮して取り組んで欲しい。

 ○ 「内部・外部の評価の対象としてその結果を学校の教育活動に活かしていかなければいけない」と謳われているが,具体的な機関を設置して,学校だけの自己満足に終始しないようお願いしたい。また,実業界での経験から言うと,最近の若年者の勤労意欲には,理解しがたい現状がある。簡単に離職してしまうなど,自己のキャリアを磨いていこうという職業観が欠如しており,危機感を感じている。この点を今後は検討して欲しい。

 ○ 全体的に,特色ある学校づくりということが非常に印象に残った。生徒が本当に自分の個性や特性を考えて,自分にあった学校を選択できるような,そういう多様な学校ができることを強く期待する。「点数がこれくらいなんだからこれくらいで我慢しろ」とか,「君は,こういう能力が自分にはあると思っているかもしれないが,実際は,やはりこの学校を選択するのは無理ではないか」という進路指導により,生徒が不本意な学校選択を強いられないようにして欲しい。本当に自分で選んで,自分で責任がもてるような学校選択を可能にして欲しい。高校側も,本当の情報を生徒や保護者に伝えて欲しい。その中で,生徒・保護者も学校の運営に関わりながら,よりよい学校を造っていく,そういう関係を築ける仕組みにしてもらいたいと思う。

 ○ 本当に真摯に議論して,骨太のかなりしっかりした思想のある答申になったと思うので,県教委においては,是非,一歩一歩確実に改革に取り組んでもらいたい。そうすれば,答申にあるように「独創性にあふれ創造力豊かな人材」を本県の教育が輩出していけるのではないかと思う。このことを重ねてお願いしたい。