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建築物等の解体等工事時における石綿(アスベスト)の事前調査の徹底について

印刷用ページを表示する掲載日2021年8月2日

 石綿(アスベスト)の飛散による健康被害(中皮腫等)については,社会的に強い関心が寄せられており,建築物等の解体等工事(以下「解体等工事」という。)にあたっては,大気汚染防止法の規定により事前に吹付け石綿,石綿を含有する断熱材,同保温材及び同耐火被覆材の有無を調査すること(以下「石綿の事前調査」という。)等が義務付けられ,また,石綿含有仕上塗材(吹付け工法)が解体等工事時に届出対象となることが明確化されるなど,石綿の飛散防止対策が強化されています。

 一方で,石綿の事前調査が不徹底なことにより不適切な解体等工事が行われる事例が報告されています

 石綿が見落とされ解体等工事が行われると石綿が飛散するおそれがあり,工事関係者や周辺住民への健康被害が懸念されます。

目次

  1. 解体等工事の発注者(施主)の方へ
  2. 解体等工事の受注者(元請業者)又は自主施工者の方へ
  3. 石綿(アスベスト)の有無の事前調査の注意事項
  4. 石綿(アスベスト)の有無の事前調査の不徹底事案等
  5. (参考)環境省通知
  6. 大気汚染防止法(石綿(アスベスト))の問合せ先

1.解体等工事の発注者(施主)の方へ

 大気汚染防止法では,発注者(施主)に対して次の義務があります。

(1)解体等工事における発注者は受注者(元請け業者)が行う石綿の事前調査に協力(費用負担,設計図書等の提供)すること。
(2)届出対象工事(※)の場合は県などに届出すること。
(3)施工者に対して施工方法,工期,工事費等について作業基準の遵守を妨げる条件を付さないよう配慮すること。

(※)吹付け石綿,石綿を含有する断熱材,同保温材及び同耐火被覆材が使用されている建築物等の解体,改造,補修等作業

 石綿の事前調査が不徹底なことにより,法に定められている届出対象工事が未届けとなった場合は,届出義務者である発注者が法の罰則の対象となります。

周辺住民等との間の円滑なリスクコミュニケーション

 周辺住民の不安を解消し,より安全な解体等工事を進めるため,周辺住民等との間の円滑なリスクコミュニケーションが求められています。説明会等の実施に当たっては,次のガイドラインが参考になりますので,活用してください。

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2.解体等工事の受注者(元請業者)又は自主施工者の方へ

 大気汚染防止法では,解体等工事の受注者又は自主施工者に対して次の義務があります。

(1)石綿の事前調査を実施すること。
(2)事前調査結果を解体等工事の発注者(施主)に対して書面で説明すること。
(3)事前調査結果を解体等工事現場に掲示すること。
(4)特定工事(※)に該当する場合は,作業基準を遵守すること。

(※)吹付け石綿その他石綿を含有する建築材料が使用されている建築物等の解体,改造,補修等の作業を伴う工事

 石綿の事前調査が不徹底なことにより,届出対象工事において,届出に係る作業基準を遵守していないと認める場合は,解体等工事の受注者(元請け業者)が法の作業基準適合命令等の対象となるほか,届出対象工事が未届けとなった場合は,届出義務者である発注者(施主)が罰則の対象となります。

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3.石綿(アスベスト)の有無の事前調査の注意事項

 解体等工事の受注者(元請業者)又は自主施工者が行う石綿の事前調査は,原則として書面調査及び現地での目視調査を行い,対象建材の石綿含有が不明な場合は分析調査を行います。次の事項に注意し,「建築物等の解体等工事に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏洩えい防止対策徹底マニュアル(令和3年3月厚生労働省・環境省)」を参考に適切に実施してください。

「建築物等の解体等工事に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏洩えい防止対策徹底マニュアル(令和3年3月厚生労働省・環境省)」(環境省HP)

(1) 事前調査は,石綿に関する一定の知見を有し,的確な判断ができる者(建築物石綿含有建材調査者,一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者)が行うこと。

(2) 過去に実施した石綿に係る調査の結果を活用する場合には,調査の時期や方法,対象とした石綿の種類,調査を行った範囲等についても,発注者等から情報提供を受け確認すること。

(3) 過去の石綿の使用調査結果により使用がないとされている場合であっても,除去,分析を実施していない場所や天井ボード裏などの未確認の箇所を把握し,解体等工事の前には再度調査を行うこと。

(4) 設計図書等が存在する場合は必ず確認するとともに,設計図書等のみで判断せず,現地調査を行い,設計図書等との整合性を確認すること。

(5) 調査に当たっては,網羅的に,かつ,内装等の内側など外側からの目視のみでは確認できない部分にも特定建築材料がある場合があることに注意すること。

(6) 目視,設計図書等により調査する方法で特定建築材料の使用の有無が明らかにならなかった場合には,特定建築材料の有無を分析により調査すること。

  • 石綿が含有しているとみなして法令等に定める必要な対策を行う場合には,分析調査を行う必要はない。

(7) 分析調査に当たっては試料採取を適切に行うこと。特に,建築物等に補修又は増改築がなされている場合や建材等の吹付けの色が一部異なるなど複数回の吹付けが疑われるときは,場所,時期ごとに試料を採取すること。

(8) 工事関係者間での認識の齟齬がないよう,調査を行った範囲や内容の情報共有を図るとともに,解体等工事の作業途中で特定建築材料を見つけたときの対応を事前に取り決め,作業従事者に周知すること。

★ 解体等工事中に新たな特定建築材料を発見した場合には,直ちに工事を一時停止し,飛散防止措置を講じて速やかに発注者及び大気汚染防止法等の管轄行政に連絡してください。
(石綿の事前調査が不十分である可能性があります。) 

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4.石綿(アスベスト)の有無の事前調査の不徹底事案等

 平成29年11月20日付け環水大大発1711201号「事前調査の不徹底により石綿含有建材が把握されずに建築物等の解体等工事が開始された事案等について」(環境省水・大気環境局大気環境課長通知)から不適切な事例等を抜粋しました。

【不適切な事例等】 (PDFファイル)(174KB)

不適切な事例等

項目

不適切な事例・懸念事項等

環境省の指摘事項・解説等

発注者による石綿使用状況等の受注者に対する情報提供 発注者が過去に行った調査により石綿含有の事実を把握していたにもかかわらず,受注者に対し分析結果1を渡さなかったこと等により,受注者が特定建築材料の存在を認識せずに工事を開始した。 事前調査においては,発注者が有する設計図書や過去の改修の記録,石綿に係る調査の記録等が特定建築材料の見落としを防ぐ上で重要となる。
発注者から受注者に対し,設計図書や過去の改修の記録,資産除去債務の計上のための石綿使用有無の調査結果などの過去に実施した石綿に係る調査の結果が適切に提供される必要がある。
平成18 年9月5日以前の調査においては,石綿1重量%を超えない建築材料について「石綿なし」とされている可能性がある。 特定建築材料における石綿の含有の考え方については,平成18 年9月5日付け環水大大発第060905003 号において,「建築材料の製造若しくは現場施工における建築材料の調製に際して石綿を意図的に含有させたもの又は石綿の質量が当該建築材料の質量の0.1%を超えるもの」としている。
平成20年2月15日以前に実施した調査においては,クリソタイル,アモサイト及びクロシドライト以外の石綿(アンソフィライト,トレモライト及びアクチノライト)の分析が行われていないおそれがある。 平成20年2月15日付け環境省水・大気環境局大気環境課長通知(環水大大発第080215002号)において建築材料にクリソタイル,アモサイト及びクロシドライト以外の石綿(アンソフィライト,トレモライト及びアクチノライト)が使用されている可能性がある旨の注意喚起がなされている。
発注者が「レベル1建材なし」と説明したものを,受注者が「石綿なし」と誤認した例や,過去に分析を行った場所以外の場所で特定建築材料が使用されていた。 過去に実施した石綿に係る調査の結果を活用する場合には,調査の時期や方法,対象としたアスベストの種類,調査を行った範囲等についても,併せて情報提供が行われる必要がある。
法令に関する知識 大気汚染防止法による届出や事前調査の義務の不知のほか,内装工事や小規模の工事について届出不要と思い込むなど,発注者や受注者の法規制に関する知識不足があった。 大気汚染防止法及び政省令等の知識の普及により,これらの事案の発生を防ぐことができた可能性もある。
発注者から口頭で「石綿なし」と説明を受けたため事前調査を行わなかった。
受注者が工期短縮のため,常態的かつ意図的に事前調査を怠っていた。
事前調査の実施者及び実施方法 煙突に石綿が使用されている可能性があることを認識していないなど,受注者に石綿含有建材に関する基本的知識が不足している。

事前調査については,石綿に関する一定の知見を有し,的確な判断ができる者(※)により行われること。

※石綿に関する一定の知見を有し,的確な判断ができる者としては,「建築物石綿含有建材調査者講習登録規程」(平成25年国土交通省告示第748 号)により国土交通省に登録された機関が行う講習を修了した建築物石綿含有建材調査者,石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)第48条の2第1項から第3項に定める石綿作業主任者技能講習の修了者であって石綿等の除去等の作業の経験を有する者,一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者が考えられる。

設計図書等の確認を十分に行わなかったため石綿含有建材を見落とした。 設計図書等の確認を十分に行うことはもちろん,確認を行った場合であっても,必ず目視調査を実施し,必要に応じ分析調査を行うことで適切な判断を行う必要がある。
設計図書等の確認は行ったものの,設計図書等と異なる建築材料が使用されていたため石綿含有建材を見落とした。
設計図書の情報を無視して目視調査のみで判断したため石綿含有建材を見落とした。
目視調査の際,建築物の一部のみを調査したが,その他の箇所から石綿含有建材が発見された。
外側からの目視では確認できない箇所に石綿含有建材が存在した。
工事関係者間の情報共有等 事前調査結果が判明する前に下請業者が作業を開始してしまった。 石綿含有建材の存在やその取扱いに関する情報が工事関係者間で十分に共有されること。
事前調査で把握した石綿含有建材の情報が下請業者に伝えられなかった。
現場作業員への周知が不足していた。
工事開始前の発注者と元請業者の打合せが不十分であったため,元請業者が工事指図書の内容変更を認識せずに工事を開始した。
事案発生時の連絡 施工業者による把握から行政への報告までに1か月程度かかり,その間,適切な石綿飛散防止措置がなされていなかった。 解体等工事中に新たな特定建築材料を発見した場合には,速やかに行政に連絡すること。

【参考】環境省の全国調査結果(令和元年6月12日通知の別紙1) (PDFファイル)(669KB)

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5.(参考)環境省通知

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6.大気汚染防止法(石綿(アスベスト))の問合せ先

県厚生環境事務所・支所,大気汚染防止法の政令市,同法の権限移譲市町

管轄市町

機関名

電話番号

住所

大竹市,廿日市市 広島県西部厚生環境事務所環境管理課 0829-32-1181(代表) 廿日市市桜尾2-2-68
安芸高田市,府中町,海田町,熊野町,坂町,安芸太田町,北広島町

広島県西部厚生環境事務所広島支所衛生環境課

082-228-2111(代表)

広島市中区基町10-52

江田島市

広島県西部厚生環境事務所呉支所衛生環境課

0823-22-5400(代表) 呉市西中央1-3-25
竹原市,大崎上島町 広島県西部東厚生環境事務所環境管理課 082-422-6911(代表) 東広島市西条昭和町13-10

三原市,尾道市,世羅町

広島県東部厚生環境事務所環境管理課 0848-25-2011(代表) 尾道市古浜町26-12

府中市,神石高原町

広島県東部厚生環境事務所福山支所 084-921-1311(代表) 福山市三吉町1-1-1

(上記市町に係る法の一般的事項,当ホームページに関すること)

広島県環境県民局環境保全課化学物質対策グループ 082-513-2920(直通) 広島市中区基町10-52
広島市 広島市環境保全課 082-504-2187(直通) 広島市中区国泰寺町1-6-34
呉市 呉市環境管理課 0823-25-3551(直通) 呉市青山町5-3
福山市 福山市環境保全課 084-928-1072(直通) 福山市東桜町3-5
三次市 三次市環境政策課 0824-62-6136(直通) 三次市十日市中2-8-1
庄原市 庄原市環境政策課 0824-72-1398(直通) 庄原市是松町20-25
東広島市 東広島市環境対策課 082-420-0928(直通) 東広島市西条栄町8-29

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