原爆ドームをバックに松原さん

ひろしまブランド
「元気な」魅力

ENERGY OF PEACE ひろしま

「元気・美味しい・暮らしやすい」そんな広島をみんなで創る取り組み「ひろしまブランド」。
今号のテーマは「元気」。広島の元気な魅力とは…?特定非営利活動法人ひろしまNPOセンター専務理事・事務局長の松原 裕樹さんにお話を伺いました。

「元気な」ひろしま INTERVIEW

橋の上にいる松原さん

松原 裕樹 さん (特定非営利活動法人ひろしまNPOセンター 専務理事・事務局長)

1982年広島生まれ。NPOや企業、渡米経験を経て、環境、教育、地域づくり、観光、防災などに関する事業の企画、運営、コーディネートを行っている。2023年にはG7市民社会コアリション2023の共同代表やCivil7の運営委員を務めた。

平和な世界を作るため市民の声を届けていく

元安川と原爆ドーム

昨年行われたG7広島サミットに合わせ、市民社会から政策提言する国際会議『C7サミット』を東京で、また地元の人も参加しやすい『みんなの市民サミット2023』を広島市で開催しました。

国内外からの参加者と対話する中で生まれた「平和とは核兵器廃絶や気候変動、格差などあらゆる社会課題が全て解決された状態」という共通認識のもと、広島で市民活動に取り組む人々をサポートしながら平和な世界の実現を目指していきます。

G7と対話する市民組織「C7」を日本で初めて運営

インタビューを受ける松原さん

特定非営利活動法人ひろしまNPOセンターは、広島県内のNPO法人をはじめとする地域団体や市民活動をサポートし、企業、大学、行政などと連携して、地域課題に取り組む団体です。私は2012年に入職し、2017年に事務局長に就任しました。

G7サミットの開催地が広島市に決まりそうだというタイミングで、国際的に活動するNGOの代表から「G7サミットに市民社会の声を届ける『C7』という国際プロジェクトを一緒にやらないか」と連絡を受けました。

C7とは、世界中の市民社会組織がサミット開催国に集まって政府に政策提言をする仕組みです。Cは「Civil Society (市民社会)」の頭文字。毎年、議長国の市民社会が中心となって取り組んでおり、日本が主導するのは今回が初めてでした。

2つのサミットを通して政策提言

C7サミットの様子

2022年5月、まずは日本全国のNPOやNGOに呼びかけ、C7の基盤となる組織「G7市民社会コアリション2023」を発足。122の市民団体からなる同組織の共同代表に就任すると同時に、15カ国18人で構成されたC7の運営委員も務めました。

G7サミットに向け、C7では「核兵器廃絶」「気候・環境正義」「公正な経済への移行」「国際保健」「人道支援と紛争」「しなやかで開かれた社会」の6つのテーマに沿った政策提言を市民目線でまとめていきました。その中でも「核兵器廃絶」は、開催地が広島であることも踏まえ、C7としては初めて盛り込んだテーマです。

G7サミット首脳陣集合

2023年4月に首相官邸を訪問し、72カ国700人以上の参加者と議論しながら作成した「C7コミュニケ2023:政策提言書」を岸田文雄首相に直接渡しました。そして同月13・14日に東京で『C7サミット』を開催し、提言内容についてさらに議論を深めていきました。

また、16・17日には広島市内で『みんなの市民サミット2023』を開催しました。参加市民は延べ700人。広島・日本を含め10カ国以上から集まった市民同士で、子育てや防災などC7サミットよりも多様で身近な17のテーマについて話し合いました。

立場や分野を越えて学び合った後は「核のない、誰ひとり取り残さない、持続可能な社会を私たちの手で創る」という内容の共同宣言をまとめました。核廃絶に関する広島からの声は、C7政策提言書の後押しに繋がりました。

世界の状況を知り、広島の想いを世界に伝える

みんなの市民サミット

みんなの市民サミットの実行委員会は、広島だけでなく全国の市民団体に声をかけて結成しました。さまざまな社会課題に対して他県の団体はどう取り組んでいるか、世界の動きはどうなのかを学び、視野を広げる場にしたかったからです。

核兵器廃絶について対話する中で「核問題をめぐって政府と対立し、祖国から亡命せざるを得なかった」「核実験が行われたせいで子育てもままならない」といった参加者の声を聞き、国や地域によって抱える問題や苦しみが異なることを私自身も再認識しました。

C7サミット、みんなの市民サミットともに日本初の取り組みで苦労もありましたが、広島の人々が世界各地の状況を知り、また広島の想いを世界に知ってもらうきっかけになったと思います。

広島人の"熱"を持ち寄り、声を上げやすいまちに

SDGサミット気候マーチの様子

広島県内で市民活動を支援していて感じるのは、「広島には何事に対しても熱くなれる人が多い」ということ。みんなの市民サミットを開催する際も、地元の方々から熱いご支援をいただきました。

私はSDGs達成に向けた多様な活動に力を注いでおり、昨年9月にはニューヨークで開催された『SDGサミット』にも参加しました。そこで行われていた気候マーチを見て衝撃を受けたんです。

子育て世代から年配の方まで7万人もの市民が化石燃料の撤廃などを訴えて行進している光景は、日本では見たことがありません。広島でも、老若男女さまざまな立場の人が社会課題の解決に向けて“熱”を持ち寄れる場を作っていきたいと思いました。

今後は、広島に暮らす若い世代がより声を上げやすいようサポートしていきたいですね。若い人たちが「こんなことがやりたい!」「困っているから助けて!」と気軽に言える社会を作っていくことが、まちの元気を生み出す第一歩ではないでしょうか。

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