第1章 4.水需給の現状と見通し
人口の現状と見通し
本県の人口は平成7年(1995年)現在で約288万人で、全国47都道府県の12位に位置しており、昭和60年(1985年)からの10年間では1.02倍と微増となっています。
一方、各機関で行われている将来人口の予測によれば、本県のみならず日本の多くの地域で、人口の増加が鈍化するものと予測されています。
本県においても人口増加のピークを平成12~17年の間に迎え、以後は微減に転じて平成22年には約285万人となり、平成7年から見て1.2%程度減少するものと予測されます。
人口の推移
※平成7年は国勢調査より。平成10年は住民基本台帳より。
※人口の予測は「各市町村の将来人口予測値」平成9年5月(総務庁)より。
工業出荷額の現状と見通し
本県の工業出荷額(従業員数4人以上の事業所)は、バブル期に急成長し平成3年をピークに約10兆円に達しました。しかし、バブル崩壊後は、右肩下がりで推移しています。
業種別に見ると、輸送用機械器具製造業や一般機械器具製造業などの加工組立型産業が5割近くを占め、鉄鋼業や化学工業などの基礎資材型産業、食料品製造業など生活関連型産業がほぼ同じぐらいの割合を占めています。しかし、IT革命に代表されるように、情報技術や通信関連製品などの新規産業が伸び、産業構造が変化してきています。
また、多用水型産業※注1の工業出荷額を見ると、紙・パルプ業、化学工業および鉄鋼業はバブル期に急成長し、平成2年から平成3年頃にピークを迎えました。その後、紙・パルプ業は、増減を繰り返しながらも昭和60年頃から見ると微増傾向にあります。また、化学工業および鉄鋼業は、平成5年まで急激に減少し、その後も昭和60年頃から見ても減少傾向が続いています。
本県の平成7年(1995年)の工業出荷額は約7.7兆円であり、このうち、多用水型といわれる業種(紙・パルプ、化学、鉄鋼)の出荷額は、昭和60年(1985年)に比較して約6%減少しています。
一方、「ひろしま・新たなる躍進へのプログラム(広島県)」のフォローアップ(中間点検)結果(平成12年3月)によると、本県の経済成長率は我が国の経済成長率よりも低めではあるものの、IT産業等の新分野は、今後も成長すると想定され、平成22年までの経済成長率は年平均で約0.8%となっています。
この結果、本県の工業出荷額は平成22年には約8.7兆円になるものと予測されます。
※注1:「多用水型産業」…紙・パルプ、化学、鉄鋼業は、工業用水における補給水量の8割以上を占めています。
工業出荷額の見通し
※平成7,10年は工業統計表の数値を使用しました。
※多用水型(紙・パルプ、化学、鉄鋼)業種とその他の業種に分けて予測しました。
※多用水型の業種はトレンド、フレームとの差はその他の業種でコントロールしました。
水需給バランスの現状
各地域の現在(平成10年)の水需要量は、日当たり広島地域では1,497,000立方メートル、備後地域では712,000立方メートル、備北地域では36,000立方メートルとなっています。
また、供給量は各地域の需要量に対して、概ね満足しています。
しかし、広島地域では現時点で概ね10年に1回程度生じる渇水が発生した場合は、供給できる量が減り水不足になることも予測されます。
現在(平成10年時点)の水需給(生活用水+工業用水)
項目 | 広島地域 | 備後地域 | 備北地域 |
---|---|---|---|
平成10年の需要量 | 1,497千m3 | 712千m3 | 36千m3 |
1/10渇水時供給量※注2 |
1,451千m3 | 739千m3 | 39千m3 |
平常時供給量※注3 | 1,771千m3 | 820千m3 | 42千m3 |
水需給バランスの見通し
平成22年(2010年)を目標とし、人口増加の鈍化、経済の伸び悩みおよび産業構造の変化等の社会動向を踏まえた将来の水需要量と、平成22年までに完成予定の水資源開発施設による新規開発量を含めた供給量を考慮すると、今後の水需給バランスは次のとおりと予測されます。
広島地域では、温井ダムの完成(平成13年度予定)により、10年に1回程度生じる渇水時には概ね供給が可能となります。
備後地域では、八田原ダム(平成9年度完成)及び福富ダムの完成(平成20年度予定)により、10年に1回程度生じる渇水時には概ね供給が可能となります。
備北地域では、灰塚ダムの完成(平成18年度予定)により、10年に1回程度生じる渇水には概ね供給が可能となります。
平成22年時点の水需給(生活用水+工業用水)
項目 | 広島地域 | 備後地域 | 備北地域 |
---|---|---|---|
平成22年の推定需要量 | 1,492千m3 | 692千m3 | 41千m3 |
1/10渇水時供給量※注2 | 1,861千m3 | 754千m3 | 52千m3 |
平常時供給量※注3 | 2,041千m3 | 838千m3 | 52千m3 |
※注2:計画時の供給量を、近年の少雨傾向を考慮して再評価した供給量(通常、水資源開発は概ね10年に1回程度生じる渇水時に供給できることを基準として計画しています。)
※注3:計画時の供給量(水利権量または計画取水量。給水する過程で漏水等によるロスを考慮し、水利権量および計画取水量の90%としています。)