意見書(中山間地域等直接支払制度の継続実施と施策の充実を求める意見書)
発議第5号
意見書
中山間地域等直接支払制度の継続実施と施策の充実を求める意見書
広島県においては、中山間地域が県土の4分の3を超えており、これらの地域では、土地条件に恵まれず農業生産条件が不利な状況にあることから、営農意欲の減退に伴う耕作放棄地が増加し、農用地の持つ多面的機能の低下を招くとともに、集落機能の著しい低下が懸念されている。こうした中、本県においても平成12年度から、耕作放棄地の原因となる農業生産条件の不利性を直接補正する直接支払いを実施し、耕作放棄地の発生防止はもとより、農業担い手組織との連携及び作業委託、機械の共同購入・共同利用の進展を内容とする持続的な農業生産に向けての取り組みの推進など、地域の活性化に極めて大きな効果があったところである。また、WTO農業交渉が我が国にとって不利な状況で行われており、交渉結果によっては我が国の食料安全保障や地域の農業への影響が懸念される中で、この制度は、保護削減対象にならない「緑の政策」として認められており、EUなどではむしろ制度の充実を図る方向にある。現在、政府においては、平成17年度をスタートとする新たな「食料・農業・農村基本計画」の策定に向けて、現行基本計画の検証・見直しとともに、中山間地域等直接支払制度の検証を進めている。よって、政府におかれては、本県中山間地域の実情とこれまでの実績を考慮し、地域全体の環境や農地・水等の保全とともに、中山間地域における集落を基本とした農業・農村対策を一層充実させ、その集落の再生・維持に向けた取り組みができるようにするため、次の措置を講じられるよう強く要望する。
- 中山間地域振興の重要な政策として、平成17年度以降も制度を継続実施すること。
- 地域全体を対象とした集落の維持・再生や持続的な農業生産活動を促すなど、地域の特性に応じた取り組みができるよう制度の充実・強化を図るとともに、水源のかん養など農業の有する多面的な機能が適切かつ十分発揮できるよう、農業の生産条件や農村の生活環境の整備など必要な施策を講じること。
- 本制度の趣旨を生かし、地方が主体的に実施できるよう必要な財源を確保すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年6月22日