6月定例県議会の開会に当たり、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして、本県を取り巻く情勢及び本年度重要施策の取組状況について、御報告いたします。
はじめに、本県を取り巻く情勢についての認識を申し述べます。
本県経済につきましては、引き続き電気機械製造業での生産が増加する中、造船業の持ち直しがみられるほか、本年4月発表の日銀短観によりますと、引き続き設備投資意欲は旺盛であるなど、県内景気は緩やかな回復基調にあることから、こうした流れを確実に伸ばし、持続的な成長へとつなげていくことが必要でございます。
一方、中東情勢及び各国の通商政策や外交関係の変化が、エネルギー・原材料価格や物価の高騰、あるいは石油由来原料の供給不足などに影響を与えており、先行きの不確実性は依然として高いほか、実質賃金も伸び悩んでいる状況であり、県民生活や事業活動へ与える影響を注視し、必要な対応につなげていく必要があると考えております。
まず、中東情勢への対応についてでございます。
県内事業者の多くが中東情勢による影響を受けており、とりわけ、中小企業については厳しい状況にあると認識しております。
このため、3月に、原油価格高騰などにより影響を受ける県内中小企業者等の資金繰り及び経営に関する相談窓口を設置し、相談に応じるとともに、4月には「中東情勢の変化に伴う県内経済等の影響に関する庁内連絡会議」を設置し、県内経済や県民生活への影響に関する情報収集と共有、及び対策の検討を行っております。
庁内連絡会議等で収集した情報につきましては、速やかに国に提供し、流通の目詰まり解消等の対応を依頼するなど、緊密に連携を図っております。
また、今月3日には、エネルギーや石油関連製品の安定供給、中小企業者等への経営支援等に関して、国への緊急要望を実施いたしました。
県の対策としましては、まず、県制度融資において、中東情勢の影響を受ける中小企業者等の資金繰りを支援するための新たな要件を設け、今月2日から取扱いを開始したところでございます。
また、今回、価格高騰等による影響を緩和するため、県内の交通事業者や医療機関、県産材を利用する住宅建築事業者等に対する支援を実施するほか、家庭業務用LPガスや特別高圧電力を使用されている一般家庭及び中小企業等に対して、料金高騰の負担を軽減するための支援を実施いたします。
あわせて、将来を見据え、構造的な課題に取り組む事業者等を支援するため、県内中小企業等に対して、省エネ設備等の導入や賃上げに向けた環境整備への支援を行うほか、農業経営体に対して、経営発展に必要な施設等の導入への支援を実施することとし、これらの取組に必要な経費を6月補正予算に計上しております。
今後とも、中東情勢の影響等を注視しながら、時機を逃さず機動的に対応してまいります。
続いて、令和8年度の重要施策の取組状況について御説明いたします。
はじめに、人を惹きつける地域づくりについて でございます。
まず、県内経済の活性化につきましては、若者にとって魅力的な働く場のひとつであるデジタル系企業等について、平成28年度以降、県の関与により240社を超える企業の拠点が設置され、1,450人以上の雇用創出につながっており、今年度も一層の誘致に取り組んでおります。
また、「ひろしまAIサンドボックス」につきましては、第2期として、今月17件を採択し、AI指導員によるレモン栽培の病害虫対策や、小型船舶向け「衝突抑制AIシステム」など、県内企業等とAI開発者の協業によるソリューション開発や実証への支援を開始いたしました。
生成AIを始めとするデジタル技術が急速に進展する中、その可能性をいち早く取り込み、新規性や実用性の高い開発・実証を支援することで、県内産業や地域課題の解決につながる新たな価値の創出を図るとともに、AIを活用して新ビジネスに挑戦しようとする企業・人材の集積を促進してまいります。
AIの実装に伴って加速度的に市場の成長が見込まれる半導体関連産業につきましては、県内企業による大規模かつ継続的な投資が進行しているほか、先月公表された国の戦略産業クラスター計画の素案においても、中国地域産業クラスターに位置づけられております。
県といたしましても、半導体関連産業の集積を強化していくため、国や地元自治体等とも連携しながら、戦略産業クラスター計画に本県の半導体産業が採択されるよう、県として取り組んでいくとともに、工業用水道や道路を始めとしたインフラ整備や、県内企業の半導体産業への新規参入の促進、半導体関連人材の育成・確保に取り組んでまいります。
また、造船分野におきましても、国の戦略産業クラスター計画の素案に位置づけられ、計画策定に向けて国と調整を行っているところであり、県内の造船関連事業者の声を伺いながら、競争力強化につなげてまいります。
さらに、県主導で策定する「地域産業成長プラン」については、ものづくり産業の更なる進化や、先端・成長産業の育成・集積、地域資源を最大限活用する地場企業の付加価値向上等につながるよう、検討を進めております。
広島県が若者や女性に選ばれるためには、多様な暮らし方や働き方を選択できる環境が重要でございます。
このため、誰もが働きやすい職場環境の実現に向け、業界特有の課題を踏まえながら、職場環境を良くしていく気運醸成やアクションプラン策定への支援を、情報通信などの分野で開始しているところでございます。
また、トラック運送事業者及び建設事業者を対象とした、女性用トイレや更衣室の設置、暑熱・寒冷対策設備の導入などに関する補助金制度の申請受付を開始したところであり、これまで女性が少なかった業種においても、女性が働きやすい環境の整備を支援してまいります。
次に、誰もが家庭と仕事のバランスをとることができるよう、家庭内で夫婦・パートナー同士が話し合って家事・育児を分担し、協力して取り組む「共家事・共育て」の定着に向け、これに取り組む家庭を職場から応援し環境づくりを進める「TEAM共家事&共育て」の協賛企業として、これまで18の企業を認定いたしました。
今後も更に多くの企業に協賛いただき、より多くの県民の方々の意識や行動の変容につながるよう、取り組んでまいります。
次に、本県の教育につきましては、令和8年度以降の教育の基本的な方針を示す新たな「広島県 教育に関する大綱」について、これまで総合教育会議や県議会でも御審議いただいてきました。
子供たち一人一人を大事にし、これからの社会や地域において生きる力を育むよう、学びの変革の推進、キャリア教育の推進、誰もが安心して学習できる環境づくり、子供の学びを支える基盤づくりを進め、教育の充実に取り組んでまいります。
また、県立高等学校の再編整備につきましては、先般、教育委員会において、「今後の県立高等学校の在り方に係る実施計画」を策定したところでございます。
急速なデジタル技術の進展や少子高齢化など、社会情勢が激しく変化する中にあっても、将来の子供たちにとって、これからの社会を生き抜く力を育む魅力ある教育環境の整備に向けて、教育委員会を始めとする関係部局が連携して取り組んでまいります。
さらに、県内の子供たちが、幼少期から「働くことの楽しさ」と「県内企業の魅力」を肌で感じることができる子供の職業体験サービス「ジョブジョビー!」を実行委員会において立ち上げ、県内約110社の企業の参加を得て、先月末時点で親子合わせて延べ586人の申込みをいただいております。
加えて、県内の学校と様々な業種の地元企業等がつながり、子供たちの体験機会を拡大することを目的として昨年12月に開設したウェブサイト「ミツカル!ひろしまカンパニー」には、職場体験活動・インターンシップや出前講座などのキャリア教育に協力していただける企業として、先月末時点で336社に御登録いただいております。
こうした取組を通じて、社会、地域に必要な人材を企業と連携して育成する「広島ならではのキャリア教育」の充実に取り組んでまいります。
次に、楽しみ・遊びの充実につきましては、県立美術館と縮景園において、夏休みの特別展「ポケモン工芸展」と連動し、キャラクターと一緒に茶道を体験できる「ポケモン茶会」を実施するほか、新たに、8月の4日間、ライトアップイベントを開催いたします。
さらに、びんご運動公園における夜のイベント等に関するニーズ調査、県立歴史博物館におけるナイトミュージアムや歴史民俗資料館における古代キャンプといった体験型イベントの9月からの実施に向けた準備を進めております。
引き続き、県施設を活用した賑わいの創出に取り組んでまいります。
また、5月には世界最大級の酒類品評会「International Wine Challenge」「SAKE部門」の審査会を広島で開催し、県産の日本酒の歴史や魅力を国内外に広く発信いたしました。
県内からは過去最多の32社が出品し、6銘柄が金メダルを受賞、そのうち1銘柄がフレーバー酒部門で最高賞であるトロフィーを獲得しました。
9月にロンドンで開催される授賞式では、全11部門のトロフィー受賞酒の中から最高賞「チャンピオン・サケ」が発表される予定です。
この審査会を契機として、県産日本酒のブランド価値向上と輸出拡大を図ってまいります。
次に、観光振興につきましては、本年4月から導入した宿泊税を活用し、市町と連携しながら、県内各地の文化財や伝統芸能を生かした観光コンテンツの造成など、地域資源の磨き上げを進めております。
こうした中、県内の二つの世界遺産を巡るバスツアーが、世界最大級の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」のランキングで世界第2位に選出されました。
今回の受賞を契機に、広島の認知度向上と、世界遺産にとどまらない県内各地への更なる誘客に取り組んでまいります。
また、次期観光立県推進基本計画の策定に着手するとともに、県と広島県観光連盟が主導的な役割を担いながら、市町、観光関連事業者等とオール広島で、発信力の強化や周遊促進などに取り組んでまいります。
次に、県民の皆様の安全・安心な暮らしの基盤づくりについて でございます。
はじめに、農林水産業の振興について でございます。
まず、かきのへい死対策につきましては、先月開催した有識者会議の中間とりまとめを踏まえ、水温や溶存酸素など漁場環境のモニタリングを強化し、アラートを発信して筏の移動などの対策を実施できるよう、現地調査に取り組むとともに、生産者が行う水深操作などの実証を支援し、秋から始まるシーズンに備えてまいります。
次に、農地の再整備につきましては、地域での話し合いを進めるため、現在、市町等の職員を対象にファシリテーション研修などを行っており、今後、農地利用の将来像を描く地区を選定し、地域のビジョンの作成を進めてまいります。
また、企業経営体と連携した新規就農者の研修制度の構築に向け、現在、育成の方針やカリキュラム等を検討しており、基本的な知識やスキル習得と、経営体の生産現場での技術や経営管理手法の習得を支援する仕組みづくりに取り組みます。
広島和牛の振興につきましては、県内でのブランドが確立されつつある比婆牛の生産拡大に取り組むとともに、神石牛などもブランド力を高められるよう検討してまいります。
次に、森林の保全・整備につきましては、水源涵養など森林の持つ公益的機能の発揮のため、「ひろしまの森づくり県民税」を活用し、手入れ不足の人工林の間伐や、放置された里山林の整備を行っております。
本税については、今年度が第4期の最終年となっており、今後についての議論を始めてまいります。
次に、防災・減災分野について でございます。
出水期を迎えている中で、災害への最大限の注意が必要となっており、県民の皆様には、災害への備えとして、再度、避難場所や避難経路を御確認いただき、避難情報が発令された際には、速やかに避難行動をとっていただくようお願いいたします。
県では、LINE版マイ・タイムライン「わが家の避難計画」の普及・啓発や地域防災タイムラインを活用した地域での避難訓練等を促すとともに、今月8日には、県庁内で、大規模災害を想定した災害対策本部員会議運営訓練を実施いたしました。
県全体の災害対応力の強化に取り組んでまいります。
全国最多の土砂災害警戒区域を抱える広島県では、繰り返される土砂災害からの被害を防ぐため、4月に新規事業化が決定された瀬野川水系直轄砂防事業を始めとする砂防堰堤整備等の事前防災対策を国・県が協力しながら推進するとともに、土砂災害に対する意識の醸成を図る「土砂災害啓発・伝承プロジェクト」を実施しているところでございます。
あわせて、ため池の総合対策につきましては、下流への影響が大きいものから優先的に補強・廃止工事を行うとともに、ハザードマップの公表や遠隔監視システムの設置などを進めております。
流域治水につきましては、法的枠組みを活用し、実効性を高めるため、4月に、東広島市・呉市を流れる黒瀬川流域を、新たに、特定都市河川流域に指定いたしました。
流域全体のあらゆる関係者と連携しながら、流域水害対策計画を策定し、早期の治水安全度向上を図るとともに、8月に、県民や事業者の方々を対象にした流域治水シンポジウムを開催するなど、意識醸成にも取り組んでまいります。
地震防災対策につきましては、能登半島地震を踏まえ取組の方向性を議論する有識者検討会において、4月に最終報告をとりまとめたところであり、災害関連死も含めた「災害死ゼロ」の実現に向けて、関係機関との連携強化や避難所におけるトイレ・キッチン・ベッド対策など、被災者支援を強化してまいります。
次に、治安・暮らしの安全につきましては、本年4月から、16歳以上の自転車利用者を対象に青切符制度が導入されたところであり、県民の皆様には、これを機に、自転車の交通ルールを再確認していただくとともに、ヘルメットの着用など、自分を守る行動をとっていただきますようお願いいたします。
次に、医療・介護・福祉の充実について でございます。
高度医療・人材育成拠点の整備につきましては、設計業務に対する技術協力を通じて、施工者の持つ高度な技術を実施設計に取り入れるため、新病院の整備工事に係る優先交渉権者を公募型プロポーザル方式により選定することとし、3月から公告を開始いたしました。
また、昨年4月に設立した県立病院機構では、物価高騰等の影響により厳しい経営状況が続いておりますが、休止病棟の再開や病床稼働率の上昇など経営改善に努めており、引き続き、徹底して進めるとともに、県として必要な支援を行い、持続可能な病院経営の実現を目指してまいります。
このほか、医療機関におけるICTを活用した業務効率化への支援や、分娩数が減少している産科、入院患者数が減少している小児医療の拠点病院に対する運営費の支援等を行うこととし、必要な経費を6月補正予算に計上しております。
次に、中山間地域の活性化につきましては、「人はあらゆる分野における力の源泉である」との認識の下、都市部と中山間地域の人々がつながり、共に活動できる環境を整え、社会全体で中山間地域を支える仕組みを構築してまいります。
具体的には、市町と連携し、地域の課題解決に向けて都市部の方々と地域をマッチングするプラットフォームの運用開始に向けて準備を進めているところであり、今後、広く県民の皆様に参加を呼びかけていきたいと考えております。
また、今年度から新たに中山間地域の課題解決に資する起業等を後押しするため、「起業支援金」の申請を受け付けており、採択案件に対し、事業継続を確実にするための伴走支援を行ってまいります。
次に、交通関係につきましては、芸備線再構築協議会において、議論開始から2年が経過し、これまで、鉄道を活用した実証事業に取り組んできたところであり、今月1日からはバスを活用した実証事業を開始しております。
本県といたしましては、沿線地域における公共交通の持続可能性や、まちづくりの方向性も含めて、丁寧に議論を進めてまいりたいと考えております。
また、広島市東部地区連続立体交差事業のI期区間である向洋駅周辺において、本年3月に鉄道本体の高架工事に着手したところであり、地元住民の皆様の御理解と御協力を得ながら、広島市及びJR西日本と連携し、早期完成に向けて取り組んでまいります。
次に、核兵器のない平和な世界の実現について でございます。
4月に、国連本部で開催されたNPT運用検討会議に参加し、広島県知事として初めて、市民社会プレゼンテーションでスピーチを行い、人類と核兵器は共存できないこと、各国は核抑止に頼らない安全保障政策を追求すべきであること、政治・軍事指導者や若者に広島を訪問いただくこと、核兵器廃絶を次期国連目標に位置づけるべきであることを訴えました。
また、国連事務総長や各国政府関係者と面会し、本県及び「一般社団法人へいわ創造機構ひろしま『HOPe』」の平和の取組への賛同を得たことや、サイドイベントを開催し、県議会訪問団の皆様と共に取組を発信できたことは、意義深いものでございました。
一方で、NPTでの合意文書が採択されなかったことは極めて残念であり、これに象徴されるように、現在の核を巡る世界情勢はこれまでになく厳しい状況にあります。
今後も、県議会の皆様と連携し、核兵器のない平和な世界の実現に取り組んでまいりたいと考えております。
このほか、ICANと核兵器廃絶に向けた共同研究を開始するとともに、将来国際平和に貢献できる次世代を担う研究人材の育成に向けて、長崎大学核兵器廃絶研究センター「RECNA」、英国のシンクタンク「BASIC」及び、HOPeが共同して、研究人材育成プロジェクトを進めております。
また、8月には、「ひろしまグローバル・ユースフォーラム」を開催し、国際平和の実現に向けて自ら行動・発信する高校生等の育成を強化してまいります。
次に、「安心▷誇り▷挑戦 ひろしまビジョン」の見直しについて でございます。
本年3月の広島県総合計画審議会からの答申を踏まえ、県議会を始め県民の皆様の御意見も伺いながら、改定案を取りまとめ、今次定例会に議案として提出しております。
県民一人一人が、どこに住んでいても夢や希望に挑戦し、仕事と暮らしの充実を感じられる社会を実現していくためには、人口減少などの社会経済情勢の変化に対応し、人を惹きつける地域づくりを進めていく必要がございます。
今後5年間の方向性として、「シン・ファミリーフレンドリー“家族で暮らしやすいまちは、誰もが暮らしやすい”」を設定し、若者や女性に選ばれるための対策などの重点項目に取り組み、本県が持つ強みを磨き、魅力を高め、県内外の人々の交流により創造性と活力を生み出し、更に多くの人を惹きつけ、経済も成長していくという好循環の実現を目指してまいります。
また、ビジョンの推進に当たりましては、住民に身近な行政を担う市町と方向性を共有し、協力して取り組むことが重要であり、各市長・町長と直接お会いし、将来ビジョンや中長期的に取り組むべき施策に関して、地域の実情や市町のニーズなども踏まえ、率直な意見交換を行い、県全体の発展につなげてまいります。
次に、今回提出いたしました議案について、その概要を御説明いたします。
まず、一般会計補正予算案につきましては、当初予算編成後の状況変化等を踏まえ、必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として、編成しております。
具体的な補正の内容でございますが、中東情勢・物価高などへの対応、「県政運営の基本方針2026」に掲げる重要施策の推進などに、時機を逃さず対応するための経費について、予算を計上しております。
この結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は、128億円の増額となり、本年度予算の累計額は、1兆1,642億円となります。
予算以外の議案といたしましては、条例案10件、人事案件2件、その他の議案7件を提出しております。
また、報告事項として、専決処分報告などを提出しております。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。