発言に先立ち、一言申し上げます。
先般お亡くなりになられました伊藤真由美議員におかれましては、これまでの御功績に敬意を表しつつ、改めて心から御冥福をお祈り申し上げます。
それでは、2月定例県議会の開会に当たり、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして、来年度における施策の方針と概要、及び当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。
はじめに、昨年11月の就任後これまでの取組について、御報告いたします。
就任当初、私は、本県が直面する課題と県民の皆様のお声に真摯に向き合い、新しい時代の要請に応え、県民の皆様が広島県に誇りを持ち続けることができるよう、挑戦をしていくことを誓いました。
就任して80日余り、県庁それぞれの部局が対応している課題について、庁内で議論を重ねるとともに、自らも、様々な形で県民の皆様の声を直接伺ってまいりました。
まずは、当面する課題であるかきのへい死への対応として、庁内連絡会議を立ち上げ、現場でお話を伺い、原因究明と対応策を検討する有識者会議を進めております。
また、県内の農業経営者等、広島で活躍する若者及び学生、女性活躍推進の分野で活動する企業経営層の方々とそれぞれ意見交換を実施し、貴重な声をいただきました。
そして、県議会の皆様からも様々な機会を通じて意見を伺ってまいりました。
来年度に向けて、職員と力を合わせて、広島県の発展のために、県政を進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
まず、本県を取り巻く情勢についての認識を申し述べます。
本県経済につきましては、引き続き電気機械製造業での生産が堅調に推移する中、造船業の持ち直しや、宿泊・観光業の好調さがみられています。
昨年12月発表の日銀短観によりますと、引き続き設備投資意欲は旺盛であるなど、県内景気は緩やかな回復基調にあることから、こうした流れを確実に伸ばし、持続的な成長へとつなげていくことが必要でございます。
一方、エネルギー・原材料価格や物価の高騰、各国の通商政策や外交関係の変化などにより、先行きの不確実性は依然として高いほか、実質賃金も伸び悩んでいる状況であり、県民生活や事業活動へ与える影響を注視していく必要があると考えております。
このため、県といたしましては、物価高や先行き不透明な環境であっても持続的に成長できる産業基盤の構築を目指し、先端・成長産業の育成・集積や企業の生産性向上を進めてまいります。
これにより、県内企業の競争力強化と持続的な賃上げを実現し、県経済の好循環につなげてまいります。
一方で、想定を上回るスピードで人口減少が進む中、医療・福祉、教育、公共交通など一定の人口規模が必要な生活サービスの提供や、公共インフラなどの維持管理において、厳しさが増してきているほか、人の集積や交流によるイノベーションやにぎわいが生まれにくくなることが懸念されます。
このため、県政運営に当たりましては、当面する人手不足・担い手不足に対応するととともに、中長期的な視点に立ち、本県が持つ多彩な宝や強みを磨き、魅力を高め、県内外の人々の交流により創造性と活力を生み出し、更に多くの人を惹きつけ、経済も成長するという好循環により、あらゆる分野での発展につなげてまいります。
また、その土台として、県民の皆様の安全・安心な暮らしを確保してまいります。
続いて、令和8年度の重要施策の概要について御説明いたします。
重要施策といたしましては、当面する課題に適切に対応するとともに、人を惹きつける地域づくり、県民の安全・安心な暮らしの基盤づくり、核兵器のない平和な世界の実現、それぞれについて、次の事項に重点的に取り組んでまいります。
まず、当面する物価高への対応につきましては、国の補正予算を活用し、医療機関・社会福祉施設等における光熱費・食材費等の高騰や、畜産経営体における飼料費の高騰に対する支援を行うほか、県内中小企業等に対して、販路開拓や現場改善等を通じた生産性向上、適切な価格転嫁の促進、賃上げ環境整備に向けた設備投資等の取組を支援するなど、直面する物価高による影響の緩和と、将来を見据えた構造的な課題への取組に対する支援の両面から、対策を実施してまいります。
また、米国関税措置への対応につきましては、これまで、海外への新たな販路開拓に向けた商品開発や販売促進等への支援、生産性向上などを目的とした設備投資への支援に加え、高付加価値製品の開発やコスト低減に向けた生産技術開発に対する支援などに取り組んでおります。
状況を注視しながらこれらの取組を着実に実施してまいります。
次に、人を惹きつける地域づくりについて でございます。
人口減少、とりわけ若者の転出超過が大きな課題となる中、若者や女性を始め、多くの方々に、広島で働き、暮らすことに魅力を感じてもらえる環境を作ってまいります。
まず、魅力的な働く場を増やしていくほか、企業の成長を応援し、経済を活性化させてまいります。
先端・成長産業の一つである半導体関連産業につきましては、今後も市場の成長が見込まれる一方で、技術進展のスピードが極めて速いなど厳しい国際競争にさらされている状況を踏まえ、県外企業等の誘致や、県内企業の半導体関連産業への新規参入の促進を図るとともに、県内半導体関連企業をサポートする体制を整備することなどにより、集積の強化に取り組んでまいります。
あわせて、デジタル系企業を始め、企業の本社機能・研究開発部門などの誘致を進めるなど、若者にとって魅力ある産業の集積に取り組んでまいります。
また、AI等の最新のデジタル技術を有する企業や人材の集積を促進し、県内スタートアップの成長を支援するとともに、多様な挑戦者の交流促進に取り組むことで、更に新たなチャレンジが生まれる好循環の創出につなげてまいります。
加えて、生成AIを始めとする急速な技術の進展に伴い、世界の産業構造が大きく変化する中で、県内企業の新たな人材ニーズに対応するため、アジアを始めとする海外の優秀な学生に対し、日本語の教育やインターンシップ等を通じ、県内企業への就職につなげる「ひろしまアカデミー」の構築などに取り組んでまいります。
カーボンニュートラルの実現に向けた、カーボンリサイクルの取組につきましては、本県の支援制度により、大気中のCO2を活用した微細藻類の培養によるバイオ燃料等の開発、化石燃料の代替となるバイオコークスの開発などの研究が、企業・地域との連携により新たにスタートしています。
引き続き、国が大崎上島町に整備したカーボンリサイクル実証研究拠点とも連携し、カーボンリサイクル研究の拠点化と産業集積に向けて取り組んでまいります。
また、広島県の企業が若者に選ばれるためには、若者が成長やチャレンジができると感じる職場環境が重要でございます。
経営戦略上必要となるスキルや知識、デジタル技術等のリスキリングを支援するとともに、魅力的な職場づくりと発信に向けて、自社の人材に関する現状、仕組み、育成の取組などを可視化する「広島県人的資本開示ツール」の利用促進を図ることにより、県内企業の人的資本経営の実践を後押ししてまいります。
こうした企業の成長を応援する取組に加え、性別に関わらず、誰もが、自分らしい暮らし方や働き方を選択でき、個性と能力を発揮し挑戦できる社会の実現に取り組んでまいります。
具体的には、性別に関する固定的な役割分担意識やアンコンシャス・バイアスの解消のため、地域において多様な意見が反映されるよう、市町や関係団体向けの講演会の開催や、優良事例等の発信に取り組むほか、男性の家事・育児への参画促進による「共家事・共育て」の定着を図るため、SNS等を活用した「共家事・共育て」のヒントやエピソード等の情報発信等、行動変容につながる取組を実施してまいります。
また、女性活躍を後押しする、男性育児休業の取得促進やデジタルスキル習得などの再就職支援、女性が業種を超えて切磋琢磨するネットワーク「WE(ウィ)-Hub(ハブ)ひろしま」の構築を引き続き進めるとともに、新たに、業界ごとに女性活躍のための環境整備を推進するアクションプラン策定への伴走支援に取り組みます。
加えて、トラック運送事業者や建設事業者において、女性用トイレや更衣室の設置、暑熱・寒冷対策のための設備導入などの支援を行うことで、これまで女性が少なかった業種においても、女性が活躍できる環境の整備を進めてまいります。
このほか、女性特有の健康課題と対処の重要性について、職場や社会全体の理解を促進するとともに、性別を問わず、適切な時期に、性や健康に関する正しい知識を持ち、健康管理や妊娠・出産において主体的な選択ができるよう、思春期世代を支援する方を対象とした研修会等を実施し、プレコンセプションケアやライフデザインに係る啓発を進めてまいります。
さらに、広島に住むことの魅力を高め、愛着を醸成することを目指して、広島ならではの楽しみ・遊びの充実を図り、県民の皆様の心豊かな暮らしの実現を目指します。
まず、若者やファミリー層など幅広い世代のニーズに応じた文化芸術の取組の充実と情報発信を進め、それぞれの価値観やライフスタイルに合った文化芸術を楽しめる機会の充実に取り組んでまいります。
具体的には、県立の美術館や縮景園における特別展と連動した体験型イベントや、市町・広島交響楽団と連携したファミリーコンサートなどを行うとともに、県立歴史博物館及び歴史民俗資料館において、若年層やファミリー層を対象としたナイトミュージアムや古代キャンプ等の体験型イベントを実施し、県内における、歴史文化に親しむことができる環境を充実させてまいります。
また、びんご運動公園におきましては、賑わいの創出を目指し、今年度末に高輝度フルカラーLEDに改修する陸上競技場電光掲示板を活用し、夜の時間帯でのスポーツ観戦や映画上映会、音楽フェスなどのイベント等の開催可能性を検討するため、事業者に対するニーズ調査などを行ってまいります。
さらに、昨年、多くの来場者を集めたアーバンスポーツ大会「アーバンフューチャーズ広島」について、ブレイキンなどの新競技を加え、4月17日から19日までの3日間の日程で開催し、県内外の方々にその魅力や迫力を体感していただくとともに、広島の魅力発信にもつなげてまいります。
そして、本県の誇る食文化の一つである日本酒につきまして、世界最大級の酒類品評会「International(インターナショナル) Wine(ワイン) Challenge(チャレンジ)」の「SAKE(サケ)部門」の審査会を5月に広島で開催し、吟醸酒発祥の地である広島県産の日本酒を国内外に発信してまいります。
また、楽しみや魅力向上の方策につきましては、引き続き、若者のライブ・コンサートなどに係るニーズ把握や関係者へのヒアリング等を行い、検討してまいります。
次に、魅力ある都心空間の創出につきましては、広島市都心において、若者の意見をまちづくりに反映させる環境づくりに向け、広島都心会議が行う、若者が集いたくなる魅力的な空間の創出と、その運営手法や交流等の具体的な活動の検討・トライアル等の取組を、広島市と連携して支援してまいります。
加えて、若者の広島への定着・回帰に向け、県と市町が連携して実施する「県・市町一体型プロジェクト」につきましては、転出入行動の大きな要因となる「仕事」を軸として、児童や生徒の地元企業・職種の認知拡大、地元進学や卒業後の県内定着につながる大学の魅力向上、Uターン就職・転職を促す企業の主体的な採用活動の支援など、それぞれの市町の特性や課題に即した事業実施を予定しております。
市町の施策形成プロセスにおける伴走支援の対象は、今年度の3市町から7市町に拡大し、実効性の高い事業の創出を加速してまいります。
次に、子供を産み育てたいと望む方を後押しし、多くの方々が子供を持ちたいと思い、安心して子供を持ち、子育てが楽しいと感じられる社会の実現を目指し、結婚支援・子育て支援に取り組んでまいります。
まず、結婚支援につきましては、多様な主体による若者の出会いの機会創出等への支援を通じて、結婚したいという希望を実現しやすい環境整備を進めるとともに、今年度実施した若者への調査結果を踏まえ、新たに、結婚や子育てに関するポジティブな情報の浸透に向けた普及啓発に取り組んでまいります。
また、安心して妊娠・出産・子育てができる環境整備に向けましては、「ひろしまネウボラ」において、第一子妊娠期の女性や子育て家庭への支援の強化をモデル的に実施するほか、専門職人材の育成支援等に取り組むことで、機能の強化を図ってまいります。
子供や若者を取り巻く課題が多様化・複雑化する中、ひとりで悩みを抱え込まず、相談しやすい窓口とつながり、安全で安心して過ごすことができるよう、新たに、様々なニーズに応じた地域における居場所づくりとして、県内の居場所情報の収集・発信や、居場所を運営する方々等への研修機会の提供を進めてまいります。
次に、本県の教育につきましては、将来の予測が困難な時代において、子供たち一人一人の様々な個性や能力を見出し、育て、生きる力を養うために、多様な学びの選択肢を提供し、デジタル技術の効果的な活用を通じた主体的な学びを促すとともに、リアルな体験や実社会での仕事を意識した教育活動の推進など、更なる教育の充実に取り組んでまいります。
とりわけ、企業と連携した「広島ならではのキャリア教育」を進めるため、本県の未来を担う子供たちが、広島のものづくりなどの産業、県土や県民の暮らしと安全を支える職業に興味を持てるよう、民間企業が中心となった実行委員会による幼少期の職場体験、小学校から高等学校にかけては、「働くこと」の意義を理解し、「働く」ために必要な基礎的な知識を得られるよう、学校と企業とをつなげる「ミツカル!ひろしまカンパニー」等を活用した出前授業などの、組織的・系統的なキャリア教育に取り組んでまいります。
県立高等学校の再編整備につきましては、急速なデジタル技術の進展や少子高齢化などの社会情勢の変化の中で、持続可能な社会の創り手を育成する環境を整え、地理的条件等にかかわらず、生徒が一人一人の能力・適性、興味・関心等に応じた教育を受けることができるよう、全県的な県立高等学校の在り方を示す「実施計画」の素案をお示ししたところであり、県議会や地元自治体など、関係者の皆様の御意見を伺いながら検討を進めてまいります。
次に、観光客を始めとする交流人口の拡大につきましては、来年度から導入する宿泊税を活用しながら、観光を広島の主要産業に育ててまいります。
宿泊税につきましては、これまでの市町や観光関係団体などとの議論や御意見を踏まえ、県が実施する事業や市町への支援について、必要な経費を予算に計上しております。
広域的な視点から、今後の観光振興における県域全体の課題解決を図っていくための施策や、県内各エリアの課題や特徴を踏まえた効果的な施策に市町やDMO等と連携して取り組むことで、本県を訪れる観光客の県内周遊を促進し、滞在時間の延長や宿泊の増加につなげてまいります。
さらに、「おいしい!広島」プロジェクトによる県内外の機運の高まりを生かし、首都圏等でのフェアの開催や、来訪者の動線を捉えた情報発信等により、広島への誘客と食体験につなげるとともに、料理人の育成や、生産者と料理人との連携と相互研鑽を促し、地域に根差した食の進化とブランド化を推進してまいります。
これらの取組を通じて、県内外から広島の「おいしい!」イメージを醸成し、観光消費額の増加、農林水産物の消費拡大につなげてまいります。
次に、県民の皆様の安全・安心な暮らしの基盤づくりについて でございます。
気候変動や災害の激甚化・頻発化、既存インフラの老朽化の進行、人口減少に伴う担い手不足など、暮らしの基盤に関わる課題にしっかりと対応していく必要がございます。
まず、農林水産業の振興について でございます。
本県の農林水産業は、県民の皆様の食を支えるとともに、地域の生活基盤を形成するものであり、また、県の魅力を高める観光資源としても重要であると認識しております。
これまで、農林水産業従事者の経営力を高め、規模の拡大等により企業経営の育成に取り組んできておりますが、これを継続しつつ、小規模、兼業の農家や事業者においても生産性と生産力を高め、生産基盤の継承者を確保・育成していくことが必要でございます。
本県の農業は、中山間地域の傾斜地に位置する農地が多く、生産コストが高くなりがちであること、生産者の高齢化などにより耕作放棄地の増加が見込まれること、資材費や機械の高騰などの影響により経営の厳しさが増しているなどの課題が顕在化しております。
加えて、地球温暖化がもたらす気候変動による影響を軽減し、持続可能な生産を目指していく必要がございます。
こうした課題に対応するため、中山間地域でもスマート農業技術なども活用し生産性を上げていくために、農地の集約を進めてまいります。
そのためにはまず、地域において農地利用のビジョンをまとめ実行していく活動を支援し、農地の大区画化や水路などの農業基盤の再整備を加速してまいります。
また、環境制御が可能なハウスの導入や、気象データの活用等による最適な栽培管理など、気候変動に適応した農業を推進してまいります。
さらに、担い手の確保・育成に向けて、地域の担い手と連携し、新しい担い手にその地域の生産技術や経営管理手法等を伝え育成していく、新たな研修制度を構築してまいります。
畜産業につきましては、ブランド力を強化し、流通体制の整備を図ってきている広島和牛のほか、特徴ある乳製品などが「ひろしまブランド」として安定的に供給できるよう、自給飼料の拡大や生産体制の強化を進め、収益性の高い経営体の育成に取り組んでまいります。
林業につきましては、主伐後の再造林を確実に実施するため、主伐事業者と造林事業者の連携を促し、一体的に行う体制の整備を支援してまいります。
また、資源量が多く、主伐期を迎えつつあるヒノキの生産量が増加しているため、建築事業者が県産ヒノキを内装材や構造材に活用することを支援し、需要拡大を図ってまいります。
水産業につきましては、漁場環境の変化に対応するため、かき殻も活用した海底耕うんによる底質改善、栄養塩類管理計画の策定などに取り組むとともに、水産資源を増大させるための藻場造成や稚魚の放流、漁業者自らによる資源管理を一体的に推進してまいります。
また、瀬戸内さかなのブランド化の取組を推進し、認知・評価を高め、消費拡大につなげることにより、漁業経営の収益性向上を図ってまいります。
そして、喫緊の課題である、かきのへい死への対応につきましては、早急の支援として、養殖経営の維持・安定に必要な運転資金の無利子融資のための利子補給を行うとともに、来シーズンに出荷する予定であった筏の吊るし替えに必要となる資材費への補助に取り組んでいるところでございます。
原因究明といたしましては、生産者に対するヒアリングにより、各地域の養殖過程や、へい死の状況を正確に把握し、国の研究機関や大学などの専門家による有識者会議において、多岐にわたる知見を集約しながら検討しているところでございます。
今後、塩分濃度など漁場環境のモニタリングを強化するとともに、現地調査や室内実験などにより、さまざまな海洋環境条件下でのへい死リスクを検証し、リスクを下げるための筏の水深操作や適性養殖密度による養殖管理など、生産者が取り組む養殖方法の転換に向けた実証を支援し、へい死の解決策を見出して、広島かきの持続可能な生産体制を目指してまいります。
次に、防災・減災対策につきましては、「災害死ゼロ」の実現に向けて、ハード・ソフト両面での取組を進めているところでございますが、未だに対策が必要な箇所が多くあること、災害時に県民の十分な避難行動につながっていないこと、また、令和6年能登半島地震での対応の検証から、初動体制や被災地への物資の搬送・通信手段の確保の充実などの課題が見えてきております。
こうした課題を踏まえ、ハード対策による事前防災の推進、関係者との連携を含めた避難行動の促進、初動応急対応の強化、被災者支援に係る取組の強化に取り組んでまいります。
まず、インフラ整備につきましては、水災害の激甚化・頻発化や南海トラフ巨大地震などの地震災害が懸念される中、国の「第一次国土強靱化実施中期計画」などの有利な財源を最大限に活用しながら、流域治水などの県民の安全・安心を支える総合的な防災・減災対策に取り組むとともに、新技術を活用した効果的・効率的な維持管理や老朽化対策などを着実に推進してまいります。
また、建設業の人手不足が深刻化する中で、建設業担い手3法の適正運用、デジタル技術を活用した生産性向上、労働環境の改善、建設業の魅力向上と発信により、地域の守り手である建設業の担い手確保の取組を推進してまいります。
流域治水につきましては、東広島市・ 呉市を流れる黒瀬川等を4月に特定都市河川流域に指定することとしており、指定後は、地域の浸水被害の防止・軽減に向け、関係市長、有識者等で構成する流域水害対策協議会を立ち上げ、連携して早期に治水安全度を向上させてまいります。
また、広島県地震被害想定の見直しや能登半島地震で顕在化した課題も踏まえ、適切な避難行動を実践する力を養うための防災教育の推進や地域における防災活動の促進、大規模災害の発生に備えた県・市町の防災対応力の強化に取り組むほか、災害関連死ゼロに向けた避難所の生活環境の改善として、ベッド、パーティションや冷暖房器具などの備蓄物資の計画的な確保を進めてまいります。
次に、県民や事業者の皆様とともに「犯罪の起こりにくい広島県づくり」を目指す「減らそう犯罪」広島県民総ぐるみ運動につきましては、昨年12月に策定いたしました第6期アクション・プランに基づき、中でも、詐欺犯人からの主要な連絡手段である国際電話からの着信を拒否する対策の強化など、被害が多発している特殊詐欺を始めとする犯罪抑止対策を一層進めてまいります。
また、老朽化した交番・駐在所の建替えにつきまして、設計施工一括発注方式の導入や、県産材の活用にもつながる木造化の推進により、コスト削減と工期短縮を図り、早期に更新してまいります。
次に、医療・介護・福祉の充実について でございます。
全ての県民が、質の高い医療等のサービスを受け、地域で暮らし続けることができるよう、進めてまいります。
まず、高度医療・人材育成拠点の整備に向けましては、基本計画を踏まえ、新病院の建築に係る基本設計を終えたところであり、来年度は実施設計に着手してまいります。
また、昨年4月に設立した県立病院機構では、物価高騰等の影響により厳しい経営状況が続いていることから、経営改善の取組を徹底して進めるとともに、県として必要な支援を行い、持続可能な病院経営の実現を目指してまいります。
介護分野におきましては、ICTやロボット、AIなどのテクノロジーを活用して業務の効率化を図るため、介護事業者に対する機器の導入支援を充実させるとともに、介護DXの先進モデル施設をつくることなどにより、介護業界のデジタル化を加速させてまいります。
福祉分野におきましては、多様な障害特性に配慮した情報取得や意思疎通支援に関する施策を総合的に推進するため、昨年11月の手話言語及び情報コミュニケーションに関する2つの条例の施行に続き、12月には「障害者コミュニケーションフェス in HIROSHIMA」を開催し、条例の目的や基本理念について広く県民の皆様へ情報発信したところでございます。
引き続き、「手話の日」や障害者週間を活用して、条例の普及啓発に取り組むほか、乳幼児期から手話等を習得する機会の確保に向けた仕組みを検討してまいります。
次に、中山間地域の活性化につきましては、地域活動を行う人材の確保や起業の後押しなど、課題解決に向けた取組を支援してまいります。
具体的には、地域外の人たちによる中山間地域の地域活動への参加を促進するため、イベントの実施や、地域課題解決に向けた地域外の人と地域のマッチングなどに取り組んでまいります。
また、地域おこし協力隊や集落支援員を始めとした地域を支える多様な人材の確保・育成に向け、人材養成塾など効果的な研修プログラム等を引き続き行うとともに、中山間地域の課題解決を目的とした起業等をする方に対し、新たに、その経費の一部を補助し、事業継続性の確保に向け、伴走支援を実施してまいります。
さらに、市町と密接な連携の下、住民が主体となった話合いの支援や、話合いで明らかになった地域課題の解決に向け、新たに、解決策の具体化に必要な知見を有する専門人材を集落や市町に派遣してまいります。
このほか、公共交通につきましては、「広島県地域公共交通ビジョン」に基づき、バスや航路といった交通ネットワークに対する支援に加え、デジタルを活用し交通と生活サービスの相乗効果を生み出す「広島型MaaS(マース)」、交通施策の基盤となるデータ整備や人材育成などを進めてまいります。
また、芸備線再構築協議会につきましては、昨年12月に開催された第7回幹事会において、来年度、再構築方針の策定に向けた論点整理を行うための調査や、芸備線の可能性を最大限追求する実証事業Aの実質1年間の継続実施、バスなど他の交通モードによる検証を行う実証事業Bに取り組んでいくことが、事務局である中国運輸局から示されたところであり、国における鉄道ネットワークのあり方の検討の議論の動向を注視しつつ、必要な経費を予算に計上しております。
次に、臨港道路廿日市草津線につきましては、3月29日に開通予定であり、広島港における物流の効率化や地域経済の発展などが図られるものと考えております。
また、広島市東部地区連続立体交差事業につきましても、昨年12月に1期区間である向洋駅周辺において仮線路の敷設が完了したところであり、本年春頃には鉄道本体の高架工事に着手することとしており、地元住民の皆様の御理解と御協力を得ながら、広島市及びJR西日本と連携し、早期完成に向けて取り組んでまいります。
引き続き、地域経済の発展に資する道路の整備など社会資本基盤の整備について、計画に沿って着実に進めてまいります。
次に、核兵器のない平和な世界の実現について でございます。
核兵器をめぐる国際情勢が厳しさを増す中、被爆・終戦80年の取組などを通じて得られた様々なネットワークを活用して、核兵器廃絶に向けた本県の取組を進展させてまいります。
具体的には、核抑止に頼らない安全保障政策づくりなど、核兵器廃絶に向けた具体的プロセスやその行動についての研究を進めるため、海外の研究機関等と連携した調査研究や、海外のシンクタンクと連携した対話型若手研究者育成などに取り組みます。
また、NPT運用検討会議を始め、様々な国際会議などの機会を活用し、賛同者拡大に向けた働きかけ等を進めてまいります。
さらに、「ひろしまグローバル・ユースフォーラム」を開催し、若者の人材育成を強化するとともに、ビジネスによる平和の取組について検討を進めてまいります。
こうした取組を、「一般社団法人へいわ創造機構ひろしま」と連携して着実に進め、核兵器のない平和な世界の実現に貢献してまいります。
以上、令和8年度の重要施策の概要を申し上げたところでございますが、社会経済情勢が大きく変化する中、本県が直面する課題は複雑化・多様化しており、こうした課題に対応するに当たっては、AIを始めとするデジタル技術の活用や、分野を横断した総合的な対策が一層重要となっております。
このため、様々な業務に応じてAI技術を活用できる環境の整備と職員の育成を進め、各施策等に徹底的に活用するとともに、先月協定を締結した東京都及びGovtec東京と連携し、AIアプリの作成に関する知見の共有などの取組を通じて、職員の生産性や県民サービスの向上を図ってまいります。
加えて、重要かつ広がりのある課題に対して、部局横断的な施策検討を行う組織体制を構築してまいります。
次に、令和8年度当初予算案の概要を申し上げます。
令和8年度の一般会計当初予算の規模は、総額1兆1,514億円となり、対前年度当初予算比616億円、5.6パーセントの増となっております。
具体的には、人を惹きつける地域づくり、県民の安全・安心な暮らしの基盤づくり、核兵器のない平和な世界の実現などの重要施策に2,119億円、物価高・米国関税措置への対応に109億円、かきのへい死対策に3億円を計上するなど、県勢発展に必要な施策を着実に推進するための予算としております。
予算以外の議案といたしましては、条例案14件、その他の議案13件を提出しております。
また、報告事項として、専決処分報告などを提出しております。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。