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令和7年広島県議会9月定例会(令和7年9月12日)

印刷用ページを表示する掲載日2025年9月12日

知事説明要旨

はじめに、先月上旬に発生した九州地方をはじめとする各地で甚大な被害をもたらした豪雨災害 について申し上げます。

この度の豪雨により犠牲となられた方々に対しまして、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に、心からお見舞いを申し上げます。

本災害におきましては、本県では、甚大な被害は生じなかったものの、昨日からも県内各地で激しい雨が降り、現時点で判明しているところによると、一部道路や住宅に土砂が流れ込むとともに、集落が孤立するなどの被害が発生しております。

このように、災害はいつどこで発生するか予断を許さない状況であり、県としても引き続き、緊張感を持って対応に当たってまいります。

県民の皆様には、災害への備えとして、再度、避難場所や避難経路を御確認いただき、避難情報が発令された際には、速やかに避難行動をとっていただくようお願い申し上げます。

さて、私事ではございますが、この度、熟慮を重ねた結果、私は、本年11月の任期満了をもって広島県知事を退任することを決断いたしました。

4期16年という長い期間、議員各位の温かい御指導やお力添えをいただきながら、また、県民の皆様に支えていただきながら県政に携わることができましたことを大変幸せに思っており、この場をお借りして深く感謝を申し上げます。

それでは、9月定例県議会の開会に当たり、先ほど提出いたしました議案の説明に先立ちまして、本県を取り巻く情勢及び本年度主要施策の取組状況について、御報告いたします。

1.本県を取り巻く情勢と認識

はじめに、本県を取り巻く情勢と認識について でございます。

本県経済につきましては、引き続き、電気機械製造業での生産が好調であるほか、本年6月発表の日銀短観によりますと、県内景気は緩やかな回復基調にございますが、3%台程度の消費者物価上昇が続き、個人の消費意欲減退が懸念されるところでございます。

さらに、各国の通商政策等の影響を受けた海外経済の動向や、それに伴う企業の賃金・価格設定行動などが県経済に与える影響について、不確実性が高まっており、引き続き動向を十分注視していく必要があると考えております。

なかでも、米国関税につきましては、当初米国が提示していた税率から引き下げられたところではございますが、依然として、県内企業や県経済に対し大きな影響を及ぼす可能性がございます。

特に、本県の基幹産業である自動車産業においては、米国への輸出を多く行っているマツダ株式会社や関連するサプライヤー企業への影響が顕在化してくることが懸念されております。

このため、先月には、県費預託融資制度において新たな要件を設け、米国関税の影響を受ける中小企業者等の資金繰りを支援する取組を開始したところでございます。

さらに、米国関税措置等の影響が懸念される県内事業者に対し、海外への新たな販路開拓に向けた商品開発や販売促進等を行うための経費や、生産性の向上などを目的とした設備投資に係る経費を支援することとし、必要な経費を9月補正予算に計上しております。

また、先月6日には、政府主催で開催された「米国の関税措置に関する広島県産業界との意見交換会」において、影響を最小限に抑えるための緩和策の実施や、米国関税の影響を強く受ける地域への重点的な支援について、石破総理に改めて要望したところでございます。

引き続き、県内企業の状況について情報収集を行い、影響の度合いや顕在化の時期を見極めながら、新たな支援策の実施なども含め、スピード感を持って適切に対応してまいります。

2.令和7年度主要施策の取組状況

次に、令和7年度主要施策の取組状況について御説明いたします。

まず、物価高への対応について でございます。

昨年から続く米の価格高騰に伴い、日本酒等の原料である酒米の価格も急激に上昇しており、製品価格への転嫁が追いつかないなど、県内の酒蔵の経営は厳しい状況が続いています。

こうした状況を踏まえ、日本酒または保命酒を製造する県内企業が県産酒米を購入する費用を補助するとともに、日本酒の消費拡大に向けた取組として、世界最大級の酒類品評会「International Wine Challenge」のSAKE部門を、来年5月に広島で開催し、吟醸酒発祥の地である広島県産日本酒の魅力を国内外に広く発信する経費を9月補正予算に計上しております。

次に、人口減少対策について でございます。

本県では、今後予測される人口減少は避けられないとの認識の下、「社会動態の均衡」と「県民の希望出生率の実現」による人口減少の抑制を目指し、取組を進めております。

「社会動態の均衡」につきましては、「県内企業や大学等の認知向上の後押し」、「魅力的な産業の集積や職場環境の整備の支援」、「地域の魅力及び暮らしやすさの向上」を柱とした若者減少対策の取組を着実に進めております。

さらに、これらの対策の効果を最大限に高めるため、若者の広島県に対するポジティブなイメージを浸透させるためのプロジェクト実施に向けて、現在、委託事業者の選定手続を進めているところでございます。

また、「県・市町一体型プロジェクト」の推進につきましては、市町における社会動態の改善に効果が見込まれる事業の創出に向けて、現状把握から事業アイデア創出に至る、一連の施策形成プロセスの伴走支援を行うこととし、必要な経費を9月補正予算に計上しております。

引き続き、オール広島で、若者にとって、働きやすく、充実した生活を送ることができ、やりたいことにチャレンジできる社会の実現に向けて取り組んでまいります。

「県民の希望出生率の実現」に関しましては、本年3月に策定した「ひろしま子供の未来みんなで応援プラン」に基づき、子供を持ちたいと希望する人が、安心して妊娠・出産・子育てができるとともに、ライフイベントと両立しながら安心して働き続けることができるよう、様々な取組を総合的に進めているところでございます。

本県では、共働き家庭が7割近くとなっている一方で、家庭内では依然として、女性に家事・育児の負担が偏っている傾向にあり、それは当事者の意識・行動だけでなく、性別による固定的な役割分担意識なども影響していると考えられることから、子供を持ちたいという希望の実現や、女性の社会生活における更なる活躍のためにも、男性の家庭内での活躍を促進する必要があると考えております。

社会に根強く残るバイアスの解消に向け、昨年度から、夫婦やパートナーが協力して家事や育児に主体的に取り組む「共育て」の定着に向けて取り組んでいるところであり、今年度は、趣旨に賛同する市町や企業等の協力も得ながら、「共育て」への理解を広げて行動変容を促すため、昨年度実施した「共育て大調査」の結果をもとに、夫婦やパートナー間で話し合い、役割分担を行うきっかけとしていただくための情報発信や当事者参加型のキャンペーン活動を、国が推進する11月の「秋のこどもまんなか月間」に合わせて展開してまいります。

次に、人手不足対策について でございます。

生産年齢人口の減少が見込まれる中におきましても、本県の持続的な経済成長や県民の安全・安心な暮らしの確保に向け、各種事業に取り組んでおります。

具体的には、介護業界において、介護事業所や施設等を対象に、現場の生産性向上による職場環境の改善や、サービスの質の向上を目的としたテクノロジーの導入・定着を後押しする補助金を創設し、7月から8月にかけて多くの申請があったところでございます。

引き続き、人手不足対策に係る事業を着実に推進し、各業界における人手不足の解消を目指してまいります。

次に、AI活用をリードする取組について でございます。

生成AIなどのデジタル技術が急激に進展し社会環境が大きく変化する中、本県では、「『AIで未来を切り開く』ひろしま宣言」の下、イノベーション先進県としてAI活用をリードし、地域課題の解決と新たな価値の創出に向けて挑戦しております。

具体的には、県内外のAI開発者と県内企業等を結び付け、共に県内産業や地域の課題解決にチャレンジする「ひろしまAIサンドボックス」を引き続き実施し、AIを活用した新たなソリューション開発を支援することにより、広島にAI企業や人材を呼び込み、広島におけるAIの取組を更に加速させてまいります。

産学官が連携し、県内の高校生を対象に実施する「ひろしまAI部」におきましては、目標を上回る40校が参加し、AIを活用して社会課題等を解決するプロダクトを競い合う「HIROSHIMA AI PITCH」での成果発表に向けたテーマの発掘に取り組んでおります。

今年度は、食・モビリティ・セキュリティなど日常生活に密接した分野にも対象を広げ、実社会におけるAIやデータの活用実態を学ぶとともに、企業と新たなAIの活用可能性を探求しているところでございます。

「広島AIラボ」につきましては、先月から実施している県民アンケートにおいて、AI技術を活用した「ブロードリスニング」を導入し、県民の皆様からいただいた意見を迅速に分かりやすく可視化するなど、新たにAI技術の実装につなげたところでございます。

引き続き、企業や大学研究室へのAI技術の最新動向調査などを実施するとともに、社会課題の解決につながる活用方法を探求してまいります。

次に、観光の更なる振興について でございます。

本県の多彩な食資産を多様な主体と磨き、その魅力を発信する「おいしい!広島」プロジェクトにつきましては、奥田民生さん、吉川晃司さんのお二人を応援団長に迎え、6月から「OK!!広島」の取組をスタートいたしました。

具体的には、飲食店での連携メニュー提供や屋外大型広告、SNSキャンペーンなどのプロモーションを首都圏等で展開し、SNSキャンペーンの応募者数は約1万8千人となるなど、WEB上を中心に大きな反響をいただいております。

この効果を県内にも波及させるため、“推し食”グランプリをはじめとする県民の盛り上がりを創出する企画や、瀬戸内さかなや広島和牛に代表されるひろしまのおいしさを体験できる店舗への誘導などの取組を展開してまいります。

これらの取組を通じて、広島のおいしいイメージを醸成し、ひろしまブランドの強化を図ることで観光消費額の増加、農林水産物の消費拡大につなげてまいります。

また、現在開催中の大阪・関西万博におきまして、先月5日から9日までの5日間、会場内に広島県ブースを出展し、目標としていた12,000人を上回る延べ13,800人の方に御来場いただきました。

人類史上初の原子爆弾投下から復興を遂げた広島の溢れるエネルギーや広島の多彩な食の魅力を体感いただく展示や、原爆投下前後の広島の様子を疑似体験できるVR、来場者におりづるを折っていただくワークショップ等の体験型コンテンツの提供を通じて、多くの来場者に平和への一層の関心を持っていただくとともに、広島への来訪意欲を高めることができたものと考えております。

広島空港の国際線につきましては、新たに韓国・清州線が、7月から約3か月間の期間限定で、週4往復運航しているところでございます。

定期運航化に向けて、官民一体で利用促進プロモーションに取り組むとともに、運航経費に係る支援を航空会社に対して行うこととし、必要な経費を9月補正予算に計上しております。

引き続き、空港運営権者と連携し、広島空港の国際航空ネットワークの拡充等による更なる利便性の向上に努めるとともに、旅行者の満足度を高める観光施策に取り組むことにより、更なる訪日観光客の増加にもつなげてまいります。

宿泊税につきましては、税制度及び宿泊事業者のシステム整備支援事業の周知を図るための説明会を県内12か所で開催し、現在、宿泊事業者からの交付申請を随時受け付けているところでございます。

また、宿泊税を活用した市町支援について、7月末に市町との意見交換を行い、今後、宿泊税を活用した事業の提案を市町から受ける予定としております。

引き続き、市町からの提案や観光関係団体などの御意見を踏まえ、県が実施する事業も含めた宿泊税の使途全体について、関係者としっかりと議論を重ねながら、検討を進めてまいります。

次に、平和の取組について でございます。

被爆・終戦80年を迎え、核兵器廃絶に向けた国際的な機運が一層高まるよう、本県の取組を進めております。

7月には、核実験により百万人以上が被曝したとされるカザフスタン共和国を訪問し、旧セミパラチンスク核実験場等の視察を通じて被曝の実相への理解を深めるとともに、同国政府や旧実験場のあるアバイ州政府から本県の取組への賛同を得たほか、今後の連携・連帯について意見交換を行ったところでございます。

また、8月には、ユニタールとの共催で、広島の若者などが、国連幹部などの世界的なリーダーと対話するイベントを開催したほか、広島大学と連携した「被爆80年人材育成特別プログラム」を開始するなど、多くの若者に核兵器のない平和な国際社会への理解を深めていただいているところでございます。

このほか、今月には、「ひろしまラウンドテーブル」を開催し、核抑止論を反転させるための政策などを取りまとめるとともに、核抑止に依存しない安全保障のあり方を分かりやすく県民の皆様に紹介する公開イベントを開催したところでございます。

今後も、こうした取組を通じて、核兵器廃絶の実現に向けた賛同者の拡大と国際社会への働きかけ、若者の人材育成推進に一層取り組んでいくほか、現在任意団体として平和関連施策を推進する「へいわ創造機構ひろしま」の活動基盤の強化に向け、一般社団法人への年内の移行を目指した準備を進めてまいります。

次に、「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」について でございます。

はじめに、子供・子育て分野について でございます。

全国の児童相談所における児童虐待相談対応件数は年々増え続けており、本県におきましても、令和6年度の県内の児童相談所における児童虐待相談対応件数は、過去最多の6,649件となっております。

増加する児童虐待相談等により細やかに対応するため、本年4月の東部こども家庭センター三原支所の開設に続き、今月1日に西部こども家庭センター東広島支所を開設いたしました。

引き続き、県こども家庭センターの更なる専門性の向上を図るとともに、市町や関係機関との適切な役割分担と連携を着実に推進し、県全体の児童虐待防止対策の強化に取り組んでまいります。

次に、教育分野について でございます。

高校生スポーツ最大の祭典である全国高等学校総合体育大会、通称インターハイを、7月23日から中国地方を中心に8道県で開催し、先月20日に無事閉幕致しました。

7月24日に開催された総合開会式では、秋篠宮皇嗣同妃両殿下に御臨席を賜り、特に、高校生による公開演技につきましては、両殿下も大変感銘を受けておられました。

また、競技種目別大会においては、本県広島市で開催された陸上競技100m種目で、地元、県立広島皆実高等学校3年・松本真奈選手が、この種目で広島県勢、男女初となる全国優勝を遂げたほか、自転車競技、登山、柔道においても広島県勢が全国優勝を果たしたところでございます。

今回のインターハイにおいて、こういった多くの広島県の高校生アスリートの活躍が県民に希望や感動を与えてくれたことを、大変嬉しく思います。

本大会の経験が地域社会全体のレガシーとして受け継がれ、スポーツを通じて子供たちが夢や希望に挑戦できるよう、子供たち一人一人の資質や志向に応じた挑戦につながる取組を進めてまいります。

次に、地域医療構想の実現に向けた取組について でございます。

高度医療・人材育成拠点の整備に向けましては、令和5年9月に策定した基本計画について、新病院の理念や果たすべき役割を損なわないことを前提に、国の医療政策の動向や今般の建築費高騰等に対応するため、県立二葉の里病院の活用を行うなど、見直しの方向性の案についてお示ししたところでございます。

開院時の病床規模は860床程度としますが、1,000床規模への拡張性を有する構造とし、今後の医療需要や医療提供体制の変化にも、柔軟に対応してまいります。

引き続き、県議会の皆様や関係者の方々の御意見を伺いながら、基本計画の見直しに関する検討を進めてまいります。

また、県立安芸津病院につきましては、将来にわたって地域に必要な医療を維持し、県民の健康と暮らしを支える地域の中核病院としての役割を果たすため、その耐震化について、本年2月に策定した基本構想をもとに、県立病院機構と連携し、基本計画の策定を進めてまいります。

次に、地域共生社会の実現について でございます。

障害のある方が、あらゆる分野の活動に参加するためには、情報の十分な取得・利用や円滑な意思疎通が極めて重要であり、多様な障害特性に配慮した情報取得・意思疎通支援に関する施策を推進していく必要がございます。

また、手話は、過去には公教育における使用が制約されてきた経緯もあり、手話についての理解や手話による意思疎通が行いやすい環境の整備が十分に進んでいない状況にございます。

こうした状況を踏まえ、障害者の情報保障の強化や手話言語の認識の普及等を目的として、今次定例会に「広島県障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する条例」及び「広島県手話言語条例」を提案いたします。

あわせて、条例制定の目的や基本理念について広く県民に周知するため、条例の施行と東京2025デフリンピックに合わせた記念イベントを開催するために必要な経費を9月補正予算に計上しております。

引き続き、誰もが安心して暮らせる共生社会の実現に向けて取り組んでまいります。

次に、防災・減災分野について でございます。

激甚化・頻発化する水災害への対策といたしましては、あらゆる関係者が協働して流域治水に取り組んでいるところでございます。

12月には、流域治水の取組をより一層推進するため、シンポジウムを開催し、住民や企業、あらゆる団体等に参加を促すこととしており、こうした取組を通じて、県民の皆様の流域治水への意識醸成を図るなど、国、市町、関係者と連携して、防災・減災対策の充実・強化に取り組んでまいります。

ため池の総合対策につきましては、下流への影響度が大きいものから優先して、補強・廃止工事などのハード対策と遠隔監視システムなどのソフト対策を一体的に取り組んでいるところでございます。

また、10月23日には、全国ため池フォーラムを本県で初めて開催し、県民の皆様に対してため池への関心を高め理解を促すとともに、ため池の管理者に対しては、管理手法や保全の取組事例を伝え、より一層の適切な管理につなげることで、今後のため池の防災力を強化してまいります。

次に、産業イノベーションについて でございます。

先端・成長産業の競争力強化に関する取組のうち、自動車分野につきましては、急速に進展するデジタル化・電動化やカーボンニュートラルの潮流など、業界を取り巻く環境が大きく変化する中、県内サプライヤーの競争力強化を図るため、自動車メーカーのニーズに対応した高付加価値な製品開発を支援するとともに、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルの実現に向けた企業間連携の仕組みづくりを進めているところでございます。

また、足元では、米国による関税措置の影響を把握するとともに、必要な対策の検討も進めております。

ヘルスケア分野におきましては、今年度から広島大学を拠点として新たに実施する「医療イノベーションを起こす!産業振興プログラム」と連携し、医療機器開発人材の育成やリスキリングに取り組むなど、本県の産業競争力の強化に努めてまいります。

さらに、バイオ関連分野につきましては、スタートアップ企業が新たな分野や海外展開を志向していることを踏まえ、新製品・新サービスの社会実装を後押しするため、「ひろしまユニコーン10」プロジェクトと連携した支援を行っております。

「ひろしまユニコーン10」プロジェクトでは、スタートアップの効果的な資金調達を実現させるため、今年度から資本政策に特化した支援を行い、財務面から企業経営を行うCFO人材の育成や獲得につながるプログラムを実施しているところでございます。

さらに、11月には、県内の民間事業者が主催する「TSUNAGU広島2025」に本県も参加し、県内企業とスタートアップとのマッチングにつなげてまいります。

次に、農林水産業分野について でございます。

農業分野における経営体の育成につきましては、就農前から企業経営まで各発展段階に応じ、ひろしま農業経営者学校において、経営スキルの習得、経営ビジョンの作成など経営力が着実にステップアップするための支援に取り組んでおります。

そのうち、本県の農業を牽引する企業経営体を対象に、経営哲学やマーケティング、人材育成、多角化等に精通し、農業界だけでなくあらゆる分野で活躍するトップ経営者を講師とした、企業経営コースを先月から実施しているところであり、引き続き、経営体の更なる経営力の向上を支援してまいります。

持続的な林業経営の実現につきましては、林業経営適地を設定し、経営力の高い林業経営体への集約を進めておりますが、今後、所有者の不在や世代交代の進展により、集約の減速が懸念されることから、デジタル技術を活用して森林の境界を推測し、所有者に提示して境界を明らかにする実証事業を行い、その技術を他に展開していくことで、林業経営適地の集約を効率的に進めてまいります。

食肉処理の過程で発生する牛の骨などから製造する牛肉骨粉につきましては、国の規制が見直され、令和6年10月から豚・鶏の飼料として利用が可能となったことから、その製造に向けた機械導入を支援することにより、輸入飼料の価格が高騰する状況にあっても安価で安定的な飼料供給を図ってまいります。

次に、「特性を生かした適散・適集な地域づくり」について でございます。

持続可能な中山間地域の実現につきましては、農作業や祭りの担い手不足等の地域課題の解決を図るため、中山間地域の活動実践者が、地域外の人材とつながるための実践的なスキルを学ぶワークショップを今年度から新たに県内6か所で開催しているところでございます。

引き続き、関係市町と連携しながら、地域内外の多様な主体が連携・協働して支え合う地域づくりを進めてまいります。

続いて、魅力ある都心空間の創出について でございます。

広島市都心につきましては、路面電車が駅ビル2階へ高架で乗り入れる駅前大橋ルートが8月3日に開通し、広島駅の交通結節機能の強化と、交通の利便性の向上によって、8月に開業1周年を迎えた「ひろしまスタジアムパーク」などの新たな賑わい拠点の整備が進む紙屋町・八丁堀地区への更なる人の流れが促進されることで、都心全体の回遊性や、一層のにぎわいの創出が期待されます。

また、福山駅周辺地区につきましては、福山駅前広場の再整備に向けて、市民対話集会が開催され、若者や女性を中心としたワークショップの準備も進められるなど、多様な意見を聞きながら、丁寧な議論・検討が行われております。

引き続き、広島市や福山市などと連携して、広島都心の活性化や福山駅周辺地区の拠点性の向上に向けて取り組んでまいります。

次に、「安心▷ 誇り▷ 挑戦 ひろしまビジョン」の見直しについて でございます。

現行ビジョンの策定から4年が経過する中で、想定以上に進む人口減少など、様々な社会経済情勢の変化が生じていることから、こうした変化に適切に対応していくため、おおむね10年を見通した現行ビジョンの折り返し後を見据えて、これまでの成果と課題も反映させながら見直しを進めております。

今後、県議会でも御審議いただき、来年3月の改定を目指し、次の5年間における本県が取り組むべき課題や施策の方向性について、検討を進めてまいります。

3.当面する県政の諸課題への対応

続いて、当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。

はじめに、「芸備線再構築協議会」につきましては、7月19日から、芸備線の可能性を最大限追求するための実証事業が始まったところであり、県としても、庄原市を始めとした芸備線沿線各市や、地域の皆様などと連携し、実証事業にしっかりと取り組んでおります。

また、本年4月に行った29道府県知事による特別要望を受けて、先月26日に、「鉄道ネットワークの在り方等に関する国と地方の意見交換の場」が開催されました。

私からは、国土のあり方を見据えた鉄道ネットワークの位置付け、JRの内部補助の考え方、国の責任の在り方について、国の考え方を明確にしていただくよう、改めて求めるとともに、国と地方が実質的な議論ができる場を開催するよう要望したところであり、引き続き、様々な機会を捉えて、国に働きかけてまいります。

次に、広島高速5号線について でございます。

シールドトンネルの掘削工事が4月に完了し、家屋の事後調査等に着手していくことを踏まえ、7月13日に住民の皆様との意見交換会を開催し、私自身が直接御意見を伺ってまいりました。

県といたしましては、引き続き、広島高速道路公社や広島市と連携し、住民の皆様の不信や不安の解消に努めながら、令和9年度上期の5号線本線の完成に向け、事業を推進してまいります。

次に、虚偽文書作成事務の解明調査及び公益通報の再調査について でございます。

土木建築局で実施された災害復旧事業において虚偽の協議録が作成されていたことにつきましては、県行政に対する不信を与えてしまう重大な事案であり、県民の皆様に心よりお詫び申し上げます。

現在、この問題の解明と再発防止に徹底的に取り組んでいくため、総務局・土木建築局合同の調査チームを立ち上げ、災害復旧工事の変更協議などにおいて一次調査を実施しているところでございます。

引き続き、第三者の方に関わっていただき、この事案の背景・要因を分析した上で、二次調査の範囲を決定、実施し、一連の不適正事案の構造的要因を整理することにより、実効性のある再発防止策の策定に取り組んでまいります。

また、過去に虚偽の協議録の作成を訴える公益通報があったにも関わらず「事実の有無を特定できなかった」との調査結果に至っていたことにつきましても、当時の調査や判断の妥当性などについて、第三者である弁護士に参画いただき調査を進めているところであり、調査結果を踏まえ、原因究明や再発防止につなげてまいります。

4.令和7年度補正予算案等の概要

次に、今回提出いたしました議案について、その概要を御説明いたします。

まず、一般会計補正予算案につきましては、6月補正予算編成後の状況変化等を踏まえ、必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として、編成しております。

具体的な補正の内容でございますが、米国関税措置や物価高による影響への対応、「安心▷誇り▷挑戦 ひろしまビジョン」に掲げる、それぞれの欲張りなライフスタイルの実現に向けた取組などに、時機を逃さず対応するための経費について、予算を計上しております。

これらの結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は、76億9,357万円の増額となり、本年度予算の累計額は、1兆999億9,548万円となります。

次に、予算以外の議案といたしまして、

「広島県障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する条例」などの条例案6件、人事案件といたしまして、「広島県教育委員会委員の任命の同意について」など3件、その他の議案では、「工事請負契約の変更について」など5件を提出しております。

また、報告事項として、専決処分報告などを提出しております。

どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

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