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令和7年広島県議会2月定例会(令和7年2月17日)

印刷用ページを表示する掲載日2025年3月17日

追加議案(令和7年2月21日)はこちら

追加議案(令和7年3月17日)はこちら

​​知事説明要旨

2月定例県議会の開会に当たり、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ち まして、来年度における施策の方針や概要、及び当面する県政の諸課題への対応に ついて、御報告いたします。

1.女性も男性も活躍できる社会の実現

まず、本県の基本理念である、将来にわたって、「広島に生まれ、育ち、住み、働いて良かった」と心から思える広島県の実現に向けましては、県政の主役である県民の皆様に、日常生活、社会活動、経済活動等において、あるいは、出産、子育て、就学、就職など、様々な場面において、本県で暮らすことに喜びを感じていただけ ることが重要でございます。

このため、本県におきましては、これまで、県民の皆様がそれぞれ抱く夢や希望 をあきらめることなく、将来に向けて、更なる一歩を踏み出す様々な挑戦の後押しを進めてまいりました。

その取組の一環として、性別にかかわらず、誰もが個性と能力を十分に発揮し、「わたしらしく」生き生きと活躍できるよう、誰もが安心して働き、活躍できる環境づくりや、自分らしい暮らし方の実現に向けた男女双方の意識改革などに取り組んできたところであり、特に社会における女性の活躍は着実に進展しております。

しかしながら、企業における管理職登用率や給与額、国や地方における女性議員 数など、様々な面において、現実としてはまだまだ男女で差がある状況にございます。 家庭内におきましては、1日当たりの夫婦の家事・育児時間が夫は妻の約4分の1となっているなど、家事や育児の負担が依然として女性に偏っている状況にあり、このことが女性の社会における更なる活躍の阻害要因となっているのみならず、国の調査によると、男性の家事・育児時間と出生率に相関関係が見られることから、子供を持ちたいという希望の実現の阻害要因の一つにもなっていると考えられます。

そのため、男性が家事や育児に積極的に関わり、家庭内で活躍することにより、男性と女性が共に家庭や社会での責任を担うことができる環境を作り出す必要があると考えております。

そこで、男性の家事・育児参画促進の取組の一つとして、先月下旬から「ひろし ま共育て大調査」を実施いたしましたが、この調査においても、多くの家事・育児を主に女性が行っている現状などが明らかになったところでございます。

そのため、令和7年を「男性の活躍推進元年」とし、男性の家庭内での行動変容 につながる取組を実施することに加え、多様な主体を巻き込み、社会全体で「共育て」を推進する気運醸成や環境整備を進めるため、仮称ではございますが、「男性の 家庭生活における活躍の推進に関する条例」の策定を検討するなど、男性の家事・ 育児への参画を強力に推し進めてまいります。

また、男性が積極的に育児に関われるよう、男女の固定的な役割分担意識を払しょくし、男性が上司や同僚などに遠慮することなく育児休業を取得できる職場環境の整備等を更に進める必要があると考えております。

このため、性別による役割分担意識についての気付きと共感につなげるための「ジェンダー川柳コンテスト」の開催や、男性の育児休業取得促進の取組に係る優良事例の収集・発信などに引き続き取り組んでまいります。

加えて、女性の活躍も更に応援するため、引き続き、女性管理職候補者への研修等の実施や、女性管理職による、業種を超えたネットワークの構築を進めるほか、 出産や育児などのライフイベントと仕事の両立を応援するため、「女性のキャリア 応援コーナー」において、再就職や転職に向けた相談対応や情報提供などの支援を行うとともに、女性のデジタル人材を育成する「リスタートプログラム」に取り組んでまいります。

女性があらゆる場面で生き生きと活躍するための健康づくりにつきましては、本県の女性は、疾病の受療率など、全国平均より劣っている指標が多いため、今年度 実施した女性の健康課題に関する調査の結果に基づき、来年度は、休養やメンタルヘルス、運動習慣に関する若年層をターゲットとした啓発などに取り組んでまいります。

こうした取組を通じて、県民の皆様が、性別による区別なく、自分らしく活躍できる社会の実現を目指し、全力で取り組んでまいります。

2.本県を取り巻く情勢と認識

次に、本県を取り巻く情勢と認識についてでございます。

本県経済につきましては、引き続き、電気機械製造業での生産が好調であるほか、 昨年 12 月発表の日銀短観によりますと、設備投資意欲の旺盛さも見られるなど、県内景気は緩やかな回復基調にございますが、2%台程度の消費者物価上昇が続き、 個人の消費意欲減退が懸念されるところでございます。

さらに、海外に目を向けますと、米国新政権の関税引上げの懸念などによる県経済への影響が不透明であることから、引き続き県経済の動向を注視していく必要があると考えております。

3.令和7年度主要施策の概要

主要施策の基本方針

続いて、令和7年度の主要施策の概要について御説明いたします。

人口減少や少子・高齢化の進展、急速なデジタル化への対応などの構造的な課題 や緊迫した国際情勢、物価高騰などの社会情勢に適切に対応し、将来にわたって本県が活力を維持し持続可能な未来を切り拓いていくため、これまでの取組やその成果を基盤に限られた経営資源を有効に活用して施策の「選択と集中」を徹底し、人口減少対策、人手不足対策、AI活用をリードする取組、観光の更なる振興、被爆・ 終戦 80 年における平和の取組に、重点的に取り組んでまいります。

まず、物価高への対応につきましては、国の補正予算を活用し、交通事業者や私立・県立学校における燃料費高騰や、国が定める公的価格により経営を行っている医療機関・社会福祉施設等における、光熱費や食材費などの高騰に係る影響額に対する支援などを実施してまいります。

また、県内中小企業等に対し、経営改善と労働者の処遇改善を図るための設備投資等に要する経費を支援するほか、農業経営体や林業経営体などに対しては、経営発展に資する設備の整備に対する支援などを行い、生産性の向上を図ってまいります。

特に注力する施策

次に、人口減少対策につきましては、本県においては、「県民の希望出生率の実現」 と「社会動態の均衡」による人口減少の抑制を目指し、取組を進めております。

まず、「県民の希望出生率」の実現に向けましては、現在、仮称ではございますが、 「ひろしま子供の未来みんなで応援プラン」の策定を進めており、来年度は、このプランに基づき、子育てに係るポジティブイメージの浸透に向けた普及啓発を含め、子供・子育て施策を総合的に推進してまいります。 特に、ひろしまネウボラにつきましては、来年度から 21市町で実施されることとなり、全県展開に向けた取組が着実に進められております。

また、来年度は、不安を抱えやすいと考えられる第一子妊娠期の子育て家庭に対する支援の強化や、関係機関との広域的な連携の仕組みの構築などについて、市町と共に検討し実施してまいります。

保育の提供体制の確保につきましては、保育士の配置基準の改正やこども誰でも 通園制度の創設などの影響を踏まえ、保育士人材バンクによる求人者・求職者のマッチングにきめ細かに対応するとともに、処遇改善の要件でもある保育士等のキャリアアップ研修を実施し、より質の高い保育を安定的に提供することで、いつでも安心して子供を預けて働くことができる環境整備に取り組んでまいります。

次に、若者減少対策についてでございます。

今年度実施した若年層の社会減少要因調査で判明した、希望する働き方ができる企業や、希望する学びができる大学があるにもかかわらず、若者に認知されていない実態や、成長志向の若者を惹きつける産業の更なる集積が必要であることなどの 課題を踏まえ、来年度は、「県内企業や大学等の認知向上の後押し」、「魅力的な産業 の集積や職場環境の整備の支援」、「地域の魅力及び暮らしやすさの向上」を柱として取り組んでまいります。

まず、「県内企業や大学等の認知向上の後押し」といたしましては、小学校から高校までの各段階に応じた、県内の企業を深く知るための職場体験の実施や、大学と の連携による学内での企業研究や企業による出前講座などを実施してまいります。

具体的には、職場体験活動、講師派遣等に協力可能な地元企業を幅広く募り、県・市町教育委員会に加え、私立学校にも活用いただくことを想定したプラットフォームを構築することで、各学校の教育活動の充実を図り、様々な分野で活躍する県内企業の認知向上に努めてまいります。

また、就職先として選ばれる企業を増やすため、人材コンサルを活用し、学生が求めるインターンシップ・プログラムの作成、入社への納得感を高める採用面接手法の導入など、企業の採用力強化に向けたハンズオン支援に取り組んでまいります。

さらに、県内若手社員を「ひろしま就活サポーター」に任命し、広島で働き、暮らすロールモデルとした広報活動を展開するとともに、引き続き、県の求人情報サイト「ひろしまワークス」の利用促進を図り、県内企業と求職者のマッチング支援を行ってまいります。

また、従業員の奨学金返済支援を行う企業に対する補助につきましては、補助率の引上げ、補助上限額の撤廃など、3年間で総額1億円超の支援を見込んでおり、 企業における若年者の採用と定着を促進してまいります。

加えて、近年、県外高校からの県内大学等への進学者が減少していることなどか ら、県外での合同説明会の開催や、SNSを活用した学生生活に係る情報提供など、 県内大学等が進学先として選ばれるよう、魅力の発信を強化してまいります。

次に、「魅力的な産業の集積や職場環境整備の支援」といたしましては、成長志向 の若者を惹きつける、半導体関連産業の集積の強化に向け、産業用地の確保や設備投資に対する支援制度を活用した環境整備を推進してまいります。

環境・エネルギー分野の産業集積に向けましては、これまでの本県のカーボンリ サイクルへの取組が評価され、来月、国際エネルギー機関の技術協力プログラムの一環として、カーボンリサイクルなどCO2削減をテーマとした国際会議が本県で開催されます。

国内外の政府関係者、研究者等が集うこの機会を生かし、引き続き、カーボンリサイクルの拠点化を進めてまいります。 このほか、広島空港に近く、山陽自動車道のインターチェンジからのアクセスも 良好な東広島市の入野地区の県営産業団地の整備に着手することに加え、新たに「民間産業団地造成助成制度」を創設することにより、産業用地の確保に努めてまいります。 新成長産業の育成支援といたしまして、「ひろしまユニコーン 10」プロジェクトでは、企業価値の高いスタートアップを創出するため、来年度は、新たに資本政策に特化した取組の実施や、海外進出支援を拡充することとしております。

さらに、起業への機運を醸成するため、「イノベーション・ハブ・ひろしまCamps」において、県内の学生を対象とした地域課題解決のワークショップなどを 実施することとしており、こうした取組を通じて、若者のスタートアップへの就職 や起業の促進につなげてまいります。

また、人的資本経営の促進に向けましては、理解促進を図るセミナーの開催や企業コミュニティへの活動支援などを通じて、県内企業の実践に向けた機運醸成を図るとともに、「広島県人的資本開示ツール」を活用して、自社の現状を可視化し、開示指標等の改善に取り組む事業者への支援を行うことで、県内企業の人的資本経営 の実践を後押してまいります。

さらに、企業の垣根を越えて活動を開始した企業ネットワーク「HATAfulはたふる」とも連携して、若者が働きたいと思えるような職場づくりに向け、魅力的な働き方を拡げてまいります。

「地域の魅力及び暮らしやすさの向上」といたしましては、広島市都心において、新たに若者の意見を取り入れながら魅力的な都心空間の創出に向けた検討などに取り組む広島都心会議を、広島市と連携して支援してまいります。

また、福山駅周辺地区につきましては、エリアの価値を高める開発の促進を目指し、地権者などを対象にまちの課題解決手法の共有やその実践に向けた勉強会を行 う福山市を支援してまいります。

あわせて、移住・定住の促進に向けましては、移住の決め手を「仕事」と考えて いる人が多いことを踏まえ、新たに、企業等と連携した移住・転職フェアを実施す るなど、広島らしいライフスタイルの魅力を紹介してまいります。

さらに、これら3つの柱に基づく若者減少対策の効果を最大限まで高めていくため、若者の広島に対するイメージを向上させる取組の実施や、県と市町とが一体となって実効性の高いプロジェクトを生み出すためのプラットフォームを構築し、若者の広島への定着・回帰につながるムーブメントを創り出してまいります。

こうした取組を通じ、オール広島で、若者が、広島でやりたいことにチャレンジし、暮らす社会の実現を目指してまいります。

次に、人手不足対策についてでございます。

人手不足対策の検討に当たりましては、今年度、各業界の実情を把握するため、全庁を挙げてヒアリング等を実施してまいりました。

その結果、多重下請け構造により適正な賃金の原資が行き渡らないといった課題を抱えた業界や、従来からの慣習に捉われた生産性の低い業務プロセスを続ける企業など、様々な課題が見えてきたところでございます。

こうした課題を踏まえ、来年度は、「生産性を高める取組の支援」、「労働供給を高める取組の推進」、「法改正を契機に業界の構造改革に取り組む団体・企業の後押し」 を柱として取り組んでいくこととしております。

まず、生産性を高める取組といたしまして、様々な業界のDXを推進するため、引き続き、企業内のビジネス変革を牽引する中核的人材を育成するプログラムを実 施するとともに、新たに、今年度のプログラム参加事業者等に対し、実践支援等を行ってまいります。

あわせて、金融機関や商工団体などの地域の支援機関と連携し、中小企業等におけるデジタルツールの共同利用に向けた課題の整理や仕組みの検討を行ってまいります。

次に、労働供給を高める取組といたしまして、外国人材の円滑な受入れや定着に向けて、育成就労制度の開始を見据えた日本語の学習支援などに新たに取り組むとともに、企業に対し、処遇改善等に関する意識変革のための勉強会の開催や相談対応に加え、良好な住宅確保などを支援し、外国人材から選ばれる広島県を実現してまいります。

また、働きたい人全力応援ステーションにおきまして、全世代の求職者に対し、キャリアコンサルティングから就職までをワンストップで支援することにより、求職者の就業を促進してまいります。

このほか、業界個別の支援といたしまして、トラック運送業界において、法改正 により多重下請構造の是正や荷待ち時間の削減等を進めるための規制的措置が講じられることから、こうした法改正の対応に必要となるデジタル技術の導入支援を行ってまいります。

また、建設業界におきましては、下請け事業者への労務費や工期等のしわ寄せが行われないよう、改正建設業担い手3法の周知や建設業者への指導など、改正法の適切な運用を行ってまいります。

介護業界におきましては、様々な介護テクノロジーを活用した生産性向上の先進 モデル施設を育成し、省人化などの導入効果や優れたサービス提供事例を横展開す ることにより、介護事業者のテクノロジー導入に向けた意識改革と更なる行動変容を促し、介護現場のDXを加速させてまいります。

製造業界におきましては、県内製造事業者に対し、専門家チームを活用し、産業用ロボット等の省力・自動化システムの導入を始めとする、生産工程の全体最適化 に向けた伴走支援を実施してまいります。

加えて、企業立地促進助成制度において、これまで助成条件としていた雇用要件を廃止することで、人手不足の中で省人化のための設備導入を行おうとする事業者 が、従業員を新たに採用しなければならないという制度上の矛盾を解消し、生産工程の最適化を叶えられるよう、経費支援を行い、製造業界の生産性の向上につなげてまいります。

交通事業者に対する支援といたしましては、運転士等の採用や、女性用トイレ・ 更衣室の設置など職場環境整備の支援を進めてまいります。

医療従事者の確保につきましては、次代を担う若手医師の確保・育成や医師偏在の是正を図るため、医学生への奨学金の貸付及び一定期間の県内の中山間地域等に おける医師業務への従事による奨学金の返済免除などの取組を実施してまいります。

広島空港の空港業務に関する人手不足に関しましては、引き続き、グランドハンドリング事業者に対し、体制整備に要する経費の一部を支援してまいります。

こうした取組により、本県の持続的な経済成長や県民の皆様の安心・安全な暮らしの確保に向け、各業界における人手不足の解消を目指してまいります。 次に、AI活用をリードする取組についてでございます。

「ひろしまAIサンドボックス」におきましては、昨年 12 月から、本事業の内容 を理解し、AIソリューションの活用を具体的にイメージしていただくため、県内 企業向けの説明会を開催しております。

また、県内企業等からはAI技術を活用して解決したい課題を、県内外のAI開発者からは広島で実証してみたいアイデアの募集を行っており、募集後には、両者のマッチングを進め、広島発のAIソリューションの開発や実証を支援してまいります。

産学官の連携による高校生向けの教育プログラム「ひろしまAI部」におきましては、企業訪問等を通じて、実社会でのAIの活用可能性の探求に取り組んでおり、 来月には、AIを活用した社会課題の解決をテーマにアイデアを競い合う「HIROSHIMA AI PITCH ピッチ 」を開催いたします。

来年度は、AI研究の第一人者である東京大学松尾教授の研究室の監修により、 生徒の学習レベルに応じた新しいカリキュラムに改編することとしており、更なる 参加校の拡大を図ってまいります。 また、中・高等学校の英語教育の強化に向けまして、会話練習、家庭学習と授業との連携モデルの構築や、その実践の普及など、教員の指導とAIとの効果的な組合せの研究を進めてまいります。

「広島AIラボ」につきましては、引き続き、企業や大学、研究室へのAI技術 の最新動向調査などを実施するとともに、県内外の様々な主体との共創を通じ、AIのポテンシャルを創発することにより、社会課題の解決につながる活用方法を探求してまいります。

また、オープンデータを活用した生成AI環境といたしまして、広島の暮らしの魅力を発信する「HIROBIRO ヒロビロ 」や、空き家にまつわる情報を提供している「みんと。」などのホームページに掲載された移住関連情報を横断的に回答するシステムの構築を進めており、今後、サービスを提供してまいります。

これらのAIを活用した取組を含め、引き続き、「仕事・暮らし」、「地域社会」、「行政」の各分野でDXの推進に取り組んでまいります。

次に、観光の更なる振興についてでございます。

観光産業におきましては、昨年の宮島への来島者数が過去最高となったほか、推計ではございますが、本県の総宿泊者数が 11 月までで、コロナ前の令和元年と比較 すると 104%、前年比では 105%、中でも外国人宿泊者数は、令和元年比では 149%、 前年比では 139%となっており、コロナ禍からの回復傾向にございます。

こうしたインバウンド需要の高まり等を契機とし、大阪・関西万博及び世界バラ会議福山大会の開催を見据え、多様化する観光客のニーズに対応した付加価値の高いプロダクト開発や、関西、福岡及び首都圏からの流入率増加に向けた観光団体と連携したプロモーションなどの観光施策を推進し、更なる誘客促進を図ってまいります。

さらに、県内の多様なステークホルダーとの共創による「おいしい!広島」の実現に向けた機運の高まりを生かし、本県の多彩な食資産の価値・魅力を更に高める とともに、首都圏等の食への興味関心が高い層をターゲットに、様々なメディアを活用して本県の食の魅力を発信することで、県内外からの広島のおいしいイメージ を醸成し、広島のブランド価値の向上を図り、観光消費額の増加や農林水産物の消 費拡大につなげてまいります。

また、旅行者の満足度や利便性を高めるための新たな観光振興財源となる、宿泊税につきましては、令和8年4月からの導入を目指しており、円滑な開始に向け、 制度の周知・広報、特別徴収義務者に対する説明会及びレジシステム改修等への支援などを実施してまいります。

観光振興に資する交流・連携基盤の強化につきましては、広島空港の国際線では、 香港線が先月から1往復増便され、週4往復運航されているほか、空港へのアクセ スにつきましては、実証実験を経て、昨年12 月から広島空港と宮島口及び五日市駅を結ぶ路線の運行が正式に開始されており、引き続き、広島国際空港株式会社と連携し、広島空港の更なる利便性の向上に取り組んでまいります。

クルーズ客船の受入れにつきましては、来年度の広島港における寄港回数は、今 年度を大幅に上回り、過去最高となる見込みであり、引き続き、クルーズ客船の誘致を通じた地域活性化に取り組んでまいります。

次に、被爆・終戦 80 年における平和の取組についてでございます。

核兵器をめぐる国際情勢が厳しさを増す中、昨年、日本被団協がノーベル平和賞 を受賞され、さらに、今年は被爆 80 年を迎え、被爆地広島への注目が高まる重要な節目であることから、この機会を捉え、核兵器廃絶に向けた国際的な機運が高まるよう、本県の取組を大きく進展させてまいりたいと考えております。

具体的には、主に4月から6月にかけて「世界のリーダーが集い、未来と平和を 語るプロジェクト」、主に7月から9月にかけて「若者達が集い、未来に平和をつな ぐプロジェクト」と銘打って、それぞれ国際会議の開催や人材育成プログラムなど を切れ目なく実施することで、広島からインパクトのある平和メッセージの発信を 集中的に行ってまいります。

また、年間を通して、NPT運用検討会議準備委員会を始め、様々な国際会議などの機会を活用し、核抑止に頼らない安全保障のあり方や、持続可能性と核兵器問題のつながりについて、各国政府、市民社会、研究機関などに積極的に働きかけ、「核軍縮と持続可能性に関するフレンズ会合」の設置準備などを進めてまいります。

さらに、その他関連事業といたしましては、4月に開催されるアーバンスポーツ 大会「アーバンフューチャーズ広島」において、日本を代表する選手が広島に集結し、スポーツの力で平和の願いを発信してまいります。

核兵器のない平和な世界の実現に向けた大きな弾みの年となるよう、「へいわ創造機構ひろしま」を始め、様々な主体と連携して、着実に取組を進めてまいります。

それぞれの欲張りなライフスタイルの実現

次に、「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」についてでございます。

はじめに、地域医療構想の実現に向けた取組についてでございます。 高度医療・人材育成拠点の整備に向けましては、令和5年9月に基本計画でお示した建築工事費等が、物価や人件費の上昇により高騰することが見込まれることから、JR広島病院棟の活用手法の見直しなどについて検討を行い、その結果を踏まえて基本設計を進めるとともに実施設計に着手してまいります。

また、本年4月1日を目指している地方独立行政法人の設立に向けましては、法 人への資金の貸付け及び県債の償還事務の経理の適正化を図るため、特別会計を設 置する条例案を今次定例会に提出しております。 さらに、高齢化等による救急需要の増加が見込まれることを踏まえ、救急搬送の 迅速化や業務効率化などを図るため、救急隊と医療機関が傷病者情報等のデータを 連携・活用できる仕組みを構築し、救急医療体制の強化に取り組んでまいります。

引き続き、全国トップレベルの医療の提供や、中山間地域を始めとする県内全域 の医療提供体制の確保を目指してまいります。

次に、教育分野につきましては、国際バカロレアの認定を受け、在籍する全ての生徒がその教育プログラムを履修し、本県の「学びの変革」を先導的に実践する役 割を果たしている広島叡智学園においては、開校から6年を迎え、3月には、第1期の卒業生を輩出いたします。

第1期生のこれまで積み重ねた学びの集大成が、希望する進路の実現につながる よう、サポートを続けるとともに、広島叡智学園で培った「学びの変革」に基づく 実践から得られた成果等を他の学校にも広め、子供たちが新たな時代を生き抜くた めに必要な資質と能力の定着を図ってまいります。

また、高校生スポーツ最大の祭典である全国高等学校総合体育大会、通称インターハイを、本年7月から8月にかけて中国地方を中心に8道県で開催いたします。 高校生によるおもてなしや機運醸成に向けた取組など、高校生による高校生のための安全・安心で一生心に残る大会の実現に向けて、準備を進めてまいります。

次に、地震防災対策につきましては、広島県地震被害想定を見直すとともに、能 登半島地震で顕在化した課題などを踏まえた対策の強化について検討しており、とりわけ、被災者支援の強化に向けては、有識者などの御意見を伺いながら進めております。

特に、着手可能な対策については順次実施することとしており、大規模地震の発 生を想定した図上訓練等の充実や孤立集落等における通信及び物資輸送の強化、緊急輸送道路のネットワーク強化に向けた法面対策や橋梁耐震補強などに取り組んで まいります。

また、建築物の耐震化を更に促進するため、国に対し、補助制度の拡充を働きかけるとともに、大規模建築物等の所有者に対し、速やかに地震に対する安全性を確保するよう指導してまいります。

さらに、避難所における良好な生活環境を確保するため、段ボールベッド及びテント式パーティションの備蓄を行い、避難所開設時に、市町と連携して、より迅速 に対応できる体制を整備してまいります。

激甚化・頻発化する水災害への対策といたしましては、来年度新たに、東広島市・ 呉市を流れる黒瀬川流域を特定都市河川流域として指定するよう手続を進めるなど、 法的枠組みを活用して流域治水の実効性を高め、早期に地域の治水安全度を向上させてまいります。

引き続き、関係者と連携・協力しながら、ハード・ソフトが一体となった防災・ 減災対策の充実・強化に取り組んでまいります。

次に、交流・連携基盤の強化についてでございます。

広島空港への貨物専用機の就航は、県内事業者の貨物輸送の選択肢の拡大など、物流環境の改善に寄与するものと考えており、先月、貨物専用機の試行運航を開始 いたしました。

今後、事業者と連携しながら、オペレーション体制や事業採算性等を検証し、定期運航化を目指してまいります。

主要地方道鞆松永線鞆未来トンネルにつきましては、3月 30 日に開通予定であり、これにより、町中を通過する交通量が減少し、生活道路として利用される地域の皆様の安全性の向上が図られるものと考えております。

引き続き、福山市と連携しながら、交通・交流拠点等の整備など、鞆のまちづくりを着実に進めてまいります。

次に、環境対策につきましては、海洋プラスチックごみ対策として、「GREEN SEA瀬戸内ひろしま・プラットフォーム」と連携し、ワンウェイプラスチックの削減や代替素材製品の社会実装化を促進するため、新たにモデル地区において、製品・サービス等の市場拡大を図るとともに、消費者の意識変革・行動変容に向けた情報発信に取り組んでまいります。

次に、生産性の高い持続可能な農林水産業の確立につきましては、多様な業種の企業が連携し、新たな「食」のビジネスを創出する取組において、新商品や新サービスの提供が進み、参画する企業や経営体の売上額増加などの成果が出始めており、 来年度は、様々な事業者が集まる場を活用して成果や課題を発信することで、更な るビジネスアイデアの創発を促してまいります。

超過堆積しているかき殻につきましては、漁場環境改善への利用の外、今後は、リサイクル製品の開発など、新たな用途の創出にも取り組んでまいります。

次に、持続可能な中山間地域の実現につきましては、市町との密接な連携の下、 住民の皆様の話合いに基づく対応への合意形成のサポートや、住民自治組織が行う地域の課題解決の取組への支援など、将来の地域の変化に的確に対応すべく、様々な取組を進めております。

中でも、集落の自治活動の担い手を確保するため、「ひろしま里山・チーム500 ごーまるまる 」 を中心としたこれまでの取組に加え、来年度は、新たに、都市部住民の皆様と中山間地域のつながりづくりに向け、ワークショップの開催や、地域づくり活動実践者や市町が行う取組を支援してまいります。

また、「第2期広島県中山間地域振興計画」が来年度をもって終期を迎えることか ら、引き続き、中山間地域の振興に向けて、県民の皆様、市町、県が密接な連携の下、 総合的な取組を進めていくため、次期計画を策定してまいります。

4.当面する県政の諸課題への対応

次に、「当面する県政の諸課題への対応」について、御報告いたします。 まず、先月、埼玉県で発生した道路陥没事故につきましては、下水道の管路損傷が原因とみられることから、県及び市町において緊急自主点検を実施したところであり、点検の結果、生活に大きな影響を及ぼすような直径2メートル以上の下水管については、県、市町とも、現時点で管路に穴が空いているなどの異常は認められませんでした。

引き続き、法令・指針等に基づき、県が管理する管路の計画的な点検を実施し、必要な対策を講じるとともに、市町に対しても同様に働きかけ、事故を未然に防ぐよう努めてまいります。

「芸備線再構築協議会」につきましては、先月、第4回幹事会が開催され、調査事業の中間報告が行われたところであり、今後は、来月開催予定の協議会に向け、 実証事業の方向性の取りまとめなど、総合的な分析が実施されることとなっております。

こうした中、本県からは、実証事業が芸備線の可能性を最大限追求することを目的としていることを踏まえ、実施の前提として、通勤・通学や観光で利用しやすい時間帯のダイヤ変更や増便などが必須であることを申し入れたところでございます。

また、国に対しては、再構築協議会の議論を進める上での大前提である「全国的な鉄道ネットワークのあり方の整理」について、次の協議会で示されるよう求めており、引き続き、全国知事会などとも連携し、国に訴えてまいります。

次に、三原市の産業廃棄物最終処分場からの浸透水の水質が廃棄物処理法の基準 を超過した件につきましては、現在、事業者に対し、原因の究明と対策を求めており、今後とも、地域住民の皆様の御懸念を重く受け止め、廃棄物処理法に基づく指導の徹底や、三原市とも連携した処分場下流水路の調査の継続など、不安の軽減や解消に努めてまいります。

瀬野川水系からPFOS等が検出された件につきましては、これまで、防衛大臣や在日米国大使館に対し、米軍による敷地内の環境調査の実施について求めたとこ ろであり、今後も県民の皆様の安心・安全のため、東広島市と連携して取り組んでまいります。

放置艇の解消に向けましては、「放置艇解消のための基本方針」に基づき、放置等禁止区域及び小型船舶用泊地の指定を進めてきたところであり、今年度末には、指定がおおむね完了し、必要隻数分の係留保管場所を確保できる見通しとなっております。

こうした状況を踏まえ、予定どおり、来年度から小型船舶用泊地の使用料徴収を開始するとともに、廃船処理や撤去指導を強化し、放置艇の解消に取り組んでまいります。

5.令和7年度当初予算案等の概要

次に、令和7年度当初予算案の概要を申し上げます。

まず、持続可能な未来を切り拓く5つのテーマに係る重点施策に 151 億円、それぞれの欲張りなライフスタイルの実現に 759 億円、物価高への対応に 101億円を計上するなど、重点施策へ経営資源を集中的に配分したところでございます。

この結果、来年度の一般会計当初予算の規模は、総額1兆 898 億円となり、対前年度比 58 億 7,000 万円、0.5%の減となっております。

予算以外の議案といたしましては、「広島県企業版ふるさと納税基金条例」など条例案 20 件、人事案件といたしまして、「広島海区漁業調整委員会委員の任命の同意 について」の 1 件、その他の議案では、「工事請負契約の締結について」など 13 件を 提出しております。

また、報告事項として、専決処分報告などを提出しております。

どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお 願いいたします

追加議案(令和7年2月21日)

ただいま追加提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明いたします。

まず、令和6年度の一般会計補正予算案の概要を申し上げます。

国の補正予算を活用し、持続可能な未来を切り拓く5つのテーマに係る重点施策 や、それぞれの欲張りなライフスタイルの実現に向けた取組、物価高への対応等を、令和7年度当初予算と一体的に実施することとし、148億6,481万円を追加計上しております。

あわせて、事業の執行見込み等を踏まえた予算整理として、124億254万円の減額を行うこととしております。

以上の結果、一般会計につきましては、合計で24億6,227万円の増額となり、本年度予算の累計額は1兆1,369億1,099万円となります。

次に、特別会計補正予算案は10会計で、21億809万円の減額、企業会計補正予算案は3会計で、19億8,330万円の減額となっております。

また、本年度予算のうち、やむを得ず、翌年度に繰り越して実施する事業について、繰越明許費を計上しております。

どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

令和6年度2月補正予算案の概要

追加議案(令和7年3月17日)

ただいま追加提出いたしました議案は、副知事の退職に伴う後任副知事の選任につきまして、県議会の同意を求める議案でございます。

どうぞ、適切な御議決をくださるよう、よろしくお願いいたします。

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