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令和6年広島県議会2月定例会(令和6年2月13日)

印刷用ページを表示する掲載日2024年2月19日

追加議案(令和6年2月19日)はこちら

知事説明要旨

2月定例県議会の開会に当たり、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして、来年度における施策の概要及び当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。

まず、令和6年能登半島地震により犠牲となられた方々に対しまして、謹んで哀悼の意を表しますとともに、今なお避難所での生活を余儀なくされている方々を始め被災された皆様に、心からお見舞いを申し上げます。 

この国内最大クラスの地震発生に対し、本県では、捜索・救助活動を支援するための警察部隊や、医療・保健衛生に係る支援として、災害時公衆衛生チームや災害派遣医療チームなどを派遣いたしました。

また、被災地のニーズに応じ、住家被害認定調査に係る職員の派遣や避難施設への教職員の派遣、県営住宅等の無償提供を実施するなど、多岐にわたる支援活動を展開しているところでございます。

平成30年7月豪雨災害の際、全国から心温まるたくさんの御支援をいただいた感謝の気持ちも込め、今後とも、被災された方々に寄り添い、被災地のニーズを的確に把握しながら、全力で支援を行ってまいります。

また、本県におきましても、現在、国が進めている南海トラフ巨大地震による被害想定の改定内容や能登半島地震における被害の要因を踏まえ、本県における地震被害想定を見直してまいります。

さらに、耐震強化岸壁や緊急輸送道路の整備に取り組むほか、市町と連携して、住宅の耐震化を促進するなど、引き続き、防災・減災対策の充実・強化に取り組んでまいります。

 

次に、渇水の状況についてでございます。

昨年7月中旬以降の少雨により、ダムの貯水量が、平年よりも大きく下回っていることから、現在、小瀬川水系及び芦田川水系において、生活用水や工業用水などへの取水制限が実施されております。

このため、昨年12月28日に広島県渇水警戒本部を設置し、取水制限に伴う影響の把握や節水の呼びかけなどに取り組んでいるところでございます。

引き続き、今後の降雨予想やダムの貯水状況などに注視しながら、適切に対応してまいります。

1.令和6年度主要施策の概要

続いて、令和6年度の主要施策の概要について、御説明いたします。

新型コロナウイルス感染症の制約を強く受ける社会状況から脱却していく中で、経済が活発化してきており、物価高騰により実質賃金は減少する一方で、支給される現金総額は増加し、名目消費額は拡大傾向にあります。

このような中、来年度は、デフレから完全に脱却して、賃金と物価が好循環を描き、経済の体温が上がってイノベーションが活発化する経済に移行する転換点にしなければならないと考えております。

そのため、物価高騰対策をはじめ、人口減少や人手不足などの課題への対応、「安心▷誇り▷挑戦 ひろしまビジョン」の取組を加速させることで、県民や事業者の皆様とともに、広島発で、賃金と物価の好循環を起こし、経済の正のスパイラルを実現してまいります。

【物価高騰への対応】

まず、「物価高騰への対応」についてでございます。

本県経済につきましては、G7サミットの後押しもあり、インバウンドを含む観光・宿泊を中心にコロナ禍前の水準に戻りつつあり、また、製造業におきましても、供給制約の緩和により生産が回復するなど、県内景気は緩やかに回復しております。

一方で、引き続き、米国の金融引締めによる円安の影響や、中国経済の先行きが懸念されるなど海外景気の下振れ、中東やウクライナ情勢等、県内経済への影響を今後とも注視する必要があります。

こうした情勢を踏まえ、県内産業や県民生活に影響を及ぼしている物価高騰対策といたしまして、引き続き、特別高圧契約により受電した電気を使用する中小企業等や家庭業務用LPガスを使用している一般家庭及び中小企業等に対して、料金高騰の負担を軽減するなど、切れ目のない対策を実施してまいります。

【人口減少・人手不足への対応】

次に、人口減少・人手不足への対応についてでございます。

人口減少への対応につきましては、本県では、「県民の希望出生率」と「社会動態の均衡」を実現させることで、人口減少の抑制を目指しております。

一方で、本県の合計特殊出生率は、全国平均を上回っているものの低下傾向で、「県民の希望出生率」との乖離も拡大しており、子供を持ちたいという希望の実現を阻害している課題に対応した対策を講じていく必要があります。

そのため、来年度は、まず、男性の家事・育児時間と出生率に相関関係が見られることや、家庭内において女性に家事・育児負担が偏っている傾向に注目し、男女が共に家事や子育てに主体的に参画する「共育て」の定着に向けて、戦略的なプロモーション等により、男性の家事・育児参画促進に取り組んでまいります。

また、高校生や大学生を対象とした乳幼児とのふれあい体験などにより、将来を担う若年世代に対して、子育てのポジティブなイメージの浸透を図ってまいります。

さらに、本県では、「社会動態の均衡」に向けて、これまで様々な施策領域において取組を進めてきたところでございますが、コロナ禍で減少していた外国人の転入は増加に転じたものの、依然として就職や転職を要因とした転出超過が続いており、特に若年層の転出超過が喫緊の課題となっているところでございます。

そのため、来年度につきましては、若年層の転出要因について、これまでの取組の内容や成果も含めて、改めて分析し、その結果を踏まえ社会減対策の再構築を進めてまいります。

また、高校生のうちから県内企業に興味・関心を持ち、大学生の就職活動時に県内就職を選択するよう、意欲を高めるための取組や情報発信を引き続き行うほか、新たに東京圏からの転入促進を強化するため、就職活動に係る交通費の支援に取り組んでまいります。

さらに、東京圏等から広島へ移住を検討している方々に対して、オンライン上で、「都市と自然の近接性」という地域特性を生かした広島らしいライフスタイルなどを提案紹介する仕組みを強化することで、移住行動を促進してまいります。

人手不足への対応につきましては、2024年問題に直面する運輸、建設業をはじめとした人手不足が一層懸念されることから、特に深刻な業種の事業者を支援してまいります。

具体的には、交通事業者やトラック事業者等に対して女性用トイレや更衣室の設置など、女性が働きやすい職場環境の整備を支援してまいります。

また、建設事業者に対しては、一定の資格を有する建設技術者を確保するための助成金を支給するなど、人材確保に取り組む事業者を支援してまいります。

さらに、中小企業等に対しては、人手不足を緩和するとともに生産性を高める省人化・省力化に向け、AI、IoT、DXに係る生産設備等への投資の支援や介護・障害福祉分野におけるロボット導入に係る経費の支援などを行ってまいります。

引き続き、人手不足が県内産業に及ぼす影響等をきめ細かく把握しながら、様々な対策を講じてまいります。

また、直面する喫緊の社会課題である若者を中心とした転出超過や様々な業界での人手不足の解消に向けて、全庁横断的に推進するための組織体制を整備してまいります。

【賃金の上昇に向けた生産性の向上】

次に、「賃金の上昇に向けた生産性の向上」についてでございます。

来年度は、新型コロナウイルス感染症による人々の価値観や暮らし方・働き方などの不可逆的な変化を踏まえ、DXの推進や人への投資の促進、スタートアップ企業等の活性化に向けた支援など、生産性の向上につながる取組を進めてまいります。

具体的には、まず、DXの推進において、金融機関や商工団体などの地域の支援機関と連携した、民間事業者等のDXの実践を支援する環境の構築や、ビジネス変革を推進できる中核的人材を育成するための実践支援プログラムを実施してまいります。

こうした取組により民間事業者等による自律的なDXの実践を後押しすることで全県的なDXを推進するなど、全70事業、約90億円の規模で、仕事・暮らしや地域社会、行政などの各分野における取組を着実に進めてまいります。

次に、人への投資の促進につきましては、人的資本経営の先進事例や具体的なノウハウを共有する研究会を設立し、企業同士の意見交換などを通じて、県内企業の人的資本経営の理解促進に取り組んできたところでございます。

来年度は、こうした取組に加えて、生産性向上に資する社内環境整備を促進するとともに、人的資本経営研究会における金融機関等ステークホルダーとの議論を活性化し、人的資本の情報開示に係る有効な指標の標準化などに取り組んでまいります。

また、県内でのリスキリング推進に向けて、更なる機運醸成や企業での実践を支援していくため、来年度は、県内事業者に対してリスキリング実践に向けた伴走型のコンサルティング支援など、課題解決に向けた支援を行ってまいります。

さらに、働き方改革・多様な主体の活躍促進に向けて、新たに、企業における女性登用を加速させるため、女性管理職の社外交流ネットワークの構築に取り組んでまいります。

また、離転職者等の円滑な就職を支援するため、女性のデジタル人材を育成し、成長分野等への就業を促進してまいります。

加えて、外国人材の雇用に課題を抱えている企業等を対象にしたセミナーやオーダーメード型の出前講座の実施に取り組むなどにより、インクルーシブな社会の実現を目指してまいります。

スタートアップ企業の活性化につきましては、「ひろしまユニコーン10」プロジェクトにおいて、スタートアップ企業等の事業成長を支援するプログラムにて、採択企業16社に対し、昨年9月から伴走支援を行っているほか、資金調達や協業につながる機会を提供しているところでございます。

来年度は、海外進出を目指す県内スタートアップ企業等に対する支援を拡大するなど、引き続き、挑戦心のある企業の事業成長を後押ししてまいります。

これらの取組を強力に推進することで、賃金と物価の好循環を生み出し、本県が更なる成長を遂げるための活力やエネルギーを押し上げてまいります。

【それぞれの欲張りなライフスタイルの実現】

次に、「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」についてでございます。

はじめに、県民が抱く不安を軽減し「安心」につなげる取組についてでございます。

子供の健やかな育ちを支える取組につきましては、ひろしま版ネウボラにおいて、来年度から、実施市町が18市町となるほか、令和7年度からの実施に向け、新たに2市町に対して導入支援を行ってまいります。

また、ネウボラの理念に対する県民の理解を深め、利用促進を図るため、モデル市町において、動画等によるPRや施設改修に取り組んでまいります。

AIを活用した子供の予防的支援につきましては、来年度が5年間の実証期間の最終年度となり、これまで順次進めてきたシステム開発が、モデル4市町全てで完了いたします。

来年度は、モデル4市町において、児童虐待のリスクスコアを参考とし、ネウボラや教育委員会・学校と連携の上、見守りや予防的な支援を行うとともに、これまでの成果と課題をとりまとめてまいります。

児童虐待防止対策につきましては、こども家庭センターの体制強化の一環として、令和7年4月に、西部こども家庭センター及び東部こども家庭センターの支所を設置することとしており、来年度は、施設の改修工事を実施してまいります。

 

次に、持続可能な医療・介護体制の構築と健康づくりについてでございます。

地域医療構想の実現に向けた取組といたしましては、令和5年9月に策定した「高度医療・人材育成拠点基本計画」に基づき、新病院の基本設計などを進めるとともに、新病院の運営主体である地方独立行政法人の定款案及び評価委員会条例案を上程し、令和7年4月1日の設立に向けて準備を進めてまいります。

県民の健康づくりに向けた取組といたしましては、県や医療・教育機関などで構成する「ひろしま健康づくり県民運動推進会議」において、企業等と連携して、健康づくりに関するPRイベントの開催や健康情報の発信などを行ってきたところでございます。

来年度は新たに、「働く世代の健康づくり」として、健康管理を経営的視点から考え戦略的に実践する「健康経営」に取り組む企業に対してアドバイザー派遣を実施するほか、本県の女性の健康寿命が全国平均を下回っていること等を踏まえ、女性の健康課題の要因について調査分析を行い、必要な対策を講じてまいります。

地域共生社会の実現につきましては、来年度、日常生活上の様々な福祉的課題が存在する中で、その課題を抱えることに至った背景や要因、その兆しなどを調査・分析し、身近な地域での課題の早期発見と支援へつなげていくためのモデル事業を実施してまいります。

また、医療的ケア児への通学支援につきましては、今年度、試行的に実施したところ、利用した保護者から「負担の軽減につながった」といった声が上がるなど一定程度の妥当性を検証できたことから、来年度は新たに通年で実施してまいります。

治安・暮らしの安全確保につきましては、性犯罪被害者等が、被害を抱え込まず、安心して、被害直後から総合的な支援を受けることができるよう、「性被害ワンストップセンターひろしま」を設置し、24時間365日体制で電話相談対応を実施しております。

来年度は、相談対応回数の増加傾向を踏まえ、面接相談日を増やすなど相談体制を充実・強化し、性被害者等の心身の負担の軽減、健康の回復支援を一層推進してまいります。

 

次に、激甚化・頻発化する気象災害等への対応についてでございます。

令和3年豪雨により甚大な浸水被害が発生した6河川における改良復旧プロジェクトにつきましては、北広島町の冠川において本年1月に工事が完了したところでございます。

また、安芸高田市の多治比川においては、先月から工事を着手し、竹原市の本川では、年度内の工事着手に向け、河道拡幅や築堤のための用地取得を行うなど、着実に事業を進めてまいります。

流域治水につきましては、特定都市河川流域として国が指定した江の川上流域において、河川改修などのハード対策に加え、雨水貯留施設の整備や土地利用規制など、総合的な浸水被害対策をまとめた流域水害対策計画を年度内に策定し、国や市町等と連携して、浸水被害の防止・軽減を図ってまいります。

防災・減災の情報発信につきましては、インフラマネジメント基盤「DoboX」において、オープンデータの拡充やデータ利活用を進めてまいります。  

加えて、民間事業者と連携し、雨量やカメラ情報など地域ごとの必要な防災情報を一覧できる防災ダッシュボードの提供やデータ放送から防災情報を発信するなど、様々な媒体を活用したきめ細かなリスク情報を提供してまいります。

ため池の総合対策につきましては、今年度、全ての防災重点農業用ため池の診断を終える見込みであり、その結果を踏まえ、ため池の規模や下流への影響度の大きいものから優先して防災工事を進めてまいります。

工事が実施されるまでの間は、定期的なパトロールや遠隔監視システムの導入を進め、引き続き、関係市町と連携しながら農業者や地域住民の皆様の安全と安心の確保に取り組んでまいります。

野生鳥獣による農作物被害対策につきましては、更なる被害低減を目指し、県域で戦略的な鳥獣被害対策に取り組むプロフェッショナル組織に、5市町が加わり、専任者の活動内容など、市町と連携して準備を進めているところであり、4月から本格的に稼働する予定でございます。

肥料価格高騰や鳥インフルエンザ等の影響により、肥料や飼料向けの加工量が減少するなど需要が低迷しているかき殻につきましては、海の環境改善などにつながる新たな有効活用策を探っていく必要があります。

そのため、海砂採取海域への投入方法の検討、かき殻を利用した水産生物の増殖の場の造成、海底の環境改善に向けたガイドラインの策定など、将来にわたってかきの生産が安定的に行われるよう取組を進めてまいります。

また、近年瀬戸内海で大量発生しているミズクラゲ対策につきましては、発生源の調査について検討を行うとともに、ICTを活用したクラゲの発生情報の共有と駆除器具との組み合わせによる効率的な駆除方法を探っていくことで、安定的な海面漁業の操業につなげていまいります。

 

次に、県民の「誇り」につながる強みを伸ばす取組についてでございます。

G7サミットで高まった広島のプレゼンスを追い風とした「ひろしまブランド」の価値の更なる向上に向けた取組といたしまして、まず、広島和牛や瀬戸内さかななど、豊かな自然環境に育まれた多様な食資産を活かし、本県の優れた料理人や生産者と共に、その価値・魅力をさらに高め、県内外から広く共感を獲得することで、広島のおいしいイメージを醸成し、ひろしまブランドの強化を図ってまいります。

また、広島を代表する特産品である牡蠣と日本酒につきましては、EUやアジアでの更なる販路拡大を目指し、現地での商談会等の開催による新規商流の構築やプロモーションの実施による認知度向上に引き続き取り組んでまいります。

国内外からの観光客の更なる誘客促進に向けた取組といたしましては、宮島への来島者数が前年に比べ64%増え、過去最高のレベルとなるなど、本県における観光需要は、G7サミットを契機として、力強く回復が進んでいるところでございます。

この追い風を的確に捉え、来年度は、サミットで関心の高まった広島の食や平和等を重点テーマとした、付加価値の高い観光プロダクトの充実や、重点ターゲット国の旅行会社等と強いパイプを有する日本政府観光局と連携したプロモーションの強化などに取り組んでまいります。

また、令和7年に開催予定の大阪・関西万博での本県の魅力発信に向けた準備を進めてまいります。

さらに、本年10月27日には、国際サイクリング大会「サイクリングしまなみ2024」を開催することとしており、世界に誇るしまなみ海道の魅力を国内外からの参加者の皆様に存分に楽しんでいただき、更なる誘客促進につなげてまいります。

広島空港の国際線につきましては、昨年10月からソウル便がデイリー運航となり、さらに、先月12日からは、毎日2往復に増便されたところでございます。

こうした動きは、利用者の選択肢が広がることから、利便性がさらに向上し、これまで以上に韓国と本県との交流が活発になるものと大いに期待しております。

今後も、空港運営権者である広島国際空港株式会社と連携し、広島空港の国際航空ネットワークの回復による、更なる利便性の向上に努めてまいります。

そのほか、クルーズ客船の受入れにつきましても、広島港宇品外貿ふ頭において、クルーズ客船の大型化や出入国検査等に対応するため、クルーズターミナルの整備を進めており、来月末に施設が完成する予定でございます。

これにより、一度に大勢の乗客をスムーズに受け入れる体制が整うことから、更なるクルーズ客船の誘致を通じて地域の活性化につなげてまいりたいと考えております。

こうした取組により、観光地としての「ひろしまブランド」の価値向上と更なる観光客の増加の好循環を実現し、観光が本県経済の成長を支える産業の一つとなることを目指してまいります。

 

次に、平和の取組についてでございます。

昨年開催されましたG7サミットでは、被爆地広島から世界に向けて力強く平和のメッセージが発信されました。

一方で、イスラエル・パレスチナの武力闘争や、ロシアによるウクライナ侵略が長期化する中で、核兵器による威嚇や軍拡に向けた動きが加速するなど、国際情勢が混迷を深めております。

被爆・終戦80年を迎える2025年は、被爆地広島への注目が一層高まるとともに、国連においては、次期開発目標の議論も本格化していくことが期待されます。

こうした機会を相乗的に生かし、核抑止に替わる新たな安全保障政策づくりを一層推進するため、来年度は、海外研究機関等と連携し、防衛や安全保障の専門家を交えた対面によるワークショップを実施いたします。

また、NPT運用検討会議準備委員会等での賛同者拡大に向けた働きかけや、各国政府関係者をメンバーとする、核軍縮と持続可能性に関する「フレンズ会合」の設置に向けた準備を引き続き進めてまいります。

さらに、多様な主体の参画を促していくため、被爆・終戦80年の節目に開催する世界平和経済人会議の準備などに取り組んでまいります。

こうした取組を「へいわ創造機構ひろしま」を主体として着実に進め、核兵器のない平和な世界の実現に、具体的に貢献してまいります。

 

次に、県民一人一人の夢や希望の実現に向けた「挑戦」を後押しする取組についてでございます。

新成長産業の創出につきましては、健康・医療関連分野において、広島大学発のスタートアップ企業が進めるアレルギー物質を減らした卵に関する研究開発が昨年12月に国の大型補助事業に採択されたところでございます。

これにより、取組が加速するものと大いに期待しており、県としても引き続き、関連産業の集積促進に向けた支援を強化してまいります。

イノベーションを生み出す人材の育成につきましては、県内高校生を対象に、AIなどのデジタル技術を活用し、社会的課題等を解決していくための教育プログラムを産学官で連携して実施してまいります。

また、県内大学・短大の学生が必要なデジタルリテラシーを修得できる環境の整備に向けて、今年度、県立広島大学や叡啓大学と連携し、デジタル分野に係る基礎的な「リテラシーレベル」の動画教材の提供や専任教員の派遣など、県内大学等を支援したところでございます。

来年度は、より難易度の高い「応用基礎レベル」に係る支援をスタートさせるほか、広島工業大学等との連携による公開講座の拡充など取組を強化してまいります。

さらに、次代の産業を支える専門高校生等が産業界で必要な資質・能力を習得できる環境の整備に向けて、来年度は、学校と産業界をつなぐコーディネーターを新たに専門高校等に配置し、高度な知識技能を持つ外部人材を学校に招聘することで、産業界のニーズや将来的な社会変化に対応した職業教育の充実を図ってまいります。

 

次に、農林水産業の分野におきましては、ひろしま型スマート農業の実装に向けて、令和3年度に開始したテーマに係る技術の費用対効果を検証し、中山間地域に対応した収益性の高い経営モデルを作成したところでございます。

来年度は、関係機関と連携して、アドバイザーを派遣するなど伴走支援を行い、多くの農業者に対して普及し、令和4年度、5年度に開始したテーマにつきましては、引き続き実証試験を行い、農業者の皆様の意見を踏まえ技術を改良してまいります。

水産業のスマート化につきましては、かき養殖では採苗から収穫まで安定的で効率的な生産管理ができるよう、システムの改善と生産者への普及を図ってまいります。

海面漁業につきましては、ICTを活用した定置網の遠隔監視など、操業の効率化につながる技術の普及に加え、操業デ-タの見える化による新規就業者向けの研修プログラムの開発に取り組んでまいります。

 

次に、ネット・ゼロカーボン社会の実現に向けた取組についてでございます。

カーボンリサイクルにつきましては、昨年9月の「カーボンリサイクル産学官国際会議」の広島開催により本県への注目度が増していることから、11月には県単独で、先月には国の大崎上島実証研究拠点と連携して、セミナーを開催し、本県の取組を発信したところでございます。

来年度は、広島県カーボン・サーキュラー・エコノミー推進構想に基づき、研究・実証支援制度の拡大や協議会を通じた企業等のマッチングによる研究・事業化の促進に取り組んでまいります。

また、令和7年度以降の取組方針を定めるため、国内外のカーボンリサイクルの最新情勢を踏まえ、推進構想の改定に着手してまいります。

カーボンニュートラルを起点とした事業変革に向けましては、「ひろしまものづくりカーボンニュートラルビジネスプロジェクト」を今年度スタートさせ、企業ニーズに応じたコンサルティング支援等を実施してまいりました。

来年度は、サプライチェーン等における企業間連携の強化を図るため、多様な企業参画によるワークショップの開催や実証支援を通じて、県内企業のカーボンニュートラルへの取組を拡大・加速させてまいります。

地球温暖化対策の推進につきましては、「広島県地球温暖化防止地域計画」に基づき、省エネ対策として、家庭における省エネ機器導入に向けた支援や、中小企業に対する省エネの設備改修を促進するための支援を、引き続き実施してまいります。

また、再エネの導入促進といたしまして、新たに、自家消費型太陽光発電の普及モデルの構築や、水道施設における未利用小水力の活用などに取り組んでまいります。

 

次に、スポーツ・文化の振興についてでございます。

スポーツの振興につきましては、現在、「第3期スポーツ推進計画」の策定を進めており、来年度は、小学校期に、個々の資質や志向に応じた運動体験や好きなスポーツを見つける取組を実施し、中学校期の取組につなげることで、子供たち一人一人の夢や希望への挑戦に対し支援してまいります。

また、県民の皆様が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む基盤として、日常的にスポーツに親しむ機会を創出する取組を進めてまいります。

文化の振興につきましては、地域での魅力的な文化芸術イベントの充実などに向け、県内全市町が参加する「広島県公立文化施設ネットワーク」を通じて、各市町の文化資源や取組事例の共有を図っているところでございます。

来年度は、引き続き、このネットワークを活用して、県外の優良事例を学ぶ勉強会など、各市町における文化芸術事業の企画・運営能力の向上などを支援してまいります。

また、G7サミットを契機に、広島神楽の公演や縮景園への外国人来場者が増加している機会を捉え、これら本県の誇る文化の魅力を国内外へ発信してまいります。

 

次に、「特性を生かした適散・適集な地域づくり」についてでございます。

持続可能な中山間地域の実現に向けましては、地域に根差したリーダーを育成・確保する必要があることから、昨年末時点で登録者が677名に達した「ひろしま里山・チーム500」の活動を継続・発展させる取組として、産学金官で構成する「さとやま未来円卓会議」等による相談対応を引き続き行ってまいります。 

また、新たに、地域課題解決手法に関する学習機会を創出するなど、地域づくりの活動実践者の確保に向けて、一層取組を進めてまいります。

さらに、デジタル技術を活用したサービスを通じて身近な生活課題の解決を図る市町の取組を支援し、新しい暮らしのモデルを中山間地域全体に普及させるため、これまで実装したモデル事業の横展開に取り組むほか、市町に共通する課題を、デジタル技術を活用して解決する共同実施の仕組みを検討してまいります。

集落対策につきましては、持続可能な地域運営の仕組みや住民の皆様が安心して暮らせる生活環境の在り方等について、今年度、有識者による検討会議を立ち上げ、議論していただいたところでございます。

この検討結果を踏まえ、来年度は、地区・集落住民の合意形成のサポートや、基礎的な生活サービスの確立など、早期に着手すべき対策について、先行して取り組んでまいります。

 

次に、魅力ある都心空間の創出についてでございます。

広島市都心につきましては、広島サッカースタジアムが2月1日に開業し、隣接する広場エリアも本年8月の完成に向けて整備が進められ、広島城三の丸においても、商業施設や多目的広場の整備が進められるなど、新たな賑わい拠点整備に向けた取組が着実に進んでいるところでございます。

また、昨年12月には、民間企業などまちづくりに関わる様々な関係者で構成される広島都心会議において、民間主体で都心部の目指すべき姿などをまとめた「広島都心会議ミライビジョン2030」が発表されたところでございます。

福山駅周辺地区につきましては、ウォーカブルなまちなかの形成に向けて、民間主体で一部の道路を歩行者専用にして飲食ブースを設置するなどの社会実験が実施されるほか、三之丸町の旧キャスパ等跡地の再開発が3月末に竣工予定であるなど、福山駅周辺の再生に向けた取組が進められているところでございます。

引き続き、福山市や広島市等と連携して、広島市都心の活性化や福山駅周辺地区の拠点性の向上に向けて取り組んでまいります。

公共交通につきましては、人口減少による需要の縮小や、交通事業者の収支悪化、人手不足等の供給面の課題など、より一層深刻さを増しているところでございます。

こうした課題に対応していくためには、交通事業者や市町、利用者などの関係者が中長期的な視点を持ちながら公共交通の目指す姿を共有し、一体的に取り組む必要があることから、現在、「広島県地域公共交通ビジョン」の策定を進めているところでございます。

今後は、このビジョンに基づき、持続可能な地域公共交通の構築に向けて、取組を進めてまいります。

2. 当面する県政の諸課題への対応

次に、当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。

まず、広島高速5号線についてでございます。

シールドトンネル工事につきましては、住宅地区間を先月上旬に通過したところであり、引き続き、安全・安心を第一に工事を進めているところでございます。

また、受注者から建設工事紛争審査会に調停申請されていることにつきましては、事業主体である広島高速道路公社や広島市と連携し、適切に対応してまいります。

引き続き、住民の皆様の不信や不安を可能な限り払拭できるよう、適切かつ丁寧な対応に努めながら、着実な事業推進に取り組んでまいります。

 

次に、ローカル鉄道についてでございます。

JR芸備線の再構築協議会につきましては、本年3月に第1回の開催が決定したところでございます。

今後、本県といたしましては、広域的な観点から、芸備線と沿線地域の活性化を含めた幅広い議論が行われ、芸備線の利用につながる交通手段の転換や、新たな需要の創出ができるよう、地域の実態を踏まえた移動量などのデータを基に、様々な関係者と連携・協働し、調査や実証事業を行うよう提案してまいりたいと考えております。

また、「内部補助の枠組整理を踏まえた全国的な鉄道ネットワークの方向性」や、JRの代替交通への責任などの「実質的な持続可能性」について、可能な限り早期に整理いただくよう、引き続き、国へ要望してまいります。

日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区につきましては、現在、日本製鉄において、設備の解体撤去中であり、全設備の解体撤去には、10年規模の期間が必要と示されておりますが、地域経済、雇用へ大きな影響があることから、速やかに跡地の利活用を検討する必要がございます。

このため、県、呉市、日本製鉄をメンバーとして、呉地区構内に係る跡地利活用についての検討を本年4月から開始するとともに、呉市と協力して、跡地の利活用の方向性や将来性のある産業について調査を行うこととしております。

引き続き、関係機関としっかりと連携し、地域活力再生に取り組んでまいります。

 

次に、「出島産業廃棄物処分場」についてでございます。

出島処分場につきましては、地元の皆様との協定に基づく廃棄物受入期間での埋立を終了することが困難となっているため、地元の皆様の御理解を得て、受入期間を10年間延長することとした変更協定書を先月末に締結したところでございます。

引き続き、処分場の管理・運営を行っている広島県環境保全公社と連携し、受入廃棄物の確保による受入期間の短縮に努め、環境対策を徹底することで、地元の皆様の御理解を得ながら、適正な処分場の運営に取り組んでまいります。

 

次に、「旧広島陸軍被服支廠」についてでございます。

旧広島陸軍被服支廠につきましては、先月19日に文化庁から国の重要文化財への指定を受けたところでございます。
それに伴い、文化庁の補助金による財政支援が得られる見込みとなったほか、広島市とも財源負担に関する調整が整ったことから、県所有の3棟を保存するとともに、建物の安全対策を実施してまいります。

3. 令和6年度当初予算案等の概要

次に、令和6年度当初予算案の概要を申し上げます。

まず、それぞれの欲張りなライフスタイルの実現に715億円、物価高騰への対応に86億円、人手不足への対応に82億円を計上するなど、重点施策へ経営資源を重点的に配分したところでございます。

この結果、来年度の一般会計当初予算の規模は、総額1兆957億円となり、対前年度比446億2,000万円、3.9パーセントの減となっております。

予算以外の議案といたしましては、「地方独立行政法人広島県立病院機構評価委員会条例」など条例案17件、その他の議案では、「工事請負契約の締結について」など15件を提出しております。

また、報告事項として、専決処分報告などを提出しております。

どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決を賜りますよう、よろしくお願いいたします。​

追加議案(令和6年2月19日)

ただいま追加提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明いたします。

まず、令和5年度の一般会計補正予算案の概要を申し上げます。

国の補正予算を活用し、それぞれの欲張りなライフスタイルの実現に向けた取組や物価高騰・人手不足への対応を、令和6年度当初予算と一体的に実施することとし、102億8,236万円を追加計上しております。

あわせて、新型コロナウイルス感染症対策や社会保障関係費などの事業費の確定に伴い、減額の対応を行うとともに、公共事業につきましても、国の認証や事業内容の調整などによる事業費の確定に伴う減額を行うなど、793億3,163万円の減額の整理を行うこととしております。

また、本年度予算のうち、やむを得ず、翌年度に繰り越して実施する事業について、繰越明許費を計上しております。

以上の結果、一般会計につきましては、合計で690億4,927万円の減額となり、本年度予算の累計額は1兆1,411億4,493万円となります。

また、特別会計補正予算案は10会計で、23億9,135万円の減額、企業会計補正予算案は3会計で、15億7,649万円の増額となっております。

予算以外の議案といたしましては、教育委員会教育長の任命につきまして県議会の同意を求める議案を提出しております。

どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

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