12月定例県議会の開会に当たり、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして、本年度主要施策の取組状況及び当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。
まず、新型コロナウイルス感染症等への対応についてでございます。
はじめに、最前線で県民の皆様の尊い命と健康を守っていただいている医療関係者の皆様に、深く感謝申し上げます。
本県では、過去にない爆発的な感染拡大となった第7波に対しまして、国の方針も踏まえ、可能な限り新たな行動制限は行わず、医療で受け止める方針の下、医療機関の御協力をいただき、最終フェーズまで病床を拡大するとともに、「医療非常事態警報」の発出や「陽性者登録センター」の開設などの対策を実施し、何とか8月下旬にピークアウトすることができました。
しかしながら、10月下旬以降、再び新規感染者数の増加が継続しており、この冬には季節性インフルエンザとの同時流行の可能性や、オミクロン株のBQ.1系統などの新たな変異株への置き換わりも危惧されております。
こうした状況を踏まえ、本県では、一日最大2万人を超える発熱患者等が生じるという想定の下、11月に「外来医療体制整備計画」を策定し、医師会等関係機関の御協力をいただきながら、県民の皆様が安心できる保健医療体制を準備しているところでございます。
あわせて、ワクチン接種の促進や検査体制の整備などにより、医療体制のひっ迫を防ぎながら、重症化リスクのある高齢者等を守る対策を充実させるとともに、県民や事業者の皆様に、基本的な感染防止対策への協力を呼びかけてまいります。
ワクチン接種につきましては、オミクロン株に対応したワクチンを12月4日現在、約57万人の方が接種を完了しており、引き続き、県民の皆様に速やかに接種いただけるよう、環境整備や適時・適切な情報提供を行ってまいります。
また、「外来医療体制整備計画」に基づきまして、今後、発熱患者等の急増に伴い、外来受診体制がひっ迫する事態となった際には、重症化リスクの低い方が医療機関を受診することなく自宅等において自己検査が行えるよう、抗原定性検査キットを無料配布するとともに、多くの医療機関が休診となる年末・年始等における外来受診体制の確保を図るため、必要な経費を12月補正予算に計上しております。
今後、さらに感染拡大が進行し、入院患者の増加や医療従事者にも欠勤者が多数発生するなど医療の負荷が増大した場合には、高齢者等の重症化リスクのある方を守るためにも、県民や事業者の皆様に対しまして、より慎重な行動や人との接触の機会の低減などの要請・呼びかけも検討してまいります。
次に、県内経済対策についてでございます。
本県経済につきましては、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行が進み、酒祭りやひろしまフードフェスティバルなど、県内各地のイベントが久しぶりに通常開催されるなど、社会経済活動が正常化に向かう中、個人消費を中心に持ち直しの動きがみられております。
一方、米国の金融引締めにより、10月には、1ドル=150円台という、約32年ぶりの水準を更新するなど、円安が大きく進行しております。
これに伴い、輸入物価が大きく上昇し、ロシアによるウクライナ侵略を背景とした原材料やエネルギー、食料品等の価格高騰に更に拍車がかかり、価格転嫁の困難な企業の収益や家計を圧迫しております。
こうした状況を踏まえ、9月補正に引き続き、物価高騰対策を講じ、足元の経済の持ち直しを確実なものとしていくために、必要な経費を12月補正予算に計上しております。
具体的には、「物価高騰による影響緩和」といたしまして、公的価格により経営を行っている社会福祉施設や医療機関等に対し、光熱費や食材費の高騰額の一部を支援してまいります。
また、肥料価格の高騰による影響を受けている農業経営体に対し、県独自で肥料購入金額の一部を支援するほか、学校給食用の生乳を供給している酪農経営体に対するコスト上昇分の一部支援を実施してまいります。
さらに、「ネットゼロカーボン等の取組の後押し」として、運輸事業者に対するエコタイヤ・環境対応車等の導入支援や、カーボンニュートラルに対応した応用・実用化開発支援に取り組むとともに、「経済の発展的回復」といたしまして、インバウンド観光客の受入環境整備を行う飲食事業者への支援などに取り組んでまいります。
次に、G7広島サミットへの対応についてでございます。
本年7月に設置した官民連携組織である「広島サミット県民会議」で定められた取組の基本方針である「安全・安心で円滑なサミットの開催支援」、「おもてなし」、「平和の発信」、「広島の魅力の発信」、「若者の参画」の5つの柱に沿って、着実に準備を進めているところでございます。
まず、「安全・安心で円滑なサミットの開催支援」の取組といたしましては、サミット期間中のスタッフ等の宿泊や食事を安定的に供給するための宿泊予約センターの設置や、弁当供給センターの準備を進めているところでございます。
また、サミット期間中の消防特別警戒体制の構築や救急医療体制の整備、各国要人等の移動ルートにおける公共インフラの整備、要人警護等の警備体制の構築など、安全・安心かつ円滑なサミットの開催に向けた体制整備に着手しております。
次に、「おもてなし」の取組といたしましては、昨日、サミットまで150日前イベントとして、県民の皆様にサミットの趣旨や意義、開催効果などについて理解を深めていただくサミットフォーラムを開催したほか、広島駅などの交通の要所等へのカウントダウンボードの設置や、サミット開催を応援したいという民間企業等からの応援・協賛事業の募集など、歓迎機運の醸成に取り組んでいるところでございます。
また、「平和の発信」の取組といたしましては、10月に広島市で開催された平和首長会議の総会の場でのPR活動やサミット期間中に各国首脳の平和記念公園への訪問が実現するよう外務省等に働きかけを行うとともに、100日前イベントとして実施する平和をテーマとしたフォーラム開催の準備を進めているところでございます。
「広島の魅力の発信」の取組といたしましては、県民会議のロゴマークやポスターの作成、公式SNSやホームページでの情報発信に取り組むとともに、海外報道機関等を対象としたプレスツアーの準備に着手したところでございます。
「若者の参画」の取組といたしましては、サミット関連プログラムへの若者の参画機会の確保に向けて外務省との調整を行っているところでございます。
また、10月には、岸田内閣総理大臣に対しまして、G7の各国首脳が被爆の実相に触れる機会の確保と広島から世界に向けた平和の発信、サミット関連プログラムへの今後の広島の担い手である若者の参加機会の確保、県産食材や県産工芸品等の積極的な活用の3点の要望を行い、11月には、国への施策提案の中で、広島サミット開催の成功に向けた財政的支援の要望も行っているところでございます。
こうした取組を更に加速させるため、広島サミット県民会議事務局が行う取組で年度内に着手する必要がある取組に必要な経費を12月補正予算に計上しております。
サミット開催まで半年を切り、残された時間はわずかではございますが、今後も広島サミット県民会議が中心となって、サミットの成功に向けて、着実に準備を進めてまいります。
次に、社会・経済の発展的回復とデジタル化への対応についてでございます。
地方が持つ様々な資源を生かして、地方を挑戦の場に変革していく、「ローカル・トランスフォーメーション」を実践していく観点から、DX施策や産業イノベーションの環境整備、観光施策を進めてまいります。
まず、DXの推進についてでございます。
「安心・誇り・挑戦 ひろしまビジョン」(「・」は右白三角)の目指す姿の実現に向け、我が国や本県を取り巻く状況を踏まえ、これまでのDXの取組を発展させ、本県の企業や団体等が自律的にDXに取り組む状態へと加速させるための「広島県DX加速プラン」を、先月策定いたしました。
このプランに基づく本県の取組状況といたしまして、農業分野につきましては、今年度の取組に加えて、来年度新たにスマート農業技術の実証試験に取り組むテーマを3つ決定し、公募を行っているところでございます。
引き続き、収益性の高い経営モデルの構築を進めるとともに、データ駆動型農業の実装に向けた環境を整備し、スマート農業技術の普及に取り組んでまいります。
建設分野につきましては、6月から運用を開始したインフラマネジメント基盤「DoboX」のデータ利活用が進んでおり、県及び市町におきましては、3Dマップなどを活用した災害図上訓練や防災教育、民間や研究機関などにおきましては、地域の防災活動や、企業が所有する設備の被災リスクの確認、土石流発生後の地形変化の確認など、防災分野を中心に活用されているところでございます。
また、DXの推進を支える情報システムに精通した人材の確保につきましては、県・市町共通の課題となっていることから、共同で人材を確保し、活用する枠組みとして、「DXShipひろしま」を立ち上げてまいります。
今後、これにより、情報システム人材の確保・育成をはじめ、共同での研修や情報共有を実施するなどにより、県全体でDXを推進してまいります。
次に、産業イノベーションの環境整備についてでございます。
「ひろしまユニコーン10」プロジェクトにつきましては、企業の成長フェーズに合わせた10のサポートメニューを提供しており、10月からスタートアップ企業等を対象に短期間で事業成長させるプログラムを実施し、翌年3月までの間、伴走支援に取り組んでまいります。
「リスキリング推進企業応援プロジェクト」につきましては、今後習得が必要なスキルの明確化、労働市場の流動化を踏まえた社会システムの在り方などについて検討する第3回協議会を来月開催する予定であり、来年7月までのリスキリングの取組指針と労働移動が可能な社会の実現に向けたロードマップの策定への検討を進めております。
また、リスキリング推進の機運の向上を目的として取り組んでおります「広島県リスキリング推進宣言制度」につきましては、現在、50社を超える県内企業に宣言いただいているところでございます。
加えて、ITパスポートの取得支援や経営者を対象とした研修実施などを通じて、引き続き県内企業におけるリスキリングの取組を積極的に後押ししてまいります。
さらに、半導体関連産業の集積強化に向けて、10月5日に中国経済産業局を中心に「中国地域半導体関連産業振興協議会」が設立されるとともに、本県に本社のあるマイクロンメモリジャパンの設備投資に対しまして、国が最大465億円の助成を決定したところでございます。
本県といたしましても、半導体研究開発の高度化や中核人材の育成などに取り組む「せとうち半導体共創コンソーシアム」を、今後、広島大学や東広島市と設立するなど、半導体関連産業の発展に向けた環境整備を行ってまいりたいと考えております。
次に、観光施策についてでございます。
広島の酒造りと観光を盛り上げるため、10月7日から、「飲んでみんさい!広島の酒クーポン事業」を実施しており、宿泊客の皆様が県産酒類の購入に使えるクーポンを、対象となる宿泊施設に先月末までに21万枚配付しております。
また、10月11日から全国を誘客対象として開始いたしました、県内旅行や宿泊の割引プラン等の支援につきましては、先月末までに、延べ約55万人の観光客の皆様に予約・利用いただいております。
さらに、広島サミットに向けて、県産品の魅力を県内外へ発信することにより、認知度の向上につなげるため、全国で「G7広島サミットキャラバン」と題して県産品の展示即売会を行っており、11月16日に、前回サミット開催地である三重県において事業をスタートさせたところでございます。
こうした中、来月4日から、約2年9か月ぶりに、広島空港の台北線が週4便で運航再開することとなりました。
国際線の運航再開は、本県の観光関連産業の活性化に大きく資するものと期待しており、県といたしましても、空港運営権者である広島国際空港株式会社と連携し、広島空港の国際航空ネットワークの早期回復に努めながら、引き続き、観光需要の喚起や国内外に対する広島の魅力発信に取り組んでまいります。
次に、適散・適集社会の実現についてでございます。
まず、中山間地域の振興についてでございます。
中山間地域の「人づくり」につきましては、地域づくり人材のプラットフォームである「ひろしま里山・チーム500」の登録者数が11月末日で550名を超えたところであり、登録者が地域の皆様方と協働して行う新たな活動につきましても、これまでに60件を超える活動が各地で展開されております。
具体的には、老朽化施設を地域の交流拠点としてリノベーションし、地域住民同士のコミュニケーションが活性化された庄原市の事例や、空き倉庫を地域内外のアーティストが作品展示できるギャラリーに改装したことにより、島外からの来場者が増え、賑わいの創出につながった大崎上島町の事例などがございます。
こうした取組が、将来に向けて地域の元気さを実感いただけるものとなっていくよう、今後とも、市町と連携して、これらの活動を積極的に支援してまいります。
次に、デジタル技術を活用した中山間地域の生活環境向上事業につきましては、本年度、神石高原町におけるオンラインによる予防医療・遠隔医療の取組や、廿日市市におけるテレビ画面を活用した高齢者の見守りなど、現在4市町で地域の課題に応じた取組が進められており、引き続き、市町の先導的な取組を支援してまいります。
次に、持続可能なまちづくりについてでございます。
広島市都心につきましては、本年10月に、県庁舎敷地の有効活用といたしまして、事業運営予定者の募集を開始したところであり、県民の皆様に親しまれる新たな都心の憩いの空間の創出に向けて取り組んでおります。
また、10月22日には、「ヒルトン広島」がグランドオープンし、来年5月にG7広島サミットが開催される中、大規模な国際会議の開催も可能なハイブランドホテルが開業することは、広島市の都心としての競争力や国際的なブランド力の向上に資するものと大いに期待しているところでございます。
福山駅周辺地区につきましては、本年3月に福山市が公表した福山駅前広場の機能の配置計画素案に基づき、タクシープールを広場化する実証実験が11月に行われるなど、今年度末の基本方針策定を目指して、検討が進められております。
引き続き、持続可能なまちづくりの実現に向けて、取り組んでまいります。
次に、それぞれの欲張りなライフスタイルの実現についてでございます。
まず、学びの変革等の推進についてでございます。
グローバル化が進展する中、新たな価値を創造する鍵は多様性であり、そのためには、国際感覚を持った人材が必要であると考えており、特別支援学校を含む全ての県立学校において、海外の学校との姉妹校提携を締結したほか、本年10月には、叡啓大学において、締結済の12校に加え、新たにハワイ大学マノア校、ヒロ校など3校との国際交流協定を締結したところであり、今後の連携に向けて、具体的な協議を進めているところでございます。
あわせて、米国ハワイ州との友好提携締結25周年に当たる今年は、国際交流といたしまして、8月末から9月はじめにかけて同州訪問団を受け入れ、また、10月には県議会団とともにハワイ州を訪問し、デービッド・イゲ州知事と会談を行うなど、両県州の交流促進を図り、本県のグローバル化にとって重要なネットワークである県人会との関係の維持・強化を図ることができました。
今後とも、次の時代を担う若い世代がつながりを深めていく土台づくりを積極的に進めてまいります。
次に、持続可能な医療・介護提供体制の構築についてでございます。
地域医療構想の実現に向けた取組といたしまして、有識者会議の提言である「高度医療・人材育成拠点ビジョン」を踏まえ、本年4月に推進会議を設置し、新たな拠点に求められる医療機能や関係機関との機能分化・連携・再編について、関係機関と協議を進めてまいりました。
この協議結果を取りまとめ、先月16日に「高度医療・人材育成拠点基本構想」として発表したところであり、今後この構想に基づき、新病院の診療科構成など具体的な医療機能や施設整備等に関する検討を進めるため、必要な経費を12月補正予算に計上しております。
次に、治安・暮らしの安全の確保についてでございます。
水道事業の広域連携につきましては、総務大臣の許可を得て、県及び14市町で構成する「広島県水道広域連合企業団」を先月18日に設立いたしました。
今月1日には、構成団体の長による選挙により、私が企業長に選出されましたので、同日、事務局を組織し、令和5年4月の事業開始に向けた体制を整備したところであり、今後、構成団体と緊密に連携し、必要な準備を着実に進めてまいります。
また、この度の水道企業団に参画していない7市町とも、職員研修の共同実施などの広域連携方策に取り組むなど、引き続き、持続可能な水道システムの構築を目指してまいります。
次に、港湾物流機能の強化についてでございます。
広島港出島地区国際海上コンテナターミナルにおきましては、今年度から岸壁整備が国において事業化され、先月20日に着工したところであり、早期完成に向け、国土交通省をはじめとする関係機関と連携しながら、背後の土地造成などに取り組んでまいります。
引き続き、地域産業の国際競争力の向上に向けて、広島港及び福山港の外貿コンテナ機能の強化を推進してまいります。
次に、環境への負荷の少ない社会の構築についてでございます。
カーボンリサイクルにつきましては、国が大崎上島に整備を進めてきた実証研究拠点が9月に完成し、同月、「第4回カーボンリサイクル産学官国際会議」で世界に向けて紹介されました。
さらに、先月22日には、「HIROSHIMA GREEN INNOVATION SESSION」と題し、本拠点をはじめ、県内で活動している企業や研究者、スタートアップ等が一堂に会し、県内での研究・実証内容に加え、広島のフィールドとしての魅力を全国に発信するなど、カーボンリサイクル関連技術の拠点化に向けた取組を進めております。
海洋プラスチックごみ対策につきましては、「GREEN SEA 瀬戸内ひろしま・プラットフォーム」の参画企業と連携して、本年10月から順次、代替素材を活用したテイクアウト容器を展開するとともに、中四国初となるIoTスマートごみ箱を県内4地点に12台設置し、ごみの流出防止に係る実証事業を実施しているところでございます。
今後とも、幅広い関係企業等と連携しながら、海洋プラスチックごみ削減に向けた取組を強力に推進してまいります。
次に、スポーツを活用した地域づくりについてでございます。
パラスポーツにおきまして、10月にはヨットの国際大会「2022ハンザクラスワールド」が、11月には全国から知的障害のあるアスリートが広島に集まる「スペシャルオリンピックス2022広島大会」が盛大に開催され、障害の有無を超え、楽しく競い合う、スポーツを通じたインクルーシブな交流の輪が広がりました。
また、4年ぶりに開催いたしました「サイクリングしまなみ2022」は、国内から6,191名、海外から180名の参加をいただきました。
引き続き、尾道市や愛媛県等と連携を図り、しまなみ海道を、日本を代表するサイクリングの先導的なエリアとして、更に進化させるべく取り組んでまいります。
さらに、サンフレッチェ広島が、10月にルヴァンカップで初優勝し、県民の皆様に勇気と感動を与えてくれました。
この活躍により、県内におけるスポーツを活用した地域づくりの機運が更に高まったと考えております。
次に、平和への取組についてでございます。
11月に、国際平和拠点ひろしま構想推進委員会を開催し、有識者の皆様から、広島サミットの機会を捉えた平和の発信等、今後の取組の進め方について御意見を伺ったところでございます。
こうした御意見も踏まえながら、広島サミット開催に合わせた「世界平和経済人会議ひろしま」の開催や、ウェブサイトの特設ページの開設など、取組を強化してまいります。
また、今月10日から、広島で国際賢人会議も開催され、今後、核兵器のない平和な世界の実現に向けた機運が高まっていくことから、県といたしましては、更なる賛同者の拡大や国際社会への働きかけなど、取組を進めてまいります。
次に、激甚化・頻発化する災害への対応についてでございます。
平成30 年7月豪雨災害により被災した公共土木施設の災害復旧事業につきましては、先月末時点で全2,550箇所のうち、約9割に当たる2,360箇所の工事が完成しております。
また、農地・農業用施設につきましては、先月末時点で全4,265箇所のうち、4,221箇所の工事に着手し、このうち約9割に当たる3,757箇所が完成しており、引き続き、本年度中の完成に向けて取り組んでまいります。
令和3年7月及び8月豪雨等に伴う災害につきましては、県が管理する公共土木施設では全951箇所のうち、約5割の工事を契約、山地・治山施設、林道、農地・農業用施設では1,076箇所のうち、約8割の工事を契約しており、引き続き、建設事業者の確保に向けた対策などを講じながら、早期完成に向けて取り組んでまいります。
令和3年豪雨により甚大な浸水被害が発生した6河川における改良復旧プロジェクトの進捗状況につきましては、三原市を流れる天井川では、堤防強化のための築堤工事などが6割程度進んでいるほか、東広島市の三津大川や竹原市の本川などでは、測量・地質調査・設計を進め、順次、用地取得に向けた境界立会を実施するなど、地元住民へ丁寧に説明を行いながら取り組んでいるところでございます。
本川流域及び江の川上流域につきましては、流域のあらゆる関係者が協働して治水対策を行う「流域治水」を強力に推進するため、特定都市河川流域として指定し、関係者で構成される「流域水害対策協議会」において、総合的な浸水被害対策等を取りまとめた「流域水害対策計画」を策定するための検討・協議を進めているところでございます。
引き続き、早期の復旧・復興に向けた取組を進めるとともに、県民の皆様の安全・安心の確保に努めてまいります。
次に、当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。
まず、広島高速5号線についてでございます。
シールドトンネル工事につきましては、受注者から事業主体である広島高速道路公社に対しまして、建設工事紛争審査会に調停申請書を提出した旨が伝えられたところですが、公社及び受注者ともに、住民の皆様の安全・安心を第一として、早期完成を目指し工事を継続していくことについては合意しており、慎重に工事を進めているところでございます。
県といたしましては、引き続き、公社や広島市と連携し、公正性・透明性の確保を図りながら、着実な事業推進に取り組んでまいります。
次に、鞆地区道路港湾整備事業についてでございます。
山側トンネルを含むバイパスの整備につきましては、10月に接続道路が完成し、東側に続き、西側からもトンネル工事に着手しているところでございます。
また、今月3日には、トンネル東側の坑口において安全祈願祭を執り行い、本格的なトンネル工事に着手したところでございます。
今後とも、福山市と連携し、鞆のまちづくりが着実に進むよう、取り組んでまいります。
出島処分場につきましては、地元代表者等で構成する協議会において、廃棄物受入期間の延長を含む今後の対応について、協議を進めてきたところでございます。
この度、期間延長を含む基本的な方針について御同意をいただいたところであり、引き続き、地元の皆様の御意見を丁寧に伺いながら、埋立量の確保や、環境対策、新たに設けることとしている進捗管理の仕組みを着実に実施し、地元の皆様の御理解と御協力が得られるよう、取り組んでまいります。
次に、今回提出いたしました議案について、その概要を御説明いたします。
まず、一般会計補正予算案につきましては、9月補正予算編成後の状況変化等を踏まえ、必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として、編成しております。
具体的な補正の内容でございますが、「物価高騰対策」、「新型コロナウイルス感染症対策」のほか、「アフターコロナを見据えた社会・経済の発展的回復」や「広島サミットの推進」の取組などに、時機を逃さず対応するための経費として、予算を計上しております。
また、職員の給与について、去る10月4日に行われました、人事委員会の勧告等の趣旨を尊重し、給料月額や勤勉手当などを引き上げる措置を講ずることとしております。
これらの結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は、346億8,332万円の増額となり、本年度予算の累計額は、1兆2,617億6,713万円となります。
次に、予算以外の議案といたしましては、「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」などの条例案5件、人事案件といたしまして、「広島県収用委員会委員の任命の同意について」の1件、その他の議案では、「工事請負契約の変更について」など28件を提出しております。
また、報告事項として、専決処分報告を提出しております。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
ただいま追加提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明いたします。
今月16日に、世羅町の採卵養鶏場において、今シーズン初めて高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜が確認されました。
さらに、昨日でございますが、同町の別の採卵養鶏場において、簡易検査で陽性となり、新たに高病原性鳥インフルエンザと疑われる事例が発生したところでございます。
本県では、1例目の発生の際に、ただちに危機対策本部を設置し、農林水産省や市町などの関係機関と連携して、発生農場等における殺処分や農場の消毒などに速やかに取り組むとともに、感染が拡大しないよう、5箇所において、車両等の消毒を実施しているところでございます。
なお、今朝時点でございますが、1例目の発生農場においては、殺処分を完了したところであり、早急に当該農場の防疫措置が完了できるよう、引き続き、汚染物品の処理、鶏舎の消毒などに全力で取り組んでまいります。
県といたしましては、まん延防止対策に万全を期すとともに畜産経営体への支援を行うため、この度、補正予算案を編成したところでございます。
その内容といたしましては、発生農場等における殺処分や消毒ポイントの設置によるまん延防止対策の実施、売上が減少した経営体に対する損失補填や営農再開のための融資に対する利子補給などの支援に取り組むほか、あわせて、他の農場でも感染が確認された場合にも備える経費を計上しております。
これらの結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は36億3,990万円となり、本年度予算の累計額は1兆2,654億702万円となります。
現在、安全が確認されたものから、搬出を制限している区域の鶏卵・鶏肉の出荷等が可能となっており、引き続き国や市町と緊密に連携して、県民や事業者の皆様への影響を最小限に留めるとともに、県内の畜産関係者の皆様と一体となって、監視体制の強化や、消毒の徹底などの発生防止に努めてまいります。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。