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令和2年広島県議会12月定例会(令和2年12月7日)

印刷用ページを表示する掲載日2020年12月16日

知事説明要旨

初めに、一言申し上げたいと存じます。本日、三原市で、県内初の高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜が確認されました。これに伴い、本県においては、午前5時に、広島県危機対策本部を設置しました。

本病の疑似患畜が発生したことは、誠に残念ではありますが、農林水産省などの関係機関と連携し、まずは発生農場における速やかな殺処分や農場消毒など、まん延防止措置に万全を期してまいります。

加えて、発生農場から半径3キロメートル以内は移動制限区域、3から10キロメートル以内は搬出制限区域とし、生きた家きんや卵の移動の制限について、対象農場の皆様に要請します。

県内の他の家きん飼養農場における防疫対策については、農場への出入りの制限、消毒の徹底等一層強化するよう再度注意喚起いたしました。なお、鶏卵、鶏肉を食べたとしても、これにより鳥インフルエンザウイルスが人に感染することはありませんので、消費者の皆様にはご理解をくださいますよう、お願いいたします。

12月定例県議会の開会に当たり、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして、新型コロナウイルス感染症への対応や本年度主要施策の取組状況について、御報告いたします。

1.新型コロナウイルス感染症への対応

まず、新型コロナウイルス感染症への対応について、御説明いたします。

本県では、昨日の発表ベースで、延べ1,085人の感染者が発生しております。

先月以降、全国的な感染状況と同様に、新規感染者は継続的に確認されていることにくわえて、病床使用率も上昇してきております。

こうした状況から、専門家のご意見も踏まえ、先月末に本県の感染拡大防止に向けたステージを1から2に引き上げました。

さらに今月に入り、感染者が急激に拡大していることから、本県が独自に設定している、ステージ3に移行させないための警戒基準を、今月4日に超過したと総合的に判断いたしました。

このため、まずは入院病床の更なる確保などの医療提供体制の強化に取り組んでいるところでございます。

しかしながら、現在の感染者の増加傾向が続くと、他の感染拡大地域と同様に、外出自粛要請などのより強い措置を講じざるを得なくなるステージ3に、今月中にも移行する恐れがあります。

そうした事態に至ることを防ぐために、検査体制の拡充として、広島PCRセンターの開設に取り組むととともに、飲食店の皆様には、衝立などを活用した飛沫感染防止策の徹底、事業主の皆様には、テレワークの実施、診療・検査医療機関の皆様には、より積極的な検査の実施を呼び掛けております。

あわせて、県民の皆様には、「他の感染拡大地域への往来に注意」、「親しき仲にもマスクあり」、「休む勇気・休ませる配慮」、「あなたの早期受診がみんなを守る」の「4つのメッセージ」を確実に実践いただくようお願いしたところであり、これらの取組により、何としても、感染拡大を食い止めてまいりたいと考えております。

また、県内の経済状況につきましては、鉱工業生産指数は9割程度まで回復したものの、有効求人倍率は12か月連続でマイナスとなり、企業の現金給与総額も、前年を8か月連続で下回るなど、厳しい状況が続いております。

次に、新型コロナウイルスの感染拡大の防止と社会経済活動を両立するための、主な取組の状況を御説明いたします。

はじめに、「感染拡大防止対策」についてでございます。

インフルエンザの流行期を迎える中、新型コロナウイルスとの同時流行が想定されますが、これらはどちらも症状が似ていることから、風邪に似た症状があれば、早めに医療機関を受診いただくことが重要であり、県民の皆様がスムーズに診療・検査を受けることができる相談・受診体制を整備しております。

まずは、かかりつけ医等に電話相談していただき、そこで診療・検査ができない場合には他の検査可能な医療機関を紹介するほか、相談先に迷うときには、「積極ガードダイヤル」に電話していただければ速やかに医療機関を案内いたします。

本県では、国の取組に先駆けて身近な医療機関での唾液による検査を8月から開始しており、新型コロナウイルス感染症の疑いのある患者の診療と検体採取ができる医療機関は、県内の内科系・小児科系医療機関の半数以上に及ぶ、1,000施設を超え、県内全市町で確保しております。

また、PCR検査の検査能力は、県外の検査機関を含めて、現在、1日4,700件を確保しているところでございますが、引き続き検査機器の導入支援等を進め、年内には5,300件、年度末には5,700件まで拡充してまいります。

あわせて、感染リスクが高い施設や県内でクラスターが発生している施設での感染拡大防止の強化を図っております。

このうち、感染症指定医療機関、協力病院及び帰国者・接触者外来を設置する医療機関では、医療従事者に対する検査を進めており、今月から民間検査機関を活用した検査の拡大に取り組んでまいります。

また、重症化するリスクが高い高齢者や障害者が入所する介護施設等におきましては、先月から実施している呉市での検査状況を踏まえ、今月から県内全域において月1回の定期検査を開始するとともに、入所者に対する迅速な検査体制の強化にも取り組んでまいります。

歓楽街では、9月末に呉市の歓楽街で発生したクラスター対策として、臨時のPCRセンターを設置し、10日間で600名を超えるPCR検査を実施したほか、10月からは、広島市流川・薬研堀地区で臨時の診療所を開設し、歓楽街で働き、体調に不安のある方を対象に、必要な検査を実施しております。

また、県内の感染実態等を把握するため、8月から9月にかけて実施した第1回抗体検査におきましては、本県の抗体保有率は0.13パーセントという結果でした。

これは、大半の方が抗体を保有していないということであり、言い換えれば、今後蔓延する可能性が十分あるということでもあります。

引き続き、県民の皆様には、一人ひとりの感染防止策の徹底に御協力をいただくとともに、県といたしましても、県民の皆様の安心につながるよう、感染防止対策を強化してまいります。

次に、「医療提供体制等の確保」についてでございます。

感染者が急激に拡大していることから、今月1日時点で、17病院236床であった入院病床について、これまでに287床を確保し、更に300床以上に増やすとともに、約150室であった軽症者等が宿泊療養するホテルについても、200室以上を確保してまいります。

また、医療機関への医療機材の整備を支援しており、ECMOでは2病院の計画4台のうち1台、人工呼吸器では16病院の計画52台のうち37台の整備が完了しております。

引き続き、年度内に完了するよう着実に整備を進め、感染拡大に備えた万全の体制を確保してまいります。

次に、「安全・安心な県民生活」についてでございます。

本県独自のQRコードを活用して、感染者と接触した可能性のあることを通知するサービス「広島コロナお知らせQR」につきましては、サービスを開始した8月以降、約5,500施設、延べ115,000人を超える登録があり、引き続き、多くの方にご利用いただくよう普及・啓発を図ってまいります。

また、店舗ごとの感染症対策を「見える化」する新型コロナウイルス感染症対策取組宣言店に加えて、特に飲食店では、利用者がマスクを外すこと、国の「Go To Eatキャンペーン」により利用機会が増えることから、新たに一定水準以上の感染予防対策を行っている飲食店を登録する「広島積極ガード店」を10月12日から開始いたしました。

開始から約2か月で、4,800を超える店舗が登録されており、引き続き、この取組への参加を呼び掛けるとともに、登録店舗の対策の実地確認などを行ってまいります。

飲食店を利用する機会が増える年末に向けて、県民の皆様が安心してご利用いただけるよう取り組んでまいります。

次に、「3密を避けた事業継続と雇用維持」についてでございます。

中小企業者への金融支援として創設いたしました実質無利子・無担保の融資制度につきましては、今月1日までに約26,000社に対し、約3,900億円を融資しているところであり、社会保険労務士や各商工団体等と連携して設置しております雇用・経営相談窓口と合わせて、引き続き中小企業等の事業継続を支援してまいります。

先月末に募集が終了いたしました観光関連事業者に対するクラウドファンディングによる資金調達支援につきましては、これまでに、176事業者に対して、約1億円の支援をいただいたところでございます。

また、県内宿泊事業者や旅行会社による宿泊割引プラン等に対する支援につきましては、10月末までに延べ15万人を超える多くの観光客の皆様にご利用いただいており、国のGoToトラベル事業の方針も踏まえ、旅行時における感染防止策の徹底を図りながら、引き続き取り組んでまいります。

なお、厳しい環境にある旅行事業者等を支援し、旅行のオフシーズンとなる冬季の誘客を促進するため、旅行割引プランに対する支援の増額を12月補正予算に計上しております。

県産品販売支援のためのキャンペーンサイト「ひろしまモール」につきましては、独自のECサイト開設を支援するセミナーや、より魅力的なサイト作りのための個別相談などの実施により、参加事業者約240社のうち62社で新たにインターネット販売が行われ、非対面型の販売チャネルの確保につながっております。

現時点では、商品の売上がまだ伸びてはおりませんが、参加事業者からは「商品及び会社の宣伝になった」、「期間延長を希望する」との声が寄せられていることから、サイトの開設期間を当初の今月末から来年1月末までに延長し、事業者の販売支援を図ってまいります。

また、「道の駅」に対するインターネットを活用した販路拡大への支援につきましては、新たな商品開発やSNSを活用した積極的な情報発信などにつながっている一方で、依然として「道の駅」の販売額が回復していないことから、支援期間を今月末から3月末までに延長することとし、関連商品の一層の販売促進を図ってまいります。

雇用の確保につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、来春卒業予定学生を対象とした合同企業説明会の中止が相次ぎ、従来どおりの就職活動が困難になるとともに、事業活動の縮小などにより企業の採用計画にも影響が生じております。

このため、県内の関係団体とともに広島県雇用推進会議を開催し、若者の円滑な就職に向け、一体となって効果的な取組を推進していくこととし、合同面接会の追加実施などマッチング機会の拡充に取り組んでおります。

さらに、令和4年3月卒業予定学生の就職活動支援のための特設サイトの開設や、解雇や雇止めにより増加している離職者の早期就職を目的とした対面型の合同企業面接会の開催に要する経費を12月補正予算に計上しております。

次に、「新しい生活様式を踏まえた経済活動の安定的発展」についてでございます。

本県への持続的な誘客促進に向け、新しい生活様式に対応した観光プロダクトの開発を強化しており、キャンプ場と地域ならではの体験を組み合わせた地域連携型の観光メニューやスキー場を活用したアウトドア体験など、現在、20件の開発を支援しております。

このほか、安全・安心に県内周遊観光を楽しむためのデジタル技術等を活用した受入環境整備の支援について、10月の公募説明会に100名を超える観光関連事業者等に参加をいただき、現在、補助金の申請受付を行っているところであります。

また、「新しい生活様式」に適応する新たな製品やサービスの創出を目指す「ひろしまサンドボックス」の新たな実証プロジェクトを先月26日から募集しており、既に多くのお問い合わせやご相談をいただいております。

さらに、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中で、広島の新たなビジネスモデルを構築していくため、中小企業が活用しやすい新たなデジタルサービスの創出に向けたプロジェクト等の募集や、デジタルツールの導入支援の取組を開始するとともに、企業の事業継続に向けた新事業の展開や業態の抜本的転換を後押しするため、経営コンサルタントの派遣等によるプッシュ型の支援にも取り組んでまいります。

引き続き、これらの「新しい生活様式」への対応を目指す県内企業の取組をしっかりと支援してまいります。

企業誘致の促進につきましては、本社・研究開発機能やIT系企業などの誘致の加速に向け、新たな助成制度を創設するとともに、SNSをはじめとするWebを活用したプロモーションを強化したところ、想定を大きく超える問い合わせがあるなど、広島への進出、移転に対する関心が高まっているところであり、この機会を捉え、より多くの誘致につなげるよう、しっかりと取り組んでまいります。

また、同時に創設した、製造業を中心とした企業のAI導入やロボット化などの生産性向上に向けた設備投資を促進するための助成制度を活用し、コロナ禍において設備投資を躊躇する企業を後押しすることで、県内の投資を促進してまいります。

2.「安心・誇り・挑戦 ひろしまビジョン」の推進

続きまして、「安心・誇り・挑戦 ひろしまビジョン」の推進でございます。

本年10月に策定いたしました、このビジョンの実効性を確保するため、実行計画である「安心▷誇り▷挑戦 ひろしまビジョンアクションプラン」、個々の施策の推進を行政運営の面から支える「行政経営の方針」、経営資源の面から支える「中期財政運営方針」の3つの方針の検討を進めております。

アクションプランでは、令和3年度からスタートするビジョンを着実に進めていく5年間の実行計画として、具体的な取組と重要業績評価指標であるKPIを設定し、目指す姿の実現につなげてまいります。

併せて、このアクションプランを「広島県まち・ひと・しごと創生総合戦略」として位置付け、本県への新しい人の流れを創り出すなど、地方創生の取組をより一層加速させてまいります。

「行政経営の方針」では、社会経済情勢の変化が激しさを増し、将来の予測が困難な状況の中においても、情勢変化に対応し、柔軟かつ迅速に機動的な組織運営を行いながら、戦略・組織・資源配分のそれぞれの取組を相互に連関させ、ビジョンの目指す姿の実現に向けて成果獲得の志向を徹底した行政経営を行うこととしております。

「中期財政運営方針」では、新型コロナウイルス感染症の影響による大幅な県税収入の減少や、社会保障関係費の増加、公債費の高止まりなど、様々な財政運営上の制約がある中においても、ビジョンに掲げる目指す姿の実現を支えるとともに、大規模災害などのリスクに対しても、柔軟かつ機動的に対応でき、県勢発展に必要な施策を安定して推進できる、しなやかな財政運営を行っていくこととしております。

これらの方針につきましては、県議会の皆様の御意見も伺いながら、年内に策定してまいります。

また、ビジョンによる新たな広島県づくりを県民の皆様とともに推進するためには、県民の皆様とその目指す姿を共有し、共感を得ることが重要であり、私自らが県内各市町を訪問して、県民の皆様と意見交換を行っております。

これまでに三次市、竹原市、安芸高田市で開催したところであり、引き続き、他の市町におきましても、順次開催してまいります。

3.令和2年度主要施策の概要

続きまして、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興及び県民の皆様の欲張りなライフスタイルの実現を一層応援するための施策について、主な事業の取組状況を御説明いたします。

【創造的復興による新たな広島県づくり】

まず、「創造的復興による新たな広島県づくり」に向けた取組でございます。

はじめに、インフラの復旧についてでございます。

早期の復旧・復興に向けて取り組んでおります災害関連工事の進捗状況といたしましては、公共土木施設の災害復旧事業では、先月末時点で全2,550箇所のうち、2,314箇所の工事に着手し、このうち1,313箇所の工事が完成しております。

砂防・治山の災害関連緊急事業につきましては、本県が実施する全170箇所のうち、先月末時点で168箇所の工事に着手し、このうち100箇所が完成しております。

農地・農業用施設の災害復旧事業につきましては、全4,329箇所のうち、先月末時点で3,405箇所の工事に着手し、このうち1,790箇所の工事が完成しております。

公共土木施設の災害復旧事業につきましては、市町と連携して取り組んでいるところでございますが、本年7月の梅雨前線豪雨災害により、早急に対応が必要な箇所も生じたことから、今年度末までの完成が全体の約7割となる見込みでございます。

引き続き着実に工事を進め、県民生活に影響の大きい箇所につきましては、来年の出水期までに完成させるとともに、残る箇所につきましても、可能な限り工事進捗を図り、令和3年度中の完成を目指し取り組んでまいります。

また、市町が事業主体である農地・農業用施設の復旧につきましても、工事規模が小さく、地権者との調整が必要なことから、建設業者に受注を敬遠される傾向が依然として続いており、進捗が遅れているところでございます。

このため、事前に地域の建設協会に発注予定箇所や時期の情報を提供するなど、受注しやすい環境を整えるとともに、県が受託した工事箇所につきまして、早期の工事完了に努めてまいります。

次に「みんなで減災」県民総ぐるみ運動についてでございます。

これまで、避難場所・避難経路の確認などの「知る」取組を継続的に行いながら、防災・減災活動の「実践」へとシフトした取組を進め、「災害の種類に応じた避難場所・避難経路を確認した人の割合」は、運動前の13パーセントから68パーセントに大きく上昇するなど、一定の成果を挙げてまいりました。

しかしながら、災害が発生する危険が迫った際、県民の皆様に実際に避難していただくための取組は十分ではないものと考えております。

次期行動計画は、「災害死ゼロ」の実現に向け、県民の皆様が災害リスクを正しく認識し、災害の発生の恐れが生じた際に、躊躇することなく、命を守る行動をとることのできる状態を目指し、平成30年7月豪雨災害に関する県民の避難行動の調査・分析結果などを踏まえ、避難行動の促進につながる内容となるよう、来年1月の策定に向けた検討を進めてまいります。

【欲張りなライフスタイルの実現】

次に、「欲張りなライフスタイルの実現」に向けた取組でございます。

はじめに、「デジタルトランスフォーメーションの推進」についてでございます。

国においては、積極的にデジタル技術を活用した施策が検討され、デジタル庁創設に向けた準備が進められているところですが、本県におきましても、国の動きに先駆けてデジタル技術を活用した様々な取組を進めております。

昨年11月に試験運用を開始いたしました、都道府県で初のAI移住相談システムにつきましては、相談者が入力した言葉や文章から、AIが相談者のニーズや移住検討の熟度を判断して適切な情報を提供するなど機能を強化し、10月から本格的な運用を開始いたしました。

登録者数は約1万8千人で、多い日には1日700件を超える相談が、窓口の対応時間外である夜から朝にかけて寄せられており、このシステムにより本県移住相談への対応能力は大きく向上しております。

「ひろしまサンドボックス」につきましては、農業、水産業、観光、交通、製造業など各実証プロジェクトで得られた気象や機械の稼働状況などのデータをオンライン上で共有できるカタログサイトを、10月に公開いたしました。

このサイトを通じて、データ利用希望者と提供者の連携を支援することで、様々な分野間のデータ活用を促進し、新たなサービスやビジネスの創出を目指してまいります。

複数の交通手段を一つのサービスとして利用できるMaaSの取組につきましては、バス、航路、電車などの複数の交通手段を連携させた県内全域で使える定額デジタルチケットによる実証実験を今月29日から開始いたします。

この実証実験を通じて得られたデータを検証し、より利便性の高いMaaSの進展を図ってまいります。

こうした各分野の取組に加えて、広島県全体でデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの取組を進展していくため、県内の企業・事業者、教育機関、行政等の様々な主体をメンバーとする「広島県DX推進コミュニティ」を、先月16日に設立いたしました。

このコミュニティにおいては、メンバーは、活動を通じてDXに対する理解を深めるとともに、デジタル技術やデータを有効活用したDXの実践により、将来の広島県を共に創っていくこととしており、まずはDXの基礎を学ぶ勉強会や、先行事例を研究するワークショップ等を実施いたします。

将来的には、メンバーが共通して抱える課題の解決に向けて共同で活動を行うなど、取組を拡大してまいります。

また、行政のDXを推進するため、行政手続きの原則オンライン化やペーパーレス化などに取り組むとともに、現在国が取組を進めております押印廃止についても、原則廃止を前提に検討を行うこととしております。

さらに、令和3年度からは情報職の職員を採用し、デジタル技術への専門性を有する人材を確保することにより、DXの取組を加速してまいります。

次に、「社会で活躍する人材の育成」についてでございます。

「学びの変革」につきましては、先般、広島叡智学園中・高等学校が、西日本の公立学校で初めて、国際バカロレア・中等教育プログラムの認定校となりました。

引き続き、「学びの変革」の更なる加速に向けた取組を進めるなど、本県の目指す姿の実現に向けて、果敢にチャレンジしてまいります。

また、本県教育の目標や施策の根本となる方針を定める「広島県 教育に関する大綱」につきましては、現大綱の計画期間が令和2年度末で終了することから、総合教育会議で議論を重ね、次期大綱案を取りまとめたところでございます。

次期大綱案では、全国に先駆けて実践してきた「学びの変革」をはじめ、乳幼児期から社会人まで一貫した人材育成を進めてきた現大綱の理念を継承しつつ、「個別最適な学び」の推進や、デジタル技術の効果的な活用を通じた主体的な学びを促す教育活動の充実など、新たな時代に対応した教育施策を展開するための取組の方向性を整理いたしました。

引き続き、県議会の皆様の御意見をお伺いしながら、早期の策定に向けて取り組んでまいります。

令和3年4月の開学を目指しております叡啓大学につきましては、10月23日付けで、文部科学大臣により設置を認可されました。

現在、入学者選抜を実施しているところでございますが、基本的な学力に加え、様々な分野に対する強い関心や探求心、学ぶ意欲、他者と積極的にコミュニケーションを行う姿勢など、様々な資質・能力を持った学生を確保してまいりたいと考えております。

次に、「子供の健やかな育ちを支える環境の充実」についてでございます。

子供の予防的支援構築事業につきましては、府中町において、児童虐待などの子供の育ちに関わるリスクを予測するためのAIシステムの開発を進めるとともに、新たに府中市においても、AIモデル導入に向けた準備を開始しております。

引き続き、県民の皆様が安心して妊娠・出産・子育てができるよう「ひろしま版ネウボラ」の全県展開に向けた取組を進めるとともに、就学後も含めて、市町の関係部署が連携し、AIを活用して予防的支援を行う仕組みの構築に取り組んでまいります。

次に、「担い手が生活設計を描ける農林水産業の確立」についてでございます。

収益性の高い経営を確立するため、生産性の向上が見込まれる環境制御技術の導入に向け、昨年度から実証試験に取り組んでいるトマトに加えて、9月以降、きゅうり、レモンの試験を開始いたしました。

この試験では、モニタリングしたデータをもとに、温度や湿度、炭酸ガス濃度を自動的に調整することによって、収量を1.5倍から2倍にする技術を実証するとともに、この試験結果をモデルとしながら、他の品目についても環境制御技術の波及を図ってまいります。

また、今月9日には、ロボット技術やICTの活用による省力化や精密化、高品質生産を実現するスマート農業への理解を深めていただくため、「広島県スマート農業フェア」を開催するなど、産地や担い手による新たな生産技術の導入を促してまいります。

現在、作成を進めている次期アクションプログラムでは、社会・経済環境の変化を踏まえ、「生産性の高い持続可能な農林水産業の確立」を基本理念とし、スマート農林水産業の実装等を通じた生産性の向上を図るとともに、本県農林水産業をけん引する経営体の育成を推進することとしております。

また、頻発する大規模災害へ備えるため、ため池の総合対策や山地災害防止対策等の防災・減災対策にも着実に取り組むことにより、中山間地域の産業の核となる農林水産業の実現を推進することとしております。

次に「持続可能な医療・介護提供体制の構築」についてでございます。

今般の新型コロナウイルス感染症の流行は、本県の医療提供体制に多大な影響を及ぼしていることから、コロナ禍をはじめとした社会経済情勢の変化と、これまでに明らかになった課題に対応できるよう、地域医療構想を実現させ、県の医療を将来にわたって持続可能なものとするための方策を検討することとし、12月補正予算に必要な経費を計上しております。

次に、「中山間地域の地域力強化」についてでございます。

地域づくりをリードする人材のプラットフォームとして設置しております「ひろしま里山・チーム500」には、これまでに、本年度の登録目標である360名を超える方々が登録され、地域づくり活動が積極的に実践されております。

また、中山間地域へのサテライトオフィスの誘致につきましては、先月、首都圏のデジタル企業の江田島市への進出が決定するなど、これまで15社の進出が決定しており、引き続き、関係市町と一体となって誘致に取り組んでまいります。

次期「広島県中山間地域振興計画」につきましては、人口減少の加速やデジタル社会の到来、新型コロナウイルスを契機とした新しい生活様式や働き方などの潮流変化を踏まえ、5年後の目指す姿とその実現に向けた取組の方向を取りまとめたところでございます。

この先、人口減少下におきましても、中山間地域にお住いの皆様が、安心して心豊かに、笑顔で暮らせる中山間地域の実現を目指していくことに変わりはありません。

このため、新たな計画におきましては、これからの5年間を、中山間地域を次世代に託すための力強い土台を築く期間と捉え、地域の基盤や特性を生かし、デジタル技術を最大限に活用した「スマートな里山づくり」を進めていくことにより、持続可能な中山間地域の実現につなげてまいります。

また、急速に生息域が拡大しているニホンジカによる農林業被害の拡大抑制と防止を図るため、センサーカメラ等のIoT技術を活用し、5箇所のモデル地区において、シカの捕獲技術確立に向けた取組を行っております。

現在、3箇所で捕獲試験を実施しているほか、冬場の捕獲試験に向けて、生息状況調査や捕獲方法の検討等を進めており、低コストで効果的な捕獲方法の検証に取り組んでまいります。

次に、「都市圏の活力強化」についてでございます。

広島市都心の拠点性向上につきましては、特定都市再生緊急整備地域への指定を受け、10月に広島都心地域都市再生緊急整備協議会会議が開催され、11月30日に、制度の活用に向けた具体的な計画が策定されたところでございます。

また、紙屋町・八丁堀地区のエリアマネジメント組織がエリアのビジョン検討に関する市民フォーラムを10月に開催し、活動を本格化するなど、民間における都心活性化の動きも具体化してきており、引き続き、広島市や経済界などと一体となって都心の活性化に向けた取組を推進してまいります。

サッカースタジアムにつきましては、10月から、広島市におきまして、スタジアム本体や隣接する広場などを整備する設計施工者の公募を開始いたしました。

また、公募手続きと並行して、広島市、広島商工会議所、サンフレッチェ広島と、集客目標や求める機能について議論を進めているところでございます。

引き続き、県議会の皆様の御意見を伺いながら、整備の方向性をまとめ、広島の新たなシンボルとして、年間を通じて、県内外から集客が期待でき、県全体の活性化につながる拠点の実現に向け、事業主体である広島市と連携してまいります。

福山駅前地区につきましては、福山市が、8月に閉館したエフピコRiMの再生に向けて、市から建物の一括賃貸を受ける運営事業者の公募を先月から開始いたしました。

また、パークPFI制度を活用して、民間事業者が整備を行う中央公園については、10月にレストランの建設に着手するなど、福山駅前の再生が、目に見える形で進んでいるところであり、引き続き、備後圏域の拠点性の向上に向けた福山市の取組を支援してまいります。

次に、「外国人の受入環境整備」についてでございます。

就労環境面では、新型コロナウイルスによる情勢の変化を踏まえ、外国人材や外国人材雇用企業の現状の把握につとめ、在留資格の特例措置や雇用継続のための支援制度などの周知を図ってまいります。

生活環境面では、7月以降、安芸高田市、福山市において、外国人が孤立することなく、地域とつながりを持ちながら、安心して生活できるよう、外国人と地域との橋渡しを行う人材を発掘するモデル事業に取り組むとともに、高校生を対象に異文化理解を深めるための講座を10月に開始したところでございます。

次に、「地域の安全・安心」についてでございます。

「減らそう犯罪」広島県民総ぐるみ運動につきましては、刑法犯認知件数が、運動開始時の4分の1以下に減少し、大きな成果を挙げておりますが、この運動の更なる発展を図るため、今後5年間の指針として「減らそう犯罪」第5期ひろしまアクション・プランを策定いたしました。

これにより、県民が不安に感じる犯罪の抑止や子供・女性・高齢者等の安全確保など、安心感を高める対策を重点に、住む人来る人誰もが日本一の安全安心を実感できる広島県の実現を目指してまいります。

次に、「国際平和拠点ひろしまの形成」についてでございます。

被爆・終戦から75年を迎えた今年10月、核兵器禁止条約の批准国が50か国に達し、条約の発効が確実となったことは、核兵器のない平和な世界を実現する大きな一歩であり、大変意義深いことであると考えております。

今後、この発効を契機として、更に多くの国が、署名・批准を行っていくことで、改めて核兵器廃絶の国際的機運が高まり、核兵器国を含めた核兵器廃絶の議論が進むよう、本県としても、平和への取組への賛同者の拡大に向け、引き続き取り組んでまいります。

4.当面する県政の諸課題への対応

次に、当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。

まず、旧広島陸軍被服支廠についてでございます。

旧広島陸軍被服支廠につきましては、煉瓦建築の専門家等で構成する「建物安全性等検討会議」を設置して、意見を聴取しながら、建物の安全性を確保するための建物補強案とその概算工事費等について調査を進めているところでございます。

年内を目途に、調査結果を取りまとめていきたいと考えており、その結果を踏まえて、県議会の皆様の御意見をお伺いしながら、最終的な方向性を整理してまいりたいと考えております。

次に、広島高速5号線についてでございます。

今後、シールドトンネル工事が牛田地区の掘削に入っていくことから、先月25日に、住民の皆様との意見交換会を開催し、私自身が直接ご意見を伺ってまいりました。

県といたしましては、引き続き、事業主体である広島高速道路公社や広島市と連携し、住民の皆様のご不信やご不安を可能な限り払拭できるよう、適切かつ丁寧な対応に努めながら、着実な事業推進に取り組んでまいります。

次に、鞆地区道路港湾整備事業についてでございます。

今月3日に福山港地方港湾審議会が開催され、山側トンネルや交通・交流拠点の整備など鞆町のまちづくりに必要となる福山港港湾計画の変更について、適当と認められたところでございます。

この港湾計画の変更により、長年にわたり地元の方々や福山市をはじめとした多数の関係者と対話を重ねながら進めてきた鞆町のまちづくりが、一歩前進することとなります。

引き続き、地元の皆様に丁寧な説明をしながら、福山市と連携・協力し、鞆のまちづくりが着実に進むようしっかりと取り組んでまいります。

次に、広島市東部地区連続立体交差事業についてでございます。

当事業につきましては、10月に県、広島市及びJR西日本が共同で住民説明会を実施し、1期区間である向洋駅周辺における鉄道工事に着手したところでございます。

引き続き、地元住民の皆様の御理解と御協力を得ながら、共同事業者である広島市と連携し、できるだけ早期の事業効果の発現に向けて取り組んでまいります。

5.令和2年度補正予算案等の概要

次に、今回提出いたしました議案について、その概要を御説明いたします。

まず、一般会計補正予算案につきましては、9月補正予算に引き続き、新型コロナウイルス感染症緊急対応策を実施するとともに、9月補正予算編成後の状況変化等を踏まえ、必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として、編成しております。

具体的な補正の内容でございますが、新型コロナウイルス感染症緊急対応のほか、創造的復興による新たな広島県づくりや「欲張りなライフスタイル」の実現に向けた取組などに時機を逃さず対応するための経費について、予算を計上しております。

また、職員の給与につきましても、去る11月12日に行われました、人事委員会の勧告等の趣旨を尊重し、期末手当を引き下げる措置を講ずることといたしております。

これらの結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は、82億3,718万円の増額となり、本年度予算の累計額は、1兆2,479億5,886万円となります。

次に、予算以外の議案といたしましては、「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」や「知事等の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例」などの条例案3件、人事案件といたしまして「広島県収用委員会委員及び予備委員の任命の同意について」の1件を提出しております。

また、その他の議案では、長年にわたり人形作家として活躍され、工芸部門における人形の位置付けを高めるなど、我が国の文化・芸術の振興に多大な貢献をされた奥田小由女氏に、名誉県民の称号を贈ることについて県議会の同意を求めるものなど13件を提出しております。

さらに、報告事項として、専決処分のほか、県有地信託の事務処理状況説明書を提出しております。

どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

追加提出議案(令和2年12月11日)

知事説明要旨

ただいま追加提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明いたします。

今月7日に、三原市の採卵養鶏場において、県内で初めて高病原性鳥インフルエンザが確認されました。

本県では、ただちに危機対策本部を設置し、農林水産省や自衛隊などの関係機関と連携して、発生農場等における殺処分や農場の消毒などに速やかに取り組むとともに、感染が拡大しないよう、発生場所から半径10キロメートル以内の7箇所において、車両等の消毒を実施してまいりました。

9日をもちまして、約13万7千羽の殺処分が終了し、現在、鶏卵などの汚染物品の処理を進めているところであり、早急に当該農場の防疫措置が完了できるよう、全力で取り組んでまいります。

県といたしましては、まん延防止対策に万全を期すとともに畜産経営体への支援を行うため、この度、補正予算案を編成したところでございます。

その内容といたしましては、発生農場等における殺処分や消毒ポイントの設置によるまん延防止対策の実施、売上が減少した経営体に対する損失補填や営農再開のための融資に対する利子補給などの支援に取り組むほか、あわせて今回と同規模の感染が発生した場合にも備える経費を計上しております。

これらの結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は23億1,973万円となり、本年度予算の累計額は1兆2,502億7,859万円となります。

現在、安全が確認されたものから、搬出を制限している区域の鶏卵・鶏肉の出荷等が可能となっており、引き続き国や市町と緊密に連携して、県民や事業者の皆様への影響を最小限に留めるとともに、県内の畜産関係者の皆様と一体となって、監視体制の強化や、消毒の徹底などの発生防止に努めてまいります。

どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

追加提出議案(令和2年12月16日)

知事説明要旨

ただいま追加提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明いたします。

新型コロナウイルス感染症につきましては、広島市を中心に、新規感染者数はこれまでにないスピードで増加しており、昨日の発表ベースで、延べ1,798人となっております。

広島市における、直近1週間の人口10万人当たりの全療養者数や新規感染者数などが、既にステージ4の指標を大きく超えております。

仮に本県でステージ4になった場合には、県民の皆様に対する外出自粛要請のほか、事業者の皆様に対しては、生活必需品を取り扱う施設以外の施設の使用制限などを要請することとしており、県民・事業者の皆様にとって極めて厳しい措置を講じざるを得なくなります。

このため、この切迫した危機の抑え込みに向けて、県及び広島市が連携して、今月12日から来月3日までの間、集中対策期間として感染拡大防止対策に取り組んでおります。

まず、広島市民の皆様には、マスクの着用や手指消毒などの基本的な対策の徹底に加えて、外出機会の削減、同居の家族以外との会食などを控えること、飛沫防止対策等を講じた飲食店を利用することを要請しております。

次に、広島市内の飲食店の皆様には、パーテーション等の設置による飛沫感染予防対策や、換気による感染予防対策の実施、利用者への飛沫防止対策の徹底について、これらを講じられない店舗等には、休業することを含めて、その実施を強く要請しております。

さらに、広島市内の事業所の皆様には、テレワークの活用等により、出勤者の割合を、5割を目標に削減すること、県民の皆様には、広島市を含む感染拡大地域を往来する帰省の自粛などを要請しております。

県といたしましては、GoToEatキャンペーンの食事券の新規販売を一時停止するとともに、既に発行された食事券等の広島市内での利用を控えていただくよう要請しております。

また、GoToトラベル事業につきましては、広島市内に居住する方が他の地域に旅行して、感染を拡大することを防止することや、他地域の方が広島市に旅行に来られても、安心して観光していただける状態ではないことから、広島市を一時除外することについて、国に要請しているところであり、今月28日からの全国一律の事業の一時停止よりも先行して実施できるよう、国に対し強く働きかけております。

これらの取組に加えて、この度、この感染拡大に歯止めを掛けるため、マスクを外した状態でリスクが最も高くなると考えられる「飲酒の場」への対策として、酒類を提供する飲食店に対して、今月17日から来月3日までの間、酒類の提供時間を午前5時から午後7時までに、営業時間を午前5時から午後8時までに短縮するよう、要請いたしました。

この要請に応じて、営業時間の短縮等に協力した店舗や、結果として休業した店舗に対して、支援を行ってまいります。

また、感染拡大防止に取り組む県内の飲食店につきましては、県民の皆様が安心して飲食店を利用できる環境を整備するため、パーテーションの設置経費を補助する制度を創設することとしております。

これらの対策に必要な予算、また、今年度中の不測の事態に柔軟かつ機動的に対応するための予備費を増額することとしております。

これらの結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は84億6,847万円となり、本年度予算の累計額は1兆2,587億4,707万円となります。

新型コロナウイルス感染症につきましては、感染状況は県内全域にわたって拡大基調となっており、このままでは、県民・市民の生命、健康、生活に大きな影響が及ぼされるリスクがあるため、この切迫した危機の抑え込みに向けて、強力に感染拡大防止対策に取り組む決意でございます。

どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

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