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(株)ヒロツクで「イクボス推進トーク」開催しました![平成30年2月5日]

2018年2月15日

イクボス推進トークトップ画像

「イクボス同盟ひろしま」の活動の一環として「イクボス推進トーク」を開催。これは「イクボス同盟ひろしま」のメンバーが代表を務める企業を湯崎知事自ら訪問。経営者や管理職の方々とディスカッションを行うことで、ワークライフバランスの改善やイクボスの意義などについて理解を深めようというものです。


 「イクボス推進トーク」第3回はヒット商品「こもち昆布」を筆頭に日本の食卓を彩り続けてきた佃煮メーカー・ヒロツク。今年創業76年を迎えるこの老舗企業は4年前、創業者のひ孫である竹本新さんが30歳の若さで社長に就いたばかり。トークは2月5日(月)、ヒロツク本社食堂で26人が参加して行われました。

 

会場の様子
第3回イクボス推進トーク会場[ヒロツク本社食堂]

 

 まず知事から広島県が考えるイクボスの重要性についての説明があり、さっそく「製造業は高い生産性が求められる業態。ヒロツクさんの得意な付加価値商品にはイノベーションが不可欠です。」と期待が寄せられます。

 それを受けて竹本社長自ら社内の働き方改革について語ります。「わが社が売上げ、利益ともに順調なのは1年前にはじめた朝礼にあると思っています。朝礼では経営理念の唱和をします。突然ですが、ここで経営理念の唱和をさせていただければと思います!」――その言葉に続いて参加した社員が全員起立、経営理念の唱和の声が食堂内に響きます。

「経営理念は創業当時からあったのですが、近年は活用されていませんでした。それを毎朝唱和することで仕事の原点を確認するとともに、オンとオフの切り替えができるようになりました」(竹本社長)

 さらに社長が強調したのが「ABC作戦」。これは「A(=当たり前のことを)、B(=馬鹿にしないで)、C(=ちゃんとやり切る)」という内容で、とにかく基本を徹底しようということ。経営陣と現場が近いという中小企業の利点を生かして現場の声に耳を傾けることを心掛けているといいます。

経営理念を唱和される様子
経営理念の唱和をされるヒロツク社員のみなさま

 

そこからは管理職の方々による発表がありました。

 営業部の井上紀之課長が取り組んでいるのは「個からチームへ」。個人プレイに走りがちな営業職の中で、いかにお互い助け合える環境をつくれるか日々考えているといいます。また昨年末、高校生の娘さんがヒロツクで短期バイトを体験され、家庭と仕事の距離を近づけることにも関心を持つようになったとのこと。

 品質管理部の黒上由利子課長のテーマは「子育てと仕事の両立」。黒上さん自身、3回の産休・育児休暇をとった経験から、子供の病気で急に休まなければならなくなったとき他の人に助けてもらったエピソードが語られます。同じ品質管理部の打越佐知子課長からも、入社当時は育児休暇が当たり前ではなかったが今は違うという話が出ました。

「助け合える雰囲気が会社全体に風土としてあることが大事ですよね。たとえ時間単位の有給休暇取得などが制度としてあったとしても、実際に休暇をとるためにはお互い助け合う空気がなければ言い出しにくいわけですから。」(湯崎知事)

ディスカッションの様子
発表の中では、笑顔がこぼれる場面も多く、社内の雰囲気の良さが垣間見られました。

 

 次にヒロツクならではの話題として盛り上がったのが事業継承の問題。老舗としての伝統をいかに現代風にアップデートしていくかという部分でさまざまな試行錯誤がなされたようです。

「私たちの会社には勤続30年以上の職人さんがいます。昔は職人さんが佃煮をペロッとなめて、『よし、うまい。出荷せい!』と号令していた時代もありました。でも今は感覚的な工場ではなく科学的な工場に変えていくことが必要で、感覚的な部分は残しつつもデータに基づいて出荷するようにしています」(竹本社長)

 その過程では数々の失敗があり、学びがあったといいます。

「私が気付いたのは、ベテランの方は頑固で変わりにくい傾向が強いということ。私が社長になった直後は『絶対変えてやる!』という意気込みで彼らにぶつかっていましたが、やっていく中で『変わらないものは変わらない』という、いい意味でのあきらめが出てきました。そもそもすべて現代的なやり方に変えて、こちらの意見に従ってもらおうとしたのが間違いなんです。大事なのは若い方の発想とベテランの経験をつなげて、スムーズな引き継ぎを行っていくことなんですね」(竹本社長)

 このような動きに対して、工場勤務14年の田村仁人さんは「おいしいものを作っていこうという気持ちは同じなので、そこでひとつになる感じです」と。いまヒロツク内では、若手とベテランが一丸になってものづくりに当たる新たな風土が生まれつつあるようです。

推進トーク中の会場の様子
推進トークは、会場に来られなかった社員の方へ向けてタブレット端末を利用して中継されていました。

 

 竹本社長就任を機に、毎年減少していた売上も上昇に転じたとか。心に刻んでいるのは「ビジネス、プライベート、コミュニティという3つの世界のバランスを保つことがいい人生を歩むことにつながる」ということ。これがイクボスにも重なると信じて、今後もこの考え方を発信していくことを最後に宣言されました。

 知事は、社長の言葉がさきほど唱和された企業理念の一節「わが社はお客様、販売店、社員のすべてが共に平等でゆたかな“うるおい”をわかち合う」と一致することを指摘し、「基本に立ち返ったら売上げが伸びた。やはりベースづくりが大事なんですね。」と納得した様子。先人たちの知恵の継承という新たなキーワードを得て今年度の「イクボス推進トーク」は幕を閉じました。

参加者との記念撮影