第1章 環境への負荷が少ない循環型社会広島
 
   環境の復元能力や有限性を認識して,生態系の微妙な均衡を保持し,人の健康の保護及び生活環境の保全を図るため,県民の日常生活や事業活動から生じる環境への負荷の低減を図るとともに,資源の効率的利用,水資源,廃棄物などの循環利用を推進し,将来にわたって持続可能な社会システムを構築します。 
 
第1節 循環型社会の構築
 
1. 3R (リデュース・リユース・リサイクル)の推進
  
●現状と課題
  
(1) 排出の状況
  
 一般廃棄物は,市町村が定める処理計画に沿って処理が行われていますが,県内では,年間100万t以上が排出され,排出総量及び1人1日当たり排出量ともに依然増加傾向にあります。これは,水害や地震による災害廃棄物の増加など一時的な要因もありますが,計画収集人口の伸びを大きく上回っています。
  また,事業者の責任で処理することになっている産業廃棄物の排出量は微増しています。
  
(2) 再使用(リユース)・再生利用(リサイクル)の状況
 
 一般廃棄物,産業廃棄物ともに,各種リサイクル法の整備などを背景にリサイクルへの着実な取組がなされており,一般廃棄物資源化率,産業廃棄物再生利用率ともに増加しています。
  しかし,廃棄物の多様化も進み,パソコン等の処理困難なものも増えています。また,消費ニーズにあった製品開発の遅れやコストの要因等により廃自動車のシュレッダーダストなどリサイクルが遅れている分野もあります。
 こうした状況を踏まえ,フリーマーケットやリサイクルショップに関する情報提供の充実などによる再使用(リユース),実用的なリサイクル技術の開発,リサイクル製品の販路拡大などによる再生利用(リサイクル)の取組をさらに強化する必要があります。
  
図表1-1-1 一般廃棄物排出量及び1人1日排出量
一般廃棄物排出量及び1人1日排出量
資料:県一般廃棄物対策室
  
図表1−1−2 一般廃棄物処理区域の面積・人口等の推移
区分 8年度 9年度 10年度 11年度 12年度 13年度
面積
(km2)
全県 8,475 8,476 8,476 8,476 8,476 8,477
計画処理区域 8,475 8,476 8,476 8,476 8,476 8,477
人口
(人)
総人口 2,899,863 2,902,590 2,904,533 2,884,794 2,882,547 2,879,923
計画処理区域人口 2,899,863 2,902,590 2,904,533 2,884,794 2,882,547 2,879,923
計画収集人口 2,878,018 2,884,580 2,888,466 2,869,697 2,868,116 2,867,346
自家処理人口 21,845 18,010 16,067 15,097 14,431 12,577
資料:県一般廃棄物対策室
  
図表1−1−3 産業廃棄物排出量の推移
産業廃棄物排出量の推移
資料:県産業廃棄物対策室
  
[施策の方向]
循環型社会の構築を目指した3R[リデュース(排出抑制)・リユース(再使用)・リサイクル(再生利用)]の推進
  
●施策の展開
  
(1) 排出抑制(リデュース)の推進
  
県民による取組の促進
  
廃棄物の発生が少ないライフスタイルの確立に向け,新聞・テレビ,パンフレット等を活用した幅広い広報・啓発活動を実施し,使用済み製品の再使用,使い捨て製品の使用自粛,過剰包装の辞退,資源ごみの分別排出,生ごみの堆肥化などによる有機性廃棄物の資源化等の取組を促進します。
市町村が行う家庭・事業所生ごみのコンポスト化,デポジット機の設置,買い物袋持参運動などの取組に対して啓発等の必要な支援を行います。
  
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
  
(ア) 広島県廃棄物処理計画の策定 [循環型社会推進室・一般廃棄物対策室・産業廃棄物対策室]
  
 大量生産・大量消費・大量廃棄の社会経済システムから脱却し,資源循環型社会への転換を図るため,一般廃棄物及び産業廃棄物を含む総合的な広島県廃棄物処理計画を平成15年3月に策定しました。
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(イ) 廃棄物再生事業者登録制度の推進[循環型社会推進室]
  
 廃棄物の再生事業や市町村でのリサイクル運動の推進を図るため,廃棄物の再生事業について,一定の基準を満たす事業者を登録します。
  
[平成14年度事業実績] 55事業者の登録を行いました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,事業者の登録を行います。
   
事業者による取組の促進
  
拡大生産者責任」の考え方に基づき,使い捨て製品の製造販売や過剰包装の自粛,リサイクルしやすい製品の開発,デポジット制度,再生資源の利用について働きかけを行うなど,事業者における取組を促進します。
廃棄物処理法で義務付けられている多量排出事業者を中心に「廃棄物減量化計画」の策定などを促進します。
廃棄物抑制検討懇話会への提言(平成14年2月)に基づき,平成15年4月1日から導入した「産業廃棄物埋立税により,不特定多数の排出事業者に対して経済的インセンティブを与え,産業廃棄物の継続的な排出抑制を促すとともに,その税収により,リサイクルの推進や産業廃棄物の抑制などの幅広い施策を推進します。
  
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
  
(ア) 広島県廃棄物処理計画の策定 [循環型社会推進室・一般廃棄物対策室・産業廃棄物対策室](再掲 )
  
(イ) 廃棄物再生事業者登録制度の推進 [循環型社会推進室](再掲)
  
(ウ) 多量排出事業者への産業廃棄物処理計画の策定指導 [循環型社会推進室]
  
 産業廃棄物の排出量が1,000トン以上(特別管理産業廃棄物については50トン以上)の多量排出事業者等への,産業廃棄物処理計画の策定を指導します。
  
[平成14年度事業実績] 産業廃棄物処理計画の作成に当たり,事業者へ指導しました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,指導します。なお,平成15年秋の条例改正により,計画策定の基準となる産業廃棄物の排出量が変更される予定です。
  
(エ) 産業廃棄物に対する税の導入 [循環型社会推進室・産業廃棄物対策室]
   
 県内で埋め立てられる産業廃棄物を抑制する方策として「産業廃棄物埋立税」を鳥取県・岡山県と連携して導入し,その税収をリサイクルや廃棄物対策の推進,自主的環境活動の支援に活用します。
  
[平成14年度事業実績] 平成14年6月定例県議会に「広島県産業廃棄物埋立税条例」を提案し,7月2日に可決成立しました。その後,9月27日に総務大臣の同意を得ました。(平成15年4月1日施行)
[平成15年度事業内容] 税を用いた事業を展開します。
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(2) 再利用(リユース)・再生利用(リサイクル)の推進
  
リサイクル資源の利用拡大
  
ごみのリサイクルを推進するためには,適切な分別が必要であり,市町村が実施する多種分別収集や資源化などの取組に対し助言・支援を行います。
今後増加が予想される焼却灰の溶融スラグについては,土木資材等への活用を推進します。
リサイクル製品の登録制度の創設,環境負荷の低減効果を表示するラベリングの開発,アンテナショップの設置など,県民,事業者等への関連情報等の積極的な提供によりリサイクル製品の利用拡大を図ります。
  
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
  
(ア) 広域ゴミゼロアクション支援事業[一般廃棄物対策室]
  
 市町村が共同して広域的に3R事業を進めるための実行プランづくりを支援し,ごみの減量化・資源化施策を推進します。
  
[平成14年度事業実績] 竹原・東広島ブロック・三次・庄原ブロックを支援しました。
[平成15年度事業内容] 尾道ブロック,三原ブロックを支援します。
  
図表1-1-4 広域ゴミゼロアクション事業の概要
広域ゴミゼロアクション事業の概要
  
平成15年度に講じる施策(新規)
  
(ア) 資源循環広域システム構築事業 [循環型社会推進室]
  
 廃棄物処理に伴う環境負荷が大きく,リサイクルが可能ながら十分に活用されていない産業廃棄物(木くず,有機性汚泥)について,排出,収集・運搬・中間処理,リサイクルに至る各業界の実務者レベルで構成する検討会を設け,広域的なリサイクルシステムを構築します。
  
(イ) リサイクル製品使用促進事業 [循環型社会推進室]
  
 県内産リサイクル製品の使用促進のため,リサイクル製品の登録制度を創設し,登録製品に関する性能等の情報(登録情報)を豊富に提供することにより,利用者の選択機会の充実を図ります。
  
項目 方法
庁内調整及び登録基準づくり 庁内関係部局で構成する登録基準設定検討会で登録基準の作成
登録事務等 登録基準を満足する製品の登録
登録情報の公表 ホームページによる公開
  
実用的な技術開発に対する支援と積極的な導入
  
廃棄物を資源として利用するうえでは,実用的な技術の開発が重要課題であるため,工業技術センター等における調査・研究を推進します。
実用的な技術開発を促進するためには,コスト・リスクの軽減を図ることが重要であり,県内事業者が行うリサイクル技術等の開発や実用化・事業化の各段階における助成制度の充実等を図ります。
広島県環境関連産業創出推進協議会」などの活動を通じ,産学官の連携や,同業種・異業種などの多面的な事業者間連携を促進し,環境関連の技術開発を促進します。
  
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
  
(ア) 環境関連産業コンプレックスの形成[新産業振興室]
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(イ) 試験研究機関における調査・研究
[環境政策室・産業技術振興室・技術振興室]
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平成15年度に講じる施策(新規)
  
(ア) リサイクル関連研究開発費助成事業[循環型社会推進室]
  
 事業者の実施する廃棄物リサイクルに関する研究開発を支援することにより,その成果の事業化を通して,資源循環・廃棄物の削減を積極的に推進します。
  
項目 内容
対象分野 廃棄物の排出抑制,減量化,リサイクル
対象者 構成員の2/3以上が県内に本社を置く中小企業者である3者以上の構成員から成る共同研究グループ
県内に主たる事務所を置く組合等
対象経費 即効性が高いと見込まれる研究開発対象経費が15,000千円以上
補助率 2/3以内
補助額 10,000千円以上20,000千円/件
  
(イ) リサイクル施設整備費助成事業 [循環型社会推進室]
  
 資源循環型社会への転換を勧める上において効果が大きいと認められるリサイクル関係施設等の整備に要する費用の一部を助成します。
  
項目 内容
対象分野 廃棄物の排出抑制,減量化,リサイクル
対象者 ・新設施設(国庫補助対象を除く)の設置者
対象経費 ・技術の優位性・先導性・県内への波及効果,県内埋立量の減量効果が高い設 備の整備費
補助率 1/3以内(びんごエコタウンモデル地域内は,1/3+5%以内)
補助額 1億円/件以内
  
各種リサイクル法の円滑な運用
  
「容器包装リサイクル法」,「家電リサイクル法」,「食品リサイクル法」,「建設リサイクル法」,「自動車リサイクル法」の周知等を徹底するとともに,各法制度の趣旨を踏まえた関係機関,県民等が連携した取組への指導・支援等を推進します。
  
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
  
(ア) 容器包装リサイクル法の推進 [循環型社会推進室・一般廃棄物対策室]
  
 容器包装リサイクル法に基づき,分別収集の徹底に向けた市町村の取組を支援していくとともに,県民に対して分別の必要性を周知します。
  
[平成14年度実績]
図表 1-1-5 容器包装廃棄物分別の分別収集の状況
(単位:t)
区分 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度
スチール 11,415 12,183 12,092 11,339 10,741
アルミ 4,054 4,367 4,375 4,663 4,661
無色ガラス 9,837 9,181 9,267 8,893 8,753
茶色ガラス 9,110 8,973 8,982 8,639 8,515
その他のガラス 3,110 2,959 2,969 2,701 2,822
飲料用紙パック 89 73 92 104 106
段ボール 12,046 11,604 12,154
その他の紙 0 0 0
ペットボトル 210 411 642 2,731 3,392
その他のプラスチック 5,697 10,452 13,258
(うち白色トレイ) 16 15 13
37,825 38,147 56,162 61,126 64,402
資料:県一般廃棄物対策室
  
[平成15年度事業内容] 平成15年4月を始期とする第3期広島県分別収集促進計画の推進を図ります。
  
図表 1−1−6 広島県分別収集促進計画(第3期)の概要
(単位:t)
区分 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度
スチール 13,077 13,346 13,616 13,877 14,136
アルミ 5,010 5,126 5,245 5,360 5,470
無色ガラス 12,367 12,606 12,843 13,084 13,322
茶色ガラス 11,474 11,678 11,880 12,082 12,278
その他のガラス 2,841 2,888 2,943 2,991 3,289
飲料用紙パック 585 599 612 700 711
段ボール 12,884 13,155 13,470 14,038 14,340
その他の紙 4,294 4,458 4,898 5,109 5,784
ペットボトル 3,982 4,227 4,384 4,542 4,694
その他のプラスチック 16,388 34,005 35,134 36,059 36,914
(うち白色トレイ) 139 154 165 173 179
82,902 102,088 105,025 107,842 110,938
資料:県一般廃棄物対策室
  
(イ) 家電リサイクル法の推進 [循環型社会推進室・一般廃棄物対策室]
  
 家電リサイクル法に基づき,県民に対して,廃家電(対象4品目)の適正な引き渡しとリサイクル料金等の負担について周知します。
  
[平成14年度事業実績] 家電リサイクル法の適正な運用を図るための普及・啓発活動を行いました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,適正な運用を推進します。
  
(ウ) 建設リサイクル法の推進 [技術調整室]
  
 建設リサイクル法の趣旨に基づき,建設副産物のリサイクルを推進します。
 また,建設リサイクル推進計画2002の目標値達成のため,建設リサイクルの推進に向けた基本的な考え方,目標,具体的施策を定め,建設副産物に対する総合的な対策を推進します。
  
[平成14年度事業実績] 建設副産物実態調査,木材リサイクル促進計画を策定しました。
[平成15年度事業内容] 建設汚泥リサイクル促進計画策定,建設リサイクル法届出審査業務等を行います。
  
(エ) 自動車リサイクル法の推進 [循環型社会推進室]
  
 平成16年度に施行される自動車リサイクル法の円滑な運用を図ります。
  
[平成14年度事業実績] 自動車リサイクル法の内容を,県民・事業者へ周知しました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,県民・事業者へ周知します。
  
サーマルリサイクル・廃棄物発電の促進
  
再生利用が困難で焼却処分せざるを得ない廃棄物については,エネルギーとして活用することにより,化石燃料の使用量の抑制を推進します。
ごみ焼却施設の整備に当たっては,廃熱を有効に活用できる廃棄物発電や新技術の導入により,可能な限り電気や熱などのエネルギーとしての回収を促進します。
  
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
  
(ア) 福山リサイクル発電事業の推進 [一般廃棄物対策室]
  
 一般廃棄物の広域処理とサーマルリサイクルを通じてダイオキシン類,二酸化炭素の削減等環境対策を進めるとともに,資源・エネルギー対策を進め,併せて市町村の廃棄物処理コストの低減を図るため,発電施設の整備に対し,新エネルギー・産業技術総合開発機構の地域新エネルギー導入促進事業を活用した補助を行います。
  
[平成14年度事業実績] RDFの受入を開始 (平成14年12月) しました。
[平成15年度事業内容] 試運転を開始 (平成15年8月) します。
  
《事業主体》 福山リサイクル発電株式会社
(出資者:県,福山市他14市町村,(財) 広島県環境保全公社,JFEエンジニアリング)
《施設の概要》
RDF処理能力:314t−RDF/日
発電出力: 約20,000kw
(約6万世帯分に相当)
設置場所: 福山市箕沖町
《スケジュール》

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