第2節  自主的な環境配慮を支える基盤づくり
 
1. エコビジネスの育成・集積の促進
 
●現状と課題
 
 環境省が平成12年に行った推計によれば,平成9年現在,エコビジネスの市場規模は24兆7千億円で,年平均伸び率3.7%の成長産業になると見込まれ,平成22年には40兆1千億円に達するとされています。この間,雇用規模は69万5千人から86万7千人に増加すると推計されています。
 本県には,臨海部を中心に鉄鋼,化学などの基礎素材型産業や,自動車を中心とする裾野の広い加工組立型産業の集積があり,エコビジネスの育成のためのポテンシャルは高いと考えられます。こうした本県の特性を踏まえ,実用的な技術開発や施設整備,販路開拓に対する支援,特区制度の活用等により,エコビジネスの育成・集積に向けた取組の推進が求められています。
 
[施策の方向]
将来の成長産業であるエコビジネスの育成・集積の促進
 
●施策の展開
 
(1) 事業者に対する支援
 
平成12年12月に国の承認を受けた「びんごエコタウン構想」の実現に向け,特区制度等を活用しつつ,民間主導で進められている資源循環型経済システムの構築などに向けたプロジェクトに対して支援を行うとともに,先進的なリサイクル施設の設備に対して支援を行うなど,エコビジネスの育成・集積を促進します。
平成13年度に策定した「環境関連産業創出プログラム」の具体化や事業の実施方策について検討を進めるとともに,技術開発や事業化に向けた取組を支援します。
「広島県環境関連産業創出推進協議会」などの活動を通じ,産学官の連携や,同業種・異業種などの多面的な事業者間連携を促進し,環境関連の技術開発を促進します。(再掲)
実用的な技術開発を促進するためには,コスト・リスクの軽減を図ることが重要であり,県内事業者が行うリサイクル技術等の開発や実用化・事業化等の各段階における助成制度の充実等を図ります。(再掲)
より幅広くリサイクルを進めていくうえで,品質・数量の両面で安定した廃棄物等の回収が可能な体制整備が課題となっており,回収における広域化・ネットワーク化・IT化などによる効率的,安定的な回収システムの構築を検討します。(再掲)
 
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
 
循環型経済拠点形成促進事業[循環型社会推進室]
 
(ア) びんごエコタウン構想推進委員会の運営
 
びんごエコタウン実行計画」に盛り込まれた事業の推進方策や,新たに推進すべき方策について検討するため,産業界・学識経験者・行政で構成する委員会を開催します。
 
[平成14年度事業実績] びんごエコタウン構想における環境学習機能の具体的方向性についてワーキンググループを設置し,検討しました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,びんごエコタウン構想を実現するための方策等について検討します。
 
(イ) 環境関連産業プロジェクトチームの事業化支援
 
 環境関連産業や流通業者等の集積を図るために,環境関連産業プロジェクトチームに対して,技術相談会や重点指導等,事業化のために支援します。
 
[平成14年度事業実績] びんごエコタウン構想推進委員会によるアドバイザーグループを設置し,環境関連産業プロジェクトの事業化に向けた課題等を検討し,プロジェクトの事業化へ向けた展開を図りました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,プロジェクトの事業化を支援します。
 
(ウ) 先進的なリサイクル施設の整備に要する支援
 
 エコタウンハード補助制度を活用し,先進的かつ波及効果の高い施設の立地を支援します。
 
[平成14年度事業実績] ポリエステル混紡衣料品リサイクル施設の立地に係る費用の一部を補助しました。この施設は,環境関連産業プロジェクトチームが実施するびんごエコタウン構想の中核施設で,不要になった混紡衣料品から高純度ポリエステルを取り出す国内初のリサイクル施設で,回収してペレット化されたポリエステルは,ボタンやハンガー,裏地などに再利用されます。
[平成15年度事業内容] 引き続き,エコタウンハード補助事業やリサイクル施設整備費助成事業により,先進的で波及効果の高いリサイクル施設の整備を支援します。
 
構造改革特別区域制度の活用[循環型社会推進室]
 
 びんごエコタウン構想モデル地区(福山市箕沖地区)周辺において,リサイクルの取組を進めるため,国が規制緩和方策として推進する構造改革特別区域制度の活用を図ります。
 
[平成14年度事業実績] 構造改革特別区域制度の活用を検討しました。
[平成15年度事業内容] 「びんご産業再生特区」として具体的な提案を行うこととしています。
なお,産業廃棄物埋立税を充当したリサイクル関連研究開発費助成事業,リサイクル施設整備費助成事業,リサイクル製品使用促進制度等のリサイクル産業を活性化するための新たな制度を活用することによって,びんごエコタウン構想の実現に向けた取組みをさらに加速させます。
 
図表4-2-1 平成15年度びんごエコタウン構想推進施策
平成15年度びんごエコタウン構想推進政策
 
環境関連産業コンプレックスの形成[新産業振興室](再掲)
 
(ア) 広島県環境関連産業創出推進協議会の運営
 
 産学官などの連携によって設立した「広島県環境関連産業創出推進協議会」の活動を通じ,エコビジネスの集積を図り,技術開発支援や市場拡大支援に取り組みます。
 
[平成14年度事業実績] 研究開発グループ交流会や製品・技術PR発表会等の技術交流会の開催(12回),環境機器展「エコプロダクツ2002」へ出展(19団体),環境関連製品・技術の紹介冊子の作成・配布(43団体収録・1,000部)しました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,技術交流会や環境機器展出展を実施します。
 
(イ) 共同研究事業の支援
 
 環境関連の共同研究に対し,助成を行います。
 
[平成14年度事業実績] ひろしま産業創生研究補助金を活用し,環境関連8テーマに対し助成しました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,リサイクル関連研究開発費助成事業によりリサイクル枠を設けて支援を拡充し,助成します。
 
(ウ) 未利用エネルギー活用地域熱供給システムビジョンの策定
 
 福山市箕沖地区を対象に,工場排熱等の未利用エネルギーを有効活用して地域に熱供給する事業のビジョンを策定しました。(平成14年度終了)
 
平成15年度に講じる施策(新規)
 
資源循環広域システム構築事業[循環型社会推進室](再掲)
 
リサイクル製品使用促進事業[循環型社会推進室](再掲)
→ア,イの詳細はこちら
 
リサイクル関連研究開発費助成事業[循環型社会推進室](再掲)
 
リサイクル施設整備費助成事業[循環型社会推進室](再掲)
→ウ,エの詳細はこちら

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