このページの本文へ
ページの先頭です。

検体の採取と輸送について

印刷用ページを表示する掲載日2023年6月29日

 病原体検査を行うためには、検査に最適な検体を用いる必要があります。検体採取時期、採取する検体の種類については、十分検討してください。また、病原体によっては失活してしまう恐れがあるため、採取後は取り扱いや保存状態に注意し、速やかに保健環境センターに搬入されるよう手配してください。
 なお、病原体検査を行うためには、発病年月日、症状、検体採取日などの情報が非常に重要です。必ずこれらの事項については感染症検査票に記入してください。また、間違いを防ぐために、検体容器に患者名と検体採取日を記入するようにしてください。

一般的な注意事項

臨床検体

  • 採取した検体は、速やかに保健環境センターに輸送する。
  • 検体容器(1次容器)の蓋は、ゆるまないようテープで固定るし、さらにチャック付きポリ袋等に入れ、封入すること。
  • すぐに輸送できない場合は、4日以内であれば4℃以下(冷蔵)で、それ以上であれば-20℃以下(冷凍)で保存する。ただし、全血もしくは血清分離されていない血液は、溶血するので冷凍してはならない。
  • チャック付きポリ袋等に入れた1次容器をバイオボトル(2次容器:国連規格容器)に入れ、蓋をしっかり締める。2次容器は専用の外箱(3次容器:国連規格容器)に入れ、3次容器に内容物項目リストを入れる。
  • 輸送の際には、冷蔵してある検体については保冷剤を、冷凍してある検体については、ドライアイスを(ドライアイスの入手が困難な場合は十分な量の保冷剤でも可)オーバーパック(4次容器)に入れ、必要事項を記入した各種検査票と併せて保健環境センターへ輸送する。
  • ドライアイスを4次容器に入れる際は、容器の破裂を防ぐため、完全密封とならないように留意すること(バイオボトル中には絶対に入れてはならない)。また、保冷剤については、あらかじめ冷凍庫内で十分に冷却したものを使用すること。
  • 細菌検査用の検体は、抗生物質投与前にを採取すること。
  • 臨床検体を輸送する際は、「感染症検査票」に必要事項を記載のうえ、依頼する。ただし、ダニ類媒介感染症の検体を輸送する際は、「つつが虫病・日本紅斑熱・SFTS患者調査票」、蚊媒介感染症の検体を輸送する際には「蚊媒介感染症疑い検査票」を用いること。

菌株

  • カジトン培地等の保存培地(1次容器)に接種された菌株は、容器の蓋がゆるまないようテープで固定し、さらにチャック付きポリ袋等に入れ、封入すること。
  • 平板培地(1次容器)に接種された菌株は、シャーレの蓋を下にして周囲をテープで固定し、さらにチャック付きポリ袋等に入れ、封入すること。
  • 輸送の際には、1次容器をバイオボトル(2次容器:国連規格容器)と専用の外箱(3次容器:国連規格容器)に入れ、保健環境センターへ搬入する。内容物項目リストは3次容器に入れる。直接搬入できない場合は、宅配便は利用できないので、必ず日本郵便の「ゆうパック」を利用し、4次容器としてジュラルミンケースを用いること。
  • 輸送は常温で行う。

 検体別の注意事項

血液、血清

  • 抗体検査に用いる血液や血清は最低限、急性期と回復期の2点において採取する。急性期血液、血清は、感染が疑われた時点で即座に、回復期血液、血清は、1回目の採血から2~3週間後に採取する。
  • 遺伝子検査に用いる血液は、抗凝固防止剤(EDTA)入りの採血管を用いて採血する。(ヘパリン入り採血管は使用してはならない)。血清は、血清分離剤入り採血管を用いて採血する。
  • 血液は6mL以上を採血する。小さい採血管の場合は、6mL以上となるよう複数本採取する。

髄液

  • 無菌的に1~5mLを採取し、滅菌容器に入れ、蓋をしてビニールテープでシールする。

鼻咽頭拭い液、鼻腔吸引液

  • 咽頭拭い液の場合は、口を大きく開け、舌圧子で舌を押さえながら口蓋、扁桃、咽頭後壁に綿球あるいは綿棒を強くこすりつけ採取する。
  • ​鼻腔ぬぐい液の場合には、両方の鼻腔内に綿棒を、渦を巻くように挿入し、鼻甲介に綿棒を数回、強くこすりつけ採取する。
  • 鼻咽頭拭い液の場合は、綿棒を鼻腔底に沿ってゆっくり挿入し、抵抗を感じたところで止め、10秒程度そのままの位置で保ち鼻汁を浸透させ、ゆっくり回転させながら引き抜き採取する。
  • 採取に使用した綿棒は、1~3mLの検体輸送用培地をいれた容器(検体専用容器)に綿球部分を浸し、余分な軸を折り除くか、あるいはハサミで切り落とした後に蓋をしてビニールテープでシールする。検体専用容器が無い場合は、滅菌容器にそのまま綿棒を入れる。
  • 鼻腔吸引液の場合は、2mLの生理食塩液を鼻腔内に注入し、その後鼻咽頭分泌物を吸引する。もう一方の鼻孔ついても同様に行い、吸引液は滅菌試験管に入れ、蓋をした後にビニールテープでシールする。

便

  • できる限り早期(急性期)に排泄直後の糞便を、固形便であれば5g(母指頭台)、下痢便であれば1~5mLを容器に入れて蓋をした後、ビニールテープでシールする。
  • 直腸スワブの場合は、滅菌綿棒を用いて採取し、検体輸送用培地あるいは滅菌生理食塩水を入れた容器に綿球部分を浸し、余分な軸を折り除くか、あるいはハサミで切り落とした後に蓋をした後、ビニールテープでシールする。なお、ウイルス検査用には、細菌検査に使用する採便管(キャリー・ブレア培地の入ったもの)は使用しない。

尿

  • 20~35mLの尿を採取し、50mLファルコンチューブなどに入れ、蓋をした後にビニールテープでシールする。なお、採取量は漏出防止のため、最大でも容器の7割までとする。
  • 尿は遠心分離する必要はない。

水疱内容物等皮膚病変

  • 水疱又は膿庖の表面をアルコール綿等で消毒し、毛細管、ツベルクリン注射器等で局所を突き刺し内容物を吸引するか、または局所を滅菌綿棒でこすり、検体輸送用培地に綿球部分を浸し、余分な軸を折り除くか、あるいはハサミで切り落とした後に蓋をしてビニールテープでシールする。

痂皮(かさぶた)あるいは皮膚組織

  • 痂皮は滅菌ピンセット等ではがした後、そのまま滅菌容器に入れ、蓋をしてビニールテープでシールする(生理食塩水に浸す必要は無い)。採取した皮膚組織も同様にする(ホルマリンに浸けてはならない)。

喀痰

  • 滅菌済喀痰容器に採取する。口腔内の常在菌の混入を防ぐため、うがい等で口腔内を清潔にし、強く咳をして、喉の下方の気管支や肺から出てくる痰を容器に入れる。唾液や鼻汁は入れないよう注意する。

その他

  • 滅菌容器に入れ、蓋をしてビニールテープでシールする。

感染症検査票

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)

おすすめコンテンツ

みなさんの声を聞かせてください

満足度 この記事の内容に満足はできましたか? 
容易度 この記事は容易に見つけられましたか?