3  健全な水循環の確保
 
現状と課題
 
 水は,蒸発・降水・浸透・貯留・流下・海への流入という過程を繰り返す中で浄化されますが,戦後,都市への急激な人口・産業の集中と過疎化の進行,産業構造の変化などの社会経済の変化を背景として水循環が急激に変化したことにより,河川流量や雨水浸透量の減少,湧水の枯渇,水質汚濁,生態系への悪影響などの諸問題が生じています。
 こうした問題の解決を図るためには,それぞれの地点における環境の質を判断し,汚濁負荷の低減を通じて環境の保全を図る「場の視点」からの取組とあわせ,水源となる森林から海までの河川の流域を一体的な水循環系として捉えた「流れの視点」に基づいて,河川流量や地下浸透量の確保等の取組が不可欠です。あわせて,家庭や工場・事業場における水の合理的・循環的利用をさらに進める必要があります。
 
図表 2-1-18
 1日及び1日1人当たり平均給水量
図表 2-1-19
 1日当たり工業用水及び回収水使用量
出典:県統計年鑑,水道統計 出典:県統計年鑑,工業統計
 
[施策の方向]
 河川の流域を一体的な水循環系と捉えた保全・再生の推進
 水源林造成,雨水地下浸透促進施設等の整備推進
 水の合理的・循環的利用の促進

施策の展開
 
(1)河川の流域における水循環の一体的な保全・再生
 都市への急激な人口や産業の集中,過疎化の進行,産業構造の変化などの社会経済の変化を背景とする水の循環の急激な変化により,生態系への悪影響,河川流量の減少,都市における水害や渇水,水質汚濁,親水空間の減少などの問題が発生している状況を踏まえ,河川の流域を一体的な水循環系として捉えて保全・再生する取組を推進します。
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
 治水ダム建設事業[ダム室]
 水害防除と既得取水の安定化及び河川環境の保全などを目的にダムを建設しています。
[平成16年度事業実績]  四川ダム,仁賀ダム,梶尾ダムを建設しています。
[平成17年度事業内容]  引き続き,事業を実施します。
 
 多目的ダム建設事業[ダム室]
 水害防除や既得取水の安定化及び河川環境の保全,都市用水などの補給を目的にダムを建設しています。
[平成16年度事業実績]  福富ダム,山田川ダム,野間川ダム,庄原ダムを建設しています。
[平成17年度事業内容]  引き続き,事業を実施します。
 
 尾崎川統合河川整備事業[河川企画整備室]
 二級河川尾崎川は,流域の市街化により生活排水等が流入し,長年に渡って河床に堆積したヘドロ等により水質が悪化しています。このため,安芸郡海田町及び広島市安芸区の尾崎川において汚泥浚渫を実施しており,隣接する二級河川瀬野川からの導水を計画しています。
[平成16年度事業実績]  広島市安芸区で浚渫量2,800m3(工事延長52m)の施工をしました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,浚渫量3,000m3(工事延長40m)の施工をします。
 
 健やかな流域づくり事業(黒瀬川モデル)[環境調整室]
→詳細はこちら
 
(2) 雨水等の地下浸透の推進
 排水性舗装,貯留浸透型の雨水排水設備など,雨水の地下浸透を促す施設等の整備を推進します。
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
 植樹帯や法面の緑化[道路企画室]
 道路を緑化し,良好な道路環境を確保するよう,植樹帯や法面の緑化を実施します。
 
 透水性舗装の使用[道路企画室]
 道路の舗装面上に降った雨水を,間隙が多い舗装材の特質を利用して地中に浸透させる舗装工法で,地下水を保全・かん養します。
[平成16年度事業実績]  一般国道2号(尾道市高須) において600mの透水性舗装を実施しました。
[平成17年度事業内容]  一般国道2号(尾道市高須) において,1,000mの透水性舗装を実施します。
 
 浸透ますの設置[道路企画室]
 従来の雨水ますと違い,底と横に穴があいている雨水浸透ますを,砕石で被い設置することにより,雨水を地下にしみ込みやすくします。
 
 街路事業[都市整備室]
 道路工事において,透水性舗装をすることにより,雨水の地下浸透を促進し,地盤の持つ保水能力を維持・回復するように努めます。
[平成16年度事業実績]  なし。
[平成17年度事業内容]  巴橋粟屋線において,透水性舗装を整備します。
 
(3)水源林造成の推進
 ダム上流域等の森林を対象に「水源の森」の指定を拡大するとともに,事業者やNPO団体等の協力を得つつ,上下流域が一体となった県民参加による水源林の造成を推進します。
 水資源の確保を図るため,森林の有する水源かん養機能を高度に発揮させる上で重要な役割を果たす水源かん養保安林等について,適切な保全・管理を推進します。
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
 水源林造成事業[森林整備室](再掲)
 都市部における水不足の解消に寄与するための水源林の造成,充実を目的として,上下流の住民が一体となり,流域ぐるみで水源かん養機能の高い森林づくりを実施します。
[平成16年度事業実績]  ダム上流域等の森林を対象に「水源の森」の指定を拡大するとともに,企業・漁協等の事業者やNPO団体等の協力により,県民参加による水源林の造成を実施しました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,個別補助事業,市町森林整備事業,農林振興センター事業,普及啓発事業を計画的かつ着実に実施します。
 
 水源地域整備事業[治山室]
 水源地域において,森林の有する水源かん養機能を高度に発揮させ,水資源の確保と県土の保全に資するため,荒廃地,荒廃移行地の復旧整備及び荒廃森林の整備を総合的に実施します。
[平成16年度事業実績]  特に重要な水源地域において,荒廃した森林等4地区の整備を実施しました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,3地区において整備します。
 
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