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薬物依存症とは?

印刷用ページを表示する掲載日2024年2月5日

 薬物依存症とは、覚醒剤・大麻などの違法薬物、向精神薬、市販薬などの依存性のある薬物を使い続けているうちに心身に異変が生じ、薬物を使いたいという気持ち(渇望)が強くなりすぎて、自分ではコントロールできなくなり、現実に様々な不都合が生じているにも関わらず、薬物を使い続けてしまい、「やめたくてもやめられない」状態になることです。

 薬物依存症になるのは、特別な人ではなく、意思や性格の問題でもありません。
 誰にでも依存症になる可能性があります。
 薬物を使用して、快感や満足感を得たり、これまで悩みに思っていた不安や苦痛から解放してくれたり、あるいは現実世界からトリップして、幻覚の世界へと精神を展開してくれるという経験を持つと、人はその薬物をまた経験したいと思い、薬物を求めることになります。
 このように、薬物の乱用者は薬物がもたらす効果を求めて、薬物の使用を繰り返してしまい、「依存」が形成されます。

依存性のある薬物

違法薬物 : 覚醒剤、大麻、合成麻薬、コカイン、危険ドラッグ など

病院で処方される医薬品 : 睡眠薬、精神安定薬 など

ドラッグストアなどの市販薬 : 鎮痛薬、咳止め薬、風邪薬 など

◆近年、「処方薬」「市販薬」の依存になる人が増えています。
 ・薬を決められた量、指示された回数以上に飲んでしまう
 ・薬の本来の効能とは異なる効果を期待して使ってしまう
   (例:やる気を出すために風邪薬を飲む、など)
 ・複数の医療機関や薬局で同じ薬を入手して自己判断で使う
 こんな風に、違法薬物を使うだけではなく、処方薬や市販薬を誤った使い方をする
ことも「薬物乱用」となります。
 乱用を繰り返すうちに、自分ではやめられなくなってしまう=「依存」に陥ってしまいます。

依存症になるとどんな問題が起こるの?

 薬物依存の状態になると、自分の健康はもちろん家庭生活、仕事などを放置し、薬物を使用することだけが生活の中心となることもあります。
(例)
・睡眠や食事がおろそかになり、自分の健康を損ねる。
・薬物を買うお金を手に入れるために家族や友人に嘘をついて、関係を悪化させる。
・仕事や学校を続けられなくなる。
・隠れて借金をしてしまう。
 このように、依存症は本人だけでなく周りの人の生活にも影響を及ぼす可能性があります。

依存症からは回復できます!

 依存症は脳の病気です。
 残念ながら、依存症になった脳は元の状態には戻らないと考えられています。
 しかし、様々な助けを借りながら、薬物を止め続けることで、依存症から回復することは可能です。
 回復するためには、薬物を「止め続ける」ことが必要です。
 長い時間はかかりますが、止め続ければ、失った自分らしさを取り戻すことができます。

回復の助けになる機関

専門医療機関

 依存症の専門医療機関では、薬物療法や精神療法に加えて、認知行動療法などの専門のプログラムを行っています。
依存症認知行動療法プログラム:どのような時に薬物を使いたくなるか、その時どんな行動をとるかなどを読み解き、思考や行動パターンを変え、具体的な対処スキルを身に着けることを重視したプログラム。

広島県の依存症専門医療機関のページはこちら

相談機関

 保健所や県立総合精神保健福祉センター(パレアモア)、自助グループなどでも相談できます。本人だけでなく家族の相談にものっています。
 

周囲の方へのQ&A

 Q1 「薬物を使っても回復することができる」などということが分かると、安心して乱用を始める人が増えるのではないかと心配です。薬物乱用をなくすためには、むしろ、「薬物を使ったら、とてつもなく恐ろしいことになる」ということだけを強調すべきではないですか。

A1 薬物の害を強調することは重要ですが、「薬物を使ったら、皆、凶暴になる」というように誇張して恐怖心を煽るようないわゆる「脅し型」の啓発は、薬物依存症の人への偏見を助長するだけで、啓発としては逆効果であると言われています。
 一見普通の状態の人から「オレは3年間も使っているけど全然平気だよ。」などと誘われると、「凶暴になると聞いていたけど、この人は、そんなことなさそうだな。やはり、啓発で言っていたのは大げさな話だったのだな。」ということになってしまい、せっかく啓発で学んだことが、すべて否定されてしまいます。
 また、薬物依存症から回復することは可能ですが、けっして簡単なことではありません。
 一生涯続く薬物依存症という障害を背負ってしまっているので、薬物に対する強い渇望と闘いながら、薬物を使わないという努力を一日一日積み重ねていくことが必要であり、挫折し、脱落することも少なくありません。
 したがって、若者等に対する啓発では、「薬物を乱用すると依存症になり、やめたくてもやめられなくなること。」や「依存症からの回復は大変困難で、仮に回復できても、完全に元の状態に戻るわけではなく、薬物に対する渇望と闘う努力を生涯続ける必要があること。」などを正しく伝え、だから「ダメ。ゼッタイ。」なのだということとともに、薬物に頼らない生き方をすべきであることを強調することが重要です。

 

Q2 薬物依存症からの回復が困難なのであれば、専門病院の入院治療等で完全に回復してから社会復帰すべきではないですか。

A2 幻覚や妄想などの中毒症状は、病院で治療することが可能ですが、薬物依存症を治療する薬はありません。
 また、依存症から回復するためには、薬物に対する渇望を抑える訓練をすることが重要ですが、閉鎖病棟への入院中のように薬物を使いたくても使えない状態では、渇望と闘う必要もない状態なので、訓練になりません。
 このため、退院等の直後に、急激に湧き起こる薬物への渇望に抗しきれず、薬物を再使用してしまう例が多くみられます。
 したがって、薬物依存症から回復するためには、一般社会で生活を送りながら、専門病院への通院や自助グループのミーティングへの参加などの取組を続けていくことが重要です。

 

Q3 近所で薬物依存症の人が集まるミーティングが行われると聞きました。
凶悪犯罪に巻き込まれるのではないかと心配です。

A3 そのような心配は、まったく必要ありません。
 自助グループが行っているミーティングは、薬物依存症の克服を決意した人たちが、回復のために、薬物への渇望を抑える方法等について真剣に話し合い、支え合う場です。
 当然ですが、途中で脱落して薬物を再使用してしまうときには、ミーティング会場などには近づきません。もちろん、薬物をやめる気持ちがない人や薬物の売人なども、けっして近づきません。
 また、薬物依存症の人でも、幻覚・妄想などの中毒症状がある場合は、病院での治療が優先されます。薬物をやめることを決意し、自らの意思で自助グループのミーティングに通っている人たちは、完全に社会の一員です。
 いたずらに不安視することなく、依存症からの回復を支援し、薬物乱用のない社会の実現を目指しましょう。

 

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