3  県の率先行動の推進
 
現状と課題
 
 県は,環境の保全に関する各種施策を推進する行政主体であると同時に,県内の社会経済活動における一事業者,一消費者としても大きな位置を占めています。
 こうした立場から,「広島県オフィスコスト節減対策推進会議」を設置し全庁的な内部管理費の節減運動の展開や,「環境に配慮した広島県率先行動実行計画」に基づき,職員一人ひとりが日常の行政事務の執行にあたり,省エネルギー・省資源行動へ取組,環境への負荷の軽減を図るよう努めています。また,県公用車については「広島県自動車使用合理化計画」に基づき,自動車排出ガス等の削減に努めています。温室効果ガス排出量実態調査の結果,温室効果ガスの総排出量は基準年度に比べ増加しています。このままの状況で推移すると,目標達成は厳しいことが予測されることから,今後,全職員に対して,一層の省エネルギー徹底を求めるなどソフト面の対策に加え,さらに施設や設備の改善を含めた,より抜本的なハード面の対策を講じる必要があります。
 また,環境にやさしい物品購入については,「広島県グリーン購入方針」に基づき,本格的にグリーン購入や公共工事における再生建設資材の利用などに努めています。平成16年度のグリーン購入の実績を見ると,自動車,その他繊維製品,コピー用紙,印刷用紙など紙類及びオフィス家具類は,ほとんど適合品となっています。次に調達割合の高い順に,OA機器,家電製品,照明,インテリア,寝装,作業用手袋,納入印刷物,文具類,制服・作業服と続いています。環境に配慮した製品を調達できなかった理由としては,「安価である」「形状や材質上の制約」「環境物品等に適当な製品がなかった」等によるものですが,環境物品の購入が更なる環境物品の普及を促進していくという好循環を作っていくために,グリーン購入の着実な取組を更に進めていく必要があります。
 なお,公共工事等の実施に当たっては,計画段階から環境への配慮について検討を行い,環境と調和した工事等の実施が求められています。
 
図表 4-2-3 環境に配慮した広島県率先行動実行計画(H16年度)
(注)平成16年度は速報値
資料:県環境政策室
 
図表 4-2-4 グリーン購入調達実績(H16年度)
(注) 分野の(  )は,品目数を示す。
資料:県環境政策室
 
[施策の方向]
県民や事業者の取組を促進する県自らの率先行動の推進
 
施策の展開
 
 「環境に配慮した広島県率先行動実行計画」に基づき,温室効果ガスの排出抑制や省資源,省エネルギーなど環境に配慮した行動に,県自らが率先して取り組みます。
 「広島県グリーン購入方針」等に基づき,グリーン購入や公共工事における再生建設資材の利用などに自らが率先して取り組みます。
 生活環境保全条例に基づく「広島県自動車使用合理化計画書」に基づき,県公用車からの自動車排出ガス等の削減に取り組みます。
 県の公共事業等の実施により生じる環境への負荷を低減させるため,計画・設計・工事の各段階において環境配慮の状況等を点検する仕組みを構築するとともに,市町などと一体となってこの仕組みの普及に努めます。
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
 生活環境保全条例に基づく自動車使用者等の取組の推進[環境政策室・環境対策室](再掲)
 生活環境保全条例に基づき作成した,「広島県自動車使用合理化計画書」により,県公用車の自動車使用合理化・低公害車導入等を図ります。これにより,二酸化炭素,窒素酸化物等の排出を抑制し,地球環境保全・大気環境保全を推進するとともに,県民,事業者等へ,その普及・導入促進を図ります。
[平成16年度事業実績]  平成17年2月,「広島県自動車使用合理化計画」を作成しました。
[平成17年度事業内容]  広島県自動車使用合理化計画に基づき環境に配慮した運転等を実施します。
 これらを推進するため,エコドライブ研修を通じて職員への周知を図ります。
 
図表 4-2-5 広島県自動車使用合理化計画における実績
項目 平成16年度実績 平成20年度末における
目標
低公害車等注)の導入率 22.7%
(平成17年度当初)
50%
自動車による排出量
(平成15年度比)
二酸化炭素 0.9% 10%削減
二酸化窒素 △16.8% 40%削減
粒子状物質 △23.7%
注) 低公害車等には,国土交通省が,省エネ法に基づく燃費基準(トップランナー基準)早期達成車で,かつ「低排出ガス車認定実施要領」に基づき,低排出ガス車として認定している自動車[国土交通省認定車]のほか,軽自動車を含む。
資料:県環境対策室
 
図表 4-2-6 県及び市町村の低公害車保有台数(H16.3.31現在)
  電気自動車 天然ガス車 ハイブリッド車 75%低減車 50%低減車 25%低減車 低公害車保有台数合計 全自動車保有台数
0 7 0 63 53 213 336 2,476
市町村合計 7 33 12 87 177 105 421 6,970
総計 7 40 12 150 230 318 757 9,446
注1) メタノール車の保有台数は,県及び市町村ともに0台
注2) 低減車とは,図表 4-2-5 注の国土交通省認定車をいう
資料:県環境対策室
 
 環境に配慮した広島県率先行動実行計画の推進[環境政策室]
 地球温暖化対策推進法第21条に基づき策定した実行計画により,県の事務及び事業から排出される温室効果ガスの抑制や省資源,省エネルギーなど環境に配慮した取組を推進します。
[平成16年度事業実績]  各所属の推進責任者等へ実行計画の趣旨・内容の周知徹底や点検活動のほか,取組状況を把握し,評価・見直しの資料とするため,温室効果ガス排出量実態調査を実施しました。
[平成17年度事業内容]  新たに策定した「環境に配慮した広島県率先行動実行計画」に基づき,省エネルギー等による温室効果ガスの削減行動や省資源等による環境に配慮した率先行動を行うことなどにより,目標達成に向けた取組を強化します。
 
 グリーン購入の推進[環境政策室]
 「広島県グリーン購入方針」に基づき,物品等の購入にあたっては,価格や品質,利便性,デザインといった従来の基準だけでなく,環境負担の低減を判断基準とすることが環境物品等の普及促進に繋がることから,できる限り環境に配慮した製品を調達するように努めます。また,県が率先してグリーン購入を進めることにより,県民・事業者等におけるグリーン購入の喚起,環境物品等への需要の転換を促進します。
[平成16年度事業実績]  文具類,用紙類など16分野201品目について調達の具体的な判断基準を定めるとともに,これに基づいて13分野の調達目標を設定し,環境物品の優先的な購入に努めました。
[平成17年度事業内容]  平成17年度は,対象分野を拡大し,18分野206品目について調達の具体的な判断基準を定めるとともに,14分野に調達目標を設定し,環境物品の優先購入に努めます。
 
 県CO2削減率先行動強化推進事業[環境政策室]
 県の事務及び事業から排出される温室効果ガスの削減に伴う目標達成のため,職員一人ひとりの省エネルギー・省資源への取組を強化するとともに,施設・設備改善等による温室効果ガス排出量の削減を推進します。
[平成16年度事業実績]  平成12年3月に策定した「広島県地球温暖化対策実行計画」の計画期間が終了するため,平成22年度を目標とする「環境に配慮した広島県率先行動実行計画」を新たに策定しました。
[平成17年度事業内容]  新たに策定した「環境に配慮した広島県率先行動実行計画」における実効性のある具体的な取組として,省エネルギーによる経費削減分で施設改修を行うESCO事業の導入に向けた詳細診断を,県庁本庁舎東館において実施します。
 
 公共事業における環境配慮の推進[環境調整室]
 県の公共事業における環境配慮を推進するため,「広島県環境配慮推進要綱」に基づき,事業の計画段階から工事段階まで,環境配慮の推進に努めます。
(県公共事業における環境配慮の状況は,資料「その他4」参照)
 
図表 4-2-7 県公共事業における環境配慮の流れ
[平成16年度事業実績]  県公共事業における大・中規模事業11件(道路の整備,農業・農村の整備及び建築物の整備)について,計画・設計・工事段階で環境配慮チェック表を作成し環境配慮を行いました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,県公共事業について,計画段階から環境への影響を点検し,環境配慮を行う取組を推進し,環境配慮に努めます。
 
 オフィスコスト節減対策の推進[出納総務室]
 オフィスコスト節減対策推進要領において,物品の購入要求,印刷物の発注,公用車の購入等に当たっては,グリーン購入方針を考慮するよう定め,取り組みます。また,光熱水費,燃料費の使用量減についても,節電,節水,ガスの効率的使用,公用車の急発進や空ぶかしをしないこと及び経済運行速度の遵守について定めて取り組みます。
[平成16年度事業実績]  平成16年度オフィスコスト節減対策重点目標において,公務に支障のない範囲での消灯,電気機器の電源管理の徹底等を設定するとともに,新たに強調月間の設定や推進体制を強化し,全庁あげてオフィスコスト節減対策に取り組みました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,オフィスコストの節減対策を実施します。
 
 県立広島病院天然ガスコージェネレーション設置事業[県立病院室](再掲)
→ 詳細はこちら
 
 農業農村整備事業[生産基盤室]
 市町村毎に田園環境整備マスタープランを作成し,これを踏まえた事業計画の樹立や,「広島県農村環境情報協議会」での意見交換・情報収集を行い,環境との調和に配慮した農村空間整備を行います。
[平成16年度事業実績]  農業農村整備事業計画地区において,環境調査を実施し,環境配慮工法を検討しました。また,これまでにほ場整備事業等で整備した県内4箇所の水田地域において,田んぼの生き物調査(モニタリング調査)を地元小学生の協力を得ながら実施しました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,広島県環境配慮推進要綱と広島県農村環境情報協議会の連携を図りながら,環境との調和を図った整備を推進します。
 
資料写真 資料写真
 
 沼田川工業用水道事業[水道整備室](再掲)
→ 詳細はこちら
 
 県庁舎屋上緑化モデル事業[財産管理室]
 ヒートアイランド現象の緩和,建物温度の軽減等,省エネルギー・環境改善効果が高いとされる「屋上緑化」を,(社)広島県造園建設業協会との協議会方式により,県庁舎北館屋上へ試行的に導入し,導入効果等の実験・検証を行うとともに,この取組を通じて屋上緑化の普及啓発を図ります。
[平成16年度事業実績]  緑化による建物の温度低減効果の観測を実施し,屋上緑化の効果についての検証を行うとともに,植栽の育成状況や生物相の回復状況,緑化を施したことによる建物の維持管理上の課題などの調査を行いました。また,定期的に一般公開を行うなど,屋上緑化の普及啓発を図りました。
[平成17年度事業内容]  平成17年度は,これまで行ってきた温度データ測定結果の分析や,植生・生物相の状況,維持管理記録等をとりまとめ,報告書の作成を行います。また,定期的に一般公開を行うなど,引き続き屋上緑化の普及を図ります。
 
屋上緑化の様子
屋上緑化全景 一般公開の様子
屋上緑化全景 一般公開の様子
 
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