2  水環境の保全
 
現状と課題
 
(1)公共用水域の環境基準達成状況
 
 健康項目
 人の健康の保護に関する項目(カドミウムなど26項目)については,延べ144の全地点で環境基準を達成しています。
(測定結果は,資料編「水環境6」参照)
 
 生活環境項目
 環境基準の類型が指定されている河川82水系,海域14水域,湖沼3水域におけるBOD(河川)・COD(海域)の環境基準の達成状況は,過去5か年(平成12年から16年度)の平均と比べて,河川は上昇傾向にありますが,海域は過去5か年で最低の達成状況となっています。
 また,全窒素及び全燐の環境基準の類型が指定されている海域9水域,湖沼3水域の環境基準の達成状況は,湖沼の全燐のみ上昇しましたが,海域はCODと同様に低下しています。
 生活環境の保全に関する項目のうち,河川のBOD環境基準達成率は上昇していますが,都市部の小河川等においては,都市周辺の宅地開発に伴う生活排水による汚濁がみられ,環境基準が達成されていません。
 また,県内で排出されるCOD汚濁負荷量は低減傾向にありますが,内部生産や藻場・干潟の消滅等による浄化機能の低下などの影響により海域CODの環境基準達成率は依然として低い水準であるほか,富栄養化に伴う赤潮も依然として発生しており,海域に流入する汚濁負荷量のさらなる削減が必要となっています。
(類型指定状況と測定結果は,資料編「水環境12345678910111213141516」参照)
 
図表 2-2-10 河川・海域・湖沼環境基準達成率
資料:県環境対策室
(注)(環境基準達成水域数/環境基準類型指定水域数)×100
 
 地下水
 県内59地点で地下水水質の調査を実施したところ,地下水環境基準達成率は,近年,8割前後で推移しており,ほぼ横ばい傾向にあります。
(測定結果は,資料編「水環境17」参照)
 
図表 2-2-11 地下水環境基準達成率
資料:中国地方整備局,県環境対策室,広島市,呉市,福山市
 
 COD発生汚濁負荷量
 県内で排出されるCOD汚濁負荷量は,瀬戸内海流域がそのほとんどを占めており,経年的にはやや減少の傾向にあります。
 産業排水のCOD汚濁負荷量のうち,約4割が総量規制の対象とならない小規模の事業場等から排出されており,適切な対応が必要です。
 また,生活排水のCOD汚濁負荷量のうち,約7割が生活排水によるものであり,排水処理施設の整備など,着実な対策が必要です。
 なお,汚水処理人口普及率(し尿と生活排水の処理率)を地域別に見ると,市域と町域では格差があり,とりわけ中山間地域では,地形的な条件等により,特に整備が遅れています。
 
図表 2-2-12 汚水処理人口普及率
資料:県一般廃棄物対策室,県生活基盤室,県漁港漁場整備室,県下水道室
 
図表 2-2-13 県内で排出されるCOD汚濁負荷量(平成13年度末現在)
区分 産業排水
(t/日)
生活排水
(t/日)
その他
(t/日)

(t/日)
瀬戸内海 35 28 7 70
その他(江の川) 2 3 3 8
県計 37 31 10 78
資料:県環境対策室
 
図表 2-2-14 瀬戸内海流域におけるCOD発生汚濁負荷量
資料:県環境対策室
 
図表 2-2-15 生活排水(瀬戸内海流域)に係る発生源別COD汚濁負荷量の割合
資料:県環境対策室
 
図表 2-2-16 産業排水(瀬戸内海流域)に係る発生源別COD汚濁負荷量の割合
資料:県環境対策室
 
図表 2-2-17 産業排水(瀬戸内海流域)に係る業種別COD汚濁負荷量の割合
資料:県環境対策室
 
 富栄養化の状況
 県内の湖沼や海域においては,生活排水等の流入による窒素・燐濃度の上昇(富栄養化)が原因となり,植物プランクトンが繁殖し,赤潮や水道水源の利水障害が発生しています。椋梨ダムでは,過去10年来,水の華・アオコが発生するなど,水質悪化が進んでおり,特に平成8年には下流の宮浦・坊士浄水場の濾過障害の遠因と考えられ,平成12年には貯水池内のアオコの大量発生による周辺異臭及び景観阻害が生じているため,早急な水質保全の対策が必要とされています。
(赤潮発生海域概要は,資料編「水環境21」参照)
 
図表 2-2-18 全窒素及び全燐環境基準達成率(海域・湖沼)
資料:県環境対策室
 
図表 2-2-19 赤潮発生状況
資料:水産庁瀬戸内海漁業調整事務所,県水産振興室
 
図表 2-2-20 椋梨ダムのアオコ確認日数
資料:県ダム室
 
[施策の方向]
 第5次水質総量規制の的確な運用や,規制対象外の小規模事業場等に対する指導などによる産業排水対策の推進
 下水道や浄化槽など,地域特性を考慮した合理的な処理施設の整備等による生活排水処理対策の推進
 地下水汚染防止対策の推進
 富栄養化対策の推進
 
施策の展開
 
(1)工場・事業場の排水対策の推進
 「水質汚濁防止法」などの関係法令に基づき,工場・事業場における水質汚濁物質の排水基準の遵守・徹底を図ります。
 法令等の規制を受けない小規模の事業場に対しても,水質汚濁負荷量の削減等に関する事業者が努力すべき事項の明確化を図るとともに,「広島県小規模事業場排水浄化対策推進要領」に基づき,排水処理施設の整備などについて指導を行います。
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
 排水規制等の実施[環境対策室]
 特定事業場からの排水に対しては,水質汚濁防止法や条例等により排水基準や総量規制基準を設定し,排水規制を実施します。また,排水規制を受けない小規模の事業場に対しては,排水処理施設の整備などについて指導を行います。
(特定事業場の届出状況は,資料編「水環境23242526」参照)
[平成16年度事業実績]  水質汚濁防止法及び生活環境保全条例に基づく立入検査や排水検査を実施し,処理施設,排水方法の改善等が必要な事業場については,適切な排水等を行うよう指導し,さらに,行政処分による措置が必要と認めた場合は,改善命令等の行政処分を行いました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,立入検査や排水検査を実施します。
 
図表 2-2-21 水質汚濁防止法及び生活環境保全条例に基づく立入検査状況(平成16年度)
資料:県環境対策室,広島市,呉市,福山市
(注)( )内の数字は,延べ事業場数を示しています。
 
(2)生活排水対策の推進
 COD汚濁負荷量の約4割が家庭から排出されている現状を踏まえ,公共用水域の水質保全のための県民の責務の明確化を図るとともに,広報媒体による普及啓発を行います。
 生活環境の改善と公共用水域における生活排水による汚濁負荷を低減するため,地域特性を考慮した合理的な生活排水処理施設(下水道,農業・漁業集落排水施設,浄化槽等)の整備を推進します。
 下水道等の適切な維持・管理を徹底するとともに,浄化槽の保守点検や清掃,法定検査の周知を図るなど,生活排水処理施設の維持・管理の徹底を指導します。
 汚水と雨水を同一の管きょで排除する合流式下水道では,大雨時に一部未処理のまま放流されることがあり水質汚濁が懸念されるため,改善を検討します。
 生活排水による汚濁が著しく,特に対策の必要な地域については,「水質汚濁防止法」に基づく生活排水対策重点地域に指定し,「生活排水対策推進計画」の策定及びその実施により,計画的な削減対策を実施します。
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
 生活排水処理施設の整備推進
 
(ア)下水道の整備促進[下水道室]
 公共下水道の整備
 市町村の下水道整備を促進するため,中山間地域や過疎地における整備費補助や代行事業を行います。
[平成16年度事業実績]  13市34町1村で,下水道を整備しました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,14市12町で,整備します。
流域下水道の整備
 市街化の進展が著しい河川流域について,流域を一体とした効果的な下水道処理を行うため,各浄化センターの建設を維持するとともに,維持管理を行います。
[平成16年度事業実績]  太田川流域下水道については,東部浄化センターの建設及び維持管理を行いました。(16年度末現在,98,400m3/日で稼動)
 芦田川流域下水道については,芦田川浄化センターの建設及び沼隈幹線の一部について管渠工事,維持管理を行いました。(16年度末現在,145,600m3/日で稼動)
 沼田川流域下水道については,沼田川浄化センターの維持管理を行いました。(16年度末現在,23,800m3/日で稼動)
[平成17年度事業内容] 引き続き,各浄化センターの建設及び維持管理を行います。
 
(イ)農業・漁業集落排水処理施設の整備促進
農業集落排水事業[生活基盤室]
 農業振興地域内の農業集落において,農業用水や公共用水域の水質改善及び生活環境の改善を目指して,農業集落排水施設の整備を推進します。
[平成16年度事業実績]  16地区(内完了地区2地区,処理人口2,410人)について整備しました。
[平成17年度事業内容]  15地区(内完了地区1地区,処理人口1,410人)について整備します。
漁業集落環境整備事業[漁港漁場整備室]
 漁業集落は小規模な集落が多く,半島・離島等の地理的に不利な地域にその多くが所在することから,都市部と比較して下水道等の整備が遅れている集落が多くあるため,これらの集落において,排水処理施設を整備することにより,前面海域の負荷を低減するとともに,集落内の生活環境の改善を図ります。
[平成16年度事業実績]  汚水管路,処理場等を7地区で整備しました。
[平成17年度事業内容]  汚水管路,処理場等を7地区で整備します。
 
(ウ)浄化槽の整備促進等[一般廃棄物対策室]
浄化槽の整備
 中山間地域など集合処理施設の整備が地理的・経済的に困難な地域において生活排水対策を推進するため,小型浄化槽設置整備事業及び浄化槽市町村整備推進事業を実施します。また,し尿のみを処理する単独処理浄化槽が多数設置されていることから,生活雑排水を併せて処理する浄化槽への転換を推進します。
 
図表 2-2-22 県費補助制度
区分 小型浄化槽設置整備事業
(14年度まで小型合併浄化槽設置整備事業)
浄化槽市町村整備推進事業
(14年度まで特定地域生活排水処理対策推進事業)
事業の内容 個人設置の浄化槽に助成する市町に対し,事業費を補助 市町が公共事業として浄化槽を整備する事業に対し起債償還費を補助
補助の方法 市町の事業費の1/3(財政力指数により変動)を事業実施年度に補助 市町の起債元金償還額(交付税措置分を除く)の1/2若しくは1/3を起債元金償還年度に補助
 
[平成16年度事業実績]  小型浄化槽設置整備事業で26市町(3,121基の浄化槽),浄化槽市町村整備推進事業で4市(334基の浄化槽)に対し補助しました。
[平成17年度事業内容]  小型浄化槽設置整備事業で25市町(3,002基の浄化槽),浄化槽市町村整備推進事業で4市(385基の浄化槽)に対し補助します。
浄化槽の管理
 浄化槽は適正な維持管理により所期の性能が発揮されることから,浄化槽法に規定されている保守点検,清掃及び法定検査の実施についてパンフレット,市町広報紙等により啓発するとともに,法定検査等で問題のあった施設には立入検査等を実施し,適正管理に関する指導を行います。
[平成16年度事業実績]  浄化槽設置(管理)者,浄化槽保守点検事業者等への文書指導,立入検査等(3,095件)を実施しました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,浄化槽の適正管理について啓発するとともに,問題のある浄化槽について,立入検査等を実施します。
 
 広島県生活排水浄化対策推進要綱等に基づく取組[環境対策室]
 生活排水対策の推進に関して基本となる広島県生活排水浄化対策推進要綱により,全県的な生活排水対策を推進します。さらに,水質汚濁が懸念される河川や湖沼については,生活排水対策重点地域の指定(黒瀬川・高屋川・山南川・二河川・藤井川)や,水質環境管理計画等の策定(神竜湖・沼田川・瀬野川・黒瀬川)により,対策を講じます。
[平成16年度事業実績]  市町や関係団体の協力を得て,普及啓発活動を実施するとともに,計画の推進を図るため,計画の進行状況の把握や関係機関相互の連絡調整などを行いました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,住民,事業者,行政が一体となった生活排水対策を推進します。
 
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(3)養殖漁業,農業,畜産における環境負荷の削減
 魚類養殖における給餌方法及び放養密度の適正化等の指導により,水質汚濁負荷量の削減を図ります。
 「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(家畜排せつ物管理法)」に基づく家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進,窒素及び燐を含む肥料や農薬の適正使用の指導等により,公共用水域への水質汚濁負荷量の削減を図ります。
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
 養殖漁場における環境負荷の削減[水産振興室]
 魚類養殖における給餌方法及び放養密度の適正化等の指導により,水質汚濁負荷量の削減を図ります。
[平成16年度事業実績]  県内説明会(海面6箇所,内水面3箇所),巡回指導(海面12箇所,内水面57箇所)を行いました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,魚類養殖における給餌方法及び放養密度の適正化等の指導をします。
 
 環境保全型農業確立推進事業[食品流通安全室]
 農業団体が行う,土づくり講習や先進事例調査など,農業の自然循環機能の維持増進に関する活動に対して助成しました。
[平成16年度事業実績]  全国農業協同組合連合会広島県本部の土づくり講習,技術研修等に対し助成しました。(平成16年度終了)
 
 持続的農業導入総合推進事業[食品流通安全室]
 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律に基づき,たい肥等を使った土づくりと化学肥料・農薬の使用の低減を一体的に行おうとする者の,農業生産方式の導入計画を認定します。
[平成16年度事業実績]  31件の計画の認定を行いました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,認定を受けようとする者への助言等を行います。
 
 資源循環型畜産の推進[畜産環境室]
 畜産経営に起因する環境問題の発生を防止するために設置した資源循環型畜産推進指導協議会(以下「指導協議会」という。)を通じて,引き続き家畜排せつ物の適正処理を徹底するとともに,良質堆肥生産のための技術指導,さらに耕蓄連携による資源循環型農業を推進します。
[平成16年度事業実績]  指導協議会による畜産農家の巡回指導(128戸)を実施しました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,畜産農家に対する技術指導等を行います。
 
 家畜排せつ物処理施設整備の推進[畜産環境室]
(ア)畜産環境総合整備統合補助事業
 将来にわたり畜産主産地として発展が期待される地域において,総合的な畜産環境整備を行うため,広域堆肥センター等の家畜排せつ物の適正処理に必要な施設を整備し,畜産経営に起因する環境問題を防止します。
[平成16年度事業実績]  広域堆肥センターを7箇所整備しました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,1箇所の施設整備を行います。
 
(イ)資源循環型畜産確立対策事業
 家畜排せつ物の効率的な処理を行うための共同利用施設整備を行い,野積み・素掘の解消と耕種農家への堆肥の流通促進による資源循環型畜産を推進しました。
[平成16年度事業実績]  家畜排せつ物処理共同利用施設を3箇所整備しました。(平成16年度事業終了)
 
(ウ)広島牛エコファーム整備事業
 広島牛繁殖農家の持続的な発展と地域の環境保全のために,家畜排せつ物処理施設等の整備を推進しました。
[平成16年度事業実績]  家畜排せつ物処理施設を5箇所整備しました。(平成16年度事業終了)
 
(エ)畜産環境整備リース事業
 簡易な措置によって家畜排せつ物管理法管理基準に対応している畜産農家に対し恒久的な家畜排せつ物処理施設整備を推進します。
[平成16年度事業実績]  家畜排せつ物処理施設を6箇所整備しました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,6箇所の整備を行います。
 
平成17年度に講じる施策(新規)
 
 耕畜連携支援モデル事業[畜産環境室]
 耕種農家と畜産農家との連携により,飼料稲の作付けや稲ワラ利用の拡大,耕作放棄地等への和牛放牧の推進及び堆肥の利用拡大と化学肥料使用量の削減を進め,地域資源の循環と農村環境の保全を推進します。
[平成17年度事業内容]  水田放牧3箇所,堆肥のストックポイント3箇所等の整備を行います。
 
(4)地下水汚染対策の推進
 有害物質による地下水汚染を防止するため,「水質汚濁防止法」の対象工場・事業場はもとより,それ以外の有害物質取扱工場・事業場についても有害物質の適正な使用・保管の徹底,有害物質の地下浸透の防止を図ります。
 井戸等の地下水汚染が発見された場合には,汚染の範囲・程度,原因の究明等の調査を行い汚染の拡大防止を図るとともに,汚染浄化対策の指導を行います。
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
 地下水質調査[環境対策室]
 水質汚濁防止法に基づき,地下水の汚濁状況を監視するため地下水調査を行います。
[平成16年度事業実績]  県内59地点で調査しました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,59地点で調査します。
 
(5)富栄養化対策の推進
 海域については,「化学的酸素要求量,窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減計画」に基づき,瀬戸内海に流入する汚濁負荷の総量を総合的かつ計画的に削減します。
 湖沼については,環境基準(湖沼)の類型指定を行うとともに,流入する工場・事業場排水や生活排水などの総合的な富栄養化対策を推進します。
 下水処理場からの放流水質改善のため,下水道の高度処理の導入について検討を行います。
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
 化学的酸素要求量,窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減計画(第5次総量削減計画)の推進[環境対策室]
 第5次総量削減計画(平成14年7月19日策定(告示))に基づき,瀬戸内海に流入する汚濁負荷量の総量を総合的かつ計画的に削減します。計画達成の方策として,下水道・合併処理浄化槽等の生活排水処理施設の整備(生活排水対策),総量規制基準による工場・事業場の排水対策や小規模事業場排水対策(産業排水対策),農地からの負荷低減対策,畜産排水対策,養殖漁場の環境改善等を行います。
 
図表 2-2-23 計画負荷量
(t/日)
項目 16年度
(目標年度)
11年度
(基準年度)
削減
COD 71 74 △3
窒素 40 42 △2
りん 3.2 3.4 △0.2
 
[平成16年度事業実績]  平成14年度に策定した,第5次総量削減計画を推進するとともに,工場・事業場への立入検査を行い総量規制基準の遵守及び汚濁負荷量の測定状況等を監視・指導しました。平成16年度末現在,特定事業場には219基のCOD汚濁負荷量自動測定機,149基の窒素汚濁負荷量自動測定機,149基のりん汚濁負荷量自動測定機が設置されています。
[平成17年度事業内容]  引き続き,工場・事業場への立入検査を行い,監視・指導します。
 
 湖沼水質改善対策[環境対策室・ダム室]
 魚切ダム貯水池のアオコの発生による利水障害を改善するため,湖沼水質改善対策事業を行います。また,この事業の成果は,他の湖沼の水質保全対策に反映させます。
 
湖沼水質改善対策の概要
[平成16年度事業実績]  平成15年3月に作成した魚切ダム貯水池水質改善計画に基づき,発生源対策としての生活排水対策及び農業排水対策,ダム湖内対策としての土壌浄化施設による流入河川対策及び曝気循環装置によるダム湖内対策を行いました。
[平成17年度事業内容]  関係機関と連携を図りながら引き続き,水質改善対策を推進します。
 また,啓発活動の一環として本取組みをホームページで公開し,関係住民の方への周知を図ります。
 
 椋梨ダム貯水池水質保全事業[ダム室]
 椋梨ダムにおけるアオコの発生を抑制するための水質保全対策を,流入河川及び貯水池内で実施します。
[平成16年度事業実績]  キショウブ等の水生植物を植生し,窒素・りんなどの栄養塩を吸収させます。
 水質浄化のための植生水路について,実施設計及び設置を行いました。
 水質調査を行い,対策の効果検証等を行いました。
[平成17年度事業内容]  水質調査等を継続的に実施するとともに,関係機関と連携を図りながら水質保全に努めます。
 
水質保全全体計画図
 赤潮対策[水産振興室]
(ア)監視通報体制の強化
  赤潮による漁業被害を未然に防止するため,国及び瀬戸内海沿岸域の1府10県の観測データを情報交換するとともに,県内拠点漁協からの通報,県水産海洋技術センターの赤潮発生状況調査及び水産業普及指導員による海況観測結果等をもとにして赤潮情報を発令し,カキ,ハマチ,タイ等の漁業被害の軽減を図ります。
[平成16年度事業実績]  国及び瀬戸内海沿岸府県との情報交換(随時)や赤潮情報の発令(18件)をしました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,情報交換や赤潮情報の発令等により赤潮による漁業被害を未然に防止します。
 
(イ)調査研究の推進
 赤潮発生機構を解明するため,広島湾における水温,塩分,溶存酸素,栄養塩類及び赤潮生物を調査します。
[平成16年度事業実績]  定期水質調査(12回),底質調査(2回),有害赤潮の発生特性調査(16回),ノリ漁場環境調査(12回)を実施しました。
[平成17年度事業内容]  定期水質調査(12回),底質調査(2回),有害赤潮の発生特性調査(14回),ノリ漁場環境調査(12回)を実施します。
 
(ウ)研修会の開催
 赤潮,漁場環境保全に関する知識,技術を漁業者等に普及させるため,研修会を開催します。
[平成16年度事業実績]  漁業者等を対象にした研修会(2回)を開催しました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,研修会(4回)を開催します。
 
(6)事故時の措置
 事故が発生した場合には,原因者による防除作業を指導するとともに,その規模に応じて「広島県水質汚染事故対策要領」等に基づき,河川管理者,市町,消防等との連携により速やかな対応を図ります。
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
 水質汚染事故の対応[環境対策室]
 水質汚染事故が発生した場合は,人の健康又は生活環境への被害等を防止するため,「広島県水質汚染事故対策要領」に基づき,河川管理者,市町,消防等との連携により速やかな対応を図ります。
[平成16年度事業実績]  広島県に通報のあった水質事故発生件数は,小規模なものを含めて172件ありましたが,河川管理者,市町,消防等との連携により,現地調査,水質試験,原因物質の回収作業等,被害の拡大防止を図るとともに,原因者に対して,再発防止を指導しました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,関係機関と連携し速やかな対応を図ります。
 
(7)監視測定等の実施
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
 公共用水域等の常時監視等[環境対策室]
 公共用水域や地下水の水質及び底質の状況を把握するため,測定計画を策定し,水質の常時監視を行います。大規模な工場・事業場については,水質・水量等を連続的に把握し,汚濁負荷量の効果的な監視を行います。
(測定結果と監視網は,資料編「水環境23456789101112131415161718192021」参照)
[平成16年度事業実績]
項目 対象水域等
公共用水域 河川:38水系233地点,海域:6海域67地点,湖沼:3水域3地点
底質 河川:5水系12地点,海域:4海域24地点
[平成17年度事業内容]  引き続き,水質の常時監視を行います。
 
 各種調査[環境対策室]
 水質保全対策を効果的に実施するため,海水浴場調査や水生生物調査等の各種調査を実施します。
(調査結果は,資料編「水環境20」参照)
[平成16年度事業実績]  県内の主要海水浴場の水質調査を開設前(5月)17箇所,開設中(7月)11箇所で実施した結果,開設前,開設中のいずれも海水浴に適した水質でした。
 また,病原性大腸菌O157についても開設前,開設中に調査を実施しましたが,いずれの海水浴場からも検出されませんでした。
[平成17年度事業内容]  引き続き,調査します。
 
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