4. 騒音・振動,悪臭の防止
 
 
●現状と課題
 
(1) 騒音
 
 近年の騒音公害は,都市化の進展や生活様式の多様化に伴い,深夜営業や日常の家庭生活に起因する近隣騒音が問題となっています。
 騒音の環境基準は,住民の生活環境を保全する観点から,都市計画法に基づく用途地域の指定状況等土地の利用形態,時間区分及び発生源(航空機及び新幹線鉄道等)に応じて指定されています。
  道路の沿線における自動車騒音の環境基準達成率は,依然として低い状況にあります。一定の地域における騒音レベルが基準値を超過する戸数及び割合を把握することにより評価する「面による評価」(面的評価)の結果で見ると,経年的には横ばいの状況となっています。
 航空機騒音については,広島空港周辺及び広島西飛行場周辺ともに,環境基準を達成しています。
 新幹線鉄道騒音の環境基準については,経年的には達成率が上昇しています。
 
図表1-2-25 騒音に係る苦情件数の推移
騒音に係る苦情件数の推移
資料:県環境対策室
 
図表1-2-26 一般地域の環境基準達成率
一般地域の環境基準達成率
資料:県環境対策室
 
図表1-2-27 道路に面する地域の自動車騒音の達成率
道路に面する地域の自動車騒音の達成率
資料:県環境対策室
 
図表1‐2‐28 自動車騒音の面的評価による環境基準達成率
自動車騒音の面的評価による環境基準達成率
資料:県環境対策室
 
図表1‐2‐29 新幹線騒音の環境基準達成率
新幹線騒音の環境基準達成率
資料:県環境対策室
  
(2) 振動
 
 振動公害は,工場,建設作業,交通機関等による人為的な地盤振動が原因で,建物を振動させて,物的又は感覚的被害を与えます。
 近年,人の耳では聞きとれない低周波音(空気振動)が原因なった被害も生じています。
 
図表1‐2‐30 振動に係る苦情件数の推移
振動に係る苦情件数の推移
資料:県環境対策室
  
(3) 悪臭
 
 悪臭の発生源は,製造業,塗装業,畜産業,下水,清掃事業,浄化槽など多種多様です。悪臭については,その発生源が多種多様で,様々な臭気物質が複合して生じるものであることから,臭気指数に基づく規制の導入が効果的です。
 
図表1‐2‐31 悪臭に係る苦情件数の推移
悪臭に係る苦情件数の推移
資料:県環境対策室
 
[施策の方向]
関係機関と連携した発生源ごとの騒音・振動対策の実施
臭気指数による規制を導入した悪臭防止対策の実施
 
●施策の展開
 
(1) 騒音・振動の防止
 
自動車騒音・道路交通振動対策
  
 自動車交通などに伴い発生する騒音・振動については,国,市町村,警察等の関係機関と連携を図りながら,発生源対策,交通流対策,道路構造対策,沿道の土地利用の誘導などを総合的に推進します。
 
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
 
(ア) 自動車騒音及び道路交通振動の実態把握 [環境対策室]
 
 個々の自動車から発生する騒音は,騒音規制法により規制が行われており,段階的に強化されています。自動車騒音については環境基準の指定地域内,道路交通振動については県内主要道路の沿線で測定を実施しています。市町村長は,測定の結果,限度を超えて道路の周辺の生活環境が著しく損なわれると認めるときは,県公安委員会に対して,騒音規制法又は振動規制法に基づく道路交通法の規定による措置をとるべきことを要請(H14年度実績なし)したり,自動車騒音について道路管理者等に対し意見(H14年度2件)を述べます。
 
[平成14年度事業実績] 自動車騒音の測定及び面的評価を実施しました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,自動車騒音測定及び面的評価を実施します。
 
工場・事業場の騒音・振動対策
 
 「騒音規制法」,「振動規制法」及び「公害防止条例」等,関係法令の円滑な運用を図るため,市町村への技術的支援を行います。
 
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
 
(ア) 工場・事業場に対する規制の実施 [環境対策室]
 
騒音規制
 
 騒音規制法及び公害防止条例により,指定地域内における特定の工場・事業場,特定の建設作業及び音響機器の騒音規制を実施するとともに,県内全域における深夜騒音,拡声放送等の規制を行います。67市町村で規制地域を指定しており,県は,市町村に対し,技術的・専門的な助言を行い,市町村の円滑な事務執行を支援します。なお,平成14年度の市町村の立入調査等の結果,行政指導等の実績はありませんでした。
 
振動規制
 
 振動規制法により,指定地域内における特定の工場・事業場,特定の建設作業の振動規制を実施します。33市町村で規制地域を指定しており,県は,市町村に対し,技術的・専門的な助言を行い,市町村の円滑な事務執行を支援します。なお,平成14年度の市町村の立入調査等の結果,行政指導等の実績はありませんでした。
 
(イ) 環境騒音の実態把握[環境対策室]
 
 市町村が一般地域や道路に面する地域の環境騒音の実態を把握し,県は市町村に対し技術的な支援をします。
 
その他の発生源対策等
  
 新幹線,在来鉄道及び航空機を発生源とした騒音・振動については,関係機関と連携した対策を推進します。
 
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
  
(ア) 航空機騒音の常時・短期測定[環境対策室,空港振興室]
  
 広島空港周辺,広島西飛行場周辺において航空機騒音に係る環境基準の類型指定をし,常時及び短期騒音測定を実施します。
 
[平成14年度事業実績] 広島空港周辺(常時5地点,短期22地点)及び広島西飛行場周辺(常時1地点,短期9地点)で騒音測定を実施しました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,常時及び短期騒音測定を実施します。
 
(イ) 新幹線騒音対策[環境対策室]
 
 新幹線鉄道騒音に係る環境基準の地域類型を指定し,新幹線鉄道騒音・振動の環境基準の実態把握等をするため,沿線において市町村が測定を実施し,県は市町村に対し技術的・専門的な助言指導します。
 
(2) 悪臭の防止
 
 「悪臭の防止」及び「公害防止条例」に基づき規制等を行う市町村に対する技術的な支援を行うとともに,臭気指数(人の臭覚により悪臭の程度を判定する方法)規制の導入を推進します。
 
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
 
規制の強化[環境対策室]
  
 悪臭防止法により,指定地域内における全工場・事業場に対し,特定の悪臭物質濃度又は臭気指数による 規制を実施します。また,公害防止例により,県内全域における特定の事業場に対し,規制を行います。地域の指定は,悪臭発生源である工場・事業場が現に立地している地域,周辺に住居が密集している地域及び悪臭防止による生活環境の保全が急がれる地域について順次行います。
 
平成14年度事業実績] 人の嗅覚により悪臭の程度を判定する臭気指数規制について,芸北町,大朝町及び向原町の3町全域を新たに規制区域としました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,市町村への臭気指数規制の導入を推進します。
 
立入・改善指導[環境対策室]
 
 悪臭防止法及び公害防止条例に基づく規制事務を行う市町村が,工場・事業場に対して立入検査及び悪臭の測定を実施します。なお,平成14年度の市町村の立入調査等の結果,行政指導等の実績はありませんでした。

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