広島県における日本紅斑熱の媒介マダニ ヤマアラシチマダニ(図4)
印刷用ページを表示する掲載日2024年1月22日
ヤマアラシチマダニ成虫メス
ヤマアラシチマダニ若虫
ヤマアラシチマダニ幼虫
図4 ヤマアラシチマダニ (Haemaphysalis hystricis)
- 日本紅斑熱リケッチアはマダニによって媒介されます。
- マダニは、地面や植生の上で吸血源の動物が通りがかるのをひたすら待ち伏せして、通りがかるとしがみつきます。その後、吸着しやすい場所を探して体表面を移動して吸着します。
- マダニの吸血期間はサイズや種によって変わりますが、数日~10日程度、満腹になるまで同じ場所で吸血を継続し、満腹になると脱落します。
- マダニは卵から孵った後、動物から吸血し、脱皮して幼虫→若虫→成虫と不完全変態を行っていくため、吸着されるマダニのサイズは小さいものから大きいものまで多彩です。刺されても痛みもかゆみもないため気づかないことが多いですが、吸血すると大きくふくらむため、この時点で気づくこともあります。
- 広島県ではヤマアラシチマダニから日本紅斑熱リケッチアが分離・検出されています。
- ヤマアラシチマダニの活動時期は、以前は3月下旬~10月下旬でしたが、暖かい時期が長くなっているため、11月上旬くらいまで注意が必要です。
- 日本紅斑熱の媒介マダニの候補として、他県ではフタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、キチマダニ(Haemaphysalis flava)、ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)、タイワンカクマダニ(Dermacentor taiwanensis)から日本紅斑熱リケッチアが検出されています
- すべてのマダニがリケッチアを持っていて有害なわけではありません。リケッチアはこれを体内に持つメス親から卵に移行して子孫に受け継がれるので,同種のマダニであってもリケッチアを持つ系統のマダニだけが有害ということになります