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【特集】ダイバーシティ経営の先進企業から学ぶ、全員活躍組織形成の秘訣とは??

印刷用ページを表示する掲載日2024年4月30日

1 なぜ、ダイバーシティ経営の推進が必要なのか?そして、何から着手すべき?

 現在、社会では、少子高齢化の加速に加え、業務や価値観の多様化により、企業間で人材の奪い合いが起こっていると言われています。また、今後は更に変化が激しく、不確実で、複雑で、曖昧な社会が予測され、その中で生産性を維持・向上させていくためには、社内人材が自身の能力を最大限に発揮できる環境づくりが不可欠となります。

社会の現状

 社内人材が最大限に能力を発揮できる組織「全員活躍組織」の実現(=ダイバーシティ経営)には何が必要なのでしょうか?
 まず、社内人材には、性別や年齢、障がいの有無など、さまざまな個性があります。
その様々な個性を持つ人材が、自身のポテンシャルを最大限に発揮できるよう、企業は個性の理解や、活躍できる環境づくりを推進する必要があります。

 では、何から着手すべきでしょうか?
広島県では、まず女性活躍を推進することが、全員活躍、すなわち、ダイバーシティ経営の入り口だと考えています。

解決への指針

2 先進企業による鼎談

​​ ダイバーシティ経営の先進企業である、株式会社オーザック、八千代工業株式会社、美建工業株式会社の3社により鼎談いただきました。各社がダイバーシティ経営の推進に着手したきっかけ、取り組む中でぶつかった課題とその解決法、女性活躍にかける想いや展望など、赤裸々に語り合っていただきました。
 これからダイバーシティ経営に着手する企業だけでなく、取り組んでいるものの苦戦中の企業にとっても、非常に参考になる鼎談です。(令和6年3月8日 中国新聞朝刊に掲載)

鼎談1
 鼎談2鼎談3

 

★鼎談の様子はYoutubeにもアップしています。ぜひご覧ください。
 https://youtu.be/HgkVu3HOCcM

3 専門家によるダイバーシティ経営の深掘り

 先進企業による鼎談を踏まえ、社会保険労務士である木本氏と、中小企業診断士の資格を持つ神原氏による対談が行われました。専門家の視点からダイバーシティ経営の推進に心がけるべきポイントは何なのか?詳しく解説しています。
 「自分の組織もできるんじゃないか?」「ぜひやってみよう!」
 きっと、そのような読後感が待っているはずです。

BIZ

「2.先進企業による鼎談」では、ダイバーシティ経営の中でも特に女性活躍推進について、25年前から女性活躍の環境づくりに取り組まれている企業や管理職に就いている女性社員、全員活躍組織の実現に向けて取り組まれている企業の方にホンネを語っていただきましたが、さらにフカボリして、社会保険労務士法人 サトー代表社員である社会保険労務士の木本 美智さん、広島FM「GOOD JOG」パーソナリティであり中小企業診断士である神原 隆秀さんにお話を伺いました。プロ目線のアドバイスも参考にして、小さな変化から大きなチャンスにつなげてください。

ジブンゴト化してもらうためにも、
経営理念を社員に分かりやすく伝える!

木本さん
 
女性活躍推進を含め、企業成長の土台となるのが理念だと考えます。企業の目指す姿などを社長をはじめとするトップの方が社員にしっかり認識してもらうためには、紙に書いたものだけでなく何度も繰り返し伝えることが大切です。
 今回お話を伺った3社とも取組はそれぞれの形でありながら、どういう企業にしていきたいのか短期・長期ビジョンを明確に持っていると感じました。会社の想いと社員の想いが合致することで、よりスピーディに変革できたのではないかと思います。

神原さん 
 今回3社の方からお話を伺い、社員がしっかりと理念を理解・認識することの大切さを改めて実感しました。バラバラの方向性を持って動くのと、軸となる考え方が同じなのでは企業成長も大きく変わってきます。社内での理解を促すためにも、分かりやすく噛み砕いてビジョンなどを説明することが欠かせません。

3つの土台

外部研修などを活用して、社内に新しい風を吹き込む!

神原さん 
 自分たちの企業の課題を可視化するためにも、外部研修などを活用することはとても重要だと感じます。例えば株式会社オーザックでは、女性活躍推進が浸透していなかった25年前から取組をはじめられました。先代の社長や当時の男性役員からは反発の声もあったそうですが、外部の勉強会に参加することで経営陣の意識改革につながったというお話が印象に残っています。
 また八千代工業株式会社では、ボトムアップをする中で外部のアドバイザーに入ってもらいました。これにより、新たな組織づくりをする上で客観視ができるようになったそうです。
 長年勤めていたりすると、どうしても課題を課題として認識しにくいこともあると思います。より良くするためにも、外部の客観的な意見を取り入れることが大切です。

木本さん 
 外部研修は労働の知識やリーダーシップ、管理職に求められるスキル、物の考え方などジャンルは多岐に渡ります。労働局はもちろん、広島県が主催している研修もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
 また、外部研修を受けるにあたり助成金を活用できる場合には、より多くの社員を参加させることもできます。
研修後は学んだことを個人の中で終わらせるのではなく、社内で共有することが重要です。自分たちが働く会社に置き換えて考え、ディスカッションすることで得た知識を深化させるのはもちろん、具体的なアクションの方向性が見えてきます。

 

労働環境を整えることで、社員の定着率を上げる!

木本さん 
 現在、労働人口や出生率が速度を増して減ってきています。潜在能力があるのに埋もれてしまっている女性の活躍は必須で、そこに気づいた企業が今後より良い人材を採用することができると考えます。

 近年、従業員にとって働きやすい環境をつくろうと、労働環境を整備する企業が増えてきています。というのも、職場環境が悪いと離職につながり、整備されていると従業員は会社愛を持って働くことができるからです。私は社会保険労務士の視点で、勤務時間や残業改善のための提案や他の企業の改善事例などをクライアントにお伝えしています。

神原さん
 
せっかく雇用しても、定着率が低くなると企業の損失にもなりかねません。今回お話を伺った企業は女性活躍推進を通して、労働環境が整っていると感じました。
 美建工業株式会社では、ジョブローテーションを取り入れたことで適材適所の人材配置ができるようになり、子どもを持つ女性従業員だけでなく、誰もが休みを取りやすい環境になったそうです。また株式会社オーザックでは入社希望の学生が増加し、社員定着率の向上などの成果が出ています。

企業成長

キャリアアップ支援で、企業成長を加速させる!

神原さん 
 キャリアップは社員のモチベーションにもつながってきます。美建工業株式会社ではキャリアップ支援を積極的に取り入れ、会社が定めている資格を取得すると毎月の給与に反映される資格手当が支給され、社員のモチベーションの向上を図れているそうです。また、八千代工業株式会社では女性管理職の登用を行い、女性課長が2名誕生し、短時間勤務の女性係長3名が活躍しています。

木本さん
 
男女間の給与に関して2022年の厚生労働省の統計によると、男性34万円(平均)、女性25万円(平均)という結果が出ました。これまで等級に見合った仕事に女性が携われていなかったという要因もありますが、教育の場を与えることは企業成長に必要不可欠です。資格などを取得し、スキルに応じて基本給がアップすることで満足度も高まり、さらに個々の職域も広がるメリットがあります。

まとめ

 

4 最後に

 女性活躍をはじめとする全員活躍組織の形成は、今後の社会で生産性を維持し、企業競争力をUPさせていく上では避けては通れません。
 
   この先進企業による鼎談、専門家による対談の記事を読み、少しでも行動を起こそうと思ったのであれば、さあ、今こそ全員活躍組織に変わるとき。
 

 進もう、ダイバーシティ経営が「目指すもの」から「当たり前」な世の中へ。

 

 

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