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県内の平成14年度PRTRデータの集計結果の概要

印刷用ページを表示する掲載日2011年12月1日

1  経緯

  私たちの生活に欠かせない多種多様の化学物質の中には,人の健康や生態系に有害なおそれの性状を持つものもあり,これらの化学物質による環境汚染が懸念されたため,平成11年7月、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(以下「PRTR法」という。)が公布されました。
 PRTR法では,人の健康を損うおそれや動植物の生息・生育に支障を及ぼすおそれがある等の性状を持ち,相当広範囲の環境中に継続して存在すると認められる化学物質を,一定量製造したり,原料として使用したりする従業員数21人以上の製造業等23業種の事業者に,化学物質ごとの環境への排出量等を把握し,国に届出することを義務付けています。(対象化学物質の年間取扱量が1トン以上。(平成14年度までは5トン以上)なお特定化学物質については0.5トン以上)
 平成14年4月からは,第1回目の届出が始まり,国は,集計結果を公表しました。第2回目の平成14年度の状況について,国は昨年度と同様に集計を行い,その結果を平成16年3月29日に公表しました。
 広島県は,国からの集計結果をもとに,県内の化学物質の排出・移動の状況について独自の集計を行い,その概要について取りまとめました。

 2 目的

  県内の化学物質の排出量・移動量について,地域別の状況や,河川・海域への排出別等に集計し公表することにより,これらの化学物質に関して,県民や事業者の関心を深め,事業者による自主的な管理の改善及び使用・排出量の削減等を図ることを目的としています。

3 集計方法

 事業者からの届出排出量・移動量について,県内を広域行政圏域別(8地域)に区分し,物質別,業種別に集計しました。
 また,河川,海域への排出量については,水域別に集計しました。

4 集計結果の概要

(1) 届出事業所数

 県内の届出事業所数は,878件で,全国14位,全国届出事業所数(34,517件)の2.5%を占めています。

(2) 届出排出量及び移動量

ア 届出排出量

県内の届出排出量は,8,694トン/年で,全国15位,全国届出排出量(約29万トン)の3.0%を占めています。その内訳は,大気への排出量が最も多く,8,238トン/年で届出排出量の94.8%を占め,次いで公共用水域への排出量が352トン/年(4.1%),次いで埋立処分(廃棄物として移動した量は除きます。)103トン/年(1.2%),土壌への排出量0.08トン/年(0.0%)でした。

イ 届出移動量

 届出移動量は,3,598トン/年で,全国19位,全国届出移動量(約22万トン)の1.7%を占めています。内訳をみると,大半は廃棄物として事業所外に移動した量で,3,573トン/年(99.3%),残りの0.7%,25トン/年が下水道への移動量です。

ウ 広域行政圏域別の状況

広域行政圏別の届出排出量・移動量は,沿岸部の尾三,広島,福山・府中及び広島西圏域で多く,芸北及び備北圏域では少なく,排出先・移動先については,全ての圏域で大気への排出,廃棄物としての移動の割合が高くなっています。

エ 届出排出量の大気への排出状況

届出排出量が最も多い大気への排出量について,物質別にみると,キシレン,トルエン,塩化メチレン(ジクロロメタン),エチルベンゼン,スチレンの5物質で全体の90%を占めています。広域行政圏域別には,広島及び尾三圏域の排出量が多く,全体の50%以上を占めています。

オ 届出排出量の公共用水域への排出状況

  • 河川への排出状況
    河川への排出量は,34トン/年で,河川別では,太田川,黒瀬川,小瀬川,江の川及び山南川への排出量が多く,全体の95%以上を占めています。物質別には,ふっ化水素及びその水溶性塩,ほう素及びその化合物及びマンガン及びその化合物の排出量で,全体の85%以上を占めています。
  • 海域への排出状況
    海域への排出量は,318トン/年で,海域別では,広島湾西部及び備讃瀬戸への排出量が多く,全体の70%以上を占めています。物質別には,ふっ化水素及びその水溶性塩,メタクリル酸メチル,ほう素及びその化合物,メタクリル酸,N,N-ジメチルホルムアミド等河川と比較し,より多くの物質が排出されています。

カ 物質別の状況

 届出排出量の多い物質は,キシレン,トルエン,塩化メチレン(ジクロロメタン)及びエチルベンゼンで,全体の80%以上を占めています。届出移動量では,キシレン,トルエンなど7種類の物質の移動量が多く,それ以外の物質の移動量も多くなっています。

キ 業種別の状況

  • 届出排出量
     業種別では,船舶製造・修理業,舶用機関製造業(32.8%),輸送用機械器具製造業(18.8%),化学工業(12.3%)からの排出量が多く,3業種からの排出量は約5,500トン/年です。
     これらの3業種における排出物質は,船舶製造・修理業,舶用機関製造業及び輸送用機械器具製造業では,キシレン及びトルエンの排出量が多く,化学工業ではメタクリル酸メチル,塩化メチレン(ジクロロメタン),N,N-ジメチルホルムアミド及びトルエンが多く排出されています。
  • 届出移動量
     業種別では,化学工業(46.7%),金属製品製造業(10.1%),電気機械器具製造業(9.0%)の移動量が多く,3業種の移動量は約2,300トン/年です。
     これらの3業種における移動物質は,化学工業が,トルエン,N,N-ジメチルホルムアミド及びスチレン,金属製品製造業が,亜鉛の水溶性化合物,電気機械器具製造業が2-アミノエタノール及びニッケル化合物の移動量が多くなっています。

ク 特定第1種指定化学物質の排出状況

  •  大気への排出状況
     特定第1種指定化学物質として,ベンゼン,ダイオキシン類等12物質が指定されています。そのうち大気への排出量があるのは,ベンゼン等7物質で,排出量が最も多いのはベンゼンで,全排出量の約98%を占めています。
  • 公共用水域への排出状況
     特定第1種指定化学物質12物質のうち,ニッケル化合物等6物質の排出があり,ニッケル化合物の排出量が最も多く,全排出量の57%を占めています。

(3) 届出外排出量

  PRTR法対象業種を営む事業所のうち届出対象外の事業所,PRTR法非対象業種を営む事業所,家庭及び移動体(自動車,二輪車,鉄道,船舶等)からの排出量について,国が推計した結果は,12,850トン/年で,全国16位,全国推計排出量の2.2%を占めています。発生源別には,PRTR法非対象業種を営む事業所からの排出量が最も多く,以下PRTR法対象業種を営む事業所のうち届出対象外の事業所,移動体,家庭の順になっています。
 また,物質別では,トルエン,キシレンが多く,全体の47%を占めています。

5 その他 

(1) 数値の取扱上の留意点

 事業者が届出た排出量・移動量は,PRTR法施行規則で定められた方法のうち,事業者が適当と判断した方法により算出したものです。(必ずしも実測値に基づくものではなく,推計値の場合があります。)
 また,公表したデータは,環境中に排出された化学物質の量又は移動量の集計値であり,環境や人の健康への影響については,環境中にどのように分布しているのか(環境中での 濃度),実際に人や生物にどれ位取り込まれるのか(暴露量),化学物質の有害性の程度といった様々な要因を評価する必要があります。
 なお,化学物質の性状等について,詳しくお知りになりたい方は,こちらをクリックしてください。

(2) 届出外排出量の集計

広域行政圏別の集計は,圏別に区分するための利用可能な信頼性のあるデータがないため,行っていません。

(3) 開示請求への対応について

 事業所ごとの届出データについては,国への請求により開示されます。
 (環境省経済産業省

(4) 今後の予定

 化学物質の環境への排出量の把握・届出及び集計結果の公表は,毎年実施され,15年度からは年間取扱量1トン以上の事業者が排出量等の把握・届出の対象となります。(届出は16年4月から)

集計結果表

業種別届出件数(広域行政圏域別)
届出排出量・移動量
届出排出量のうち大気への排出状況
届出排出量のうち河川への排出状況
届出排出量のうち海域への排出状況
物質別届出排出量・移動量
業種別届出排出量・移動量
届出排出量・移動量の多い物質
特定第一種指定化学物質の大気及び公共用水域への排出状況
届出外対象業種及び非対象業種からの排出量

 参考

広域行政圏域図
公共用水域流域区分図

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