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広島県社会教育委員研修会 平成23年度の報告

目  的広島県内の社会教育委員が一堂に会し,研修の場を共有することによって,相互の連携を深め,もって広島県の社会教育の振興充実に資する。  
主  催広島県社会教育委員連絡協議会   
共  催

広島県教育委員会(主管:広島県立生涯学習センター)

福山市教育委員会

期  日 平成23年6月1日(水)12:30~16:00
場  所まなびの館ローズコム(福山市生涯学習プラザ)
参加者

広島県及び市町の社会教育委員66人,

広島県教育委員会事務局及び市町教育委員会事務局の社会教育担当職員63人 計129人

講 演 

講演「地域の教育力と社会教育」

講師 八洲学園大学教授 浅井経子

 

講演

【主な内容】

 「新しい公共」と社会教育の課題

 地域の絆を深めることや地域の自立が社会の共通の課題になっている。地域の絆を再構築するには社会教育が有効であり,期待されている。また,それぞれの地域が自立できるように社会教育の計画づくりや市民による地域づくりに取り組むことが重要である。地域の教育力を高めることを中心にして,地域住民が地域づくりに参画していくことで地域住民の人間関係を育み,地域の絆を深め,地域が自立していくことが可能となる。「新しい公共」という考え方で地域住民が学んだ成果を生かして地域づくりに参画していけるような社会教育の条件整備を行うことが必要である。

地域の教育力向上と学習成果の活用~学校,家庭,地域の連携の推進~

 地域住民が学習成果を活用して,学校支援や放課後の子ども支援,そして,家庭教育支援などそれぞれの地域が創意工夫して子どもたちを育てる環境をつくる必要がある。そこに地域住民が参画することによって絆が生まれる。地域住民が学んだことを生かすことによって地域に位置づき地域社会を作っていく好循環を社会教育が構築していくことが求められている。

地域人材の発掘と養成・研修

 コーディネーターとは人と情報,人と人,人と学習資源を適切に結びつける「調整」のことである。コーディネートの種類は大きく2つあり,一つは,人々のニーズや要望に応えるよう,人と人,人と学習資源をマッチングさせ,適切な情報を提供することである。もう一つは,社会教育事業等を企画・設計する際に,人,情報,学習資源を結びつけてデザインすることである。各地域の実情に合わせて事業化できるようにコーディネートできる人材を社会教育がいかに養成していくかが重要となってくる。

コーディネーターとしての能力は次の5つである。

・人と人とを適切に結びつけるなどコーディネートに関する理解とスキルを有している。

・地域情報の収集・組織化・提供に関する理解とスキルを有している。

・地域の方々とのコミュニケーションができるコミュニケーション能力を有している。

・企画・設計・マネジメント能力を有している。

・地域のことを熟知し,多様な人,組織等とネットワークを形成することができる。

 これからの社会教育の推進にはこのような能力を有したコーディネーターが必要になってくるので,地域でどう育成するかを社会教育委員も考えていく必要がある。

効果を示す

 学校支援,学社連携・融合による効果では,社会教育が地域全体で子どもたちの能力を生かすことにより,子どもたちが地域づくりに参画するようになった事例がある。大人も子どももいかに社会への参画意識をつくっていくかが大切であり,そうしていくことで大人と子どもが地域の新しい課題を見つけて助け合うとともに感謝されたり褒められたりすることで各人が生きがいを感じるという好循環が生まれる。

 放課後子ども教室に参加した子どもの約半数が「学校に行くのが楽しみになった」などという調査結果があるし,社会教育における講座等において住民が集まって活動することによって「社会の活性化」「社会の安心・安全」「社会の絆」づくりにつながり,地域社会が安定するといった効果分析の結果がある。地域の社会教育活動には大きな教育効果があるので各地域で工夫して進め,その教育効果をできるだけ数字で表して地域住民に説明していくことも重要である。

社会教育・生涯学習施策の方向

 個人の需要と社会の要請,人間的価値の追求と経済的価値(受益者負担も含めて)の追求のバランスを考えて社会教育・生涯学習施策の方向を定め,これまでの社会教育の伝統(知識・技術・知恵)の継承と新たな創造にチャレンジしていくことが大切である。

 分科会

第1分科会「家庭教育支援」

事例発表  福山市市民局まちづくり推進部生涯学習課長 田中淳雄

        「『親の力』をまなびあう学習プログラムファシリテーター 尾道市向東地区家庭教育支援チーム

                                           “親ぢから”代表 緒方恵理子

【事例発表の主な内容】

○福山市の地域教育機能向上事業について

 ・公民館や生涯学習センターにおける子育て支援交流事業

 ・放課後子ども教室推進事業

 ・ふくやま子どもフェスティバル(毎年,11月に実施)

 ・子育てサポーターリーダー養成講座

○福山市の新しいまちづくりに関する市民アンケートについて

○子育てサポーターリーダー養成講座について

○福山市の子育てに関する事業の課題や今後について

「『親の力』を学びあう学習プログラム」模擬体験講座

○教材番号22「よりそってみて・・・~子育て環境の変化を知る~」(「再び子育て,そして親育て」期(子育て支援期))

○意見交換においては,「子育ての中の親の支えになる。ほっとかない,聞き役になる。」,「近所のおじいちゃん,おばあちゃんとしてのよき相談相手になっていきたい。」,「三次市は,学校・地域サポーター制度がある。学校と一緒になり,家庭に入り,子育ての悩みや家庭教育について考えている。社会教育委員もともに活動していく必要があると思った。」,「子どもの気持ちをさりげなく聞く。」などの意見があった。

【ファシリテーターのまとめ】

・これまでの講座の経験から,親はもっともっと話をしたいと思っている。自分の思いを出すことが大切である。そして,それを受け止めてくれる人がいることが必要である。

・今の親には,情報がたくさんあり,選択肢がたくさんある。これでいいか迷っている。支援者として,全ての価値観を受け止め,よりそうことが支援者として大切だと思う。

・これまでは,自然に築かれていた親同士のつながりを,今はあえて作っていかなければならない。支援者として,親育ち,親が自ら育っていくことを応援していくことが大切である。

・「『親の力』を学びあう学習プログラム」について各市町に伝えてほしい。

分科会1 

第2分科会「地域の教育力向上」

事例発表  神石高原町教育委員会生涯学習課生涯学習係長 森山郁夫

助言者  広島県立生涯学習センター生涯学習推進マネージャー 葛原生子

【主な内容】

○神石高原町の行政施策「人と自然が耀く高原のまちをめざして」,教育行政方針,社会教育行政計画等の概要について

○神石高原町の事例(じんせき高原学びネットJ―OX,読書推進事業,学校地域支援本部事業,地域活性化交付金を活用した知の地域づくり)について

○神石高原町の現状,成果と課題について

【助言者のまとめ】

○神石高原町の取組み事例の特色として2つのポイント

・町の行政施策,教育行政方針,社会教育行政計画等の町の関係施策に基づいた一貫性のある事業展開がなされている点である。施策を実施する責務を明確にし,そのための体制がとられている。施策を実施するためには,「住民の参画」という視点も必要であり,市町行政とのつなぎがポイントとなる。

・町の社会教育行政が,「地域の推進役」となっているという点である。住民が一方的にサービスの受け手となるのではなく,住民の力,人材を育てるのが社会教育の力である。神石高原町では,「じんせき高原学びネットJ―OX」の事業により,地域の「お宝探し」として,地域の人材の様々な力を引き出している。生涯学習は,「地域の総資源の総活用」でなければならない。人材を発掘して「出番を作る」という視点が大切である。住民参画という視点で,みんなで考え,地域の様々な力を引き出すことが社会教育の持つ力である。

○社会教育委員の方たちは,行政と住民を結ぶ非常に大きな力を持っておられる。住民が参画して行う地域づくりにぜひ,その力をいかしていただきたいと思う。

 分科会2

第3分科会「公民館等の振興」

事例発表 熊野町立熊野西公民館長 荒瀧達興

助言者 広島経済大学准教授 志々田まなみ 

【主な内容】

○熊野西公民館の取組について

・熊野町の地域状況,熊野西公民館の基本的な方針と活動概況

・「三世代交流会」「公民館まつり」など平成22年度の主催事業の様子

・子育てグループ「たまひよクラブ」との共催事業

○「こうみんかん」の魅力について

【助言者のまとめ】

○熊野西公民館の事例発表は,とてもうまく回っていて元気がわいてくる好事例である。「公民館まつり」における公民館の役割は,どうやってうまく運営し,地域を活性化させていくかにあると思う。熊野西公民館では,人づくりにポイントを置いているのが印象的である。

○最近は,公民館に学習施設以外の機能を持たせているところが増えてきており,地域センターや自治センターとしてまちづくり機能を備えてきている。どうやってまちづくりをしていくか,地域課題への対応を迫られているところが多い。住民の学習が成立しないとまちづくりも人づくりもできない。

○公民館での学ぶ喜び,学習の成果が,まちづくりや人づくりにつながるのである。「つどう・まなぶ・つながる」ことで自分の役割が見つかり,そして,自分のことをもっとわかるようになることが大切である。

 分科会3

開催要項

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