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浦崎放課後子ども教室【放課後子ども教室 県内の取組事例】

~地域で育てよう!心豊かでたくましい子どもたち~

代表の檀上和之さんに取組を説明していただきました。

◆とき:平成22年10月21日(木曜日)

◆ところ:尾道市立浦崎小学校図書室

(平成22年度第1回広島県放課後子ども教室推進委員会会議において)

地域に恩返し

 浦崎は私が生まれ育ったところで,浦崎小学校は母校でもあり,教職員として勤務したこともあります。今は,地域に恩返しがしたいと思って日々放課後子ども教室の指導に取り組んでいます。 
 浦崎放課後子ども教室は,平成17年度から地域子ども教室として開設しました。当初は指導員4名で始めました。始めた当時は,保護者の強い要望もあり,長期休業中は毎日午前9時から午後5時まで開設していましたが,活動を長く続けるためには,保護者の要望であっても応えることはできないということで,平成19年度からは午前中のみの開設としています。
 浦崎放課後子ども教室は,学校の授業日(月曜日から金曜日まで)の放課後14時から17時までと夏休みなどの長期休業日(お盆や年末年始等を除く月曜日から金曜日まで)の9時から12時まで,年間200日以上開室しています。登録児童は,全校児童の約30~40%で毎年40~70人です。多い年には,のべ参加児童数が8千人近くになります。(対象は1年生から6年生まで)

多様な体験メニュー

 教室での活動は,学習タイムと活動タイムに分けて行っています。1回約1時間の活動タイムでは,毎日メニューを変え,できるだけ地域のことを学ぶように工夫しています。端午の節句,七夕まつりなどの他,地域に伝わる年間行事に向けた準備を計画的に組み入れ,場当たり的なものでなく,季節に応じた一年間の体験的な学習になるよう各月のメニューを計画して活動しています。そして,学んだことは地域へ返そうということで,和太鼓などを練習し,敬老会で「敬老祝太鼓」として披露したりしています。また,習字,クッキング,水泳などは長い時間が必要な活動なので,放課後の時間ではなく,長期休業中のプログラムとして実施しています。(主な活動内容はこちら)
 他の教室にはない特徴としては,浦崎小学校には戦前に贈られた青い目の友情の人形が保存されており,それを教材化して,折鶴を折って広島へ行こうという平和学習を行っています。
 そして,子どもたちにこのような多様な活動をさせるために,我々指導者自身も学んでいます。さまざまな書物を読んだり,カルチャーセンターの講座や研修会に参加したりします。さらに各種スポーツの元選手,審判員,文化活動をしている人に協力や支援をお願いしたりすることもあります。

安全・安心のために必要な約束事

 安全・安心のためには,我々スタッフにも子どもたちにも指針,約束事が必要です。活動方針や決まり,児童の心得を定め,はっきりと文章化して,きちんと守らせることが重要です。(活動方針,児童の心得,指導者の心得はこちら)
 規制をはずして子どもが好き勝手をすると,事故がおきる可能性が必ず高くなります。浦崎放課後子ども教室では,高度な内容よりも安全な活動を優先させ,活動前には子どもたちに必ず安全指導をして活動に入ることにしています。そして指導者は,スタッフジャンバー,ネームプレート,ホイッスルを着用し,活動の前後に指導者ミーティングを行います。
 また,教室活動の中で,他の児童の心身の安全を傷つけることがあったときには,学校,家庭,教育委員会とも連携して厳しく指導を行います。

意欲を引き出す学習タイム

 学習タイムでは,宿題をできるだけやりなさいと声をかけていますが強制ではありません。学習タイムでは,自主学習の時間と課題学習の時間を1時間のうちの半々ぐらいで設定しています。自主学習の時間では主に宿題や読書活動を,課題学習の時間では「九九学習」や「県名覚え」を取り組ませています。塾的なものにならないよう,あくまで子どもの学習習慣をつけることをねらいとしていますので,反復練習をすればできるようになること,例えば日本の川の名前を長い順に言うことや各県の特産品を言うことなどを学習課題として提供しています。そして,課題を達成した児童には,「九九先生」や「県名博士」としてバッジを与え,がんばりや努力をたたえています。

活動時間,出席管理

 低学年は,午後3時ごろから参加しますが,初めの40分ぐらいは学習タイムで,その後16時30分ぐらいまでが活動タイムとなります。教室に来た児童は,自分で教室入口の出席名簿に○をつけ,「徒歩下校」なのか「お迎え」なのかを選び,帰る時間等を書き込みます。この用紙と教室の黒板を使って,迎えの時間,バスの時間,徒歩で帰る児童の確認をしています。一方,高学年は,午後4時ごろからなので,活動タイムの時間からの参加になります。高学年の児童の中には,活動タイムであっても学習をしたいという児童がいます。このような児童には,5人の指導員のうち,1,2名がこれらの児童の自主学習,課題学習に対応しています。高学年になると部活等で来られなくなる児童も多くいます。

スタッフの発掘と確保

 スタッフの発掘が難しいという問題があります。純農村地帯的なところなので,40~50代の人で時間があいているという人はなかなかいません。植木の選定や花壇の整備ならいくらでもしてあげるが,子どもの命を預かるボランティアはできないと敬遠される人が多いです。私はいつも保護者の方に「いつでも教室へ見に来てください。我が子から手が離れたら,ぜひ浦崎の子どもたちのために,教室を手伝ってください。」とお願いしていますが,参画してもらいやすいのは,やはり保育経験,教職経験をもった人たちです。
 開設のときも,主任児童委員さんが子育てサークルの「ほっとサークル」というのを立ち上げられて,そのメンバーが,子育てを終えられて,それなら協力をしようかと始めていただきました。息があうと少々無理も言えるし,よくわかっていただけます。今のメンバーもそうですが,一体になってとても活動しやすい。そういう人材をいかに確保していくかということが課題として挙げられます。

学習アドバイザーの役割

 私は学習アドバイザーという役割をいただいていますが,一番の役割はどんなメニューを持っていったら子どもが自主性を身につけたり,豊かな体験をしたりすることができるかというメニュー作りをすることだと思っています。この時期のこうときにはこういう素材を持ってきて体験させたら,子どもの将来に何かの役に立つのではないか,そういうメニューをいつ,どうもってきたらよいかということを考えるのが学習アドバイザーです。何でもいいのではなく,この時期には,この地域では,こういう行事がある。だからこういう教材を持ってきて,こういう体験学習をさせようと考えていきます。読み聞かせもできるし,紙工作もできます。屋外での体験学習もできます。折り紙工作はこういうものを取り入れようと活動に枝葉をつけていくのが,学習アドバイザーの役割だと思います。

安全管理員の役割

 今日の体育館での活動では,登りロープのところにいた指導員が中心的な役割をしていたのですが,事前の打合せで,前転のところでは首を痛めていけないからあなたに補助をお願いしますとか,平均台では,女の子に難しい子がいるから2人で見てほしいとかみんなで分担を決めています。その他に一名は教室に残って,高学年の学習指導に対応しています。(この日,体育館で行った活動メニュー「室内サーキット」はこちら
 ただ安全管理員だから監視だけすればいいというのではなく,その活動のどういうところで自分の役割として何をすればいいのか事前の打合せで確認をしておくことが必要です。廊下に焼き板工作の作品を並べていますが,この活動では,火を扱うので小さい子どもには相当な気を使います。
 このように危険を伴う活動に限らず,普段からそれぞれの活動の前に分担を決めるミーティングを必ず行っています。

みんなで相談しながら

 指導員みんなが初めからすばらしい特技を持っているわけではありません。私はこれをやるからあなたはこれをやってくれというように,できることから始めていきます。そして,実際にやってみたり,作ってみたりします。例えばブンブン独楽の作り方はすぐに教えられるが,実際には,指導者が作ってもなかなかうまく回りません。子どもにメニューを提供するときには,指導者自身がまずやってみることが必要だと思います。
 また,メニューはできるだけバラバラではなく,例えば七夕に関しては,七夕伝説と星の勉強,飾りを作る折り紙工作,短冊にていねいに書く「書写指導」など一つの行事にかかわって,関連する内容を組み合わせていくつかやっていくと1週間のメニューはすぐに埋まってしまいます。端午の節句も同じで,兜を折ったり,粘土を入れたチマキ作りをしたり,イグサの産地だからイグサをぐるぐる巻いたり,そしてサルトリイバラを採りに行けば野外観察もできます。主な行事に何か枝葉となる品々が付いてつながっていきます。内容は多少違いますが,去年の行事と同じメニューという場合もあります。年間の行事については,家庭歳時記という本が参考になります。正月行事から除夜の鐘まで1年間の行事が載っているので,浦崎放課後子ども教室ではこの時期にこれをやろうと相談しながらやっています。

長く続ける秘訣

 毎日の活動,長期休業中もということであれば,やりがいもあるが大変なことも多くあります。スタッフに長く続けてもらうための秘訣は,事前事後のコミュニケーションだと思います。15分から長いときは30分,コーヒーを飲みながら話をします。今日はああだったな,こうだったなと話をします。誰がリーダーということでなく,みんなが和気藹々とやっていますが,人数が多くなり過ぎるとなかなかこうはいかないと思います。長い人は6,7年続けてくださっています。地域の子どもは何とか地域で見ていこうという強い気持ちがあるからできるのだと思います。
 また,スタッフの中には,大学を卒業し保育士を目指している若い男性もいます。採用試験を受けながら「実習させて欲しい。」とがんばってくれています。こういうスタッフに支えられて活動を続けています。

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