【解説】
下岡田官衙遺跡は広島湾北東部の山塊から南西に派生する丘陵の先端,標高10~60mの南西向きの緩斜面地に立地する。昭和38年度から昭和41年度まで行われた遺跡中心部の内容確認を目的とした発掘調査で2棟の瓦葺礎石建物や井戸などが検出されるとともに,瓦,土師器,須恵器,木簡,文書函蓋,木製品などが出土した。その立地や出土遺物,周辺の地名などから,早くから安芸駅家である可能性が指摘されてきた。
平成28年度から令和元年度まで府中町教育委員会によって行われた発掘調査やこれまでの調査成果の再検討の結果,遺跡は7世紀後半に漆を用いた作業に関わる施設として成立し,8世紀中ごろに計画的に配置された2棟の瓦葺礎石建物を中心とした施設となり,9世紀前半に廃絶したことが明らかになった。山陽道沿線では8世紀中葉以降に,瓦葺の駅家が整備されることが知られているが,本遺跡の施設もこれに合致し,規模や出土遺物からして寺院や国府,郡家関係施設とは考えにくく,駅家の可能性が極めて高いことが改めて確認された。
山陽道駅路に沿った陸海交通の要衝に立地する安芸駅家の可能性が高い官衙遺跡であり,山陽道沿線における官衙の展開を知る上でも重要な遺跡である。
名称 |
下岡田官衙遺跡 |
よみがな |
しもおかだかんがいせき |
指定 |
国指定 |
種別 |
史跡 |
種類 |
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所在地 |
安芸郡府中町石井城二丁目 |
員数 |
指定面積3,599.84平方メートル
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指定年月日 |
令和3年3月26日 |
構造形式 |
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法量 |
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公開状況 |
常時公開。ただし,民有地(畑・駐車場)のため,指定区域内への立ち入りはご遠慮ください。
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交通案内 |
広島電鉄(広島県庁発温品四丁目行き)「城ケ丘入口」バス停下車,徒歩約2分
※専用駐車場はないため,公共交通機関での来訪をお願いします。
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関連施設 |
名称 |
府中町歴史民俗資料館 |
開館時間 |
9時~17時 |
休館日 |
月曜日,年末年始(12月29日から1月3日まで) |
入館料 |
通常展示は無料,特別展示は別料金 |
所在地 |
安芸郡府中町本町二丁目14番1号 |
電話番号 |
082-286-3260 |
交通案内 |
広島電鉄(広島県庁発府中山田行き)「府中埃宮(えのみや)」バス停下車,徒歩約2分 |