2  廃棄物の適正処理の推進
 
現状と課題
 
(1) 適正処理の状況
  廃棄物が適正に処理されるよう,排出量や処理目的に応じ,効率的に施設の整備を図るとともに,優良な処理事業者の育成に努める必要があります。
 また,廃棄物処理法の規制強化,最終処分場の逼迫,廃棄物処理費用の増加,各種リサイクル法の施行などにより不法投棄等の不適正処理が増加することが懸念されることから,施設への立入検査や不法投棄・不適正処理の防止に積極的に取り組む必要があります。
 
図表 2-1-7 家電リサイクル法対象4品目不法投棄台数
(1)品目別
※冷凍庫は,16年4月から対象。
資料:県一般廃棄物対策室
 
(2)場所別
資料:県一般廃棄物対策室
 
図表 2-1-8 産業廃棄物不法投棄発生状況(投棄量10トン以上の事案)
資料:県産業廃棄物対策室
 
(2) 最終処分場の状況
 一般廃棄物,産業廃棄物ともに,最終処分場の残余容量は逼迫した状況にあることから,新規埋立処分場の整備等により最終処分場を確保する必要があります。
 特に,管理型産業廃棄物の最終処分場の残余年数は,大規模な民間処分場が平成13年度に1件設置されて増加したものの,約7年しかなく,公共関与による新規埋立処分場の整備等により最終処分場を確保する必要があります。
 
図表 2-1-9 一般廃棄物最終処分場の残余容量及び年数
資料:県一般廃棄物対策室
 
図表 2-1-10 産業廃棄物最終処分場の施設数及び残余容量
資料:県産業廃棄物対策室
 
図表 2-1-11 産業廃棄物最終処分場の設置等状況(平成14年度末現在)
設置主体 施設数 残余容量(万m3 残余
年数
排出
事業者
処理業者 公共 排出
事業者
処理業者 公共
安定型
最終処分場
7 77 1 85 10 653 22 685 10.1
管理型
最終処分場
8 30 2 40 6 292 51 349 7.1
15 107 3 125 16 945 73 1,034 8.9
資料:県産業廃棄物対策室
注) 1 表中の施設は,廃棄物処理法第15条の許可対象施設です。
2 残余年数は,平成14年度の埋立量の実績(管理型49万立方メートル,安定型68万立方メートル)から試算したものです。
図表 2-1-12 公共関与による埋立処分事業の実施状況(平成16年度末)
名称 埋立面積
(ha)
埋立容量
(千m3
進捗率
(%)
事業期間 事業主体
箕島地区 35 1,937 84.8 昭和63年10月〜 (財)広島県環境保全公社
五日市地区 37.5 4,855 94.1 平成3年1月〜 (財)広島県環境保全公社
※ 箕島地区は,平成16年度に嵩上げ工事実施
資料:県産業廃棄物対策室
 
[施策の方向]
 不法投棄の防止など適正処理の推進,優良な処理業者の育成
 最終処分場の確保
 
施策の展開
 
(1) 廃棄物処理の安全性の向上
 
 市町に対する支援
 一般廃棄物の適正処理を推進するため,市町や一部事務組合のし尿・ごみ処理施設等への定期的な立入検査等を実施し,施設の適正な運営や環境保全に関する助言を行うとともに,既存施設の耐用年数や老朽化の状況などを勘案しながら施設整備に対する適切な支援を行います。
 ごみ処理の効率化とダイオキシン類対策の徹底を図るため,ごみ処理の広域化に向けた市町の取組を引き続き支援します。
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
(ア)一般廃棄物処理施設整備の促進[一般廃棄物対策室]
 一般廃棄物処理施設については,既存施設の老朽化や廃棄物量の増加などを踏まえ,市町による計画的な施設整備を支援します。
[平成16年度事業実績]
図表 2-1-13 一般廃棄物処理施設整備状況
区分 14年度 15年度
し尿処理施設 ごみ処理施設 し尿処理施設 ごみ処理施設
施設数 36 95 36 100
処理能力 2,849kl/日 5,208t/日 2,819kl/日 5,842t/日
資料:県一般廃棄物対策室
[平成17年度事業内容]  引き続き,計画的な施設整備を支援します。
 
(イ) 監視・指導等 [一般廃棄物対策室]
 一般廃棄物処理施設の適正な維持管理を促進するため,立入検査等を実施します。
[平成16年度事業実績]
図表 2-1-14 一般廃棄物処理施設立入検査・指導件数
区分 立入検査・指導件数
し尿処理施設
ごみ処理施設
埋立処分地
浄化槽
69
173
43
3,095
3,380
資料:県一般廃棄物対策室
[平成17年度事業内容]  引き続き,立入検査等を実施します。
 
 産業廃棄物排出事業者・処理業者に対する指導
 排出事業者責任の原則のもと,「廃棄物処理法」に基づき計画的な立入検査を実施するとともに,マニフェスト制度の徹底や排出事業者による産業廃棄物処理委託時の処理能力等の確認の徹底など,排出事業者・処理業者等に対し適正処理を指導します。
 ダイオキシン類の発生源である産業廃棄物焼却施設の設置管理者に対して構造基準,維持管理基準の徹底を図るとともに,ダイオキシン恒久基準への適合を継続的に監視します。
 「ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物処理基本計画」に沿った県内PCB廃棄物の適正処理,「感染性廃棄物処理マニュアル」に基づく医療機関及び処理業者に対する指導など,有害産業廃棄物の適正処理を推進します。
 産業廃棄物の処理に関する情報の開示を推進し,優良な産業廃棄物処理業者の育成を図るとともに,産業廃棄物処理業者で構成する団体の活動に対して支援を行い,業界全体の健全な発展を促進します。
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
(ア)監視・指導等 [産業廃棄物対策室]
 産業廃棄物の適正処理を推進し,生活環境の保全を図るため,排出事業者及び産業廃棄物処理業者の事業所及び処理施設の立入検査を実施します。
[平成16年度事業実績]
図表 2-1-15 事業所立入検査件数
区分 立入検査件数 延指導件数
産業廃棄物排出事業所 1,624 127
産業廃棄物処理業者 1,720 69
不法投棄等監視パトロール 437 2
産業廃棄物運搬車両検査 32 0
3,813 198
資料:県産業廃棄物対策室
 
図表 2-1-16 産業廃棄物処理業者許可状況(平成17年3月31日)
区分 広島県 広島市 呉市 福山市
産業廃棄物 収集運搬 2,566 1,347 608 1,012
中間処理 217 89 22 39
最終処分 19 9 4 8
中間処理・最終処分 21 0 1 3
小計 2,823 1,445 635 1,062
特別管理産業廃棄物 収集運搬 359 207 97 182
中間処理 19 10 2 4
最終処分 3 0 0 0
中間処理・最終処分 0 0 0 0
小計 381 217 99 186
合計 3,204 1,662 734 1,248
資料:県産業廃棄物対策室,広島市,呉市,福山市
注) 1  表中の数字は許可業者数を表している。
2  1つの業者が複数の区分,複数の自治体の許可を有する場合,それぞれ計上している。
 
[平成17年度事業内容]  引き続き,立入検査等を実施します。
 
(イ)ダイオキシン対策 [産業廃棄物対策室]
 平成14年12月から適用された産業廃棄物焼却施設のダイオキシン恒久基準対応を推進するため,施設の改善指導を行うとともに,排ガスの行政検査を実施します。
[平成16年度事業実績]  9施設について,排ガスの行政検査を実施しました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,行政検査を実施します。
 
(ウ)PCB対策 [産業廃棄物対策室]
 平成13年7月に施行されたPCB廃棄物適正処理推進特別措置法に基づき,PCB廃棄物の保管状況を把握し,適正保管・保管状況等の届出を指導します。
 また,中小企業に対してPCB廃棄物の処理費用の助成をするため,(独)環境再生保全機構のPCB廃棄物処理基金へ拠出(45,000千円)します。
[平成16年度事業実績] 
図表 2-1-17 PCB廃棄物保管等届出状況(平成16.3.31)
注)容量で報告されたものは,重量に換算しています。
資料:県産業廃棄物対策室,広島市,呉市,福山市
 
[平成17年度事業内容]  引き続き,届出指導等を行います。
 
)優良な産業廃棄物処理業者の育成 [産業廃棄物対策室]
 産業廃棄物の処理に関する情報の公開を推進する産業廃棄物処理業者及びその団体の活動に対し,産業廃棄物埋立税を財源とした支援を行い,業界の健全な発展を促進します。
[平成16年度事業実績]
事業名 データベース構築事業 処理施設公開
支援事業
処理業者
フォローアップ事業
実施主体 (社)広島県産業廃棄物協会 産業廃棄物処理業者 (社)広島県産業廃棄物協会
事業内容
県内処理業者のデータベース化
業者検索システムの構築
インターネットで情報公開
処理施設等の情報公開機器の整備(2件) 情報公開促進のための実務担当者向け講習会等の開催
補助率 1/2 1/2((社)広島県産業廃棄物協会への間接補助) 1/2
補助金額 1,176千円 1,000千円 3,000千円
[平成17年度事業内容]  引き続き,情報公開の推進等,業界の健全育成に資する費用を助成します。 
 
(2) 不法投棄防止対策の推進
 廃棄物処理法の規制強化,最終処分場の逼迫,廃棄物処理費用の増加,各種リサイクル法の施行などにより不法投棄が多発することが懸念されるため,県の組織体制の充実を図るとともに,「不法投棄110番・ファックス」による情報収集や,車両,ヘリコプター及び船舶を使用したパトロールの実施など,市町,警察機関,JA・郵便局等,地域に根ざした各種団体,地域住民等との連携により監視体制の強化を図り,不法投棄の未然防止に努めます。
 市町が行う監視機器や防止設備の設置,監視体制の強化などの取組に対して必要な支援を行います。
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
 監視・パトロール [産業廃棄物対策室]
 「不法投棄110番」による情報収集や,車両,ヘリコプター及び船舶を使用した監視パトロールを実施し,早期発見・早期是正に努めます。
[平成16年度事業実績]  不法投棄パトロールや産業廃棄物収集運搬車両の検査を実施しました。
  車両によるパトロール(76回),ヘリコプターによるパトロール(15回),
  船舶によるパトロール(12回),車両検査(9回)
[平成17年度事業内容]  引き続き,国,県,市,県警,海上保安部等の関係機関が共同して,空及び海上から不法投棄等の監視パトロールを実施します。また,監視車両によるパトロールや県警の協力を得て車両検査を実施します。
 
 不法投棄対策班の活動 [産業廃棄物対策室]
 悪質・巧妙化する不法投棄等不適正処理に対する監視体制などを強化するため,産業廃棄物対策室に現職警察官,警察官OB及び県職員からなる「不法投棄対策班」を設置し,不適正処理事案に関する調査活動,原因者の究明及び監視指導を行い,早期発見・早期是正による事案の拡大防止を図ります。
[平成16年度事業実績]  不法投棄110番,関係機関からの要請等を受けて,延べ197回出動し,不適正処理事案への対応を行いました。
[平成17年度事業内容]  不法投棄対策班を2班体制に増強し,支援要請に対して早期対応を行います。
 また,不法投棄防止ポスターを作成・配布し,啓発及び情報連絡窓口の周知を図ります。
 
 地区不法投棄防止連絡協議会の設置 [産業廃棄物対策室]
 地域事務所の管轄区域毎に,地域事務所,市町,警察及び海上保安部で構成する地区不法投棄防止連絡協議会を設置し,不法投棄の情報交換等を実施します。
[平成16年度事業実績]  協議会を延べ12回開催しました。
[平成17年度事業内容]  引き続き,協議会を開催します。
 
 地域廃棄物対策支援事業 [一般廃棄物対策室]
 廃棄物の不法投棄等,不適正な処理が増加することが懸念されるため,市町又は一部事務組合が実施する不法投棄対策事業を支援し,不法投棄の未然防止及び早期発見・早期是正を図ります。
項目 内容
実施主体 市町(一部事務組合を含む。)
対象事業
不法投棄監視事業 パトロール,住民団体・民間警備会社への監視委託
監視機器・車両進入防止柵の設置等
不法投棄防止に関する普及啓発事業 講習会の開催,広報活動の実施
不法投棄防止大会の開催
その他関係事業 不法投棄を防ぐための環境整備事業等
補助率 1/3以内
補助限度額 200千円〜10,000千円/市町(人口規模で異なる。)
[平成16年度事業実績]
[平成17年度事業内容]  引き続き,不法投棄防止対策事業を実施する市町又は一部事務組合に対し補助します。
 
(3) 最終処分場の確保
 最終処分場設置者と地域住民とのコミュニケーションが円滑に図られるよう調整を行います。
 最終処分場の設置の円滑化を図るため,周辺の環境保全整備に対する支援方策を検討します。
 廃棄物処理施設の設置をめぐる紛争や「廃棄物処理法」の規制強化などにより廃棄物最終処分場の確保が困難になっていることから,広島市出島地区及び福山市箕沖地区の2地区において公共関与による新規廃棄物処分場の整備を推進することとしています。
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
 公共関与産業廃棄物処分場整備事業 [産業廃棄物対策室]
 箕島地区及び五日市地区処分場の後継処分場として,広島地域(出島地区)及び備後地域(箕沖地区)において新たな最終処分場の整備を推進します。
 
図表 2-1-18 公共関与による新規廃棄物処分場
名称 埋立面積(千m2 埋立容量(千m3
出島地区(広島市) 180 1,900
箕沖地区(福山市) 157 1,044
資料:県産業廃棄物対策室
 
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