2  その他の地球環境問題への対応
 
現状と課題
 
 地球環境問題としては,地球温暖化やオゾン層の破壊以外にも,酸性雨や黄砂といった問題があります。
 酸性雨は,石油,石炭等の燃焼に伴って排出される硫黄酸化物や窒素酸化物によって,大気,降水,陸水など環境全体が酸性化する問題です。
 我が国における酸性雨による生態系への影響は現時点では明らかになっていませんが,一般的に酸性雨による土壌・植生,陸水等に対する影響は長い期間を経て現れると考えられているため,現在のような酸性雨が降り続くとすれば,将来,酸性雨による影響が顕在化する可能性があります。なお,全国調査結果では,国外(中国大陸)からの影響が示唆されています。
 本県においても,全国の状況と同様に,経年的な推移は横ばいで,年平均値pH4台の雨が観測されています。
 
図表 1-2-2 降雨pH値
  H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16
広島市 4.5 4.5 4.6 4.6 4.1 4.4 4.7
庄原市 4.8 4.9 4.7 5.0 4.1 4.7 4.9
呉市 4.7 4.6 4.4 4.4 4.5 4.4 4.7
福山市 5.2 5.3 5.3 5.3 5.1 4.8 5.1
資料:県環境対策室,呉市,福山市
 
(注) 広島市,庄原市については,自動採取器により月単位で採取したものの年度間平均値である。
呉市については,自動採取器により偶数月の降雨ごとに採取したものの年度間平均値である。
福山市については,ろ過式採取器により月単位で採取したものの年度間平均値である。
 
 黄砂は,主として乾燥地帯(ゴビ砂漠,タクラマカン砂漠など)や黄土地帯で強風により吹き上げられた多量の砂塵が上空の偏西風に運ばれて日本,韓国,中国などで降下する現象をいいます。近年中国,モンゴルからの黄砂の飛来が大規模化しており,これらの国々でその対策が共通の関心事となっています。
 従来,黄砂は自然現象と考えられていましたが,近年の現象については,過放牧や耕地の拡大等の人為的な要因も影響しているとの指摘もあります。このため,国では黄砂のモニタリングを実施しています。
 広島県では,黄砂の影響により,浮遊粒子状物質が高濃度になる日が毎年観測されています。
 
図表 1-2-3 黄砂飛来日数
(年) H13 H14 H15 H16
黄砂の飛来状況 26 21 11 10
 
[施策の方向]
酸性雨や黄砂等その他の地球環境問題への対応
  
施策の展開
 
 「大気汚染防止法」などの関係法令に基づく固定発生源に対する規制措置の徹底を図るほか,自動車排出ガス等対策の強化を図ることにより,酸性雨の原因となる硫黄酸化物や窒素酸化物の排出抑制を推進するとともに,酸性雨のモニタリング調査を継続的に実施します。
 
平成16年度に講じた施策・平成17年度に講じる施策
 
 酸性雨モニタリング調査 [環境対策室]
 地域環境への酸性物質の蓄積動向に着目し,県内を代表する地点における降雨のモニタリングを継続して実施します。
[平成16年度事業実績]  4地点の降雨調査の結果,経年的には横ばいの傾向です。
[平成17年度事業内容]  引き続き,モニタリングを実施します。
 
 酸性雨等森林衰退モニタリング事業 [森林保全室]
 県内森林域における降水の酸性化の実態を調査し,これらの森林への影響の有無を把握することを目的として,特定の地域において毎木調査,樹木衰退状況調査,土壌調査等を実施しました。
[平成16年度事業実績]  安芸高田市向原町において調査した結果,酸性雨によると思われる樹木衰退は認められませんでした。(平成16年度終了)
 
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