第2部    環境の現状と県の取組
 
第2章   地球環境の保全に貢献する広島
第2節   地球環境保全への貢献
1   オゾン層保護の推進
2   その他の地球環境問題への対応
3   国際的な環境保全活動の推進
 
第2節 地球環境保全への貢献
 
1 オゾン層保護の推進
 
現状と課題
 
 フロンハロン,四塩化炭素などが大気中に排出されて成層圏に達すると,オゾン層を破壊するといわれています。オゾン層が破壊され,地上に有害な紫外線が降り注ぐようになると,皮膚ガンや白内障などの健康被害や植物などの生育障害を生じ,地球の生態系に大きな影響を与えることになります。
 平成12年に南極において過去最大規模のオゾンホールが観測され,翌13年にも過去最大規模に匹敵する大きさのオゾンホールが観測されています。
 このため,「家電リサイクル」,「フロン回収破壊法」及び「自動車リサイクル法」の各法律に基づき,フロン類の回収・処理の徹底を図る必要があります。
 
[施策の方向]
フロン類の回収・処理の徹底
 
施策の展開
 
 フロンの大気中への放出を抑制するため,「家電リサイクル法」,「フロン回収破壊法」及び「自動車リサイクル法」(自動車リサイクル法においては,平成17年1月以降)に基づく業務用冷凍空調機器,カーエアコン等からのフロン類の回収・破壊を促進します。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
フロン回収破壊法に基づくフロン類の回収[環境対策室]
 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収破壊法)に基づき,業務用冷凍空調機器(第一種特定製品)について平成14年4月から,カーエアコン(第二種特定製品)について平成14年10月からフロン類の回収が義務づけられたことに伴い,特定製品からのフロン類の回収又は使用済自動車の引取りを業として行う者の登録及び立入検査等を実施します。
[平成15年度事業実績] 第一種フロン類回収業者33件,第二種特定製品取引業者126件,第二種フロン回収業者53件(うち特例分37件)を新規に登録しました。また,第一種フロン類回収業者20件,第二種特定製品取引業者136件,第二種フロン類回収業者112件の立入検査を行いました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,業者登録を行うとともに,適正にフロン類の回収・引渡しが行われるよう,立入検査等を行います。
図表2-1-1 フロン回収破壊法に基づく登録状況(平成16年4月1日現在)
  第一種フロン類
回収業者
第二種特定製品
取引業者
第二種フロン類
回収業者
登録件数 454事業者 1,106事業所 553事業所
 
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2 その他の地球環境問題への対応
 
現状と課題
 酸性雨は,石油,石炭等の燃焼に伴って排出される硫黄酸化物や窒素酸化物によって,大気,降水,陸水など環境全体が酸性化する問題です。
 我が国における酸性雨による生態系への影響は現時点では明らかになっていませんが,一般的に酸性雨による土壌・植生,陸水等に対する影響は長い期間を経て現れると考えられているため,現在のような酸性雨が降り続くとすれば,将来,酸性雨による影響が顕在化する可能性があります。なお,全国調査結果では,国外(中国大陸)からの影響が示竣されています。
 本県においても,全国の状況と同様に,経年的な推移は横ばいで,年平均値pH4台の雨が観測されいます。
 
図表2-2-1 降雨pH値
  H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15
広島市 4.7 4.5 4.5 4.6 4.6 4.1 4.4
庄原市 5.0 4.8 4.9 4.7 5.0 4.1 4.7
呉市 4.9 4.7 4.6 4.4 4.4 4.5 4.4
福山市 4.7 5.2 5.3 5.3 5.3 5.1 4.8
資料:県環境対策室,呉市,福山市
(注)  広島市,庄原市については,自動採取器により月単位で採取したものの年度間平均値である。呉市については,自動採取器により偶数月の降雨ごとに採取したものの年度間平均値である。福山市については,ろ過式採取器により月単位で採取したものの年度間平均値である。
 
[施策の方向]
酸性雨等その他の地球環境問題への対応
 
施策の展開
 
 「大気汚染防止法」などの関係法令に基づく固定発生源に対する規制措置の徹底を図るほか,自動車排出ガス等対策の強化を図ることにより,酸性雨の原因となる硫黄酸化物や窒素酸化物の排出抑制を推進するとともに,酸性雨のモニタリング調査を継続的に実施します。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
酸性雨モニタリング調査[環境対策室]
 地域環境への酸性物質の蓄積動向に着目し,降水・降下物及び湖沼について,県内を代表する地点におけるモニタリングを継続して実施します。
[平成15年度事業実績] 4地点の降雨調査の結果,経年的には横ばいの傾向です。
[平成16年度事業内容] 引き続き,モニタリングを実施します。
 
酸性雨等森林衰退モニタリング事業[森林保全室]
 県内森林域における降水の酸性化の実態を調査し,これらの森林への影響の有無を把握することを目的として,特定の地域において毎木調査,樹木衰退状況調査,土壌調査等を実施します。
[平成15年度事業実績] 総領町において調査した結果,酸性雨によると思われる樹木衰退は認められませんでした。
[平成16年度事業内容] 引き続き,モニタリング調査を実施します。
 
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3 国際的な環境保全活動の推進
 
現状と課題
 開発途上国等では,急速な経済発展,工業化,都市化,開発の進展等に伴って,公害などの環境問題が深刻化しています。こうした国々では,環境対策を進めるための人材,技術,資金の不足などもあり,各国からの環境国際協力を求めています。
 県では,国や国際協力機構(JICA)と協力して,平成元年度から環境分野の研修員受け入れ,専門家の派遣等を行っています。
 また,友好提携を結んでいる中国四川省との環境保護合作事業として,研修員を受け入れるなどの取組を行っています。
 
[施策の方向]
 国際的な環境保全活動への貢献
 
施策の展開
 
 開発途上国等の公害問題や地球環境問題の解決に向け,中国四川省との環境保護合作事業やJICA研修による研修員受入れなど環境国際協力の推進を図るとともに,国,JICA,その他の国内・県内の環境国際協力推進団体との連携強化を図ります。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
JICA研修員の受入れ[循環型社会推進室]
 開発途上国等での環境問題に貢献するため,集団研修を実施します。
[平成15年度事業実績] コスタリカ,グアテマラ,ハンガリー,モンゴル,フィリピン,スリランカから8名が廃棄物管理総合技術コースに,バングラディシュ,パキスタン,スリランカ,ネパールから8名が南西アジア地域公害防止行政コースの集団研修を受けました。
[平成16年度事業内容] 廃棄物管理総合技術コース及び南西アジア地域公害防止行政コースの集団研修を実施します。
 
中国四川省との環境保護合作事業[循環型社会推進室]
 友好提携を結んでいる四川省と平成3年度に交わした「環境保護合作事業」に関する覚書きに基づき,研修を実施します。
[平成15年度事業実績] 研修員3名を受入れ,3か月間の研修を実施しました。また,技術協力員1名を四川省へ派遣し,現地での技術協力を行いました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,研修等を実施します。
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