台湾において製材品の展示とコウヨウザン造林等の先進地視察が行われました
1 はじめに
平成31年3月13日(水曜日)に広島市内で,広島県と台湾の森林・林業・木材産業における民間交流研究会(以下「研究会」といいます。)第3回総会が開催され,第30回台北国際建築建材及び産品展(以下「台北建材展」といいます。)における会員の展示活動や台湾のコウヨウザン造林,木材利用に関する先進地視察について報告がありましたので,その概要を紹介します。
※広島県と台湾の森林・林業・木材産業における民間交流研究会の活動内容等については,次のホームページを参考にしてください。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/86/taiwan.html
※コウヨウザンについては,次のホームページを参考にしてください。
https://www/pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/86/30zerosai-1002.html
2 台北建材展について
平成30年12月13日(木曜日)から16日(日曜日)にかけて,台北市の台北南港展覧ホールにおいて台北建材展が開催されました。昨年の来場者数は6万3千人,出展者数は566社となっており,今年の来場者数は8万人に上る見込みとのことでした。
研究会から,中本造林(株)が日本輸出振興協会の設置するジャパンパビリオン内において「焼杉」を展示しました。小さなスペースであるにも関わらず,次々と来場者が訪れ「焼杉を使ってみたいが,どこで取り扱っているのか。」,「白蟻には強いのか。」など多数の声が寄せられたとのことです。
研究会では,このような来場者の声も参考にしながら,台湾への輸出の可能性を検討していくとのことでした。
台北南港展覧館
中本造林(株)から説明を受ける来場者
3 コウヨウザン造林等の先進地視察について
この視察は,台湾の技術的な知見を集積することを目的として,平成30年12月16日(日曜日)から20日(木曜日)にかけて実施されました。視察には,一般財団法人広島県森林整備・農業振興財団(以下「財団」といいます。)の相良伊知郎専務理事及び福島正博研究機関担当課長のほか,広島県からも林業課の酒井将秀参事が参加しました。
(1)行政院農業委員會林業試験所(12月17日(月曜日),台北市)
行政院農業委員會林業試験所の張所長を表敬訪問しました。林業試験所の鍾振徳副研究員から「コウヨウザンとランダイスギ(Cunninghamia lanceolate and C. lanceolata var. konishii )」について,広島県農林水産局林業課の酒井将秀参事から「広島県の森林・林業・木材産業とコウヨウザンの取組」について説明がされた後に積極的な意見交換が行われ,コウヨウザン造林の課題解決に向け,お互いに協力関係を構築していく方向性で合意しました。
※ランダイスギ(Cunninghamia lanceolate var. konishii)は,コウヨウザン(Cunninghamia lanceolate)の変種で台湾に自生している樹木です。
記念撮影(相良専務理事(左)張所長(右))
鍾副研究員による説明
(2)聯美林業股份有限公司(12月18日(火曜日),彰化縣)
聯美林業股份有限公司を訪れ,会社概要や台湾の木材概況についての説明を受けた後に,工場内を見学しました。
同社は,彰化縣線西鄉彰濱工業區に所在し,家具,建築,内装などに使用する針葉樹原木・製材品等を輸入販売しているとのことでした。日本からも,ヒノキの製材品や原木を輸入しており,防蟻性や品質での評価が高いとの説明がありました。
また,日本国内で集成材やバイオマス発電需要の拡大などにより,ヒノキの需要が増大していることから,C材以下でも価格が高騰して収支が合わなくなってきているとも言われていました。
(3)行政院農業委員會林業試験所蓮華池研究中心(12月19日(水曜日),南投縣)
行政院農業委員會林業試験所蓮華池研究中心を訪れました。研究中心は,標高約600m~900mの高さにあり,ここに造成されたコウヨウザンやランダイスギの試験林を調査しました。
行政院農業委員會林業試験所蓮華池研究中心
試験林の状況
(4)表敬訪問等
行政院農業委員會林務局(造林生産組造林科,東勢林區管理處,南投林區管理處)を表敬訪問し,広島県や財団のコウヨウザン普及に関する取組について説明するとともに,管内のコウヨウザンに係る種子園や苗圃などを視察しました。
(5)今後の展開
今回の視察では,台湾との交流が広がるとともにコウヨウザンの普及に繋がる多数の知見が得られるなど大きな成果がありました。
県においては,このような知見を活用し,コウヨウザンの普及を進めて行くこととしています。また,研究会においては,引き続き,台湾との技術交流を進めるとのことでした。