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スギ大径材を使用する梱包用材製材工場が完成しました!

印刷用ページを表示する掲載日2018年6月27日

 このたび,福山市に,スギの大径材を使用して梱包用材を製材する工場が完成しました。

1 梱包用材とは

 「梱包用材」とは,荷物の下に敷くパレットや,電線ケーブルを巻くケーブルドラム,輸出用機械を保護する木箱などの運送・梱包資材を組み立てるための材料のことです。(パレットやドラム,木箱の組立は,梱包用材を仕入れたパレットメーカーやドラムメーカーなどが行います。)

パレット(パレット) ドラム(ケーブルドラム) 木箱(木箱)

 これまで,梱包用材の原料の多くは,ニュージーランドやチリから輸入されたラジアータパイン(別名,ニュージーランドマツ)が使われてきましたが,近年では国産のスギも使われ始めています。

 広島県福山市松永地区は,国内最大級の梱包用材の製材拠点となっています。

梱包用材(製材され出荷を待つ梱包用材)

2 新工場の概要

 平成30年5月から,梱包用材製材の国内最大手である株式会社オービス(本社:福山市)が,福山市松永地区に新たな梱包用材製材工場を稼働させました。

 同社では,これまで,ニュージーランドからラジアータパインの丸太を輸入して梱包用材に製材してきましたが,(1)国内のスギ資源が充実し,特に,用途が限られるスギ大径材の供給量が九州を中心に増加してきたこと,(2)中国等における木材需要の増大に伴い,ラジアータパインの価格が上昇傾向にあることから,今般,原料の一部をスギに転換することにしました。

 新工場では,高い製材歩留りを目指して,最新の製材機械を組み合わせることにより,様々なサイズの製材を生産できる施設となっており,年間原木消費量(予定)は,スギ7万m3,ラジアータパイン4.5万m3の合計11.5万m3となっています。これは,広島県内の製材工場の中で,第3位の原木消費量となります。スギ供給量のうち,2万㎥は広島県内から,残りの5万㎥は,北海道から九州までの全国各地からトラックや船で集荷する予定となっています。

 新工場の整備に当たっては,総事業費49億円のうち,9.5億円に林野庁の合板・製材生産性強化対策事業の補助金が活用されました。

工場外観(工場外観)

内部(工場内部)

3 梱包用材に使われるスギ大径材について

 梱包用に製材されるスギ原木は,太いもの(直径28cm以上)が必要となります。これは,太ければ太いほど製材歩留りが良くなるためです。

 一般に,梁桁や柱などの建築用材では,丸太から角材を挽いた残りの外側部分の処理が問題になるため,太すぎる材は敬遠されます。これに対して,梱包用材の場合,非常に多くのサイズの品目を生産することで,外側部分も小さい製品にすることができるため,太い材でも問題ありません。

 また,梱包用という商品性質上,建築用ほど見た目が重視されませんので,原木に変色・しみがある低質材であっても利用可能です。

 このようなスギの大径低質材については,これまで使い道があまりなく,スギの成長の早い九州を中心に需要先の確保が課題となっていますが,これからは,梱包用材という新たな需要分野で有効利用されていくことが期待されます。(平成29年度における全国の「木箱仕組板・梱包用材」の製材品出荷量の合計は約107万m3です。)

スギ(梱包用に集荷されたスギ原木)

(写真提供 (株)オービス)

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