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会員コラム Vol.29

印刷用ページを表示する掲載日2022年4月19日

 

2022.10.11

Vol.29

「地中熱利用によるCO₂排出削減の取り組み​​​」

弊社は地中熱を利用する熱源設備の提供を事業の柱として、空調設備などの省エネ化によるCO₂排出削減に取り組んでいます。
地中熱利用は、地下の土壌や岩盤を熱源として採熱や放熱を行うもので、再生可能エネルギーのひとつとして位置付けられています。地表から深さ10mより深い地盤の地温は、年間の平均気温とほぼ等しく、年間を通して安定した温度に保たれています。そのため、冬と夏には地上と地中との間で10℃から15℃の温度差が生じており、地中は冬には温かく夏は冷たい条件にあります。このように温度が安定した地盤を熱源とすることにより、従来の熱源設備に比べて省エネ化を図ることができます。また、従来のエアコンと違い、冷房の排熱を大気中へ放熱しないため、ヒートアイランド現象の緩和にも貢献できると言われています。

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図-1 地中熱利用空調設備の模式図

弊社では地中熱を利用した熱源設備の企画・提案から調査・設計・施工・維持管理まで一貫したサービスを提供しています。約30年の実績があり、施設の特徴に合わせた最適なシステムをご提案します。
これまでに、北海道から九州まで全国の空調・プール加温・農業ハウス加温・道路融雪など多彩な用途へ300件以上の導入実績があり、広島県内でも43ヶ所で導入されています。

図-2は市役所の庁舎に導入された設備のCO₂排出削減効果を示しています。この庁舎では、地中熱ヒートポンプと吸収式冷温水発生機を併用した熱源設備が導入されました。従来の一般的な方式である吸収式冷温水発生機のみを導入した場合と比較すると、年間のCO₂排出量を約51%削減することができました。

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図-2 市役所庁舎のCO₂排出量

写真-1は鳥取県大山町の県道に導入された融雪設備による路面の融雪状況です。地中熱を利用した融雪設備では、循環水を地中で暖めて、その循環水をそのまま路面に埋設した放熱管に循環させることで、地中の熱を路面に伝えて融雪します。

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写真-1 地中熱利用の融雪設備による融雪状況

図-3は融雪設備のCO₂排出削減効果を示しています。従来の一般的な方式である電熱線を利用する場合と比較すると、年間のCO₂排出量を約92%削減することができました。

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図-3 融雪設備のCO₂排出量

当社では、より効果的にCO₂排出削減に貢献することを目指し、地中の熱を取り出す地中熱交換器の改良や、熱源設備のより効率的な運用方法の研究などの技術開発を進めています。

📌著者プロフィール
田中雅人(たなかまさと)
ミサワ環境技術株式会社 常務取締役
1996年に入社して地中熱利用システムの設計や施工管理を担当。2017年より現職。

 

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