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必ずもうかると誘われたのに大きな損失【先物取引】

印刷用ページを表示する掲載日2016年10月6日

〈相談事例〉

 職場に灯油の先物取引を勧める電話があり,担当者が家に説明に来た。絶対にもうかるからと勧められて委託証拠金100万円を払った。44万円もうかったので,そのもうけで更に買い足すことを勧められ,取引を続けた。しかし,その後は損が続いたので不安になり,「やめたい」と言ったが「やめるには81万円かかる。今は損をするが,もう少しお金を入れればもうかるから」と勧められ断りきれず,さらに72万円の追加証拠金を払ってしまった。もうこれ以上払えないので,取引をやめたい。 
 (50歳代 会社員)

先物取引のイメージ画像

〈相談への対応〉

 本社宛てに書面で,決済及び精算金の返還通知を出し,担当者から取引を続けるよう説得されても毅然と断ることを助言した結果,71万円返金されることになりました。

〈アドバイス〉

 商品先物取引とは,金や石油(灯油・ガソリン),小麦やコーヒー豆など商品市場において行われる取引を指し,最近では「コモディティ」という言葉も用いられます。

 私たちの日常生活での商取引は,物を買ってその代金を支払うという現物取引ですが,基本的な先物取引は,将来の一定時期に物を受け渡しすることを約束して,その価格を現時点で決める取引です。

 総取引額の5~10%の少額の資金(委託証拠金)を担保として取引が始められます。わずかな値動きで多額な利益となることもありますが,預託した証拠金以上の多額の損失となる危険性もあります。また,売買の都度,取引手数料を支払う必要があり,取引所得や消費税もかかります。

 先物取引は,取引の仕組みや委託注文の手順などを十分に理解した上で,委託者自身の判断と責任において売買の指示を行うことになっています。取引を行うためには,値動きを読むための幅広い知識や先見性を必要とします。十分な知識に基づく冷静な判断力を持っていたとしても,必ずもうかるとは限りません。損失が生じたときのことを考えると資金の余裕も必要です。

 先物取引は極めて危険性の高い投機的取引です。仕組みやリスクを十分理解していない一般消費者が利益を得ることは難しいといえるでしょう。

◎重要 商品先物取引の規制が強化されました。

 平成23年1月からは「商品取引所法」から,「商品先物取引法(商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律)」に改められ,日本国内の取引所だけではなく,今まで別の法律で規制された海外の商品先物取引や「ロコ・ロンドン(まがい)取引」と呼ばれる,金などの「商品証拠金取引」・商品CFD(差金決済)取引などにも規制の対象が広がりました。

 また,従来規制が無かった,相対取引(店頭取引)も対象となりました。

 具体的には,平成23年1月以降は,国の許可無く,商品先物取引の営業を行うことは禁止されました。 
 許可を得た業者の確認 ⇒ 農林水産省及び経済産業省のホームページ。

 また,消費者の依頼が無いのに業者が勧誘すること(不招請(ふしょうせい)勧誘)も禁止となりました。

 しかし,許可を得た業者との取引でも,先物取引は危険性の高い取引であることに変わりはありません。(商品先物取引法施行による「海先法(海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律)」の廃止等により,海外商品先物取引などに係るクーリング・オフの規定が無くなりました。注意してください。)

規制強化後もご注意

 商品先物取引法の成立とともに廃業した事業者が,取引を終了せず,行方をくらます事案も発生しています。 → 経済産業省の注意喚起

 さらに,無登録の事業者が,「地球に優しい環境ビジネス」とうたい,「CO2(二酸化炭素)排出権」の先物取引(商品CFD取引)の勧誘を行っているようです。「法律の隙間」を狙った手口といえます。とにかく,仕組みの分からない話には,絶対に乗らないようにしましょう。

 ⇒ CO2(二酸化炭素)排出権取引に関する儲け話のトラブル!
-一般の消費者は手を出さないで-(国民生活センター)

二次被害にもご注意

 過去に被害を受けた方に,「被害を取り戻す」と偽り,「手数料」を要求したり,未公開株や(怪しい)社債などを勧誘することが想定されますのでご注意ください。

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