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あなたは名士と自尊心をくすぐられて【紳士録商法】

印刷用ページを表示する掲載日2018年1月23日

あなたは名士と自尊心をくすぐられて

〈相談事例 1〉

 「取材をしたい」という電話があり,自宅での取材に応じた。経歴についていろいろ聞かれたのでそれに答えていると,「あなたの経歴を写真入りで残しましょう」と勧められ,自分の名前や経歴などが掲載されるという本を8万5千円で注文した。本はまだ届いていないが,よく考えると必要ないのでやめたい。すでに2万円を支払っているが返してほしい。(70歳代 男性)

紳士録商法のイメージ画像

〈相談への対応 1〉

 訪問販売での契約であり,契約書面を受け取った日を含めて8日以内なので,クーリング・オフの通知を出すよう助言しました。すでに支払っている2万円は返金されました。

名簿の更新や抹消も有料と言われた

〈相談事例 2〉

 2年前,紳士録の契約をし代金をすでに支払っているが,最近になって別の業者から「更新料」を支払うようにという電話がかかってきた。やめるのならば「抹消料」が必要という。どちらかを支払わなければいけないのか。

〈相談への対応 2〉

 以前の契約は代金を支払った時点ですでに完了しています。したがって,別の業者から「更新料」や「抹消料」などの請求を受けても,支払う必要はないと助言しました。

〈アドバイス〉

 地域の著名な人や会社などの役職にある人たちの経歴や功績などを掲載し,名簿にしたものを紳士録といいます。業者は言葉巧みに近づいてきて,消費者の自尊心をくすぐる勧誘をしてきますので,つい契約をしてしまう人が少なくありません。また,一度契約すると,次々と別の業者からも掲載を勧められたり,更新料などを請求されるケースも多々あります。

 相談事例1のように,業者が自宅に訪問してきて勧誘してくる場合は,特定商取引法の「訪問販売」に当たります。よって,契約書面の交付を受けた日から8日間は,クーリング・オフすることができます。

 注意点としては,次のとおりです。

  • 安易に他人に経歴を話したり,履歴書を見せたりしないようにしましょう。
  • 業者の執拗な勧誘に惑わされず,必要がないと思えば,はっきり断りましょう。
  • 写真など大切なものを預けると,なかなか返してもらえないというケースもあるので,その管理についてもよく確認し,納得したうえで預けましょう。
  • 実態のはっきりしない相手からの請求には,簡単に応じないようにしましょう。
  • 紳士録が届いた後で「要らない」と思っても,すでにクーリング・オフ期間を過ぎている場合がほとんどです。契約前に,内容などを十分確認し,おかしいと思ったらお近くの消費生活相談窓口に相談しましょう。

<類似の事例にも注意しましょう>

その1 「出身学校の同窓会」と勘違いさせる手口

 学校の同窓会からと勘違いさせるように,往復ハガキを送り(ハガキには一応「学校とは無関係」とは記載),回答した人に,卒業生が一割程度しか掲載していない「同窓名鑑(違うタイトルの場合も)」なる冊子を高額な金額で販売する手口。

 出身学校や同窓会などで注意喚起がされていることもあります。

その2 趣味をほめて,高額な契約をさせる「ほめあげ商法」

 「あなたの短歌はすばらしい」と褒め上げその気にさせ,「ぜひ新聞に短歌を掲載させてほしい」と誘い,高額な掲載料を請求する手口(「ほめあげ商法」・「ほめほめ商法」などと呼ばれる)

・「戦時中の苦労話を聞かせて欲しい」という訪問に応じると,実は高額な本の販売だった

 「すばらしい作品」「ぜひ掲載したい」短歌・俳句の新聞掲載トラブル
(「見守り新鮮情報」第81号 国民生活センター)

 「戦時中の苦労話を聞かせてほしい」と来る“高額本”の訪問販売
(「見守り新鮮情報」第99号 国民生活センター)

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