福本 ヒデさん(社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」メンバー)
ひろしまの中の小さな町・神石高原町の
知名度アップはとにかく発信することです。
<プロフィール>
福本 ヒデ(ふくもと ひで)さん
昭和46(1971)年7月14日生まれ、神石高原町出身。
時事ネタを得意とするコントグループ「ザ・ニュースペーパー」のメンバー。
安倍晋三、麻生太郎、石破茂、野田佳彦、橋下徹氏などを演じる。
平成22(2010)年から神石高原町「初代観光大使」に就任。
ひろしまは「イケてる県」だけど
観光地としての認識は弱い
僕が初めてひろしまを出たのが大学進学のため福岡に行ったときです。そこで、県外の人が見たひろしまのイメージは「都会的でかっこいい」ということ。(ひろしまは)コンサートツアーの主要ルートで、パッと思いつく名物があり、誰もが知っている有名人がいるというイメージ。実は、ひろしまは、イケてる県だと思われていますよ。それはひろしまを出て頑張ってくれた先輩方の功績のおかげ。とても誇らしいことだと思います。
でも、以前、僕がひろしまへ旅行することを知った知人に「(旅行先として)なんでひろしまに行くんですか?」と聞かれたことがありました。「北海道になんでいくんですか?」とは聞きませんよね? 観光地としてのひろしまはまだそんな認識なのかもしれません。
僕は、地元の神石高原町初代観光大使を務めているんですが、知名度は広島市には遠く及びません。そこで、とにかく町の名前を知ってもらおうと、「ザ・ニュースペーパー」として全国を回るとき、必ず神石高原町のことを話題にしています。また、ブログなどに神石高原町のことを書いてくださる方には、自作の観光大使の名刺を渡しています。(テレビ番組の)「徹子の部屋」に出演した時は、観光大使のたすきをかけて出演しました。すると、舞台を見に来てくれた方が「(ヒデさんの)地元のことが載ってたから」と、新聞の切り抜きを持って来てくれたり、テレビで取り上げられていたら録画してDVDにしてくれたり、(銀座の広島ブランドショップ)「TAU」に神石高原町の特産品があったら教えてくれたりするようになったんです。発信することで気にかけてくれる人が増えるんだと実感しました。
少し使いやすくしただけで
人が集まり交流が深まる
観光大使として、地道に知名度アップに取り組んでいる神石高原町ですが、最近は訪れる人が増えているんです。
かつては、信号も意味を成さないような人も車も少なかった道沿いに、ローソンと「道の駅さんわ182ステーション」が出来てから、そこを拠点に人が集まるようになったからだと思います。
「帝釈峡スコラ高原オートキャンプ場」も整備されてから、ログハウスやテニスコートができて、スポーツやイベントで人が集まるようになったんです。すると、そこに合宿に来ていた早稲田大学の応援団が、神石高原町の夏の成人式に出演してくれたりするという交流が始まったんです。自然のままでいいんじゃないかと思っていたキャンプ場を、少し使いやすくしただけで人が集まって、他県の人との交流も深まるという広がりを見せたこの事例は、地域活性の鍵になるのではないでしょうか。
また、神石高原町は、ひろしまに6カ所ある「恋人の聖地」の中で、唯一町全体が聖地となっています。それは、縁結びに効くパワースポットが点在するからなんです。
まず、「幸運仏堂」は、工事で発見された五輪塔を供養した途端、地元の5組の縁談が成立したことから、縁結びの仏様として有名になりました。最近では遠方から参詣に訪れる方がいるくらいです。
その近くには、タワーの上から紙飛行機が飛ばせる「とよまつ紙ヒコーキタワー」があり、運試しの「ラブコプター」を楽しむことが出来ます。
ほかにも、孝徳天皇時代,天空より星が降ってきたという逸話が残る、神秘に包まれた「星居山」、美味しい神石牛が食べられるレストランなど。
神石高原町には、いろいろ体験してほしいことがたくさんあるので、ぜひ一度訪れてみてください。
平和を願う街だからこそ
お年寄りと障害者に優しい街に
そして、これからのひろしまの観光について考えたとき、現状よりももう一工夫してほしいと思うことがあります。そのひとつが平和のアピール。僕は原爆で祖父を亡くしているので、やはり根底に流れるのは「PEACE」です。悲しい部分ももっと語って、それを未来につなげてほしいと思っていますが、ひろしまを訪れる全ての人に聞いてもらうのは難しいと思います。そこで、平和をモチーフにした町中アートをいろんな場所に設置してはどうでしょう。広島駅や広島空港の玄関口、宮島、スタジアムなどに大きなPEACEのオブジェがあれば、ひと目で平和を発信している街だと認識してもらえると思います。宮島では、木掘りのアートなど、一緒に記念写真を撮りたくなるようなものがあればいいですね。神石高原町にも紙ヒコーキタワーに上ったら見えるような田んぼアートを作りたいです。
もうひとつは、お年寄りと障害者に優しい街。知人が、障害者や高齢者を対象にして、どれくらい車いすで行けるか現地でテストしてからツアーを組むという旅行会社を経営しています。それを知って、僕はひろしまに、車いすの方がどこへでも旅行できる観光地を目指してほしいと思いました。ただ、スポンサーになってくれる企業も少ないなどの理由で、実現するのは簡単ではないそうです。でも、平和を願う街だからこそ、お年寄りと障害者に優しい街になってほしい。ひろしまにはそれができる観光地と優しい人々がいると思います。
福本さんについて
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