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平成24年広島県議会12月定例会(平成24年12月6日)

印刷用ページを表示する掲載日2012年12月6日

知事説明要旨

 初めに,一言申し上げたいと存じます。

 このたび,平成23年度広島県歳入歳出決算の審査に当たり,予算流用額の数値を誤って御報告したことにより,決算特別委員会の審議が大幅に遅れておりますことにつきまして,議員各位並びに県民の皆様に深くお詫び申し上げます。

 今回の問題につきまして,私自身,厳粛に受け止めており,今後,このようなことが発生しないよう,組織を挙げて職務の適正な執行の確保に取り組むとともに,再発防止策を徹底して参る所存でございます。

 

 12月定例県議会の開会に当たり,当面する県政の課題などについて御報告申し上げるとともに,ただいま提出いたしました議案の概要につきまして,御説明申し上げます。

 

1 当面する県政の課題

 まず,経済・雇用の情勢と対策についてでございます。

 我が国の景気は,世界景気の減速等を背景として,このところ弱い動きとなっております。

 また,県内の景気につきましても,輸出の減少などを受けて,全体として弱含みとなっております。

 一方,雇用情勢につきましては,10月末の有効求人倍率は0.90倍で,持ち直しの動きが弱まっており,依然として厳しい状況が続いております。また,来春卒業予定者の就職内定率は,同月末現在で大学生が55.5%,高校生については63.0%と,いずれも昨年同期を上回っておりますが,予断を許さない状況にあります。

 こうした状況を踏まえ,先月開催した労働団体,経営団体,教育機関,行政の代表者で構成する「広島県雇用推進会議」におきましては,新規学卒者をはじめとする若年者の就職支援などに一体となって取り組むことを確認したところでございます。

 また,県内で3工場を稼動しているシャープ株式会社は事業再編により希望退職者を募集しておりましたが,県内では500名を超える離職者が生じる見込みとなりました。

 このため,広島労働局が設置する「雇用対策本部」に参画し,関係機関と連携して離職される方々に対する再就職支援等を実施して参ります。

 引き続き,海外経済の動向や為替相場の推移など,国内景気を下押しする要因に加え,尖閣諸島問題を巡る日中関係の悪化による県内企業への影響などを注視しながら,必要に応じて適宜適切な対策を講じて参ります。

 次に,広島市との連携についてでございます。

 先月9日,広島市長と会談し,県と市がそれぞれ実施している類似の行政サービスの最適化を図るため,公営住宅の入居者募集の共同化など,県民・市民が利便性の向上等を実感できる取組を実施していくことや,試験研究における工業技術センターの連携,児童虐待事案対策の連携強化,県緑化センターと市森林公園の連携の3項目について,新たに検討していくことで合意いたしました。

 広島市は,県全体の発展を牽引する重要なパートナーであり,広島都市圏の魅力向上や,観光振興,県内産業の競争力向上などの施策に今後も連携・協力して取り組んで参ります。

 次に,広島高速5号線についてでございます。

 本年8月にトンネル安全検討委員会から報告書を受領して以降,広島市とともに報告書の検証や地域住民の安全・安心の確保,事業の成立性など,事業判断のために必要な検討やそれに基づく協議を行い,議論を深めて参りました。

 その検討結果を踏まえ,必要な対策を総合的に講ずることにより,広島高速5号線のトンネル施工は可能であると県・広島市の双方で判断し,事業を再開することといたしました。

 今後,広島市とともに事業判断の考え方や進め方について,地域住民の皆様に説明を行った上で,信頼回復及び不安の解消に努めながら,広島高速道路公社とともに,事業の推進に向けて取り組んで参ります。

 次に,児童・乳児に対する虐待事案への対応についてでございます。

 10月に安芸郡府中町で発生した児童虐待による死亡事案を受け,有識者で構成する検証委員会を設置し,虐待に至った経緯や県の対応,さらには,こども家庭センターと関係機関との連携を含め,今後の対応のあり方等について検証を行っていただいております。

 来年1月下旬には提言をいただくこととしており,その結果を踏まえ,対応策をしっかりと講じて参りたいと考えております。

 また,呉市で起きた乳児への傷害事案については,関係機関との情報共有のあり方について協議を行ったところであります。

 今後,こうした痛ましい事案を再び起こさないという決意で,発生予防,早期発見,早期対応,フォローアップ等の対策に全力で取り組んで参ります。

 次に,米軍機の飛行訓練等への対応についてでございます。

 米軍機オスプレイの配備につきましては,過去の事故原因や再発防止のための安全対策について,政府から十分な説明がなされない中,先月,岩国飛行場等を使ったオスプレイの低空飛行訓練などが始まる旨,全国知事会議の場で防衛大臣から説明がありました。

 このため,事故再発防止や低空飛行訓練のための安全対策,飛行ルート等の訓練計画などについて,地域住民が納得できる説明を行うよう,改めて日米両国政府に対し要請を行ったところでございます。

 今後,岩国基地への空母艦載機等の移駐に伴い,低空飛行訓練の増加が懸念されることから,オスプレイへの対応も含め,県民の不安が払拭されるよう,県内の市町や関係自治体と連携を図りながら,引き続き日米両国政府に対し粘り強く働きかけて参ります。

 

2 平成24年度主要施策

 次に,平成24年度における主要な施策の取組状況について,御報告いたします。

 

【「新たな経済成長」への挑戦】

 まず,「新たな経済成長」の分野における取組でございます。

 国内市場全体の伸びが見込めない中,アジアを中心とする成長市場の活力を取り込んでいくため,意欲のある企業のアジア市場への進出,販路拡大等を積極的に支援しているところでございます。

 世界第2の人口規模を有し,中位所得者層が拡大しているインドでは,本県が経済交流協定を締結しているタミル・ナドゥ州を中心とする南部地域で自動車部品産業の集積が進んでいることから,関連企業の海外展開を図るため,先月,県内企業,金融機関,大学などで構成する調査団を派遣いたしました。

 期間中,県内企業と現地企業との商談が行われ,現在,12件が継続しているところであり,今後,きめ細かなフォローアップを行うことにより,成果に結び付くよう支援して参ります。

 また,県内農水産品・加工食料品のアジア地域での販路拡大を図るため,海外で広い流通経路を有するイオングループと連携し,現在,香港において,26社が約200品目を出展する物産展を開催しております。さらに,来年3月には,好評を得た6月の開催に続き,マレーシアで物産展を開催することとしております。

 こうした物産展終了後も,実演販売等を通じた継続的な販売促進活動を行うことにより,現地での県産品の定着に努めて参ります。

 次に,観光振興とブランド構築に向けた取組についてでございます。

 観光プロモーション「おしい!広島県」につきましては,秋の行楽シーズンに合わせ,「本県を来訪された方々を全力でおもてなしする」という思いを込めて,県職員による「全力歓迎課!」を発足させ,県内各地のイベントに参加し,観光PRを行うなど,本県への関心を高めることを主眼に置いたキャンペーンを展開したところでございます。

 また,今年度は,大河ドラマ「平清盛」の放送に合わせて様々な誘客活動を展開しており,今月には,「平清盛感謝フェア」と題して,宮島水族館をはじめ,県内のいくつかの公共施設等で「こども料金無料の日キャンペーン」を実施するなど,更なる誘客促進を図っているところであります。

 こうした取組により,宮島をはじめ「清盛ゆかりの地」には多くの来訪者があり,また,民間の調査会社が8月に行った意識調査では,「平清盛ゆかりの地」として本県をあげる人が,第1位となるとともに,嚴島神社が,行ってみたい観光スポットとして最多票を集めるなど,今後の誘客が期待できる結果も得られております。

 来年は,92年ぶりに広島市で「全国菓子大博覧会」が開催され,さらに,JRグループと共同で「デスティネーションキャンペーン」を実施いたします。これらの機会を捉え,更なる誘客に結び付けられるよう,積極的に取り組んで参ります。

 「瀬戸内 海の道構想」につきましては,瀬戸内6県で設置した「瀬戸内ブランド推進協議会」に,新たに徳島県に参画していただきました。その上で10月には,瀬戸内の地域資源を船で巡るツアーやフォーラムを開催し,周遊ルート開発や発信方策の方向性などについて,様々な分野からの参加者による議論を行ったところです。

 これらの取組で得られた知見をもとに,年度内を目途に,瀬戸内ブランド形成に向けた中長期的な活動計画や推進母体の方向性について,まとめることとしております。

 次に,イノベーション力の強化に向けた取組につきましては,産業界,大学,金融機関,行政のトップで構成する「地域イノベーション戦略推進会議」において,今後の取組の方向性等について議論を行っているところであります。

 今後は,新たな産業の芽や企業を育むために効果的な施策等について検討を進め,今年度中に「産業イノベーション加速戦略(仮称)」を取りまとめる予定でございます。

 また,産業界,金融機関,行政などが連携した取組といたしまして,来年3月末の中小企業金融円滑化法の期間終了を見据え,中小企業の経営改善や事業再生を支援するため,10月に「広島県中小企業支援ネットワーク」が設立されたところでございます。

 この取組を資金面から支援するため,来年1月から県費預託融資制度の中に「経営改善支援特別資金」を創設し,中小企業の経営改善等を促進して参ります。

 次に,自立に向けた農林水産業のイノベーションでございます。

 まず,「売れるものを作る」生産体制の確立と戦略的な販売・流通等の仕組みの構築に向けた取組につきましては,全国一の生産量を誇るかきやレモン,さらに,加工・業務用としてニーズが高いキャベツなどを対象に,重点的な取組を進めているところでございます。

 このうち,かきにつきましては,消費者のかき離れの防止と消費拡大を図るため,2大産地である宮城県と協定を締結し,キャンペーンを展開しております。

 併せて,外食産業大手のワタミ株式会社と連携し,先月から同社が展開する全国の店舗において,本県産のかきを使った特選メニューを提供していただくとともに,首都圏を中心に「広島かき」の認知度の向上を図るため,来年1月11日からは,東京の丸の内,日本橋などの飲食店で,「おいしい広島かきフェア」を実施いたします。

 また,9月には,大手コンビニエンスストア「ローソン」の全国の店舗で,本県産のかきを使用したフライが発売されるなど,民間でも消費拡大に寄与する取組が行われております。

 こうした民間での取組も追い風にしながら,引き続き,「広島かき」の消費拡大に向けた取組を展開して参ります。

 さらに,キャベツにつきましては,本県独自の新たな助成制度を設けるなどして栽培面積の拡大を図っているところであり,今年度は,集落法人を中心に,栽培面積が99haから119haへと約2割増加するなど,生産量の拡大が見込まれております。

 引き続き,実需者が求めるニーズに対応できる生産・供給体制の構築に向け,積極的に取り組んで参ります。

 

【「人づくり」への挑戦】

 次に,「人づくり」の分野における取組でございます。

 まず,グローバル人材の育成・確保に向けた取組につきましては,海外からの留学生の受入促進と定着を図るため,「広島県留学生活躍支援センター」を中心に,本年9月にベトナムのハノイ,ホーチミンの2都市において,県内大学や日本語学校と共同して,「広島県留学フェア」を実施し,本県の留学環境についてPRを行いました。

 また,企業を対象とした留学生活用セミナーの開催,企業と留学生との交流機会の提供を通じて,県内企業の留学生の活用を促進して参ります。

 次に,女性の社会参画の促進に向けた取組につきましては,女性就業者を対象に,仕事と子育ての両立に向けた意識醸成や不安解消を図るための研修会等を,7月から開催しております。

 受講生にアンケートをお願いしたところ,9割を超える方々から,「研修内容に満足し,仕事と子育ての両立に役に立つ情報を得ることができた」との評価をいただき,また,「就業継続に向け自信が持てるようになった」など,前向きな意見も多数あったことから,大きな手ごたえを感じているところでございます。

 さらに,研修会を受講した方が,就業している企業に帰って報告会等を実施されるなど,研修成果を波及させる取組も広がりつつあり,今後もこうした取組を着実に推進していくことで,女性の就業継続を支援して参ります。

 次に,学校施設の耐震化対策についてでございます。

 県立学校につきましては,工事の実施設計を,1年前倒しして,平成25年度末までに概ね完了させるとともに,部室などの小規模建物は,計画を2年前倒して,今年度中に建て替えるなど,対策を加速化させており,平成27年度末までには耐震化が完了するよう,着実に工事を進めて参ります。

 また,10月に見直しを行った「広島県地域防災計画」においては,県内公立学校の耐震化を,平成27年度までのできるだけ早い時期に完了するよう位置付けたところであり,今後,この目標を実現するため,市町と連携し,全力を挙げて取り組んで参ります。

 

【「安心な暮らしづくり」への挑戦】

 次に,「安心な暮らしづくり」の分野における取組でございます。

 地域医療を確保するため,平成21年度,広島大学医学部に,県内高校出身者を対象とした推薦入学枠を設置し,奨学金を貸与することで,医師確保を図ってきたところです。

 本県では若手医師が減少傾向にある中,平成25年度の入学枠を3名増やして計18名とすることとし,これに伴い必要となる債務負担行為を,12月補正予算に計上しております。こうした取組により,中長期的な視点で着実に医師の確保を図って参ります。

 次に,がん対策につきましては,がん検診の受診促進を図るため,7月以降,著名人を起用した普及啓発などに取り組んでおり,加えて先月からは,広島県医師会と連携し,県民に身近なかかりつけ医の皆様に,日常の診療の中で,がん検診の受診勧奨を行っていただくとともに,必要に応じて,がん医療の専門機関への紹介などを担っていただく「がんよろず相談医」事業に着手したところでございます。

 今月からは広島県薬剤師会とも同様の取組を開始することとしており,こうした取組を着実に推進することで,一層がん対策の充実を図って参ります。

 次に,再生可能エネルギーの導入につきましては,本県が優位性を持つ,太陽光,木質バイオマス及び小水力発電について,普及促進を図ることとしており,10月には,「広島県再生可能エネルギー推進検討会」において,県が主体となった地域還元型のメガソーラー発電事業など,今後の取組の方向性がまとまったところでございます。

 こうした中で,中国電力グループと共同でメガソーラー発電事業を実施することとし,買取価格の有利な段階で事業化を図るため,事業体設立のための関連経費を,12月補正予算に計上いたしております。

 今後は,今年度中に事業体を設立し,国に対して設備認定の申請を行うなど,着実に事務を進めていくことで,再生可能エネルギーの普及拡大を図るとともに,早期に収益の地域還元ができるよう,鋭意,取組を進めて参ります。

 

【「豊かな地域づくり」への挑戦】

 次に,「豊かな地域づくり」の分野における取組でございます。

 先月廃止した広島西飛行場の跡地は,広島市の中心部に近接した広く平坦な土地であり,広島市のみならず,広域的な波及効果が期待できる利活用が求められております。

 このため,利活用方策の検討に当たり,有識者等から意見を伺う検討会を,先月,広島市と共同で開催したところであり,今後もこの検討会で意見交換を行いながら,跡地活用の基本的なコンセプトや導入機能等について検討を進め,年度末を目途に,ビジョンを策定して参ります。

 次に,持続可能な中山間地域の創造に向けた取組といたしまして,「未来創造支援事業」により市町の産業対策を支援しているところでございます。

 これまで,尾道松江線の沿線に整備中の道の駅の開業に合わせた庄原市の特産品開発,世羅町における新規就農者の育成・確保,また,安芸太田町の森林セラピーガイドの養成による観光客の受入体制の強化など,地域産品の付加価値の向上や地域資源を活用した観光開発等の取組が各地で活発化しており,引き続き,地域活力の再生に向けた市町の取組が効果的に実施されるよう支援して参ります。

 また,中山間地域における観光振興の取組といたしまして,市町が策定した中長期的な観光振興計画に基づき,昨年度から,県内8地域におきまして,市町と観光関連団体等が一体となって実施する取組を支援しているところです。

 これまで地域ごとに,「神楽」や「花」などをテーマとしたツアーや特色あるイベント等,広域的なネットワークの形成や新たな資源開発に向けた取組が行われており,これらの取組を地域に定着させるため,引き続き計画の着実な推進を支援して参ります。

 また,島根県と連携して,大都市圏で観光素材をPRする説明会の開催や,「食」などをテーマに両県を周遊する観光コースの商品化などに取り組んでおり,今後は,九州地方などもターゲットに,両県共通の観光資源であるスキー場や温泉施設などの情報を発信して参ります。

 次に,「国際平和拠点ひろしま構想」の実現に向けた取組につきましては,本年度,「国際平和拠点ひろしま構想推進委員会」を設置して,広島市や関係団体等と連携しながら,構想の具体化に取り組んでおり,10月には,委員会での議論を踏まえ,構想の取組の方向性を示した「国際平和拠点ひろしま構想推進ガイドライン」を策定したところでございます。

 また,10月28日から11月4日まで,議会団の皆様とともに,ユニタール本部をはじめ,国連欧州本部,IAEA国際原子力機関,WHO世界保健機関本部,赤十字国際委員会などを訪問し,「国際平和拠点ひろしま構想」の説明を行い,協力の要請等を行いました。

 全ての訪問先において,構想への賛同と支持を得ることができました。とりわけ,トカエフ国連欧州本部長は,構想を評価し,全面的な支援を表明されるとともに,来年,広島を訪問する意向を示されるなど,心強い結果が得られたと考えております。

 今回築いた各方面とのネットワークを活かして,着実に構想の具体化に向けた取組を進めて参ります。

 

3 12月補正予算案等の概要

 さて,今回提出いたしました議案について,その概要を御説明申し上げます。

 まず,一般会計補正予算につきましては,9月補正予算編成後の状況変化等を踏まえ,真に緊急性,必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として編成したところでございます。

 具体的な補正の内容でございますが,先ほど御説明いたしました「ひろしま未来チャレンジビジョン」の原動力となる取組などに時機を逃さず対応するための経費のほか,「防災・減災等強化対策」や,「緊急経済・雇用対策」について予算を計上しております。

 これらの結果,一般会計の歳入歳出補正予算額は15億5,597万円となり,本年度予算の累計額は9,434億6,504万円となります。

 次に,予算以外の議案といたしましては,人事委員会勧告等を考慮し,職員の住居手当の額等を改定する条例案など20件,人事案件として「広島県公害審査会委員の任命の同意について」など2件,その他の議案では,「権利の放棄」など9件を提出しております。

 また,報告事項として,専決処分報告などを提出しております。

 どうぞ,慎重に御審議いただいたうえ,適切な御議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。

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