このページの本文へ
ページの先頭です。

第23回県政知事懇談「湯崎英彦の宝さがし」(広島市)

印刷用ページを表示する掲載日2011年11月1日

 第23回 県政知事懇談「湯崎英彦の宝さがし」を次のとおり広島市において開催しました。

1 開催日時

 平成23年3月19日(土曜日) 16時15分から18時15分まで
   (※ 3月12日に開催予定であったものを延期したものです。)

2 開催場所

 ゆめタウン広島 2階 催事場 : 広島市南区皆実町二丁目8-17

3 内容

 知事と参加者が「挑戦そして実現!引き出せ広島県の『底力』」をテーマに意見交換を行いました。

4 参加者

 広島市在住のかた 10名

5 傍聴

 約100名参加

6 その他

 懇談の模様を録画でご覧いただけます。
 こちら(インターネット放送局)からご覧ください。

7 結果概要

懇談風景記念撮影
 

<ご意見の概要>

(1)食育の推進活動について


○参加者
 食育に取り組む主婦のグループ,「ママの愛デア研究会」に所属している。地域のスーパーと連携して親子料理教室を開催し,母親に子育てや生活に関する知識を提供し,また,そこで得られた母親からの意見をスーパーに返すといった消費者の立場から意見を発信する活動を行っている。
●知 事
 食育の活動では食品の安全性も気になるところだと思うが,食育という観点から,広島県の農産物の地産地消についてはいかがか。
○参加者
 広島県産の農産物については,産地が近く,身近な存在に感じられる。
●知 事
 広島県内には北から南までさまざまな気候があり,様々なものが近くで採れるという利点がある。現在,食育に関わるなかで,一番気になっていることは何か。
○参加者
 最近は共働き,核家族化が進んで,料理に時間が掛けられない,料理が出来ない母親が増えている。そこで,ホームページにて,簡単で効率的であることをコンセプトにしたレシピの公開やメニューの提案をしている。手抜きだと非難されることもあるが,手作りの初めの一歩を体験してもらうということが大事だと思っている。

(2)男性の育児の促進について

○参加者
 現在,3歳と4歳の息子がおり,育児に携わりたいということから専業主夫をしている。普通の父親と違い,子どもの日々の生活に接して感じることが多くある。それを父親たちに伝えていきたいと考えており,この4月にNPO法人「ファザーリング・ジャパン」の中国支部を立ち上げることになっている。育児についての父親同士の交流を促進していきたい。
 県では育児休暇に力をいれているが,長く育児休暇をとり,社会とのつながりが薄れ,孤独感を持つ父親への対策として,県で何か考えていることはあるか。
●知 事
 そういう観点では,今は全く抜けているといっていい。女性が育児のために離職した後の再就職や,育児休暇を取った後のサポートについては,研修やトレーニングなど様々なものがある。しかし,まだ実際に長期間職場を離れる男性が少ないこともあり,正直なところ,男性を対象にした施策はないといえる。
 自分は育児のための休暇をとった際,いろいろな反響を呼んだ。実際主夫をされていて周囲の反応はどうか。
○参加者
 自分自身にはいい言葉しか聞こえてこないが,主夫はまだ少ないという事もあり,賛否両論あると思う。ただ,結局は自分自身と家族の問題なので,話し合って,その時点でいいと思える形でいけたらいいと思っている。
●知 事
 例えば,同じ休暇でも新婚旅行だと祝福され,育児だといい顔をされないのは,全く価値観の問題だと思う。この価値観をかえない限り,本当の意味での男性の育児参加は難しいのではないか。これからも,パイオニアとして引き続き頑張っていただければと思う。

(3)ひきこもりがちな青少年の支援活動について

 ○参加者
 NPO法人青少年交流・自立・支援センターCROSSの代表をしている。ひきこもりがちな青少年が家からまず一歩,安心して出ることのできるフリースペースを設け,臨床心理士やボランティアの6名で運営している。また,ひきこもりの相談,長期社会体験事業,就業支援なども行っている。ここ最近は相談者の中にも発達障害などの方も増えてきているので,作業所など活動の幅を広げている。社会に出たいけれど,出ることが出来ない青少年を一人でも多く自立させていきたいと考えている。
●知 事
 ひきこもりは,発達障害を原因としている方やそうでない方,様々なケースがあると思うが,ここ最近増えてきているというのが実態だと思う。この状態はやはり都会で顕著なものか。
○参加者
 都会,田舎関係なくある。むしろ,田舎のほうが地域でのつながりが強いために,いったんひきこもったあと,近所の目が気になって外に出られなくなってしまうような重いケースが多い。
●知 事
 そのような青少年が社会に出る一番大きなきっかけはどのようなものか。
○参加者
 人とのつながりが大きなきっかけとなる。訪問士,相談員など,誰か特定の人を信用できるようになると,そこをきっかけに社会とつながっていくことが出来る。サポートの結果,社会に出てから活躍している方もいらっしゃる。ただ,ブランクがあると会社に採用してもらうことが難しいので,力を認められる場がないといえる。ブランクがあっても受け入れていただける会社が増えるように是非お願いしたい。
●知 事
 ひきこもりの状態にある子どもがいる世帯が,全国で0.56%,広島県で換算すると六千数百人いるといわれている。その方が生産的な活動に携われなければ,社会にとって大きな損失となる。これから少子化,高齢化で人口が減っていく中,非常に勿体ないことなので,ひきこもりの方が,少しでも社会と向き合うつながりを持つことができるように,これからも是非頑張っていただきたい。 

(4)電子百葉箱を使用した環境教育について

○参加者
 高校で,環境の監視に活用できる電子百葉箱の開発を行った。二酸化炭素濃度の測定,GPSの計測が可能で,既存のシステムより安価で簡単に設置できる。これを各地域の小中学校に設置し,取得したデータを蓄積・分析することができれば,広島県の環境の変化など,環境の「見える化」が図られ,環境教育にも展開できると思う。
 また,昨年アジア太平洋次世代キャンプに参加し,日本の高校生を代表して発表したが,その際英語での発表だった。環境問題を語る上では,国際交流が重要だと感じた。このような高校生のチャレンジに対して,県から支援をしていただければと思う。
●知 事
 高校生に出席していただいたら毎回聞いていることだが,卒業後の進路はどう考えているか。
○参加者
 県内の大学に進学し,コンピューター関係の仕事につこうと思っているので,そういった技術を学ぶ上では世界を見て回ったのち,その得た知識を広島にフィードバックできたらと思っている。
●知 事
 外の世界を知ることは,自分を知る上でもとても大事なことだと思う。ふるさとがどんなにいいところか逆に,どんなところが足りないのかが分かるようになると思う。今,技術的な勉強をされているが,広島のIT環境や,ITの技術についてはどう見えているか。
○参加者
 現在,環境の「見える化」ということで,デジタルサイネージを使ったコンテンツ開発を行っている。自分たちがつくった電子百葉箱を各地に配置し,そのデータをデジタルサイネージに表示させるということで,参加させていただいた。自分たち高校生にそういった機会を与えていただいて,大変ありがたいと思っている。
※ デジタルサイネージ 店舗、交通機関、キャンパス、オフィスなどに設置したディスプレイに、タイムリーに映像や情報をネット経由で配信するシステム

(5)チョウザメの特産品化の取組について

○参加者
 県内で唯一,チョウザメの養殖をしている。淡水魚は臭みがあると誤解されている方も多いと思うが,水がきれいで,鮮度がいいとそうはならない。広島は水がきれいなのでチョウザメだけでなく,ヤマメやニジマスも含め,川魚全体をもっとアピールしていけたらと思う。今は地元への出荷をメインに据えて,湯来といえばチョウザメというイメージをつけて,将来は湯来の名物にしたいと考えている。
●知 事
 チョウザメは養殖業者が全国にも少ないこともあって,ノウハウの蓄積が大変だと思うが,広島のオンリーワン,そしてパイオニアとして頑張っていただきたい。

(6)建築物を通じた広島の魅力発信について

○参加者
 「アーキウォーク広島」に所属し,広島の建築を見て歩き,外にアピールして広島を盛り上げる活動をしている。建築ガイドブックを作成し,市内各所で配布したり,普段非公開の建物を特別に公開してもらって建築の公開イベントを開いたりして,広島の建築物のよさを広めたいと考えている。
●知 事
 広島市は,被爆建物という,歴史的価値の高い建築物がある一方で,古い建築物は多くが失われているが,広島における建築の魅力とはどのような特徴があるか。
○参加者
 広島平和記念聖堂など,有名な建築家の方が建てられた建物が多いことや,その他にも,古い町並みや集落,「名もなき建築家」のつくった古い集落が広島にはたくさん残っている。そういったものを掘り起こして観光資源としてアピールしていきたい。広島といえば宮島と原爆ドームと思われがちだが,他にもたくさん見るべきところがあるという事を伝えるのが私たちの役目だと考えている。
●知 事
 新しい観光名所がそこからうまれるかもしれない。新たな魅力づくりとして,特徴のあるまちが県内にはたくさんあるので,広島市だけでなく,ぜひこれから発掘して情報発信していただきたい。

(7)ボランティア活動を通じた人とのつながりについて

○参加者
 大学のボランティア部に所属している。学内では,ボランティアについての知識を深め,活動をよりよいものにするための研修発表や,自分たちの活動を地域の方や学生に発信していく活動を,学外では,主に障害を持つ子どもの保育,障害のある方との交流や活動支援を行っている。ボランティア活動で,子どもからお年寄りの方まで,普段話したことのない方との交流や,普段できないようなことを体験しており,このことは非常に重要になると感じている。
 活動を通じて,人と人とのつながりが大切だと感じており,一つ一つの出会いや機会を大切に,これからも人とつながっていける活動をしていきたいと思っている。
●知 事
 社会の中には,大体5,6%の割合で障がい者がいらっしゃる。しかし,特別支援学級に行ったり,障がい者の施設に入られたりして,そこにいない状態になっているが,実際は日常の中にたくさんいらっしゃるはずである。そのことに気づいていない方が多くいる中,ボランティアを通じて障がい者の方々と社会のつながりを増やしていけたら素晴らしいと思う。若い人がそこにもっと関わっていかなければならないと思う。

(8)平和貢献活動について

○参加者
 NPO法人「ピースビルダーズ」に所属している。フェアトレード商品を扱うカフェの運営や写真展などの啓発活動,平和貢献のための人材育成のほか,国際活動としては,平和を維持していくためのネットワークづくりや,紛争などで一度壊れてしまった社会を立て直していくためにどうしたらよいかの理論と実践の結びつきを考える活動をしている。
●知 事
 広島は平和都市,国際都市として日本の中でも知名度の高い都市であるが,そのような状況下において,広島での平和貢献活動はどのような状況にあると感じているか。
○参加者
 それがいいことか悪いことかは様々あるが,行政主導だと感じることが多い。広島という土地柄,平和に関連することに関心の高い方が多く,団体もあるが,それぞれが小規模なまま収まっているように感じている。世界的に有名な方が平和について講演する,そういった平和というタイトルに基づいた大きなイベントは確かにあるが,それよりも地元の人の地道な活動について,よりサポートしていただけると,もっと地域に根ざしたボトムアップの平和都市になるのではないか。
●知 事
 これから将来に向けて,広島はどういったことができるのかということを考えると,広島というと平和という言葉が連想されることは,広島にとって非常に大きな強みだと思う。それをよりうまく活用できないか,今考えている。県としても,皆さんのような方々の動きと乖離してはいけないので,これからもご意見をいただきたいと考えている。

(9)障がい者支援とまちづくりの取組について

○参加者
 NPO法人「ウイングかべ」に所属し,障がい者支援とまちづくりという二つの活動をしている。可部のまちを元気にしたいという人たちと協力して,古民家を再生した「可笑屋」は,障がいのある方の就労の場,また地域の交流の拠点となっている。少し前は,可部はベッドタウンだったが,地元にある文化を掘り起こすことによって,皆がまちづくりの活動を楽しめていると感じる。
●知 事
 ベッドタウンという,もともと人間関係が薄くなりがちな地域だが,新しく人のつながりをつくって,まちづくりをしていこうという取組が起きているのは,とても希望が持てることだ。お話を聞いて,人の力の可能性を感じた。

(10)里山再生の取組について

○参加者
 「里山あーと村」でボランティアにより森の整備を進めている。地元の方,我々市民,行政が一体となって豊かな里山の再生に取り組んでいる。日本の森林は,現在,人件費などの問題もあり,間伐材がそのまま捨てられているという状況にあるが,それを利用してベンチを作り,整備した土地を利用して,ジャズライブ等様々なイベントを開催している。去年10年目を迎え,600名に参加していただいた。
●知 事
 600名も集めるのは大変だと思う。お仕事も忙しいと思うが,両立できているのはどうしてだと感じているか。
○参加者
 確かに両立は大変だが,達成感がなせる業だと思う。里山での活動が仕事のエネルギーになり,また仲間と談笑してリフレッシュすることはプラスになっている。
●知 事
 広島は都会でありながら里山などが物理的に近く,どちらの活動をやっても,移動等で疲れ果てることもなく,むしろプラスとなるので,両立しやすいのだろう。

<自由討論>

広島市(広島県)の他にはないいいところについて

●知 事
 今回が今年度の県政知事懇談の最終回であり,集大成となる。広島県における広島市というのは,大きな部分を占めている非常に重要な市なので,大きなテーマについて聞いてみたいと思う。これからの広島の将来を考えていくにあたって,今,県ではいいところをのばしていこうと考えている。広島のここが他にはないいいところだと思われるところをお聞きしたい。
○参加者
 他の土地に住む友人に「緑が豊か」ということを言われた。また,原爆の後にいろいろなところから木を寄付していただいて,多くの木が育ち,緑の豊かな町になった。川もきれいで,誇りに思う。
○参加者
 自分たちが体に取り込む食べ物が身近に作られていること。食べることは一番力になることなので,自分たちの地元で食べ物をつくることができる県というのは元気な県だと思う。自分たちがまず広島のものを食べて,それを全国にアピールしていきたい。
●知 事
 農産物のほかにも,瀬戸内海で捕れる魚はとても種類が豊富で,小魚や,もちろん有名なカキ,タイ,サヨリ,ギザミ,カレイ等様々ある。県外から見ると,広島の食べ物というと,カキとお好み焼きともみじ饅頭という認識があるが,他にもたくさんある。食においては恵まれた環境にあると思う。
○参加者
 育児の面から見ると,山,海があり,また近代的な市内中心部も近く,育児の施設もそろっており,育児をしやすい環境にある。一番いい点は,知事がイクメンというのが僕的にはいいところだと思う。
○参加者
 広島は瀬戸内海の島々もすぐに行けるような場所で,広島市内のような都会もあるが,山も海もあり,たまには静かな環境に身を置くこともできる。ほっとする,住みやすいまちだと思う。
●知 事
 確かに,島はもちろん住んでいる方々にとっては交通の不便さや,様々な課題があるが,例えば宮島など,我々島に暮らしていない人間からすると,渡った途端に非日常がそこにある。船での移動も含め,少し違う世界に行くという体験が気軽にできるというのも恵まれていると思う。
○参加者
 街中で割りと外国人の方が多いことや,若者のサブカルチャーが比較的盛んで,多様性があるのがいいところだと思う。幅広い物の見方ができるようになると感じている。
●知 事
 これからもっと多様性が大事になってくるだろう。「三人寄れば文殊の知恵」というが,これは多様であることを示している。同じ頭の構造をした人が集まっても創造的なことは出来ないということであり,いかに多様な力をあわせていくかが,これからの社会,日本のような最先端にある社会では大事なことではないかと考えている。
 県でも多様性を進める施策を進めており,広島の学生に海外経験をさせるとか,留学生の誘致,定着や,身近なものとしては女性がより社会の中で活躍できる仕組みを作ることもその一つである。「三人寄れば」の三人を5人,100人,1,000人でもつくって,新しい時代をつくっていきたい。

8 現場視察

 懇談に先立ち,広島市内3箇所を現場視察しました。

○多世代交流広場 「古田のおうち」 

 多世代交流を楽しめる場にしたいとの思いから,交流スペースを設けたグループホーム「古田のおうち」を訪れ,高齢者の地域での支えあいの活動についてお話を伺いました。

多世代交流広場「古田のおうち」

○広島駅前 愛友市場

 広島駅前にある3市場のうち最大の市場,愛友市場を訪れ,市場の魅力アップのための,各種イベント等の取組についてお話を伺いました。

広島駅前 愛友市場 

 ○カフェパコ

 フェアトレードにより,ルワンダで作られたコーヒーや雑貨等を販売する「カフェパコ」を訪れ,NPO法人「ピースビルダーズ」による国際貢献活動についてお話を伺いました。

カフェパコ 

○その他

  なお,開催を延期したことにより視察できなかった,子育てサポートステーション「あいあいキッズ」(イオン宇品ショッピングセンター内)に,ごあいさつに伺いました。
 当日,NPO法人「ファザーリング・ジャパン」の主催で,父親の父親による育児支援の座談会が行われており,絵本の読み聞かせに飛び入り参加しました。

父親の育児の支援活動 (NPO法人ファザーリング・ジャパン)


関連情報

ダウンロード

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)

おすすめコンテンツ

みなさんの声を聞かせてください

満足度 この記事の内容に満足はできましたか? 
容易度 この記事は容易に見つけられましたか?