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“キャリアアップ”と聞いて,皆さんはどのような絵を思い浮かべますか?階段のようなものがありそれを一段一段上がっていくイメージ,何かを突き破って明るみに飛び出るイメージ,はたまた自分の周りに部下がいていろいろな相談を受けるリアルなイメージ・・・ 私が思い浮かべるのは,“アップ”という言葉とは真逆ながら,自分の核となる錘(おもり)のようなものが,ぐーっと深く深くに沈んでいきながら,水紋が拡がっていくイメージです。あなたの専門性は?と頻繁に問われる職業柄でしょうか,上向きの矢印というよりは,深まりを表す何か,そしてそこからの拡がりを表す何かを連想することが最近特に増えてきました。
管理職として活躍する,ということは,キャリアアップのひとつの形であるわけですが,反対に,数ある形のうちのひとつでしかありません。以前と比べ,企業組織の中でのキャリアパスはより複線化しており,加えて所属組織外での活躍の形も増えてきています。
そのように多様な道が存在する中から“管理職として働く”という道を選び取るには,もともとその立場に立ってみたい!と思っていたわけではない人にとっては特に,何か腹落ちする理由がほしいものですよね。その感覚は決して間違っておらず,なぜなら自身のキャリア形成において,管理職になること自体が目的・目標にならないことは当然だからです(この点がひとつ,男女の大きな違いだと言われています)。もしあなたが「〇〇さん,今度“管理職”にチャレンジしてみない?」という声かけに考え込んでしまっているのであれば,それは不自然なことではないので,その違和感に悩まないでいていただきたいと思います。そしてさらにもう一歩,せっかくの機会なので,ぜひご自身で,自分がわくわくする“Why管理職?”のツボを見つけにいっていただけたらと思います。
管理職として働く一歩を踏み出す動機は,人それぞれで良いと思います。ちなみにお恥ずかしながら,私の場合は,先輩方の経営方針などに関する大人な会話に早く混ぜてもらいたかったからでした。そして,実際にその立場を経験してみて気に入っているのは,やはり経営のダイナミクスに触れる機会が増えたことと,自身で意思決定でき仕事がコントローラブルになったこと,共にゴールを目指す仲間と出会えたことです。この点も,人それぞれですね。
もしお読みいただいている方の中に,いま管理職登用のオファーを受けるか悩んでいる方がいらっしゃれば,ぜひ,自分を腹落ちさせられるツボをまずは探してみてください。走り始めた後は,また違った楽しい景色が待っています。