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“私はこれからこんな人になっていきたい!”という像,皆さんはお持ちですか?
“これからなりたい像”,難題をお預りしてしまったなと,筆が止まりつつの執筆です。何を隠そう,私自身もそれを常々模索中の一人であり,今日はそんな等身大の一女性としての目線を持ちつつ,キャリア形成の場面でこれまで私が出会ってきたたくさんの方々のことを思い起こしながらお話をさせていただきたいと思っています。
VUCAの時代,人生100年時代,というキーワードは皆さんもうすっかり聞き慣れたものと思いますが,“これからなりたい像”を持つにあたっては,そのように自身の身の回りのことも,それを取り巻く社会・経済環境も日々どんどん移り変わっていくこと(=昨日の常識は今日の非常識!であること)を踏まえ,「一度定めた“なりたい像”を細やかにアップデートしていくこと」が大前提になるように思います。女性活躍推進の領域ではよく“ロールモデルを持て”と言われますが,ロールモデルも見つけて終わり,ではなく,状況に応じた選び直し(選び方を変える×選ぶ人を変える)が大切なんですよね。このような“アップデート”を柔軟にできるかどうかが,いま自身が持ちうる環境の中で,しなやかに変容しながら楽しく幸せに活躍し続けるキーポイントなのではないかと,これまで相対したたくさんの方々のことを振り返り,強く感じるところです。
皆さんは「人生100年時代の社会人基礎力*1」をご存知でしょうか。これは,「これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で,ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力」として経済産業省が昨年とりまとめ発表したものですが,この中にも,自身の“アプリ”と“OS”をアップデートし続けることの重要性が語られています。その意味では,様々な常識や前提,価値観を“アップデートし続けられる人材であること”そのものが,皆に共通する“これからなりたい像(なるべき像)”のひとつのパーツなのかもしれません。
“なりたい像”のアップデートをし続けながら今ある環境の中で活躍する。それを実現するのは決して容易なことではありませんが,それを楽しみながら実現するポイントは,「いつも自分に“3つの世界”をもっておくこと」だと捉えています。何でもそうですが,モノを支える点が2つだとふらつきますが,3つだとバランスしますよね。これは自身がどのような人材に成長していきたいかを考えるキャリア形成の場面においても同じであろうと,健やかに活躍し続ける方々に共通するポイントとして,近年特に明確に見えてきています。多くのビジネスパーソンにとって,1つ目と2つ目は職場と家庭でしょう。でも,それらの世界の常識についがんじがらめになり窮屈になったり不安になったりする中で,本来のご自身の強みを発揮しきれていないこともまた,あるでしょう。皆さんにとっての3つ目の世界は何ですか?
ちなみに私の3つ目は,志を同じくする社外の仲間たちです。どんなに忙しくても,彼らと対話し外の空気に触れることには優先して時間を投資し,自分自身の“なりたい像”のチューニングを怠らないよう気を付けています。なぜこんな私事をお話するかというと,私自身,この考え方・動き方をきっかけに自身の軸があまりブレなくなり,所属する組織の中でのパフォーマンスを楽しみながら上げていくことができるようになったからです。今皆さんの置かれている環境は,実は思っている以上にチャンスにあふれているものです。ただ,自分自身がそれを掴みに行くスタンスになかったり,“今の組織に身を置いていても・・・“という思考回路に入った瞬間,それが見えなくなってしまうのが怖いところです。3つ目の世界を持ち外の空気を吸う。その上で自身の“今”を再認識し,持ち場での振舞いを小さく一歩ずつでもパワーアップさせる。これが素直にできる人でありたいですね。
“3つ目”を持ちながら“これからなりたい像”をアップデートしていくこと。ぜひ試してみてください。いつか皆さんにお会いできる日を楽しみにしています。