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もちーと ひろしま

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スペシャルインタビュー “個を尊重し、互いを生かし合うことで、大きなイノベーションが生まれる”

印刷用ページを表示する 掲載日2020年3月2日

「個を尊重し、互いを生かし合うことで、大きなイノベーションが生まれる」キリンホールディングス株式会社常務執行役員 ブランド戦略部長 坪井 純子氏

 

キリンホールディングス株式会社(以下、キリンHD)で、常務執行役員として活躍されている広島県ご出身の坪井純子さん。役員として、キリンHDが目指す「多様性」推進の旗振り役でもある坪井さんですが、女性総合職パイオニア世代の一人として、さまざまな壁を乗り越えながらキャリアを築いてこられました。「いろいろな人がいて、いろいろな価値観があったほうがよい。それぞれの個性・強みを持ち寄ることで、イノベーションが生まれる」、坪井さんの考える多様性をシンプルな言葉で表現すると、こんな言葉に集約されます。実体験に裏付けられたお考えには説得力がありました。仕事と暮らしとの両立の中で、自分の将来に不安を抱くメンバーに対して「そのときは大変かもしれないけれど、キャリアは長い目で考えたらよい」とアドバイスをくださるなど、「こんな上司が近くにいてくれたら」と思わずにはいられないほど、温かい言葉で応援してくれる坪井さん。「私も頑張ろう」と、広島で働く女性が背中を押してもらえる、元気をいただけるようなお話を伺いました。

(令和2年1月取材)


 

女子校と共学校。それぞれで感じた多様性が持つ可能性

現在キリングループでは、長期経営戦略の大きな柱の一つに「多様な人材と挑戦する風土」を掲げていますが、私自身の中の多様性の原点は、広島での中学・高校時代にあったように思います。中学は県内の中高一貫の女子校に入学し、高校は男女共学校に進学したので、両者の違いやそれぞれの良さを感じることができ、「多様性」を考えるさまざまな体験ができたように思います。
例えば中学は女子校ですから、生徒会長をはじめ、リーダー的な役割も当然ながら女性でしたが、高校は、当時としては一般的ですが「生徒会長は男性」のイメージでした。

けれど、共学では女性の役割が限定的ということではありません。高校での印象的な想い出の一つに文化祭でクラスメイトと取り組んだ創作劇があります。誰が言い出したのか、創作劇をすることになり、文章を書くのが好きだった私が原作を書きました。あるクラスメイトがそれを脚本にし、演出・監督、また別のクラスメイトは俳優、舞台の大道具・小道具、さらにはテーマ曲を作曲する人、それをピアノで演奏する人・・と、それぞれが特技を持ち寄って劇は大成功。感動して涙する観客もいたほどです。こんな多彩なクラスメイトがいたのかと驚くとともに、それぞれが持つ強みを持ち寄り、発揮することで、個人の力だけでは成し遂げられない素晴らしい結果が得られるというまさに多様性の原体験をした気がします。

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自分の枠を超える経験は、新しい自分と出会うチャンス

大学では生命科学を専攻し、キリンビール株式会社(以下、キリンビール)に入社しました。男女雇用機会均等法の前年で就活は苦労しましたが、キリンビールでは先駆けて女性総合職を採用し始めており、私は4期生となりました。最初に配属された製造部では、私が初めての女性総合職。他部門の先輩も結婚や出産、ご主人の転勤を機に退職する方が多く、ロールモデルもなく、自分のキャリアがイメージしにくかった時期もありますが、逆に自然体でやれたという意味では良かったかもしれません。

その後、商品企画部、広報部、のちにはグループ会社の商業施設の社長とさまざまな部署を経験しました。もともと理科系出身で、ものづくりがしたくてキリンビールに入社しましたが、マーケティングや広報など自身の専門外で、部内で飛び交う言葉すら理解できない部署に配属され、今まで積み上げてきたものが役に立たず、挫折を感じるという経験を繰り返しました。しかし今では、自分の枠を超えるチャンスを得られたこと、そういった環境づくりをしてくださった当時のリーダーや先輩に、とても感謝しています。やりたいことや得意分野を自分で先に決めつけてしまわないで、まずやってみる。そうすることで、自分の新たな一面に気づくことができます。新しい仕事や分野は、最初は負荷を伴いますが、自分の引き出しを増やしてくれ、そのたびに新しい自分、自分の中の多様性に出会うことができるように思います。

 

経営的な視点で考える「多様性」の重要性と、そこから生まれるイノベーション

2014年から執行役員の職に就いていますが、当社が会社として、女性活躍に本気で取り組む強い意志を感じたのは2007年の「キリンウィメンズネットワーク」のキックオフの時でした。当時の経営陣が、全女性社員を招集し、女性だけの全社会議を開いたのですが、その中で私自身も他の女性社員のさまざまな意見を聞き、女性と一口にいっても様々な価値観や働き方があることを再認識させられた気がしました。入社以来、割とのびのび自然体で立ち振る舞うことができていたので、女性総合職、女性管理職といった、社内では少数派の立場であることを気にしていませんでした。ですが、働きづらさを感じている女性社員も多くいることを知り、当時務めていた部長という立場として、多様性を推進させなければならないことを強く認識しました。

多様性を推進する上で重要なのは、多様性そのものを目的化してしまってはいけないということです。時代は大きく変化しています。VUCAの時代、などといいますが、これからの時代は不確実性が高く、正解のない中で知恵を絞り、新しい価値を生み出していかなければ、企業は生き残れません。そのためには、異なる価値観を互いに認め、それぞれが強みを持ち寄ることで、イノベーションを起こしていく必要があります。つまり、女性が“いてもよい”ではなく、女性が“いた方がよい”へ、発想を転換しなければならない。そしてそれは、女性活躍にとどまらず、さまざまな個々の“違い“を“力“に変えていくことだと思います。トップは「なぜ、多様性がないと生き残れないのか」を理解することが重要ですし、多様性を実現することを、経営課題として捉える必要があります。

女性は、出産や子育てなどライフイベントによる変化で、環境によっては思うように仕事ができない時期があるかもしれません。ですが、そういったことも長い目でポジティブに捉えたら良いと思います。会社も社会も「人が育つ」という時間軸を持っていますから、焦ったり、諦めたりする必要はありません。働き方に時間の制約があったとしても、限られた時間の中でバリューを出せれば、何の問題もありません。大事なのは生産性ですから。またライフイベントによる経験が新たな発想につながるかもしれません。受け身の姿勢ではなく、会社に対し、自分なりのバリューを出すことを意識して、前向きに取り組めばいいのではないでしょうか。

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坪井 純子氏 プロフィール

安芸郡府中町出身。東京大学理学部卒業後、1985年キリンビール株式会社に入社。「キリン秋味」の開発及びブランドマネージャーなどを担当し、2010年3月株式会社横浜赤レンガ代表取締役社長に就任。現在は、キリンホールディングス株式会社常務執行役員兼ブランド戦略部長。 (令和2年1月取材時点)

※広島県とキリンホールディングス株式会社は令和元年12月に「女性活躍の推進に関する協定」を締結しました。

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