平成26年度 第7回県政知事懇談「湯崎英彦の地域の宝チャレンジ・トーク」を,次のとおり北広島町において開催しました。
平成26年11月15日(土曜日) 13時30分から14時40分まで
JA広島北部千代田支店(山県郡北広島町有田532-1)
訪問先 | 内容 |
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新規就農研修ハウス (北広島町荒神原) | ○平成25年度未来創造支援事業を活用し,新規就農者の実地研修が実践できる栽培ハウスなどを整備。平成26年度から北広島町認定研修生1名が大玉トマトの栽培研修を開始。 |
豊平そばまつり (北広島町都志見) | ○“新そばを食べにきんさい”をキャッチフレーズに町内でも最大規模のイベント。県内はもとより県外からも合わせて約2万人を越える人で賑わう。 |
新規就農者が実地研修できるトマト栽培用のハウスを訪問し,町が行っている研修制度など就農支援に関する取組などをお聞きしました。
「そば」で有名な北広島町豊平地区。秋の人気イベント「豊平そばまつり」を訪れ,今年の新そばの試食や,保存会の皆さんの実演を見学しました。
北広島町在住で,あらかじめ選定した方に「人づくり」「新たな経済成長」「安心な暮らしづくり」「豊かな地域づくり」等の分野の取組について発表していただきました。
名前・職業等 | 取組内容等 | テーマ |
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島田 愛子(しまだ あいこ)さん 芸術家 | ○ 平成10年に北広島町に移住。(呉市出身) | 北広島での芸術活動と子供たちとの触れ合い |
勝田 誠二(かつた せいじ)さん 懐石料理店「空城さくら亭」支配人 | ○ 空き家となっていた古民家を再生し,懐石料理店「空城さくら亭」をオープン。(H26.10.12開店) | made in 芸北 |
大野 翔汰(おおの しょうた)さん 町立大朝中学校2年生 | ○ 実家の祖母の影響で農業に興味を持ち,現在では一人で畑を耕し収穫できるまでとなっている。 ※大朝中学校の紹介 | 畑作りと私の夢 |
西本 航大(にしもと こうだい)さん 町立豊平中学校3年生,2年生 | ○ 豊平中学校は,小中一貫校「豊平学園」(H25.10~)として,幅広い異年齢集団による授業・行事等を通じ,豊かな人間性・社会性を育んでいる。 | 豊かで平和な町 豊平に抱かれて |
●島 田
北広島町の自然,暮らしからたくさんのインスピレーションをいただきながら制作をしている私たちですが,10年前,何か木版画で地域のお役に立ちたいと思ったことがきっかけで,夫婦でユニットを組みました。何をしたら人の役に立てるのか。思いついたのは,自分たちの住んでいる町のいいところを作品を通して知ってもらいたいということです。みんなに知ってもらうには,広告やパッケージのデザインだと思いました。いろいろなところに声をかけてポスターをさせていただいたり,地元の商品のパッケージをさせていただいたりしました。こういった活動が少しずつ広がって,地域の広報誌などもさせていただけるようになりました。広報誌では自分たちがすばらしいと思う北広島町の自然,風景,文化を作品にしています。
このように作品がどんどんとできてくれば,それらの作品をいつでも見てもらえるようなギャラリーがほしいと思うようになり,去年自宅近くにオープンしました。作品を見てもらうだけではなく,地域の交流の場になってくれたらなと思うようになりました。オープンしたては作品を展示しているだけでしたが,自然な流れで人も集うようになり,様々なイベントも開かれるようになりました。毎週すてきにお花を生けてくださる生け花の先生,そのお花を描きに来られる方。ここにいらしてくださるみんなが「幸せだな」「ここに来ると癒やされるよ」とおっしゃってくださいます。
そしてもう一つ,私たちが頑張っていることですが,去年から民泊を受け入れることになりました。今年は12校の小学5年生がわが家にやって来ました。野菜の収穫や食事づくり,自然体験を一緒にします。子供たちと3泊4日寝起きを共にします。民泊体験は素晴らしいプロジェクトだと思います。このプロジェクトはこれからもずっと,ずっと続いてほしいです。
アートで人々を幸せにする。自分たちの作品で人々に感動を与える。北広島町の素晴らしさを伝えていく。みんなの幸せのために活動する。これからも頑張っていきたいと思います。
○知 事
よく都会で仕事をするときには情報というのがありますけれども,企業でも都会に,東京なんかに集まります。芸術家の方々も,多分その情報というのはすごく大事で,腕一本でやっておられるように見えるかもしれませんけれども,実は仲間内のつながりだったり,どんなことがどういうふうに行われているかという情報はとても大切だと思うのですけれども,それでも,それを乗り越えて自分の創作意欲というか,皆さんに支えられていることがモチベーションになって発揮していく力になっていったということですね。
島田さん,本当に楽しみですよね。芸術の面でも今,評価されて,そして地域にもすごく貢献をされて,人の輪もつくっていかれているということでありますので,本当にこれから地域の皆さんとともに頑張っていただければと思います。
●勝 田
私はこの隣の芸北生まれ,芸北育ちで,高校卒業までずっと芸北で過ごしてきました。大学卒業後は別の職業に就いておりました。しかし,芸北でなければだめなんだという思いもあって,こちらのほうに帰ってきました。いわばI love 芸北です。私は芸北が大好きです。
先月10月12日に芸北の空城地区に「空城さくら亭」という,土日祝日完全予約制の懐石料理,また,平日はコーヒーとケーキをお出しするお店を開店しました。私がこの「空城さくら亭」で一番やりたいこと,それは「地産地活」というものです。地産地活は,地のものは当然地で生かします。これだとまだ地産地消になってしまうのですが,それにかかわるすべての人も地元の人でやりたいという思いがあります。地元の人を使って活性化させることで,もちろん地の人のやる気も出ますし,またそれが地域の発展につながるのではないかと思っています。こういった流れを芸北からつくりあげていきたいと思います。
地元の物を地元で生かす。そして,それにかかわるのはすべて地元の人というサイクルをこれからどんどん提唱していきたいと思っています。そして,それをただやるだけではなくて,やはり外部に発信するということを今後していきたいと思っています。すべては地産地活,そして,芸北にはすばらしい伝統や文化,そして物,何よりも厚い人のつながりがあります。この地産地活では地域の循環をよくして盛り上げるだけではなくて,そういった守られてきたもの,そういったものもずっとつくりあげる。そして,それを僕らから下の年代にしっかり伝えるということをしていきたいと思います。
○知 事
本当に自分たちだけの手ですてきなものができあがる。しかも,ほとんどつくっている人も芸北の皆さんでつくられたということで,すごく力があるんだなと実感をしました。
勝田さんは,にこにこ,さらっと言っておられますけれども,実際は大変だと思います。本当にすごくたくさんのことをやっておられて,でも,その原動力はやっぱり芸北愛。愛があれば何でも乗り越えられる。夫婦だけではないということでしょうか。
これから様々なチャレンジ,様々な困難に直面することもあると思いますけれども,いろいろなつながりの中で頑張っていただければと思います。
●國 芳
私の通っている大朝中学校は,山間部にある小さな学校です。小さな学校ではありますが,ふるさとを思う気持ちはとても大きなものがあります。大朝中学校では総合的な学習の時間をはじめ,学校全体でふるさと学習に力を入れています。私たちのふるさと大朝を学び,地域の人たちとふれあう中で,地域を大切にする心と愛着心は着実に50名の生徒に育っていると感じます。そのことは広島県を元気にすることにもつながると思っています。
今日はそんなふるさと大朝で,農業に従事することを夢にしている友達の大野翔汰くんの意見作文を発表してもらいたいと思います。
●大 野
僕の夢は,自分で作った野菜を食べてもらい,みんなの笑顔が増え,幸せになってもらうことです。小学校のころから祖母が働く畑を手伝っているうちに,だんだんと野菜作りについて興味を持ちました。現在は一人で畑を耕し,種をまき,収穫できるようになりました。こういったことができるようになったのも,祖母から畑のことについていろいろ教わったからです。
祖母は僕に野菜を作る技術と心を教えてくれました。今では野菜を作ることが本当に好きになりました。そして,家族から「野菜,おいしかったよ」という声を聞くと,ますます野菜を作ることが好きになり,育てることの楽しさが増えました。
僕は野菜作りや鶏を育てるという体験から,農業や畜産の仕事に関心を持つようになりました。だから,将来,農業高校に進学しようと思っています。苦手な勉強も分からないなりに少しずつ努力していこうと思います。そして,将来広島県の皆さんに喜んでもらえる野菜を作り,幸せな笑顔を広げていきたいと考えています。そして,夢を大朝の地で実現していきたいと思います。
○知 事
野菜つくりには,いろいろな楽しみがあると思うのですが,野菜がどんどん大きくなっていくところが楽しいとか,それが不思議だとかいろいろな見方があると思いますけれども,食べてもらって喜んでもらうのが一番うれしいというのも,うれしいですね。
やっぱり喜んでほしいと思って作っているような野菜をいただくと,本当においしいと思います。しっかり夢を持っておられます。きっとおばあちゃんの影響というのが大きいんでしょうね。そういうつながりがあるというのも地域の特徴ではないかと思います。
二人ともしっかりとした大朝の代表として発表していただきました。
●平 田
昨年4月,豊平地域の3つの小学校が統合し,豊平地域では小学校が1校となりました。小学校新校舎が中学校敷地内に完成した10月から,山県郡内初の併設型小中一貫校豊平学園として新たな歴史を私たちは歩み始めました。併設型小中一貫校なので小中が合同で行う行事もたくさんあります。また,行事だけでなく,児童会,生徒会の交流もしています。また,学期に1回程度,小中合同授業を行ったりもしています。日常的な児童,生徒の交流,幅広い年齢での交流ができるのも,ほかの地域,学校ではできない豊平ならではの取組です。
●西 本
そして,豊平中学校の一番の強みは,地域の物や事を行事やいろいろな活動に取り入れられることです。秋の行楽シーズン前には,地域の方と一緒に龍頭山への山道を全校生徒で掃除します。また,様々なイベントにボランティアとしても活動しています。今年度,豊平手打ちそば保存会の皆さんの協力によって,豊平中そばうちクラブもできました。豊平といえばそば,そばといえば高橋名人,高橋名人直伝の打ち方を心と技を少しでも中学生が伝承できればと頑張っています。
また,本校には陸上部はありませんが,地域の方にコーチをしていただきながら駅伝に挑戦してきました。その結果,今年9年ぶりに中国中学校駅伝大会出場を果たすことができました。豊平中学校では,先ほどお話ししたように,豊平地域ならではの物や事を学校の活動に取り入れています。そのすべてを支えていただいているのは人です。豊平地域の一番の宝は人だと思っています。
僕たちは地域の方からとてもお世話になっています。だからこそ,僕たちの元気ではつらつとした姿,一生懸命頑張る姿をお見せすることが,地域にできる一番の恩返しだと思っています。これからも全校生徒でいろいろなことに挑戦していきます。
○知 事
すごくお二人もしっかりしていて,見るからに中学生なんですけれども,大人顔負けのしっかりとした発表でしたね。それこそ都会の学校では絶対にあり得ないようなことを毎日経験しているということで,そして,そばの体験というか,保存会で伝承したりとか,そして,地域の人といろいろな活動をしていくということもやっている。
そして最後に言ってくれたのが,豊平の一番の宝は人だということですよね。このお二人も,その宝の二人じゃないかと思います。この二人の将来も本当に楽しみですけれども,豊平が好きということで,どんな形にしても地域にこれから貢献してくれるのではないかと思います。
約120名
〇4組の発表に共通する素は,生まれ育った地,住み生活している地が好きであること,その地への愛情の深さであると感じました。地方は見捨てられた地ではなく,そこには,夢や可能性がつまっている。それを発見し,活かす感覚を持った人,地域への深い愛情,愛着を持つ人こそ地域の宝であると考えます。
〇地域の可能性や魅力を伝える人や,将来を担う子どもの育成,人づくりと人のつながりづくりに地域をあげ,取り組んでいきたいです。
〇私は,広島市に近い所から来ましたが,改めて地域の宝は「人」「自然」「文化」だなあと強く感じました。大朝に移住する日を楽しみにしていますが,いよいよその気になりました。ありがとうございました。
〇生きている情報を聞いて感じる事が出来るよい時間と思います。学生がはきはきとしていて,学校の状態を感じる事が出来ました。見て,感じて,聞く,やはり大切だと思います。
懇談の模様は,録画でご覧いただけます。
こちら(インターネット放送局)からご覧ください。
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