平成25年度 第16回県政知事懇談「湯崎英彦の地域の宝チャレンジ・トーク」を,次のとおり神石高原町において開催しました。
平成25年4月13日(土曜日) 13時30分から14時40分まで
三和公民館 : 神石郡神石高原町小畠2025
訪問先 | 内容 |
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(株)ローソンファーム (神石高原町古川) | ○大手コンビニに出荷する野菜等の有機栽培に |
自然食レストラン高原の風 (神石高原町坂瀬川) | ○田舎のお母さんの味を味わえる人気のバイキ |
ローソンファームの栽培ハウスを訪問し,小松菜を収穫しました。この小松菜を,次の訪問先である自然食レストラン高原の風で調理していただきましまた。
バイキング形式の自然食レストラン高原の風を訪れ,ローソンファーム広島神石高原町で収穫した小松菜を調理していただき,お越しになっていたお客様へ料理を提供しました。
神石高原町在住で,あらかじめ選定した方に「人づくり」「新たな経済成長」「安心な暮らしづくり」「豊かな地域づくり」等の分野の取組について発表していただきました。
名前・職業等 | 取組内容 | テーマ |
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立原千恵美(たちはらちえみ)さん 自営業 | ○結婚を機に神石高原町へ移住。 | 「「好き」なまちを「素敵」なまちに ~私にできること~」 |
相馬行胤(そうまみちたね)さん 自営業 | ○相馬藩第34代当主。 ○町内の遊休農地を活用して,震災で農地を 失った福島県相馬地方の被災者に再び農業を 始めてもらうため,受入れ体制の整備等を行う。 ○相馬地方で培われてきた独自の文化や精神 を守り,「相馬野馬追(そうまのまおい)」などの 伝統芸能を通じて,神石高原町を活性化したい。 (25年3月移住) | 「私の決意!相馬の魂を永遠に」 |
内藤哲也(ないとうてつや)さん 県立油木高等学校3年生 | ○油木高校産業医ビジネス科では,様々な地域 | 「未来を発明する 産業ビジネス課の実践」 |
林直弥(はやしなおや)さん 神石高原町立神石高原中学校3年生 | ○8年間継続して,道路美化のボランティア活動 「神石まるごと大掃除」に努めている。 ○学区内を5つのコースに分けて,通学路を歩き ながらゴミ拾いを行っている。 ○その功績が評価され,日本道路協会から道路 功労者表彰を受ける。(24年9月) | 「神石中学校チャレンジビジョン」 |
●立 原
中学生のころから調理師になりたいという夢があった。カフェレストランで働き,常に料理や菓子,パンづくりなどをしていたが,結婚を機に仕事を辞めた。家で何もすることがなく,ただ子育てをして,家事をして,ときどき畑を手伝って,何か物足りない日々を過ごしていた。
今は小さなログハウスで地元の食材を使った焼き菓子をつくり,緑に囲まれた神石高原町をイメージした,「Green Alpe」という名前で,道の駅「さんわ182ステーション」や「油木百彩館」に出荷・販売している。また,「自然食レストラン高原の風」に地元野菜を使ったケーキを出している。
将来は自然を感じられる場所で小さなカフェをオープンしたい。広いスペースで子どもを遊ばせながら,お母さんはランチやお茶ができたり,子育て中のお母さんの交流の場になったり,カフェを通じて,このまちがいいな,住んでみたいと思ってもらえればと考えている。一主婦でもこんなことができるということが,同じような夢を持つ女性たちに伝わり,その夢を実現させる人たちが増えることで,若いお母さんたちが元気で明るくなり,このまちも一緒に元気に明るくなればいいなと思っている。
私の好きなこのまちがもっと素敵なまちになってくれればうれしい。好きなまちの「す」と「き」の間に「て(手)」を加えると,「好き」なまちが「素敵」なまちに変わっていくと聞いたことがある。その手を加えるというために,これからも夢の実現に向けて頑張っていきたい。
○知 事
神石に来て仕事がない,寂しいと思うだけでなく,自分の得意技を生かして実際にケーキを焼き,焼いたら売ってみよう,どうせ売るなら神石のいいものを使って知ってもらおう。まさに自分で仕事をつくられた。それで自分も生き生きするし,地域の元気をつくっていくのではないかと思う。今やラブ神石高原町で大変貢献されておられると思う。
●相 馬
福島県浜通りにある旧相馬藩領の34代目です。旧相馬藩は(東日本大震災後)3分の1が福島第1原発20km圏内,それと居住制限区域になってしまい,住宅のみならず,仕事,職を失ってしまった。いつ戻れるのか結論も出ていない。その間,国は保障をしてくれている。ありがたい処置であるが,仕事をしない状況が続くと,労働意欲を失い堕落してしまう。堕落してしまうと,文化,郷土愛というものがなくなってしまうと思う。そうすると,800年間先人たちが守ってきた相馬藩,国が瓦解してしまう。これは,何としてでも食い止めなければいけないことだと思っている。
この2年間どうすればいいのかを悶々としながら考えていたときに,神石高原町で活躍されているNPOの方々と出会い,訪れるきっかけをいただいた。最初は田舎によくある過疎化が進んでしまいそうなまちだと思ったが,地域再生プロジェクト計画を伺い,自分たちのふるさとも救える何かがあるのではないかと思った。
自分たちの家,ふるさとに戻れない中で,多くの方々は自分で取り組んで,仕事を取り戻していかなければいけない。でも,見ず知らずのところに行くのは結構しんどい。だったら僕が行くから,一緒に行こうよ。それだけの気持ちで,この新天地に飛び込んできた。地域を復興させるために,幸せを取り戻すため,その場に住めないのならみんなで新天地に求めてやればいい。神石高原町から始まる日本再生,その一歩に微力ながらでも相馬の力を足させてもらえればうれしい。
自分たちの未来と,相馬の未来と,ここ神石高原町の未来を信じて家族で越してきた。今まで当たり前だと思っていたが,2年前から,家族がこうして幸せにいられるだけでも本当に感謝すべきことだと思う。こういった皆で暮らせる幸せな生活を,1人でも多くの方が取り戻せるきっかけを,神石高原町の皆様とともに,ふるさとに対して与えることができればと思っている。
○知 事
大変大きなチャレンジに取り組まれている。旧相馬藩の皆さんが大変苦労されているのを見て, 自分のことだけでなく,ご自分がモデルになって先に開拓をし,相馬の人たちが一緒に来て神石高原町で働くことができればという思いでされている。本当にすばらしいこと。新天地での暮らしが,新しい相馬の歴史をつくって,そして新たな発展に向けたいいきっかけだったと言われるよう,サポートしていければと思う。
●内藤・桑山
本校では,地域の大きな課題である耕作放棄地の有効利用を研究テーマとし,様々な実践を行っている。
ミツバチプロジェクトでは,耕作放棄地の土を耕して20年ぶりに花畑にし,ミツバチを飼育し,蜂蜜を得る実践を行った。収穫した蜂蜜を使ったエステやスイーツの提供を行う観光プランを提案し,神石高原ホテルにて実施していただいている。この活動を,地域活性化活動を競う「ごはんDE笑顔プロジェクト選手権」で発表し,宮城県で行われた全国大会で準優勝に選ばれた。大会後,被災地を訪問すると,宮城県亘理町のイチゴ畑が被害を受け,イチゴ栽培において花粉交配用として必要なミツバチ不足が問題になっていることを知った。そこで,私たちにしかできないボランティアを考えた。ミツバチを増殖し,多くの方の協力により,1100kmの長旅を経てイチゴ農家さんへ届けた。この活動が全国ニュースで報道されたところ,全国から活動を応援する電話や手紙が多く寄せられ,反響の大きさに私たち自身驚いた。さらに,被災地支援活動の顕著な活動として,全国農業協同組合中央会会長賞を受賞した。これからもミツバチを中心とした地域活性化,日本の農業が元気になる活動を続けていく。
もう一つの研究としてナマズの養殖がある。ナマズは白身の魚で,においや癖が少なく,刺身,かば焼き等,様々に調理でき,味は確実に一級品。ビタミンB1やコラーゲンが多く,美容や滋養強壮にも効果があるとされている。水の便利のよい水田を深さ70~80cmの池に変え,自動給餌機と酸素供給装置を準備できれば,養殖そのものは比較的簡単で,水稲栽培の何分の一かの労力で多くの収入を得られる可能性があると考えた。3年前にナマズの稚魚を放した。2年近くたった今,8cmだったナマズは30cm程度に成長している。3年目を迎える今年は,加工し,販売を始める。ウナギが絶滅危惧種に指定され,今後価格が上昇し続けるとしたら,ウナギに代わるナマズとして大きな可能性を秘めていると考えている。
また,今年度は人工孵化と稚魚の生産にもチャレンジする予定。ナマズ養殖はまだ始まったばかりだが,ナマズのおいしさと可能性を信じ,10年後,20年後,このまちが豊かで住みやすいまちでい続けられるように頑張りたい。
○知 事
ナマズも蜂蜜もよく記事などにも取り上げられて目にすることもありますが,今日はその裏側をいろいろ教えていただいた。今の意気込みだと,きっといい仕事を自分でつくるか,あるいは得られ,強い思いを持てばうまくいくのではないかと思う。地域で頑張っている皆さんが取り組むことで,ホテルで採用されたりと実行されている。これもすばらしいことだと思う。
●林・山本
神石中学校は,来年度町内の2校と統合し,45年の歴史に幕を下ろして閉校する。全校生徒30名の小規模校だが,学年の枠を超えて仲がよく,「気づき・考え・行動するチーム神石中」を合い言葉に,毎日学習や部活動に励んでいる。
全校を挙げて7年前から,一人が一つの便器を素手素足で徹底的に磨き上げる「全校トイレ掃除」に取り組んでいる。天井や床を磨くだけでなく,スポンジや金属製のサンドメッシュを使い,自分が担当するマイ便器にこびりついた汚れを徹底的に磨き上げるもの。「素手で便器を磨くことに最初は抵抗があったが,ピカピカになった便器を見ると,気持ちがいい。」など,掃除を通じて自分の変化に気づき,やり遂げた達成感,成就感で満たされた感想が多い。毎年7月には,地域のトレーニングセンター,公民館,小学校などを訪問し,素手素足でトイレをピカピカにしている。
また,学区内を5つのコースに分けて,各自で火ばさみとごみ袋を持ち,道路脇のごみを拾う「神石まるごと大掃除」をしている。長年にわたる地域へのボランティア活動が評価され,昨年度,社団法人日本道路協会から道路功労者の表彰を受けた。
今後も「やらされているという義務ではなく,私たちの意思として取り組む」を合い言葉に続けていきたい。統合する神石高原中学校でも,私たちが誇るこの活動を続けてほしいと願っている。
○知 事
神石中学校の皆さんは,すばらしい伝統で本当に心も大きく成長しているのではないか。この伝統が新しい中学校でも続いていけば,先輩として指導してあげていただければと思う。
約100名参加
懇談の模様を録画でご覧いただけます。
こちら(インターネット放送局)からご覧ください。
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