平成23年度 第4回県政知事懇談「湯崎英彦の宝さがし-未来チャレンジ・トーク」を,次のとおり「三原市,尾道市,世羅町」地域において開催しました。
平成23年10月15日(土) 13:30から15:10まで
広島県尾道庁舎5階大会議室 : 尾道市古浜町26-12
(1)湯崎知事による「ひろしま未来チャレンジビジョン」の発表
(2)地域住民の方による事例発表
氏名・職業等 |
取組内容等 |
発表テーマ等 |
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三 |
斎藤 佐代子(さいとう さよこ)さん・みらい子育てネット・みはら代表 |
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『育つ・つながる・広がる子育て支援』 |
尾 |
藤田 武士(ふじた たけし)さん・ (有)百島農園代表 |
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夢を創って積極果敢 |
世 |
吉宗 誠也(よしむね せいや)さん・ 農事組合法人 世羅高原農場 代表理事 |
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地域の強みを生かした観光地づくり |
(3)意見交換
地 |
氏名・職業等 |
発表テーマ等 |
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三 |
小川 和子(おがわ かずこ)さん三原市ボランティア・市民活動センター コーディネーター |
被災地支援から学ぶ ~災害教育について~ |
尾 |
宗近 朗(むねちか あきら)さんフリーライター |
ここ、瀬戸内だからできること |
三 |
大畠 和馬(おおばたけ かずま)さん広島県総合技術高等学校食デザイン科 3年生 |
ふるさとを元気に~オーナーシェフを目指して |
尾 |
弓取 尚太(ゆみとり しょうた)さん私立尾道高等学校3年生 |
将来の夢~俳優になって笑いと感動を届けたい |
世 |
貞光 得里(さだみつ えり)さん町立甲山中学校3年生 | 豊かな世羅のまちづくり |
約100名参加
懇談の模様を録画でご覧いただけます。
こちら(インターネット放送局)からご覧ください。
●斎 藤
「みらい子育てネット・みはら」の代表として子育て支援を行っている。子育て応援情報誌をつくることから活動を始め,「子育てをするなら三原市で」を合い言葉に,親たちが本当に必要としている支援を当事者目線で考え,実践している。活動には三つの柱があり,一つ目は,親同士が集い,学び,成長し,つながることのできる場づくりを行う「親教育」,二つ目は,子育てが一段落した親に,支援者側に移行してもらう取組,三つ目は,子育てだけでなく,様々な分野の方とのネットワークづくりである。
現在,子育て支援の場としては,気軽に楽しめるサロンが主流になり,少数の同じ価値観を持つ友人とだけつながる親たちが多くなっている。楽しそうでありながら,子育ての悩みを相談することができず,個々で抱えこんでしまう方も増え,親が親として育ちにくくなっている現状がある。私たちは親教育支援を最重要課題とし,親として,支援者として,人が育つ・つながる・広がることを目標に頑張っていきたい。
○知 事
活動されている中で,当初の目的であった悩みを相談し,問題を解決するという機能が減っていったという変化をつかんで,活動を変えていったということだが,行政でも変化に併せて変わっていくということが大事であると,反省しなければならないと思った。
また,行政のみが子育て支援をしても広がりを持たないが,主体的に取り組む住民の方が,自ら工夫することによって,活動が広がっていくものだと実感した。
●藤 田
定年退職で百島にUターンし,イチゴ農園の経営を始めた。起業にあたっては,農業にはリスクもあるため,周囲からの反対を受けたが,以前のような元気な百島にしたい,高齢者が元気よく生きがいを持って島に住み,働けるようにしたいという考えから,起業に踏み切った。現在では,「瀬戸の島いちご」グループ全体で,高齢者,島外から移住してきたヤングファーマーも含め,数十人で運営している。
他にも,農業体験宿泊所でのヤングファーマー育成の活動,広島市立大学と連携し,百島中学校の跡地を活用して百島をアートの島にする取組,「百島アートプロジェクト」も進めている。
百島の未来への挑戦として,イチゴ栽培で150人の雇用創出,3億円の販売を達成し,さらに,「百島アートプロジェクト」を通じて,元気で豊かな瀬戸の百島にしたいと考えている。後継者を必ずつくって,百島を変身させたい。
○知 事
定年退職後に百島に戻られ,起業したということで,挑戦は若い人だけのものではないというすばらしいお話だった。
百島の強みを活用し,農業というリスクのあることに挑戦され,既に十数人も雇用されている。過疎が進んでいる地域でも,決して挑戦は無理なことではないと,体現していただいているのではないかと思う。
●吉 宗
農事組合法人世羅高原農場の代表をしている。花の観光農園の運営を通じて,観光客誘致,地域の活性化に取り組んでいる。現在,尾道松江線という高速道路が建設中だが,より多くの観光客がこの道を通ってくれると期待している。一方,目的地までノンストップで行ってしまって,今までの国道沿いの直売所に影響が出るのではないかという危機感もある。沿線の各地域がタイアップをして,その地域に降りてみたくなるような,地域の魅力をPRしていきたいと考えている。
最近では,女性をターゲットにした花と着物がテーマのフォトイベント,バスツアーの誘致などにも取り組んでいる。
今回のような発表の場を通じて,いろいろな方が意見を言い合って,結果,この沿線かいわいが盛り上がることを期待している。
○知 事
フォトガールという話があったが,現在,写真を趣味にする女性が増えているという。発想を広げて,そういったところに目をつけているところがすばらしいと思った。
また,沿線の様々な施設が競うだけでなく協力しようというのを,吉宗さんが触媒として進められている。「三人寄れば文殊の知恵」と言うが,いろいろな人が力を合わせることによって新しいものが生まれると思う。これからも頑張っていただきたい。
以前,藤田さんが漁協に来られて,百島のアサリとイチゴをリンクさせて何かいいものをやろうと提案されたことがあった。百島のアサリは日本一なので,ぜひまた一緒にやっていきたい。
●藤 田
本当はやりたかったが,イチゴにかまけてばかりいた。実は,独立行政法人水産総合研究センター 瀬戸内海区水産研究所 百島実験庁舎に,アサリの畑をつくって機械化していきたいという話はさせていただいている。
百島では,アサリの研究所が施設を持っておられるので,そこのノウハウを地元に落としてもらうことが,百島の活性化に対する一番大きな強みになってくるというように思っている。
●小 川
東日本大震災で被災した岩手県にボランティアに行った。社協や行政等の機能が低下した被災地で,災害ボランティアセンターの立ち上げや運営,仮設住宅でのコミュニティーづくりの支援に携わった。
沿岸部の小学校に伺った際,津波で校舎の屋上まで車が打ち上げられるような被害を受けたが,学校側の誘導で生徒は全員無事だったと聞いた。それは先人の方の伝えや防災教育が功を奏したということだった。しかし,生徒さんの約70%が亡くなってしまったところもあったと聞き,防災教育の大切さを実感した。
被災地を目にし,聞いたことをこれからの災害教育に生かし,子供たちにも伝えていきたい。
○知 事
今回の震災で非常に教訓になったことは,地域それぞれの防災力を上げていく必要があるということである。高い堤防,すばらしい施設をつくっても,やはり住民の皆様一人ひとりの防災意識が命を救うものとなる。それには,今,発表いただいたようなきめ細かい活動が必要だと思う。引き続きよろしくお願いしたい。
●宗 近
瀬戸内の魅力を世界へ発信していくことに挑戦している。数年前まで東京で自然をテーマにした執筆活動,キャンプインストラクターをしていたが,瀬戸内海の景色,独特のゆったりした空気感に魅了され,地元の尾道市に戻って仕事を続けている。
現在,旅をテーマに地域の人を元気にする専門家集団「Plusおのみち」で,瀬戸内の自然資源を生かしたツアーガイドとして活動している。瀬戸内の自然資源,人的資源を生かしたツアープランをこれから世界へ発信していきたいと考えている。
山側の世羅町,海側の百島,また会場の皆さんがつながっていけば,世界が驚くようなものがつくれるのではないか,それは「びっくりエーション」ではないかと考えている。それを私はこれから追い求めていきたい。
○知 事
「びっくりエーション」,是非やりたいと思う。各地のいいものをもっと掘り出して,それを横につなげ,瀬戸内海という一つの地域をテーマにつながっていく。まさに「瀬戸内 海の道構想」だと思う。全国をご覧になって,改めて瀬戸内海の魅力に気づいたということなので,我々も意を強くして頑張っていたきい。宗近さんにも世界の人に通じるメッセージを是非筆の力で書いていただければと思う。
●大 畠
飲食店のオーナーシェフになることを目指し,調理師免許取得に向けて日々学習している。高校生の起業家精神育成事業ビジネスプラン作成セミナーに参加したことがきっかけで,調理師として働くだけでなく,起業して自分の店を持ちたい,経営したいと思うようになった。
そのお店があることで人が集まり,お客様も地域も元気になれるようなお店を作ることを目指している。広島空港がとても近い三原市なら世界にも発信できると思う。近隣地域と連携し,世界を視野に入れた飲食店をつくりあげたい。
そのために,調理師としてだけでなく,自分がつくりたい店をどう組織し,どう動かせば成功できるのか,大学4年間で多くのことを学びたいと思っている。
ふるさとを元気に発信していけるような飲食店をつくるために挑戦し続けていきたい。
○知 事
地域に恩返しをしたいという,しっかりとした考えのもとに,オーナーシェフを目指すという,すばらしい夢をお持ちだと思う。是非世界をいろいろ見て回った後,広島県に帰ってきて頑張ってもらいたい。
●弓 取
尾道高校の演劇部に在籍し,俳優になることを目指して日々努力している。毎年3回以上の定期公演を尾三地区を中心に行っている。時代劇から現代劇まで幅広いジャンルの芝居と役をこなして,お客様に笑いや感動をたくさん届けられるよう努力してきた。私の高校では特に「笑い」が重要なポイントとされており,自由な芝居を上演している。笑いの中に感動を付け加えた,心に残るような芝居を日々目指している。
11月に高校演劇の中国大会がある。生徒実行委員長を務めるので,お客様に楽しんでいただけるような大会が開けるよう努力している。これも俳優への登竜門だと思い,最後の大会を存分に楽しみたい。
卒業後は上京し,演劇を続けたいと考えている。絶対にあきらめず精一杯頑張りたい。
○知 事
俳優というのは本当に大変な道だと思うが,頑張ってほしい。広島県としては広島に残ってほしいという気持ちもあるが,他方で,広島の外に出て,世界を知ってほしいとも思う。日本レベルと言わず,世界レベルの俳優になって広島県にまた帰ってきてほしい。
●貞 光
甲山中学校では,世羅町の美しい自然を守るため,学校の近くの美化活動をしている。この活動を通して,たくさんのすばらしいところがある我がまち世羅町を大事にしていかないといけないという意識が高まった。また,活動を通して地域の方々と交流し,私たちが今,安全に生活できているのは,地域の方々の支えがあるからだと実感することができた。
8月,世羅町で初めて開かれた中学生子ども議会では,世羅町長さんに川沿いを含めた美化活動のサポートをお願いした。世代を超えてつながり,豊かなまちづくりを進めていくことに挑戦したい。自分たちの手で,世羅町をますます誇れるまちにしていきたい。
○知 事
自分たちの住むまちをきれいにしたいという思いが地域の人にも伝わって,それが広がっていった。そして,活動の中で地域の人たちや,世羅の自然があるからこそ,今の自分たちがあるということを実感されたということだったが,そのことが更に活動を広げていくエネルギーにつながっていったのではないかと感じた。中学生らしい,すばらしい挑戦だった。
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