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知事の欧州訪問の結果について(2018年4月)

印刷用ページを表示する掲載日2018年6月22日

1 全体概要

 NPT(核兵器不拡散条約)運用検討会議第2回準備委員会に参加し,シンポジウムの開催や個別の意見交換を通じて,本県の平和の取組の発信や核軍縮の進展に向けた働きかけ等を行いました。
 また,本県の平和研究機能の強化を図るため,世界的な研究機関等を訪問し,本県との連携強化を図りました。
 併せて,モスクワで開催された日本・ロシアフォーラム及び日本政府観光局訪日観光促進交流会に登壇し,誘客に向けた観光情報発信などを行いました。
【訪問日程】平成30年4月22日(日)~4月29日(日)
【訪問場所】ジュネーブ(スイス),ロンドン(イギリス),モスクワ(ロシア)

(1)ジュネーブ訪問
□ NPT運用検討会議第2回準備委員会への参加
□ 研究機関・NGO等との意見交換
(2)ロンドン訪問
(3)モスクワ訪問

2 主な内容

(1) ジュネーブ訪問

NPT運用検討会議第2回準備委員会への参加

ア 県主催シンポジウムの開催【4月25日(水)】

 「核軍縮を実質的に進めるためのステップの具体化について」をテーマとし,政府代表,国連機関,NGO関係者等を対象にシンポジウムを開催しました。

 冒頭,国連軍縮研究所(UNIDIR)ドゥワン所長から挨拶をいただいた後,知事から,核兵器廃絶の具体的なプロセスの進展に向けた本県の取組として,ひろしまジュニア国際フォーラムなどの平和の担い手の育成機能や各界の指導者に対する被爆地訪問の呼び掛けの強化,核軍縮を実質的に進めていくための方策づくりへの取組などについて発信しました。また,核軍縮のため,国・自治体・NGO・市民社会,それぞれが,胸襟を開き,知恵を出し合い,進めていくことの重要性を訴えました。

 その後,UNIDIR,ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)から昨年度の研究成果が報告され,核軍縮を実質的に進めるためのステップの具体化について意見交換する中で,具体的な進展につながる方策として次が挙げられました。

 ・NPT6条に基づくコミットメントの再確認
 ・非戦略核兵器のリスク低減
 ・戦略的安定対話の公式化
 ・北朝鮮への段階的な核兵器の役割低減

 また,意見交換の中で次の意見がありました。

 ・安全保障と軍縮を別物として扱う,2分法を乗り越えることができれば,新しい核軍縮の進め方,やり方も考えられる。
 ・核兵器国と非核兵器国の亀裂が深まっている状況下においては,信頼醸成措置や代替措置を検討することが重要。また核兵器の役割低減や非核化を進めていくため,軍縮やリスク削減プロセスに関する透明性の向上が求められる。
 ・安全保障の概念やそのための条件は地域によって異なるため,消極的安全保証を地域安全保障と関連付けて考えることが必要。

シンポジウム シンポジウム

冒頭挨拶:UNIDIR ドゥワン所長,湯崎知事
パネリスト:UNIDIR ジョン・ボリー 研究部長,SIPRI シビル・バウアー 研究部長,
スウェーデン政府 ダニエル・ノード 在ジュネーブ国際機関スウェーデン政府代表部シニア軍縮アドバイザー,外務省 今西靖治 軍備管理軍縮課長
モデレーター:一橋大学 秋山信将 教授

イ 県主催ワークショップの開催【4月24日(火)】

ワークショップ 「核兵器禁止条約発効後の取組について」をテーマとしたワークショップを開催し,政府関係者,国際機関,NGO等と意見交換を行いました。
参加者から,核兵器禁止条約(TPNW)の効果を発現できるよう,核兵器国や核の傘の下にいる国々を巻き込む策として,一般市民への啓発・教育がますます重要になってくることが指摘され,その分野における広島の貢献への期待が示されました。

〔主な意見〕
・核軍縮の実効性を高めるため,核軍縮検証業務を,どのような形で,TPNWの中に入れ込むかが重要
・核抑止に関する一般の人々の理解を深めるため,国家がもっと平和教育に力を入れる必要がある
・核軍縮を国際社会全体で取り組むため,核軍縮の問題を国連の全体目標として掲げて取り組むことが必要
・TPNWについて,常任理事国中では,唯一,後向きでなかった中国を,どう取り込むかが重要ではないか
〔参加者〕政府関係者:アイルランド,メキシコ
NGO等:赤十字国際委員会,核戦争防止国際医師会議,PAX,UNIDIR,SIPRI

ウ NPT運用検討会議第2回準備委員会議長との意見交換【4月24日(火)】

NPT運用検討会議第2回準備委員会議長 ブガイスキー議長に対し,知事から,ひろしまラウンドテーブル議長声明,SIPRI・UNIDIRの各報告書及び賢人会議への提案を手交し,本県の提案の実現を働きかけました。

 議長からは,核兵器のリスクを削減し,各国の透明性を高めるため,広島が進める方策づくりや研究機関との連携について,大きな期待が示されました。

エ 2020年NPT運用検討会議議長候補との意見交換【4月24日(火)】

2020年NPT運用検討会議議長候補 グロッシ議長候補に対し,知事から,ひろしまラウンドテーブル議長声明,SIPRI・UNIDIRレポート及び賢人会議への提案を手交し,本県の提案の実現を働きかけました。
議長候補からは,2020年NPT運用検討会議まであと23か月しかなく,具体的な成果を出す必要があることや,広島が進める取組への期待について言及されました。

オ 国連軍縮担当上級代表との意見交換【4月24日(火)】

中満国連軍縮担当上級代表中満上級代表に対し,国連事務総長の国際平和のための世界経済人会議参加や平和記念式典参列を働きかけました。

カ 「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」提言に関する提案書の提出【4月25日(水)】

提案書の提出外務省が設置した賢人会議の提言に関して,広島県からの提案書を外務省吉田軍縮不拡散・科学部長へ手交しました。
部長からは,賢人会議の提言はこれから具体化していくので,その際の参考にさせていただくとの言及がありました。

キ PAX主催イベントへの参加【4月23日(月)】

 PAXが主催するサイドイベントに登壇し,広島県の取組について発信しました。
 ※PAX:オランダに本部を置き,核兵器廃絶を目指すNGO団体

ク 本県の平和の取組を紹介するパネル展示・「ひろしまレポート」の配付

パネル展示 国際平和拠点ひろしま構想及びひろしまレポートの紹介パネルを国連内に展示するとともに,政府・研究機関,NGO関係者にレポートを配付し,本県の平和の取組を発信しました。

ひろしまレポート2018年版

研究機関・NGO等との意見交換

ア UNIDIR所長との意見交換【4月24日(火)】

UNIDIR所長ドゥワン所長と今後の連携や国連をめぐる核問題への対応状況について,意見交換を行いました。

イ NTI会長との意見交換【4月23日(月)】

 ロルフィング会長と広島の平和の取組の発信力強化について意見交換を行うとともに,オンラインを活用した平和教育について,具体的な連携を進めることを確認しました。

ウ ICANコーディネーターとの意見交換【4月23日(月)】

ICANICANコーディネーターのホグスタ氏,川崎氏と会談し,核兵器廃絶に向けた国際的機運を向上させるための方策について意見交換し,人材育成分野での具体的な連携を進めることを確認しました。

エ パグウォッシュ会議代表との意見交換【4月24日(火)】

 ドゥアルテ代表と核兵器禁止条約発効後の取組として,NGOが果たす役割の重要性を再確認し,今後の連携について意見交換を行いました。

オ 世界経済フォーラム(WEF)会長等との意見交換【4月25日(水)】

シュワブ会長 シュワブ会長へ広島の核兵器廃絶に向けた取組を紹介し,国際平和のための世界経済人会議への参加を依頼しました。
また,ダボス会議における平和に関するセッションの増加を依頼しました。
このほか,ダボス会議のセッション・コーディネーターにも,同様に依頼を行いました。

(2) ロンドン訪問【4月26日(木)】

ア チャタムハウス所長との意見交換

チャタムハウス所長 ニブレット所長と意見交換し,核兵器廃絶に向けた具体的な方策の研究や,ひろしまラウンドテーブル及び国際平和のための世界経済人会議への参加など,連携の具体化に向けた協議を,連携協定締結を視野に置いて,進めていくことを確認しました。

イ 欧州リーダーシップネットワーク(ELN)議長との意見交換

ELN議長 ELNブラウン議長とELNが持つ核軍縮,核不拡散に関する英国議会グループ(トップレベルグループ)や若者のグループとのプロジェクト運営における連携等について意見交換を行いました。

 ※ELN:欧州各国の現職又は元議員,研究者,NGO関係者等で構成

(3) モスクワ訪問

ア ロシア大統領の被爆地広島訪問要請【4月27日(金)】

広島訪問要請 プーチン大統領の被爆地広島訪問を要請する書簡をロシア連邦モルグロフ外務次官へ手交しました。

イ 米国・カナダ研究所元所長との意見交換【4月28日(土)】

 ロゴフ元所長とひろしまレポートやひろしまラウンドテーブルにおける協力の可能性について協議するとともに,ロシア情勢や米国・カナダ研究所の取組について意見交換を行いました。

ウ RT(ロシア・トゥデイ)のインタビュー【4月27日(金)】

 ロシア・トゥデイから,核抑止論,朝鮮半島をめぐる情勢,広島の取組等に関してインタビューを受けました。

3 成果

【発信力の強化】

○ NPT運用検討会議第2回準備委員会サイドイベントとして,本県が,UNIDIR,SIPRIと共催したシンポジウムには,スウェーデン政府,日本政府からのパネリストをはじめ,多くの政府関係者やNGOの参加を得まして,広島からの具体的な核軍縮に向けた取組を発信する,大変良い機会となりました。
 また,本県が提案した核軍縮を実質的に進めていくための方策について,多くの賛同や意見をいただいたところであり,改めて本県の果たす使命と役割への期待の大きさを確認することができました。

○ 本県主催ワークショップについても,核兵器禁止条約を巡って,政府関係者やNGOの参画を得て,今後の取組の方向について,率直な意見交換を行うことができ,核兵器禁止条約発効後を見据えた取組の重要性について,認識を共有できました。

○ 加えて,国連事務総長やプーチン大統領の被爆地訪問の働きかけ,WEFシュワブ会長に対する国際平和のための世界経済人会議参加やダボス会議での核軍縮セッション増の働きかけについては,被爆地の思いを,前向きに受けとめていただきました。

【研究機能の強化】

○ 本県主催シンポジウムを通して,UNIDIR,SIPRIとの共同研究について,関係者から核軍縮を実質的に進めるためのステップの進展につながる方策として賛同を得るなど,核軍縮に向けて,広島からの政策提案による具体的な貢献を確認しました。

○ 核軍縮のための具体的な政策づくりに向けて,新たに,英国のチャタムハウス,ELN,NTIと,ひろしまラウンドテーブルやひろしまレポートを通した連携強化を図っていくことを確認しました。

【人材育成の充実】

○ 核兵器廃絶に向けて,ひろしまジュニア国際フォーラムを核とする,国際平和貢献人材の育成の重要性について,ICAN,NTI,グローバルゼロ,ELNなどと,認識を共有したところであり,今後,連携してプロジェクトを実施することを視野に,協議を進めることとしました。

【まとめ】

○ 今回の訪欧で,強化あるいは構築に向けて着手した国際機関,研究機関,NGO等,様々な機関等とのネットワークを,具体的な取組へと充実させていき,核兵器のない平和な国際社会の実現に具体的に貢献していきたいと考えています。

4 日程 平成30年4月22日(日)~4月29日(日)

日程
月 日

時 間
(現地時間)

項目 場所
4/22(日) - (移動) -
4/23(月) 10:20~11:30 NTI会長との意見交換 ジュネーブ
13:15~14:25 PAX主催サイドイベントへの参加
15:30~16:00 ICANコーディネーターとの意見交換
4/24(火) 10:00~10:30 パグウォッシュ会議代表との意見交換 ジュネーブ
11:00~11:30 UNIDIR所長との意見交換
13:15~14:45 県主催ワークショップの開催
16:00~16:30 国連軍縮担当上級代表との意見交換
17:40~18:00 2020年NPT運用検討会議議長候補との意見交換
18:15~18:45 NPT運用検討会議第2回準備委員会議長との意見交換
4/25(水) 9:45~11:30 WEF会長等との意見交換 ジュネーブ
12:30~13:00 「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」提言に関する提案書の提出
13:15~14:45 県主催シンポジウムの開催
15:00~15:30 グローバルゼロ創設者との意見交換
4/26(木) 9:00~10:30 ELN議長との意見交換 ロンドン
11:00~12:00 チャタムハウス所長との意見交換
4/27(金) 10:00~15:10 日本・ロシアフォーラム2018への登壇 モスクワ
(11:50) ロシア大統領の被爆地広島訪問要請
15:45~16:15 RTインタビュー
16:30~17:40 訪日観光促進交流会への登壇
4/28(土) 12:00~13:00 米国・カナダ研究所元所長との意見交換 モスクワ
4/29(日) - (移動)  

※日付表示は現地時間
※組織名称は一部略称使用

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